特級ボイラー技士 第5回
問81
ヒドラジンに関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- 溶存酸素を除去する脱酸素剤である。
- 反応後、全蒸発残留物を増加させない。
- 反応速度が速い。
- 人体への安全性に問題がない。
解説
■【設問の意図】
ヒドラジンの特性、特に脱酸素剤としての機能、反応後の残留物、反応速度、そして人体への影響に関する正確な知識を問う。
■【正解の理由】
ヒドラジンは溶存酸素を除去する脱酸素剤であり、反応後も全蒸発残留物を増加させず、反応速度も速いという利点があります。しかし、テキストにある通り「人体への安全性に問題がある」ため、選択肢4の「人体への安全性に問題がない」という記述は誤りです。
■【初心者がここで迷う理由】
ヒドラジンが優れた脱酸素剤であるという利点(残留物増加なし、反応速度速い)に注目しすぎて、その欠点である人体への安全性に関する問題を軽視してしまうことがあります。また、他の脱酸素剤と比較した際の特性を混同することもあります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文「ヒドラジンに関する記述として、誤っているものは次のうちどれか」を確認し、誤っている記述を探すことを明確にする。
2. 各選択肢をヒドラジンの既知の特性と照合する。
3. 選択肢1「溶存酸素を除去する脱酸素剤である。」→ 正しい。
4. 選択肢2「反応後、全蒸発残留物を増加させない。」→ 正しい。
5. 選択肢3「反応速度が速い。」→ 正しい。
6. 選択肢4「人体への安全性に問題がない。」→ テキストには「人体への安全性に問題がある」と明記されているため、これが誤りであると判断する。
7. 誤っている記述が見つかったため、選択肢4が正解となる。
問82
高圧ボイラーにおけるアルカリ処理に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
- pHが低くなり、保護被膜が形成されやすくなる。
- pHが高くなり、保護被膜(Fe3O4)を溶解させるおそれがある。
- pHが中性になり、腐食を完全に防止できる。(正解)
- アルカリ度が低下し、スケール付着を促進する。
解説
■【設問の意図】
高圧ボイラーにおける水質管理、特にアルカリ処理がボイラー材料に与える影響に関する知識を問うている。高圧環境下でのpH管理の重要性と、過度なアルカリ処理が引き起こす可能性のある問題点を理解しているかを確認する。
■【正解の理由】
高圧ボイラーにおいてアルカリ処理を行うと、ボイラー水のpHが高くなる傾向があります。pHが過度に高くなると、ボイラー内面に形成されている保護被膜である四酸化三鉄(Fe3O4)が溶解するおそれがあり、これにより腐食が進行するリスクが高まります。したがって、高圧ボイラーではpH管理が非常に重要となります。
■【初心者がここで迷う理由】
アルカリ処理は一般的に腐食防止に有効であるという認識があるため、高圧ボイラーにおいてもアルカリ度が高い方が良いと誤解しやすい点が挙げられます。しかし、高圧環境下では特定のpH範囲を超えると、保護被膜の安定性が損なわれるという特殊な状況があるため、この点を理解していないと迷う可能性があります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が高圧ボイラーのアルカリ処理について問うていることを確認する。
2. 高圧ボイラーでは、通常のボイラーとは異なる水質管理の注意点があることを思い出す。
3. アルカリ処理によってpHが高くなることは一般知識として認識する。
4. 高pHが保護被膜(Fe3O4)に与える影響を考える。高圧下では過度な高pHが被膜を溶解させるリスクがあることを想起する。
5. 選択肢の中で、このリスクを正確に記述している「pHが高くなり、保護被膜(Fe3O4)を溶解させるおそれがある」を選ぶ。
問83
溶存酸素による鋼材の腐食に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
- 溶存酸素による鋼材の腐食は、当初、全面腐食の形態で発生することが多い。
- 溶存酸素は、ボイラー水中の金属腐食を抑制する効果がある。(正解)
- 高純度給水中の微量の溶存酸素は、腐食を促進するため完全に除去する必要がある。
- 溶存酸素は、酸化鉄被膜を溶解させるため、ボイラー水からは完全に除去すべきである。
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラーにおける溶存酸素が鋼材に与える影響と、その対策に関する基本的な知識を問うものです。特に、溶存酸素が腐食の主な原因であることと、高純度給水における「酸素処理」の目的を理解しているかを確認します。
■【正解の理由】
選択肢1が正解です。溶存酸素による鋼材の腐食は、初期段階では広範囲にわたる全面腐食として現れることが多いとされています。これは、酸素が金属表面全体に均一に作用しやすいためです。
■【初心者がここで迷う理由】
溶存酸素が腐食の主な原因であるという知識はあっても、「酸素処理」という言葉から、微量の酸素が腐食防止に役立つという点が混同されやすいです。特に、高純度給水における酸素処理は、保護被膜の形成・維持を目的として微量の酸素を意図的に残すため、溶存酸素は「完全に除去すべきもの」という一般的な認識と矛盾するように感じられ、混乱を招くことがあります。また、全面腐食という初期形態についても、孔食などの局部腐食を連想しがちで、判断に迷うことがあります。
■【本番での判断フロー】
1. まず、問題文が「溶存酸素による鋼材の腐食」について尋ねていることを確認する。
2. 選択肢1「当初、全面腐食の形態で発生することが多い」を検討する。これは、溶存酸素が均一に作用しやすいため、初期には広範囲に影響を及ぼすという知識と合致するか考える。
3. 選択肢2「腐食を抑制する効果がある」は、溶存酸素が「主な原因」であるという基本知識に反するため、不適切と判断する。
4. 選択肢3「完全に除去する必要がある」は、高純度給水における「酸素処理」では微量の酸素を意図的に残す目的があることを思い出し、完全に除去するわけではないため、不適切と判断する。
5. 選択肢4「酸化鉄被膜を溶解させるため、完全に除去すべきである」は、微量の酸素が「酸化鉄被膜を保持する目的」で用いられるという知識に反するため、不適切と判断する。
6. 以上の検討から、選択肢1が最も適切な記述であると判断する。
問84
亜硫酸塩系脱酸素剤に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- 亜硫酸塩系脱酸素剤は、溶存酸素を除去する目的で使用される。
- 亜硫酸塩系脱酸素剤は、反応後に全蒸発残留物を増加させない。
- 亜硫酸塩系脱酸素剤は、280℃以上で熱分解を起こすことがある。(正解)
- 蒸気圧力5.0MPa以上のボイラーでの使用は避けるべきである。
- 亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)による脱酸素反応式は、Na2SO3 + 1/2 O2 → Na2SO4 である。
解説
■【設問の意図】
亜硫酸塩系脱酸素剤の基本的な特性、特に使用上の注意点や反応による影響について理解しているかを問う。高圧ボイラーでの使用制限や、反応後の全蒸発残留物への影響は重要な知識である。
■【正解の理由】
亜硫酸塩系脱酸素剤は、溶存酸素と反応して硫酸塩を生成するため、ボイラー水中の全蒸発残留物(TDS: Total Dissolved Solids)を増加させます。これは、ヒドラジンなどの他の脱酸素剤が全蒸発残留物を増加させない点と対比して覚えるべき重要な特性です。したがって、「反応後に全蒸発残留物を増加させない」という記述は誤りです。
■【初心者がここで迷う理由】
脱酸素剤はボイラー水の水質を改善するものという漠然としたイメージから、全蒸発残留物が増加するという事実に気づきにくいことがあります。また、ヒドラジンと比較して、亜硫酸塩系がTDSを増加させるという点を混同しやすいです。反応式を理解していても、その結果としてTDSが増加することまで意識が及ばないこともあります。
■【本番での判断フロー】
1. 各選択肢を読み、亜硫酸塩系脱酸素剤の特性と照合する。
2. 選択肢1「溶存酸素を除去する目的」は脱酸素剤の基本機能なので正しい。
3. 選択肢3「280℃以上で熱分解」と選択肢4「5.0MPa以上のボイラーでの使用を避ける」は、亜硫酸塩系の重要な使用制限なので正しい。
4. 選択肢5「反応式」は知識として正しい。
5. 選択肢2「反応後に全蒸発残留物を増加させない」について、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)が酸素(O2)と反応して硫酸ナトリウム(Na2SO4)になる反応式を思い出す。Na2SO4は水に溶解する塩であり、反応前のNa2SO3よりも分子量が増加するため、全蒸発残留物が増加することがわかる。したがって、この記述は誤りであると判断する。
問85
給水中の溶存酸素を亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)で除去する場合、溶存酸素濃度が8mg/Lであるとき、理論上必要な亜硫酸ナトリウムの注入量(mg/L)として、最も適切なものは次のうちどれか。ただし、Na2SO3の分子量を126、O2の分子量を32とする。
- 31.5
- 47.3
- 63
- 78.8(正解)
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラー給水中の溶存酸素を除去するために使用される亜硫酸ナトリウムの、理論上必要な注入量を化学量論に基づいて正確に計算できるかを確認することを意図しています。
■【正解の理由】
亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)による溶存酸素(O2)の除去反応は、以下の化学反応式で表されます。
Na2SO3 + 1/2 O2 → Na2SO4
この反応式から、亜硫酸ナトリウム1モルが酸素1/2モルと反応することがわかります。
与えられた分子量:
Na2SO3 = 126
O2 = 32
反応に必要な酸素は1/2モルなので、質量としては 32 / 2 = 16 となります。
したがって、酸素16mgに対して亜硫酸ナトリウム126mgが必要となります。
溶存酸素濃度が8mg/Lであるため、必要な亜硫酸ナトリウムの注入量は以下の計算式で求められます。
注入量 = (Na2SO3の分子量 / (1/2 O2の分子量)) × 溶存酸素濃度
注入量 = (126 / 16) × 8 = 7.875 × 8 = 63.0 mg/L
よって、最も適切な注入量は63.0mg/Lとなります。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者がこの問題で迷う主な理由は、化学反応式の係数、特に酸素(O2)が1/2モルで反応することを見落としたり、分子量を正しく適用できなかったりすることです。また、単位(mg/L)の扱いや、計算途中の端数処理で誤差が生じることもあります。特に、酸素の分子量32をそのまま使って計算してしまうと誤った結果になります。
■【本番での判断フロー】
1.まず、亜硫酸ナトリウムによる脱酸素反応の化学反応式「Na2SO3 + 1/2 O2 → Na2SO4」を正確に思い出します。
2.次に、与えられた分子量(Na2SO3=126, O2=32)を確認します。
3.反応式から、酸素1/2モル(質量16)に対して亜硫酸ナトリウム1モル(質量126)が必要であることを導き出します。
4.溶存酸素濃度8mg/Lに対して、必要な亜硫酸ナトリウムの質量を比率計算(126/16 × 8)で求めます。
5.計算結果が選択肢のどれに該当するかを確認し、最も近い値を選択します。
問86
ボイラー水中の不純物の濃縮に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- 給水中の不純物と処理剤中の固形成分は、ボイラー内で濃縮される。
- ボイラー水中の全蒸発残留物濃度が高くなると、キャリオーバによる障害が起こりやすくなる。
- スラッジのたい積は、二次的腐食やスケールの付着の原因となる。
- ボイラーの運転時間が長くなっても、ボイラー水中の全蒸発残留物濃度はほとんど変化しない。
解説
■【設問の意図】
ボイラー水中の不純物の濃縮現象とその影響に関する基本的な知識を問うている。特に、運転時間と不純物濃度の関係を理解しているかを確認することが目的である。
■【正解の理由】
ボイラーは給水を蒸気に変える過程で、水中の不純物や水処理剤の固形成分が蒸発しないため、ボイラー水中に濃縮されていく。そのため、ボイラーの運転時間が長くなるにつれて、ボイラー水中の全蒸発残留物濃度は高くなる。選択肢④の「ボイラーの運転時間が長くなっても、ボイラー水中の全蒸発残留物濃度はほとんど変化しない」という記述は、この事実に反するため誤りである。
■【初心者がここで迷う理由】
ボイラー水質管理の重要性は理解していても、具体的な濃縮のメカニズムや、運転時間と濃度の関係について深く考えていない場合がある。また、ブロー操作によって濃度が管理されているため、濃縮が進行しないと誤解する可能性もある。しかし、ブローは濃縮を抑制する手段であり、濃縮自体は常に進行している。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文で「誤っているもの」を問われていることを確認する。
2. ボイラーの運転原理を思い出す。水が蒸発するが、不純物は蒸発しないため、ボイラー水中に残る。
3. この原理から、運転時間が長くなればなるほど、不純物はボイラー水中に蓄積され、濃度が高まるはずだと考える。
4. 選択肢④の「ほとんど変化しない」という記述が、この原理と矛盾することに気づき、これが誤りであると判断する。
5. 他の選択肢が正しい記述であることを確認し、最終的な解答とする。
問87
ボイラー水中の全蒸発残留物濃度に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- 全蒸発残留物濃度が高くなると、キャリオーバによる過熱器やタービンの障害・事故が起こりやすくなる。
- 溶解性蒸発残留物の濃度と電気伝導率は正比例するため、電気伝導率から正確な濃度を求めることができる。
- 水溶液の電気伝導は、溶存するイオンの移動によって行われ、電気伝導率は温度の影響を大きく受けるので25℃のときの値で表す。(正解)
- 溶解性蒸発残留物には、コロイド状シリカのような非電解質も含まれる。
- 水質条件がほぼ一定している場合は、ボイラー水の溶解性蒸発残留物の濃度と電気伝導率との関係線を作成しておけば濃度は容易に推定できる。
解説
■【設問の意図】
ボイラー水中の全蒸発残留物(溶解性蒸発残留物)の性質、その濃度がボイラー運転に与える影響、および電気伝導率による濃度推定の限界と実用性に関する知識を問うています。特に、電気伝導率と溶解性蒸発残留物濃度との関係について正確な理解があるかを確認することが目的です。
■【正解の理由】
選択肢②の「溶解性蒸発残留物の濃度と電気伝導率は正比例するため、電気伝導率から正確な濃度を求めることができる」という記述が誤りです。
提供された知識データにある通り、「溶解性蒸発残留物の濃度と電気伝導率は正比例するわけではないため、電気伝導率から正確な濃度はわからない」とされています。電気伝導率は溶解性イオンの量に強く依存しますが、溶解性蒸発残留物にはコロイド状シリカのような非電解質も含まれるため、単純な正比例関係にはなく、正確な濃度を直接求めることはできません。
■【初心者がここで迷う理由】
電気伝導率がボイラー水の濃度管理に広く用いられていることから、「電気伝導率が高ければ濃度も高い」という大まかな理解は正しいものの、「正比例」し「正確な濃度が求められる」とまで断言できるかどうかの細かなニュアンスで迷うことがあります。特に、非電解質の存在や、水質条件が一定の場合に「推定できる」という記述との違いが混乱を招きやすいポイントです。
■【本番での判断フロー】
1. 各選択肢を読み、ボイラー水中の全蒸発残留物濃度と電気伝導率に関する記述の正誤を判断する。
2. 選択肢①「全蒸発残留物濃度が高くなると、キャリオーバによる過熱器やタービンの障害・事故が起こりやすくなる」は、濃度上昇によるキャリオーバリスク増大は基本知識なので「正しい」と判断する。
3. 選択肢②「溶解性蒸発残留物の濃度と電気伝導率は正比例するため、電気伝導率から正確な濃度を求めることができる」について、「正比例」や「正確な濃度」という強い表現に疑問を持つ。電気伝導率はイオン濃度に依存するが、非電解質も含まれるため、厳密には正比例しないことを思い出す。したがって「誤り」の可能性が高いと判断し、保留する。
4. 選択肢③「水溶液の電気伝導は、溶存するイオンの移動によって行われ、電気伝導率は温度の影響を大きく受けるので25℃のときの値で表す」は、電気伝導率の定義と測定条件に関する基本知識なので「正しい」と判断する。
5. 選択肢④「溶解性蒸発残留物には、コロイド状シリカのような非電解質も含まれる」は、非電解質が含まれることで電気伝導率との関係が単純ではないことを補強する知識なので「正しい」と判断する。
6. 選択肢⑤「水質条件がほぼ一定している場合は、ボイラー水の溶解性蒸発残留物の濃度と電気伝導率との関係線を作成しておけば濃度は容易に推定できる」は、実運用における電気伝導率の有用性を示す記述であり、「正確な濃度はわからない」という限界がありつつも「推定できる」という点は正しいので「正しい」と判断する。
7. 以上の判断から、選択肢②が明らかに誤りであると確定し、正解とする。
問88
ボイラー水中のスラッジのたい積によって生じる問題として、正しいものは次のうちどれか。
- ボイラー水中の全蒸発残留物濃度が低下する。
- 二次的腐食及びスケールの付着の原因となる。
- ボイラー効率が向上する。(正解)
- 気水共発が抑制される。
解説
■【設問の意図】
ボイラー水中のスラッジのたい積が引き起こす具体的な問題点を理解しているかを確認する。
■【正解の理由】
スラッジのたい積は、ボイラーの伝熱面にスケールとして付着し、その下で二次的な腐食を引き起こす。これは、提供された知識「スラッジのたい積による二次的腐食及びスケールの付着の原因になる。」と一致するため、選択肢2が正しい。
■【初心者がここで迷う理由】
スラッジのたい積は、ボイラー水質の悪化を示す現象であり、その結果として生じる複数の悪影響(効率低下、腐食、スケール、キャリオーバなど)を混同しやすい。特に、直接的な原因と結果の関係を正確に把握していないと、他の選択肢も正しいように感じてしまう可能性がある。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文がスラッジのたい積による「正しい」問題点を尋ねていることを確認する。
2. 選択肢2は「二次的腐食及びスケールの付着の原因となる」とあり、これは提供された知識と完全に一致するため、これが正解であると判断する。
3. 他の選択肢がなぜ誤りであるかを簡単に確認する。スラッジのたい積は全蒸発残留物濃度を「高める」ため選択肢1は誤り。スケール付着は効率を「低下させる」ため選択肢3は誤り。スラッジのたい積はキャリオーバを「促進する」可能性があるため選択肢4は誤り。
問89
表面ブローに関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- 表面ブローは、連続的に行われる。
- 表面ブローの主な排出物は、軽質浮遊物や油脂である。
- 表面ブローは、ボイラー水濃度を一定に保ちやすい。
- 電気伝導率計を用いた自動ブロー式の場合、電極部の点検・清掃は不要である。
解説
■【設問の意図】
表面ブローの目的、方法、排出物、および管理上の注意点に関する知識を問う。
■【正解の理由】
電気伝導率計を用いた自動ブロー式の場合、電極部にスケールや汚れが付着すると正確な測定ができなくなるため、定期的な点検・清掃が必要である。設問の記述では「電極部の点検・清掃は不要である」としているため、これは誤りである。
■【初心者がここで迷う理由】
表面ブローの基本的な特徴(連続、軽質浮遊物排出、濃度維持)は理解しやすいが、自動制御装置の具体的なメンテナンス要件(電極部の点検・清掃)まで詳細に覚えているかが問われるため、見落としやすい。特に「自動」という言葉からメンテナンスフリーと誤解する可能性がある。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が表面ブローに関する誤った記述を求めていることを確認する。
2. 各選択肢を一つずつ検証する。
3. 選択肢1「連続的に行われる」:表面ブローは連続的に行われるのが特徴であり、正しい。
4. 選択肢2「主な排出物は、軽質浮遊物や油脂である」:表面ブローは水面に浮遊する軽質浮遊物や油脂を排出する目的で行われるため、正しい。
5. 選択肢3「ボイラー水濃度を一定に保ちやすい」:連続的にブローを行うことで、ボイラー水濃度を管理値範囲内に一定に保ちやすくなるため、正しい。
6. 選択肢4「電気伝導率計を用いた自動ブロー式の場合、電極部の点検・清掃は不要である」:電気伝導率計の電極部は、正確な測定のために定期的な点検・清掃が必要である。したがって、「不要である」という記述は誤りである。
7. 誤っている記述を問われているため、選択肢4が正解となる。
問90
表面ブローの管理に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 表面ブローは、間欠的に行われる。
- 表面ブローの主な排出物は、ボイラー底部に沈殿したスラッジである。
- 電気伝導率計を用いた自動ブロー式の場合、電極部の点検・清掃は不要である。
- 表面ブローを行う際は、給水量とブロー量の比率が常に一定であることを監視する必要がある。
- 表面ブローは、ボイラー水濃度を大きく変動させる。(正解)
解説
■【設問の意図】
表面ブローの目的、方法、および管理上の注意点に関する正確な知識を問う。特に、自動制御システムにおける電極の保守や、運転中の監視項目を理解しているかを確認する。
■【正解の理由】
表面ブローは、ボイラー水面付近に浮遊する軽質浮遊物や油脂を連続的に排出することで、ボイラー水の濃度を一定に保つことを目的としている。電気伝導率計を用いた自動ブロー式の場合、電極部の汚れなどにより測定精度が低下する可能性があるため、定期的な点検・清掃が不可欠である。また、給水量とブロー量の比率を常に一定に保つことで、ボイラー水質を安定的に管理することが重要である。
■【初心者がここで迷う理由】
表面ブローとボトムブローの特性(連続/間欠、排出物、濃度変動)が混同されやすい。特に、自動制御装置の保守の必要性や、運転中の監視項目について、具体的なイメージが湧きにくい場合がある。電気伝導率計が自動で制御するため、メンテナンスが不要だと誤解する可能性がある。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「表面ブロー」に関する正しい記述を求めていることを確認する。
2. 選択肢①「間欠的に行われる」はボトムブローの特徴であり、表面ブローは「連続」なので誤り。
3. 選択肢②「主な排出物は、ボイラー底部に沈殿したスラッジ」はボトムブローの特徴であり、表面ブローは「軽質浮遊物・油脂」なので誤り。
4. 選択肢③「電極部の点検・清掃は不要」は、自動制御装置であってもセンサーは汚れるため「必要」であり、誤り。
5. 選択肢⑤「ボイラー水濃度を大きく変動させる」は、連続ブローにより濃度を「一定に保ちやすい」ため誤り。
6. 残った選択肢④「給水量とブロー量の比率が常に一定であることを監視する必要がある」は、ボイラー水質を安定させるための重要な管理項目であり、正しい記述であると判断する。
問91
ボトムブローに関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- ボトムブローは、間欠的に行われる。
- ボトムブローの主な排出物は、スラッジである。
- ボトムブローを行うと、ボイラー水濃度は変動する。
- ボトムブローは、ボイラー水濃度を一定に保つために連続的に行われる。
解説
■【設問の意図】
ボトムブローの目的、方法、排出物、およびボイラー水濃度への影響について正確な知識があるかを問うている。特に、表面ブローとの違いを理解しているかが重要となる。
■【正解の理由】
ボトムブローは、ボイラー底部に沈殿したスラッジを排出するために「間欠的に」行われる。そのため、ボイラー水濃度は一時的に変動する。選択肢4の「ボイラー水濃度を一定に保つために連続的に行われる」という記述は、表面ブローの特性であり、ボトムブローには当てはまらないため、誤りである。
■【初心者がここで迷う理由】
ブロー操作全般の目的がボイラー水質の管理であるため、連続ブローとボトムブローの具体的な方法や排出物の違い、そしてボイラー水濃度への影響の違いを混同しやすい。特に「連続」と「間欠」の違い、および「濃度を一定に保つ」のがどちらのブロー操作の主な目的であるかを正確に把握していないと迷う。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文がボトムブローに関する誤った記述を求めていることを確認する。
2. 各選択肢を読み、ボトムブローの特性(間欠的、スラッジ排出、濃度変動)と照合する。
3. 選択肢4が「連続的に行われる」と記述しており、これは表面ブローの特性であることを思い出す。
4. ボトムブローは「間欠的」であり、濃度は「変動する」ため、選択肢4が誤りであると判断する。
問92
ボイラーのボトムブローに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- ボトムブローは、主にボイラー底部に堆積したスラッジを排出する目的で間欠的に行われる。
- ボイラー停止後にボトムブローを行うと、新しい給水が入り、酸素の混入やpHの低下を起こすおそれがある。
- 1人で2基以上のボイラーのボトムブローを同時に行うことは、安全管理上避けるべきである。
- ボイラーの吹出し作業を行う間は、他の作業を同時に行っても差し支えない。
解説
■【設問の意図】
ボイラーの安全かつ適切な運転には、ボトムブローの正しい知識と操作が不可欠です。本設問は、ボトムブローの目的、実施タイミング、および作業上の安全に関する注意点を理解しているかを確認することを意図しています。特に、作業中の集中と複数作業の禁止は、事故防止の観点から非常に重要です。
■【正解の理由】
ボイラーの吹出し作業(ボトムブローを含む)は、圧力変動や熱水排出を伴う危険な作業であり、作業者はその作業に集中する必要があります。そのため、「ボイラーの吹出しを行う間は、他の作業を行わないこと」が安全管理の基本原則として定められています。選択肢④の「ボイラーの吹出し作業を行う間は、他の作業を同時に行っても差し支えない」という記述は、この原則に反するため誤りです。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、ボトムブローの具体的な操作手順や、それに伴うリスク、特に「他の作業を行わないこと」といった安全管理の細かなルールを見落としがちです。また、ボトムブローの目的や、停止後のブローがもたらす影響(酸素混入、pH低下)については理解していても、作業中の集中義務まで意識が及ばないことがあります。
■【本番での判断フロー】
1. 設問が「誤っているもの」を求めていることを確認する。
2. 各選択肢を読み、ボトムブローに関する知識と照合する。
3. 選択肢①「スラッジ排出目的で間欠的に行う」は、ボトムブローの基本的な目的と方法であり正しい。
4. 選択肢②「停止後のブローで酸素混入・pH低下のおそれ」は、ボイラー停止後のブローに関する重要な注意点であり正しい。
5. 選択肢③「1人で2基以上のボトムブローを同時に行わない」は、安全管理上の明確な禁止事項であり正しい。
6. 選択肢④「吹出し作業中に他の作業を同時に行っても差し支えない」は、吹出し作業の危険性を考慮すると不適切であると判断できる。安全作業の基本原則に反するため、これが誤りであると結論づける。
問93
油だきボイラーの燃焼状態に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
- 燃焼状態の良好な油だきにおいて、火炎はオレンジ色で炉壁などに衝突することなく全般に緩やかな浮遊状態をとる。
- 燃焼用空気が少なすぎると、火炎は青白くなり、炉壁に衝突しやすくなる。(正解)
- 燃焼用空気が多すぎると、火炎は黒煙を伴い、炉内温度が異常に上昇する。
- 火炎が炉壁に衝突すると、水管群にカーボンが付着し、過熱器管の温度が低下する。
解説
■【設問の意図】
この設問は、油だきボイラーにおける良好な燃焼状態の視覚的特徴と、不適切な燃焼状態が引き起こす問題について、受験者が正確に理解しているかを確認することを意図しています。
■【正解の理由】
選択肢1が正解です。良好な油だき燃焼では、火炎は安定したオレンジ色を呈し、炉壁や伝熱面に衝突することなく、炉内で緩やかに浮遊する状態が理想的とされています。これは、燃料が適切に微粒化され、十分な空気と混合し、完全燃焼している状態を示します。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、燃焼状態の良し悪しを判断する具体的な基準(火炎の色、形状、炉内での挙動など)が曖昧な場合や、不完全燃焼や空気過剰燃焼がもたらす影響について混同している場合に迷うことがあります。特に、火炎の色と燃焼効率や安全性との関連性を正確に把握していないと、誤った選択をしてしまう可能性があります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「油だきボイラーの燃焼状態」について尋ねていることを確認する。
2. 各選択肢を読み、それぞれの記述が良好な燃焼状態、不完全燃焼、空気過剰燃焼、またはその他の異常状態のいずれに該当するかを判断する。
3. 「燃焼状態の良好な油だきにおいて火炎はオレンジ色で炉壁などに衝突することなく全般に緩やかな浮遊状態をとる」という記述が、良好な燃焼状態の典型的な特徴であることを思い出す。
4. 他の選択肢が、不完全燃焼(黒煙、カーボン付着)、空気過剰(効率低下)、火炎衝突(過熱、破裂)などの不適切な状態を示す記述であることを確認し、選択肢1が最も適切であると判断する。
問94
ボイラーの通常運転時における燃焼用空気量に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- 燃焼用空気が少なすぎると、不完全燃焼となりやすい。
- 燃焼用空気が多すぎると、燃焼排ガス量が増加する。
- 燃焼用空気が多すぎると、燃焼排ガス量増加による熱損失のため、ボイラー効率が低下する。
- 燃焼用空気が少なすぎると、不完全燃焼が抑制され、ボイラー効率が向上する。
解説
■【設問の意図】
ボイラーの燃焼管理において、燃焼用空気量がボイラーの燃焼状態と効率に与える影響について理解しているかを問う問題です。適切な空気量の重要性を把握しているかを確認します。
■【正解の理由】
燃焼用空気が少なすぎると、燃料が完全に燃焼せず、不完全燃焼となります。不完全燃焼は未燃ガスやばいじんの発生を招き、燃料が持つ熱エネルギーを十分に回収できないため、ボイラー効率は低下します。したがって、「不完全燃焼が抑制され、ボイラー効率が向上する」という記述は誤りです。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、空気量が少ないと排ガス量が減り、一見効率が上がるように錯覚するかもしれません。しかし、燃焼の基本は「完全燃焼」であり、そのためには適切な空気量が必要です。空気不足による不完全燃焼は、排ガス量以前に燃料の持つエネルギーを無駄にするため、効率低下の主要因となります。また、空気過剰による効率低下(排ガス量増加による熱損失)と混同し、どちらがより深刻な効率低下を招くか判断に迷うこともあります。
■【本番での判断フロー】
1. 設問が「誤っているもの」を問うていることを確認する。
2. 各選択肢を、ボイラーの燃焼に関する基本知識と照らし合わせる。
3. 選択肢1「燃焼用空気が少なすぎると、不完全燃焼となりやすい」:これは正しい。空気不足は不完全燃焼の原因となる。
4. 選択肢2「燃焼用空気が多すぎると、燃焼排ガス量が増加する」:これは正しい。過剰な空気は排ガス量を増やす。
5. 選択肢3「燃焼用空気が多すぎると、燃焼排ガス量増加による熱損失のため、ボイラー効率が低下する」:これは正しい。排ガス量増加は排ガス損失を増やし、効率を低下させる。
6. 選択肢4「燃焼用空気が少なすぎると、不完全燃焼が抑制され、ボイラー効率が向上する」:燃焼用空気が少なすぎると不完全燃焼となり、燃料の持つ熱を十分に利用できないため、効率は低下するはずである。したがって、この記述は誤りであると判断する。
7. 選択肢4が誤りであるため、これが正解となる。
問95
ボイラーの燃焼量を増減させる際の操作に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
- 燃焼量を増すときは燃料量を先に増加させ、減らすときは燃焼空気量を先に減少させる。
- 燃焼量を増すときは燃焼空気量を先に増加させ、減らすときは燃料量を先に減少させる。
- 燃焼量を増すときは燃料量を先に増加させ、減らすときも燃料量を先に減少させる。(正解)
- 燃焼量を増すときは燃焼空気量を先に増加させ、減らすときも燃焼空気量を先に減少させる。
- 燃焼量の増減は、燃料量と燃焼空気量を同時に操作する。
解説
■【設問の意図】
ボイラーの安全かつ効率的な運転において、燃焼量の増減操作は非常に重要です。この設問は、特に燃料と空気の供給順序に関する基本的な知識を問うものです。不適切な操作は、不完全燃焼、炉内爆発、ボイラー効率の低下、あるいは過熱などの重大な事故につながる可能性があるため、正確な理解が求められます。
■【正解の理由】
燃焼量を増す際には、まず燃焼空気量を先に増加させ、その後に燃料量を増加させるのが適切です。これは、燃料を先に増やすと一時的に空気不足となり、不完全燃焼や黒煙の発生、さらには炉内爆発の危険性を高めるためです。逆に、燃焼量を減らす際には、燃料量を先に減少させ、その後に燃焼空気量を減少させます。これは、空気量を先に減らすと燃料過多となり、同様に不完全燃焼や黒煙発生のリスクがあるためです。この手順により、常に適切な空燃比を保ち、安全で安定した燃焼を維持することができます。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、燃焼量の増減を「燃料と空気を同時に操作する」と誤解したり、「増やすときは燃料を先に、減らすときは空気を先に」といった逆の順序を覚えてしまったりすることがあります。また、なぜその順序でなければならないのかという理由(空気不足による不完全燃焼や爆発の危険性)まで理解していないと、丸暗記に頼ってしまい、いざという時に正確な判断ができない可能性があります。特に、燃料と空気のどちらを先に操作するかという点が混同しやすく、増減の方向と操作対象の組み合わせで混乱が生じやすいです。
■【本番での判断フロー】
1. **問題文の確認**: 燃焼量の「増減」操作における「燃料」と「空気」の順序を問われていることを確認します。
2. **基本原則の想起**: ボイラー燃焼の基本は「常に適切な空燃比を保つこと」です。特に、燃料過多の状態は不完全燃焼や爆発の危険性が高いため、避けるべきです。
3. **燃焼量増加時の判断**: 燃焼量を増やす場合、燃料を先に増やすと一時的に燃料過多になります。これを避けるため、先に空気量を増やして燃料を受け入れる準備を整える、と連想します。「空気先行」と覚えます。
4. **燃焼量減少時の判断**: 燃焼量を減らす場合、空気量を先に減らすと一時的に燃料過多になります。これを避けるため、先に燃料量を減らして空気量の減少に合わせる、と連想します。「燃料先行」と覚えます。
5. **選択肢の比較**: 上記の原則に合致する選択肢を選びます。
* 増すとき:空気先行
* 減らすとき:燃料先行
この組み合わせが正解です。
問96
ボイラーの燃焼管理において、炉内状態を目視にて監視するほか、活用することが必要な計器として、誤っているものは次のうちどれか。
- ばいじん濃度計
- 排ガス酸素濃度計
- 二酸化炭素濃度計
- CO計
- 炉内圧力計
解説
■【設問の意図】
ボイラーの燃焼管理において、炉内状態を適切に監視するために必要な計器に関する知識を問う。特に、目視監視と併用される主要な排ガス分析計器の種類を理解しているかを確認する。
■【正解の理由】
炉内状態の監視には、燃焼効率や環境負荷を把握するために、ばいじん濃度計、排ガス酸素濃度計、二酸化炭素濃度計、CO計が活用されることがテキストに明記されている。選択肢⑤の「炉内圧力計」は、炉内の燃焼状態を直接監視する計器としては一般的ではなく、テキストにも記載がないため、誤りである。炉内圧力は通常、通風抵抗や送風機の運転状態を示すものであり、燃焼状態の良否を直接判断する主要な計器ではない。
■【初心者がここで迷う理由】
ボイラーの運転には様々な計器が用いられるため、炉内圧力計も何らかの形でボイラー運転に関わる計器であることから、誤った選択肢として見抜きにくい可能性がある。また、排ガス分析計器の種類を正確に覚えていない場合、どれが正しいか判断に迷うことがある。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「炉内状態を目視にて監視するほか、活用することが必要な計器として、誤っているもの」を問うていることを確認する。
2. 与えられた知識の中から「炉内状態を目視にて監視するほか、ばいじん濃度計、排ガス酸素濃度計、二酸化炭素濃度計、CO計を活用することが必要である。」という記述を思い出す。
3. 選択肢1~4がこの記述に含まれていることを確認する。
4. 選択肢5の「炉内圧力計」が記述に含まれていないことを確認し、これが誤った選択肢であると判断する。
問97
ボイラーにおいて、油バーナの噴射角度が不適当なため火炎が伝熱面に衝突した場合に生じる現象として、誤っているものは次のうちどれか。
- 水管群にカーボンが付着する。
- 伝熱面で異常な循環不良が生じる。
- 伝熱管が過熱される。
- 伝熱管の破裂事故につながる。
- ボイラー効率が向上する。
解説
■【設問の意図】
ボイラーの燃焼管理において、火炎が伝熱面に衝突した場合に生じる具体的な悪影響に関する知識を問うものです。特に、火炎衝突が単なる効率低下だけでなく、設備損傷につながる深刻な問題であることを理解しているかを確認します。
■【正解の理由】
火炎が伝熱面に衝突すると、その部分にカーボンが付着し、伝熱を阻害します。また、局部的な加熱により伝熱面での異常な循環不良が生じ、結果として伝熱管の過熱や破裂事故につながる可能性があります。これらの現象はすべてボイラーの安全性と効率を著しく低下させるものであり、ボイラー効率が向上することは絶対にありません。したがって、「ボイラー効率が向上する」という選択肢が誤りです。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、火炎衝突が単に燃焼効率の低下や煤の発生といった表面的な問題に留まると考えがちです。しかし、実際には伝熱管の損傷や破裂といった重大事故につながる可能性があるため、その深刻さを十分に認識していないと、誤った選択肢を選んでしまうことがあります。また、燃焼が「激しくなる」ことで「効率が上がる」と誤解する可能性もありますが、火炎衝突は不完全燃焼や局部過熱を引き起こし、効率を低下させます。
■【本番での判断フロー】
1. **問題文の確認**: 「火炎が伝熱面に衝突した場合に生じる現象として、誤っているものは次のうちどれか」という問いなので、正しい現象を排除し、誤った現象を選ぶことを意識する。
2. **各選択肢の評価**:
* 選択肢1「水管群にカーボンが付着する」:火炎衝突による煤の発生は一般的な問題であり、正しい。
* 選択肢2「伝熱面で異常な循環不良が生じる」:局部的な加熱は循環不良を引き起こすため、正しい。
* 選択肢3「伝熱管が過熱される」:循環不良や局部加熱は過熱につながるため、正しい。
* 選択肢4「伝熱管の破裂事故につながる」:過熱が進行すれば破裂に至る可能性があり、正しい。
* 選択肢5「ボイラー効率が向上する」:火炎衝突は不完全燃焼や伝熱阻害、設備損傷を引き起こすため、効率が向上することはありえない。これは明らかに誤りである。
3. **最終判断**: 誤っている現象は選択肢5であると判断し、これを正解とする。
問98
ボイラーの燃焼管理に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 可燃物が未燃状態で炉内または煙道に蓄積されると、空気と混合して爆発限界内の混合状態となり、引火または着火により爆発に至る危険性がある。
- 燃焼量の増減はできる限り徐々に行い、燃焼量を増すときは燃焼空気量を先に増加し、減らすときは燃料量を先に減少させる。
- 通常運転時で燃焼用空気が少なすぎると不完全燃焼となりやすく、また燃焼用空気が多すぎると燃焼排ガス量が増加するのでボイラー効率が低下する。
- 可燃物が未燃状態で炉内または煙道に蓄積されても、空気との混合が不十分であれば爆発の危険性は低い。
解説
■【設問の意図】
ボイラーの燃焼管理において、未燃物の蓄積がもたらす危険性とそのメカニズムに関する知識を問う。特に、爆発に至る条件を理解しているかを確認する。
■【正解の理由】
選択肢4が誤りである。可燃物が未燃状態で炉内や煙道に蓄積されると、空気と混合して爆発限界内の混合状態となり、何らかの原因で引火または着火されると爆発に至る危険性がある。空気との混合が不十分であっても、蓄積された可燃物が徐々に空気と混合し、爆発限界に達する可能性があるため、「爆発の危険性は低い」という記述は誤りである。
■【初心者がここで迷う理由】
「空気との混合が不十分であれば」という条件に惑わされやすい。未燃物が蓄積している状況自体が危険であり、時間経過や環境変化によって空気との混合が進み、爆発限界に達する可能性があることを見落としがちである。また、爆発限界という概念の理解が不十分だと、この選択肢の誤りを見抜けない場合がある。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文で「誤っているもの」を問われていることを確認する。
2. 各選択肢を読み、ボイラーの燃焼管理における一般的な安全原則や現象と照らし合わせる。
3. 選択肢1, 2, 3は、燃焼空気量の適正化や燃焼量増減時の操作手順など、ボイラー運転の基本として正しい記述であると判断する。
4. 選択肢4は、未燃物の蓄積と爆発の危険性に関する記述である。未燃物が蓄積すること自体が危険であり、空気との混合が不十分であっても、その後の状況変化で爆発限界に達する可能性があるため、「危険性は低い」という断定は誤りであると判断する。
5. したがって、選択肢4が誤りであり、正解と特定する。
問99
ボイラーの運転中に燃焼ガス温度が負荷変動による通常の温度の変動範囲より異常に低い場合、考えられる原因として、最も適切なものは次のうちどれか。
- 燃焼用空気が過剰に供給されている。
- 燃料の供給量が不足している。
- ボイラー各部から気水が漏れている。
- バーナの噴霧状態が不良である。(正解)
解説
■【設問の意図】
ボイラー運転中に燃焼ガス温度が異常に低下した場合の、その原因と適切な対応に関する知識を問うものです。特に、燃焼異常以外の構造的な問題に気づけるかどうかがポイントです。
■【正解の理由】
燃焼ガス温度が負荷変動による通常の温度の変動範囲より異常に低い場合、ボイラー各部から気水が漏れているおそれがあります。気水が漏れると、その蒸発潜熱によって燃焼ガスから熱が奪われ、結果として燃焼ガス温度が低下します。このため、炉内その他のボイラー内各部を調査、点検する必要があります。
■【初心者がここで迷う理由】
燃焼ガス温度の異常低下は、一見すると燃焼状態の不良(燃料不足、空気過剰など)を疑いがちです。しかし、設問では「負荷変動による通常の温度の変動範囲より異常に低い場合」とあり、単なる燃焼量の増減や空気比の調整で説明できない、より深刻な原因を示唆しています。このニュアンスを読み取れず、燃焼条件の選択肢に引きずられる可能性があります。
■【本番での判断フロー】
1. 設問文を注意深く読み、「燃焼ガス温度が負荷変動による通常の温度の変動範囲より異常に低い場合」という表現に注目する。これは通常の燃焼調整では説明できない異常事態を示唆している。
2. 各選択肢を検討する。
* 1. 燃焼用空気が過剰:空気過剰は排ガス量増加による熱損失増で効率低下を招くが、燃焼ガス温度が「異常に低い」というほどではない。
* 2. 燃料の供給量不足:燃料が不足すれば燃焼ガス温度は低下するが、これも通常の負荷変動の範囲内で調整されるべき事象であり、「異常に低い」という表現には合致しにくい。
* 3. ボイラー各部から気水が漏れている:気水が漏れると、その蒸発に大量の熱が使われるため、燃焼ガスから熱が奪われ、燃焼ガス温度が著しく低下する。これは「異常に低い」という状況に最も合致する。
* 4. バーナの噴霧状態が不良:不完全燃焼につながり、燃焼ガス温度が低下する可能性はあるが、気水漏れほど劇的な温度低下を引き起こすとは考えにくい。
3. 最も深刻で「異常な」温度低下を引き起こす可能性のある「ボイラー各部からの気水漏れ」が正解であると判断する。
問100
ボイラーの負荷を上昇させる際の操作に関する記述として、最も適切なものは次のうちどれか。
- 燃料供給量を先に増やしてから、空気量を増やす。
- 空気量を先に増やしてから、燃料供給量を増やす。
- 燃料供給量と空気量を同時に、同じ割合で増やす。(正解)
- 空気量を減らしてから、燃料供給量を増やす。
解説
■【設問の意図】
ボイラーの負荷を安全かつ効率的に上昇させるための、燃料と空気の供給順序に関する知識を問うものです。
■【正解の理由】
ボイラー負荷上昇時には、燃焼に必要な空気(酸素)を十分に確保することが重要です。燃料を先に増やしてしまうと、空気不足による不完全燃焼や、未燃ガスが炉内に滞留して爆発を引き起こす危険性があります。そのため、まず空気量を先に増やして炉内の酸素濃度を高め、その後に燃料供給量を増やすことで、安全かつ安定した燃焼を維持しながら負荷を上昇させることができます。
■【初心者がここで迷う理由】
負荷を上げると聞くと、まず燃料を増やすことに意識が向きがちですが、燃焼の基本は燃料と空気の適切な混合比です。特に負荷上昇時は、燃料の増加に対して空気が不足するリスクが高まるため、この順序を誤ると重大な事故につながる可能性があります。
■【本番での判断フロー】
ボイラーの負荷を上昇させる際は、常に「空気先行」の原則を思い出すことが重要です。燃焼の安定性と安全性を最優先し、燃料を増やす前に十分な空気量を確保する、という基本に立ち返って判断します。