特級ボイラー技士 第4回
問61
ボイラー材料に添加される合金元素に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- モリブデンは、クリープ強度を増すうえで有効である。
- クロムは、耐酸化性でクリープ強度を改善し、耐熱性を要求される合金鋼ではほとんど必ず添加される。
- ニッケルは、強度とともに延性を増す特徴がある。
- マンガンは、少量添加すると焼きが入りにくくなり、溶接性が改善される。
解説
■【設問の意図】
合金元素がボイラー材料の特性に与える影響に関する知識を問う。特に、各元素が強度、延性、耐熱性、溶接性などにどのように作用するかを理解しているかを確認する。
■【正解の理由】
マンガンは少量添加すると一般的に焼きが入りやすくなり、溶接性が悪くなる特性がある。選択肢4では「焼きが入りにくくなり、溶接性が改善される」と記述されており、これは誤りである。
■【初心者がここで迷う理由】
各合金元素の特性(特に強度、延性、耐熱性、溶接性への影響)が多岐にわたるため、それぞれの元素の具体的な効果を混同しやすい。特に「焼きが入りやすい/にくい」や「溶接性が良い/悪い」といった表現は、正確な知識がないと判断が難しい。
■【本番での判断フロー】
1. 各選択肢に示された合金元素(モリブデン、クロム、ニッケル、マンガン)とその効果の記述を確認する。
2. モリブデンはクリープ強度向上、クロムは耐酸化性・クリープ強度向上、ニッケルは強度・延性向上という基本的な知識を思い出す。これらは正しい記述であることが多い。
3. マンガンに関する記述に注目する。マンガンは焼き入れ性を高め、溶接性を悪化させる傾向があることを思い出す。
4. 選択肢4の「焼きが入りにくくなり、溶接性が改善される」という記述が、自身の知識と矛盾することを確認し、これを誤りとして選択する。
問62
高温高圧ボイラーにおける放射ボイラーの形式に関する記述として、最も適切なものは次のうちどれか。
- 高温高圧ボイラーでは、一般に、本体伝熱面として放射熱を受ける水冷壁管だけからなる放射ボイラーの形式をとり、伝熱面積の大きい過熱器が設けられる。
- 放射ボイラーは、主に低温低圧ボイラーに用いられる形式である。(正解)
- 放射ボイラーでは、伝熱面積の小さい過熱器が設けられることが多い。
- 放射ボイラーの本体伝熱面は、主に燃焼ガスの対流熱を利用する。
- 放射ボイラーは、保有水量が多いため、起動に時間がかかる。
解説
■【設問の意図】
高温高圧ボイラーにおける放射ボイラーの基本的な構造と特徴を理解しているかを確認する。特に、伝熱方式と過熱器の役割に焦点を当てている。
■【正解の理由】
高温高圧ボイラーでは、火炉からの放射熱が支配的であるため、本体伝熱面として放射熱を効率よく受ける水冷壁管のみで構成される放射ボイラーの形式が採用されます。また、高温高圧の蒸気を生成するため、伝熱面積の大きい過熱器が設けられるのが一般的です。これは、与えられた知識の記述と完全に一致します。
■【初心者がここで迷う理由】
ボイラーの種類や伝熱方式、過熱器の役割に関する知識が混同しやすいためです。特に、放射伝熱と対流伝熱の違い、ボイラーの圧力帯と形式の関連性、過熱器の大小とボイラー性能の関係を正確に把握していないと、誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。また、貫流ボイラーの特性(起動が速いなど)と混同して、保有水量に関する誤った認識を持つこともあります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「高温高圧ボイラー」と「放射ボイラー」の組み合わせに言及していることを確認する。
2. 放射ボイラーの主な伝熱方式が「放射熱」であることを思い出す。
3. 高温高圧ボイラーでは、高い蒸気温度を得るために「過熱器」が重要であり、その「伝熱面積が大きい」傾向にあることを思い出す。
4. 選択肢を一つずつ確認し、上記のポイントに合致する記述を探す。
* 選択肢1: 「放射熱を受ける水冷壁管だけからなる」「伝熱面積の大きい過熱器」という記述があり、これが正しい特徴と一致すると判断する。
* 他の選択肢は、低温低圧、過熱器が小さい、対流熱利用、保有水量が多いといった誤った情報を含んでいるため、これらを排除する。
5. 最終的に、最も正確に特徴を捉えている選択肢1を正解とする。
問63
水管ボイラーのドラム管穴部の周効率に関する記述として、正しいものは次のうちどれか。
- 周効率は、長手効率の1/2以上になるよう周方向の管穴ピッチを定める。
- 周効率は、長手効率の1/2以下になるよう周方向の管穴ピッチを定める。(正解)
- 周効率は、長手効率と等しくなるよう周方向の管穴ピッチを定める。
- 周効率は、長手効率の2倍以上になるよう周方向の管穴ピッチを定める。
- 周効率は、長手効率の2倍以下になるよう周方向の管穴ピッチを定める。
解説
■【設問の意図】
この設問は、水管ボイラーのドラムにおける管穴部の設計基準、特に周方向効率と長手方向効率の関係について、受験者が正確な知識を持っているかを確認することを意図しています。ボイラーの安全な運転には、各部の応力集中を考慮した適切な設計が不可欠であり、その基本原則を理解しているかが問われます。
■【正解の理由】
水管ボイラーのドラム管穴部の設計において、周方向の応力は長手方向の応力の約2倍となるため、周方向の強度を確保することが特に重要です。このため、周効率(管穴によって弱められた周方向の強度を示す指標)は、長手効率(長手方向の強度を示す指標)の1/2以上になるように、周方向の管穴ピッチを定めることが法令や設計基準で要求されています。これにより、ドラムの安全性が確保されます。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、周方向と長手方向の応力関係を混同したり、効率の大小関係を逆にして覚えたりすることがあります。特に「1/2以上」という具体的な数値と方向性の組み合わせが記憶しにくいため、曖昧な知識のままだと誤った選択をしてしまいがちです。また、応力と効率の関係性を深く理解していないと、単なる暗記になり、いざという時に正確な判断ができないことがあります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「水管ボイラーのドラム管穴部の周効率」について問われていることを確認する。
2. ドラムの応力に関する基本知識を思い出す。薄肉円筒の応力では、周方向応力は長手方向応力の約2倍である(σθ = 2σz)。
3. 強度設計の観点から、応力が大きい周方向の効率は、応力が小さい長手方向の効率に対して、少なくとも半分以上の強度を確保する必要がある、と考える。
4. したがって、「周効率は長手効率の1/2以上」という記述が正しいと判断する。
問64
皿形鏡板の応力に関する記述として、最も適切なものは次のうちどれか。
- 応力は鏡板の中央部で最も大きく生じ、その方向は周方向の応力が支配的である。
- 応力は鏡板のすみの丸みの部分で最も大きく生じ、その方向は子午線方向の応力が支配的である。
- 応力は鏡板のすみの丸みの部分で最も大きく生じ、その方向は周方向の応力が支配的である。(正解)
- 応力は鏡板の中央部で最も大きく生じ、その方向は子午線方向の応力が支配的である。
解説
■【設問の意図】
この設問は、皿形鏡板に発生する応力の分布と、最大応力が発生する位置およびその方向に関する基本的な知識を問うものです。ボイラーの安全設計において重要な要素であるため、正確な理解が求められます。
■【正解の理由】
皿形鏡板では、胴との接続部である「すみの丸みの部分」に応力が集中し、最も大きく生じます。この最大応力の方向は「子午線方向」であり、周方向の応力よりも大きくなることが知られています。また、すみの丸みの半径が小さいほど、応力集中が顕著になり、応力は大きくなります。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、鏡板の中央部や、円筒胴と同じように周方向の応力が支配的であると誤解しやすい傾向があります。しかし、皿形鏡板は形状が複雑であり、特に胴との接続部であるすみの丸みの部分で応力集中が発生するという特殊性を理解していないと、正しい選択肢を選べません。また、子午線方向と周方向の区別が曖昧な場合も迷う原因となります。
■【本番での判断フロー】
1. 「皿形鏡板」のキーワードに注目し、応力集中がどこで起こるかを思い出す。→「すみの丸みの部分」
2. 次に、その部分でどの方向の応力が支配的かを思い出す。→「子午線方向」
3. これらのキーワードに合致する選択肢を選ぶ。
4. 他の選択肢は、応力発生位置や支配的な応力方向が異なるため、誤りであると判断する。
問65
皿形鏡板の応力に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 皿形鏡板のすみの丸みの部分には、他の部分と比較して応力が最も大きく生じる。
- 皿形鏡板のすみの丸みの部分に生じる応力は、子午線方向の応力よりも周方向の応力の方が大きい。
- 皿形鏡板のすみの丸みの半径が小さいほど、その部分に生じる応力は大きくなる。(正解)
- 皿形鏡板の応力は、一般に、胴板との接続部付近で集中する傾向がある。
解説
■【設問の意図】
この設問は、皿形鏡板の応力集中に関する基本的な知識、特に応力が最も集中する箇所、応力の方向性、および丸み半径と応力の関係について理解しているかを確認することを意図しています。ボイラーの安全設計において重要な要素である応力集中箇所の特定とその特性を把握していることが求められます。
■【正解の理由】
皿形鏡板のすみの丸みの部分に応力が最も大きく生じることは正しいです。また、すみの丸みの半径が小さいほど応力は大きくなるという記述も正しいです。しかし、皿形鏡板のすみの丸みの部分に生じる応力は、子午線方向の応力の方が周方向の応力よりも大きくなります。したがって、「子午線方向の応力よりも周方向の応力の方が大きい」という選択肢2の記述は誤りです。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、応力集中が起こる箇所や、丸み半径と応力の関係については理解しやすいものの、応力の方向(周方向と子午線方向)の大小関係を混同しやすい傾向があります。特に、薄肉円筒の胴では周方向応力が長手方向応力の2倍であるという知識と混ざり、鏡板でも周方向応力が大きいと誤解することがあります。また、応力集中という概念は理解していても、具体的な応力の方向性まで正確に記憶していない場合があります。
■【本番での判断フロー】
1. まず、問題文が「誤っているもの」を求めていることを確認します。
2. 各選択肢を一つずつ検討します。
* 選択肢1:「すみの丸みの部分に応力が最も大きく生じる」は、皿形鏡板の応力集中の基本知識として正しいことを確認します。
* 選択肢2:「子午線方向の応力よりも周方向の応力の方が大きい」について、皿形鏡板では子午線方向の応力の方が大きいことを思い出し、この記述が誤りであると判断します。
* 選択肢3:「すみの丸みの半径が小さいほど、その部分に生じる応力は大きくなる」は、応力集中の一般的な傾向として正しいことを確認します。
* 選択肢4:「胴板との接続部付近で集中する傾向がある」は、すみの丸みの部分が接続部付近であるため、正しいことを確認します。
3. 誤っている記述である選択肢2を正解として選びます。
問66
電気伝導率による連続ブロー率b1を求める式として、正しいものは次のうちどれか。
- b1 = (ボイラー水電気伝導率 / 給水電気伝導率) * 100 (%)
- b1 = (給水電気伝導率 / ボイラー水電気伝導率) * 100 (%)
- b1 = (給水電気伝導率 + ボイラー水電気伝導率) / 2 (%)(正解)
- b1 = (ボイラー水電気伝導率 - 給水電気伝導率) * 100 (%)
解説
■【設問の意図】
ボイラー水質管理における連続ブロー率の計算式、特に電気伝導率を用いた場合の正しい理解を問うものです。ボイラー水の濃縮度を適切に管理するために、この計算式は基本となります。
■【正解の理由】
連続ブロー率b1は、給水中の不純物がボイラー水中で濃縮される度合いを示す指標であり、給水中の不純物濃度(ここでは電気伝導率で代表される)とボイラー水中の不純物濃度(電気伝導率)の比率で表されます。給水中の不純物がどれだけボイラー水中に排出されるか、という観点から、給水電気伝導率をボイラー水電気伝導率で割ることで、その比率が求められます。したがって、「(給水電気伝導率 / ボイラー水電気伝導率) * 100 (%)」が正しい式となります。
■【初心者がここで迷う理由】
連続ブロー率の計算において、給水とボイラー水のどちらを分子に、どちらを分母にするかで迷うことがあります。ブローはボイラー水の濃縮を防ぐために行うものであり、給水中の不純物がどれだけボイラー水中に濃縮されているか、その濃縮度を管理するために、給水側の濃度を基準としてボイラー水側の濃度と比較するという考え方が混乱の原因となることがあります。また、単なる比率ではなく「率」であるため、100を乗じることを忘れる可能性もあります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「電気伝導率による連続ブロー率b1」を求めていることを確認する。
2. 連続ブロー率の基本的な考え方として、「給水中の不純物がボイラー水中でどれだけ濃縮されているか」を指標とすることを思い出す。
3. この指標は、給水側の濃度をボイラー水側の濃度で割ることで得られる比率であることを想起する。
4. 電気伝導率を濃度と見立てて、(給水電気伝導率 / ボイラー水電気伝導率) の形を探す。
5. 「率」であるため、最後に100を乗じている選択肢を選ぶ。
6. これらの条件を満たす選択肢が「b1 = (給水電気伝導率 / ボイラー水電気伝導率) * 100 (%)」であることを確認し、正解とする。
問67
シリカによる連続ブロー率b2を求める計算式として、正しいものは次のうちどれか。
- (給水シリカ濃度 / ボイラー水シリカ濃度) * 100 (%)
- (ボイラー水シリカ濃度 / 給水シリカ濃度) * 100 (%)(正解)
- (給水シリカ濃度 + ボイラー水シリカ濃度) * 100 (%)
- (給水シリカ濃度 - ボイラー水シリカ濃度) * 100 (%)
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラー水質管理における「シリカによる連続ブロー率」の正確な計算式を理解しているかを確認することを意図しています。連続ブロー率の算出は、ボイラー水中の不純物濃度を適切に管理し、スケール生成や腐食を防止するために不可欠な知識です。
■【正解の理由】
シリカによる連続ブロー率b2は、給水中のシリカ濃度をボイラー水中のシリカ濃度で割り、100を掛けてパーセンテージで表します。これは、ボイラー水中の不純物濃度を管理目標値内に保つために、どれだけの給水がブローとして排出されているかを算出する基本的な考え方に基づいています。給水中の不純物がボイラー内で濃縮されるため、給水濃度をボイラー水濃度で割ることで、その濃縮度合いからブローの割合を導き出します。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者がこの問題で迷う主な理由は、連続ブロー率の計算式が、電気伝導率、シリカ濃度、塩化物イオン濃度など、複数の水質管理項目で類似の形式を持つため、どの項目にどの計算式を適用するか混同しやすい点にあります。特に、「給水」と「ボイラー水」のどちらが分子(割られる数)で、どちらが分母(割る数)に来るかを間違えやすい傾向があります。ブローはボイラー水中の濃縮された不純物を排出する行為であるため、給水中の不純物濃度が基準となり、ボイラー水中の濃度と比較するという関係性を理解しにくいことがあります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題が「シリカによる連続ブロー率」を問うていることを確認します。
2. 連続ブロー率は、ボイラー水中の不純物濃度を一定に保つために、給水に対してどれだけの水がブローとして排出されているかを示す指標であることを思い出します。
3. この割合を求めるには、給水中の不純物濃度(基準となる濃度)をボイラー水中の不純物濃度(管理対象の濃度)で割るのが論理的です。つまり、「給水シリカ濃度」が分子、「ボイラー水シリカ濃度」が分母になります。
4. 最後に、パーセンテージで表すために100を掛けることを確認し、選択肢1が正しいと判断します。
問68
ボイラーの連続ブロー率の採用に関する記述として、正しいものは次のうちどれか。
- 各水質管理項目から求めたブロー率のうち、最も小さい値を採用する。
- 各水質管理項目から求めたブロー率のうち、最も大きい値を採用する。
- 各水質管理項目から求めたブロー率の平均値を採用する。(正解)
- 給水電気伝導率から求めたブロー率のみを採用する。
- ボイラー水シリカ濃度から求めたブロー率のみを採用する。
解説
■【設問の意図】
ボイラー水質管理における連続ブロー率の決定方法に関する知識を問うている。複数の水質管理項目からブロー率が算出される場合、どの値を採用すべきかを理解しているかを確認する。
■【正解の理由】
ボイラーの連続ブロー率は、ボイラー水中の不純物濃度が許容範囲を超えないように管理するために設定されます。複数の水質管理項目(電気伝導率、シリカ濃度など)からそれぞれブロー率が算出される場合、最も厳しい条件(つまり、最も高いブロー率)を採用することで、いずれの不純物濃度も確実に管理目標値以下に保つことができます。これにより、スケール生成や腐食などのトラブルを未然に防ぎ、ボイラーの安全かつ効率的な運転を維持することが可能になります。
■【初心者がここで迷う理由】
複数の数値がある場合、平均値や最小値を選びたくなる心理が働くことがあります。また、特定の項目(例えば電気伝導率)が代表的であるため、それだけを採用すれば良いと誤解する可能性もあります。しかし、ボイラー水質管理においては、最もリスクの高い項目に合わせて管理を行うのが基本であるため、最も高いブロー率を採用するという考え方が重要です。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文で「ボイラーの連続ブロー率の採用」について問われていることを確認する。
2. ボイラー水質管理の目的が、すべての不純物濃度を許容範囲内に保つことであることを思い出す。
3. 複数の項目からブロー率が算出される場合、最も厳しい条件(最も高いブロー率)を採用することで、すべての項目を確実に管理できると判断する。
4. 選択肢の中から「最も大きい値を採用する」という記述を探し、それが正解であると結論付ける。
問69
ボイラー水のりん酸イオン濃度を20 mg/Lに維持し、連続ブロー率が5%である場合、給水1L当たりに注入すべきりん酸三ナトリウムの量(mgNa3PO4/L)として、最も適切なものは次のうちどれか。ただし、りん酸三ナトリウム(Na3PO4)の分子量を164、りん酸イオン(PO4^3-)の分子量を95とする。
- 1.55
- 1.73
- 1.91(正解)
- 2.1
解説
■【設問の意図】
ボイラー水質管理におけるりん酸三ナトリウムの注入量計算に関する知識を問うています。特に、連続ブロー率と分子量比を考慮した正確な計算能力が求められます。
■【正解の理由】
給水1L当たりに注入するりん酸三ナトリウムの量fpは、以下の式で求められます。
fp = (ボイラー水りん酸イオン濃度 × b / 100) × (Na3PO4分子量 / PO4^3-分子量)
与えられた値は以下の通りです。
・ボイラー水りん酸イオン濃度 = 20 mg/L
・連続ブロー率 b = 5 %
・Na3PO4分子量 = 164
・PO4^3-分子量 = 95
これらの値を式に代入すると、
fp = (20 × 5 / 100) × (164 / 95)
fp = (100 / 100) × (164 / 95)
fp = 1 × (164 / 95)
fp = 1.7263… mgNa3PO4/L
したがって、最も近い値は1.73 mgNa3PO4/Lとなります。
■【初心者がここで迷う理由】
この問題では、連続ブロー率の適用方法と分子量比の計算がポイントとなります。特に、ブロー率を「/100」で割ることを忘れたり、分子量の比を逆にしてしまったりするミスが考えられます。また、計算途中の端数処理をどこで行うかによって最終的な数値がずれる可能性もあります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文から必要な数値(ボイラー水りん酸イオン濃度、連続ブロー率、Na3PO4分子量、PO4^3-分子量)を正確に読み取る。
2. 注入量fpの計算式「fp = (ボイラー水りん酸イオン濃度 × b / 100) × (Na3PO4分子量 / PO4^3-分子量)」を思い出す。
3. 各数値を式に代入し、慎重に計算を進める。
- まず「ボイラー水りん酸イオン濃度 × b / 100」の部分を計算する。
- 次に「Na3PO4分子量 / PO4^3-分子量」の部分を計算する。
- 最後に両者を掛け合わせる。
4. 計算結果を小数点以下第3位まで求め、選択肢の中で最も近い値を選ぶ。
問70
原水の全硬度Hを求める式として、正しいものは次のうちどれか。
- H = (CaCO3分子量/Ca原子量 * Ca濃度) + (CaCO3分子量/Mg原子量 * Mg濃度) (mgCaCO3/L)
- H = (CaCO3分子量/Ca原子量 + Ca濃度) * (CaCO3分子量/Mg原子量 + Mg濃度) (mgCaCO3/L)(正解)
- H = (CaCO3分子量/Ca原子量 * Ca濃度) - (CaCO3分子量/Mg原子量 * Mg濃度) (mgCaCO3/L)
- H = (CaCO3分子量/Ca原子量 * Ca濃度) (mgCaCO3/L)
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラー水処理における原水の全硬度を計算するための正しい公式を理解しているかを確認することを目的としています。特に、カルシウム硬度とマグネシウム硬度の両方を考慮し、それぞれを炭酸カルシウム(CaCO3)換算で合計するという概念が重要です。
■【正解の理由】
原水の全硬度Hは、カルシウム(Ca)濃度とマグネシウム(Mg)濃度をそれぞれ炭酸カルシウム(CaCO3)換算に変換し、それらを合計することで求められます。選択肢1の式「H = (CaCO3分子量/Ca原子量 * Ca濃度) + (CaCO3分子量/Mg原子量 * Mg濃度) (mgCaCO3/L)」は、この計算プロセスを正確に表しています。各硬度成分の濃度に、それぞれの原子量と炭酸カルシウムの分子量を用いた換算係数を乗じ、両者を加算することで全硬度が得られます。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、硬度計算の際に、カルシウムとマグネシウムのどちらか一方のみを考慮してしまったり、換算係数の乗算と加算の順序を間違えたりすることがあります。また、分子量や原子量の具体的な数値を知らなくても、式の構造が正しいかどうかを判断する必要があるため、公式の全体像を正確に記憶していないと迷いやすいでしょう。特に、加算ではなく乗算や減算を選択してしまう誤りもよく見られます。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「原水の全硬度Hを求める式」を問うていることを確認します。
2. 全硬度は、カルシウム硬度とマグネシウム硬度の合計であることを思い出します。したがって、式は加算(+)で構成されているはずです。
3. 各硬度成分は、それぞれの濃度を炭酸カルシウム(CaCO3)換算に変換する必要があるため、「CaCO3分子量/各原子量 * 各濃度」という形式になっているはずです。
4. これらの条件を満たす選択肢を探すと、選択肢1が「(CaCO3分子量/Ca原子量 * Ca濃度) + (CaCO3分子量/Mg原子量 * Mg濃度)」となっており、正しい形式であることがわかります。
5. 他の選択肢は、加算以外の演算子を使用していたり、片方の成分しか考慮していなかったりするため、誤りであると判断できます。
問71
ボイラーの水質管理において、1サイクル当たりの軟化水採取量Q(m³)を求める計算式として、正しいものは次のうちどれか。ただし、樹脂交換容量をM、樹脂充てん量をR、原水の全硬度をHとする。
- Q = (M + R) / H
- Q = (M * R) / H
- Q = H / (M * R)(正解)
- Q = (M * H) / R
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラーの水質管理において重要な軟化水装置の性能計算、特に1サイクル当たりの軟化水採取量を求める計算式の理解度を問うものです。イオン交換樹脂の総交換能力と原水の硬度の関係を正確に把握しているかを確認します。
■【正解の理由】
1サイクル当たりの軟化水採取量Qは、樹脂交換容量Mと樹脂充てん量Rの積を、原水の全硬度Hで割ることで求められます。これは、イオン交換樹脂が持つ総交換能力(M × R)を、処理すべき硬度成分の量(H)で割ることで、どれだけの硬度成分を処理できる水の量が得られるかを示すためです。したがって、Q = (M * R) / H が正しい計算式となります。
■【初心者がここで迷う理由】
ボイラーの水質管理には複数の計算式が存在するため、それぞれの式の意味と構成要素を混同しやすい点が初心者が迷う主な理由です。特に、積と商の関係、どの要素が分母に来て、どの要素が分子に来るかを間違えやすい傾向があります。また、単位の概念が曖昧だと、式の構造を直感的に理解しにくくなります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題が「1サイクル当たりの軟化水採取量Q」を求めていることを確認します。
2. 軟化水採取量は、イオン交換樹脂が持つ「総交換能力」を、原水の「硬度」で割ることで得られるという基本原則を思い出します。
3. 「総交換能力」は「樹脂交換容量M」と「樹脂充てん量R」の積(M × R)で表されることを確認します。
4. したがって、正しい式は (M × R) を「全硬度H」で割る形、すなわち Q = (M * R) / H であると判断し、該当する選択肢を選びます。
問72
「必要な1日当たりの樹脂の再生回数N1」を求める式として、正しいものは次のうちどれか。ただし、Eは蒸発量、Qは軟化水採取量、b1は電気伝導率による連続ブロー率とする。
- N1 = (E * 24) / (Q * (1 - b1/100))
- N1 = (E * 24) / (Q * (1 + b1/100))(正解)
- N1 = (E / 24) * (Q * (1 - b1/100))
- N1 = (E * Q) / (24 * (1 - b1/100))
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラーの水質管理において重要な「必要な1日当たりの樹脂の再生回数N1」を計算するための正しい公式を理解しているかを確認することを目的としています。軟水器の適切な運用には、この計算式の正確な知識が不可欠です。
■【正解の理由】
必要な1日当たりの樹脂の再生回数N1は、ボイラーの蒸発量E(24時間換算)、軟化水採取量Q、および連続ブロー率b1(電気伝導率による)を用いて、N1 = (E * 24) / (Q * (1 - b1/100)) の式で求められます。この式は、ボイラーに供給される純粋な軟水量が、ブローによって失われる水量を考慮した上で、蒸発量を賄うためにどれだけの軟水が必要か、そしてそれを供給するために軟水器を何回再生する必要があるかを示しています。分母の (1 - b1/100) は、ブローによって失われる水量を差し引いた、実際に蒸発に寄与する軟水量の割合を表しています。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、計算式の各項目の意味や、特に連続ブロー率が分母でどのように作用するのかを混同しやすいです。ブロー率を足し算で処理したり、分母と分子を間違えたり、24時間換算の「24」を忘れたりすることがあります。また、ブロー率が「1 - b1/100」となる理由(ブローによって純粋な蒸発量が減るため、必要な軟水供給量が増える)を直感的に理解しにくい場合があります。
■【本番での判断フロー】
1. まず、求められているのが「1日当たりの再生回数」であることを確認します。
2. 蒸発量Eは通常「/h」で与えられるため、1日(24時間)あたりの総蒸発量にするために「E * 24」が分子に来ることを確認します。
3. 軟化水採取量Qは、1サイクルあたりの採取量なので、これが分母に来ることを確認します。
4. 最も重要なのは連続ブロー率b1の扱い方です。ブローによってボイラー水の一部が排出されるため、同じ蒸発量を得るためには、ブローで失われる分だけ余分に給水を供給する必要があります。したがって、軟化水採取量Qに掛かる係数は「1 - (ブロー率/100)」となり、これが分母に来ることを確認します。
5. これらの要素を組み合わせた (E * 24) / (Q * (1 - b1/100)) の形が正しい選択肢であると判断します。
問73
ボイラーの給水処理において、必要な1日当たりのイオン交換樹脂の再生回数N2を求める式として、正しいものは次のうちどれか。ただし、Eは蒸発量(kg/h)、ERは復水回収量(kg/h)、Qは1サイクル当たりの軟化水採取量(m³)、b2はシリカによる連続ブロー率(%)とし、水の密度は1000kg/m³とする。
- N2 = ((E - ER) * 24) / (Q * (1 - b2/100))
- N2 = (E * 24) / (Q * (1 - b2/100))(正解)
- N2 = ((E - ER) * 24) / (Q * (1 + b2/100))
- N2 = (E - ER) / (Q * (1 - b2/100))
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラーの給水処理におけるイオン交換樹脂の再生回数を計算する際の正確な公式、特に復水回収量と連続ブロー率の考慮方法について理解しているかを問うものです。
■【正解の理由】
必要な1日当たりのイオン交換樹脂の再生回数N2は、1日当たりの補給水必要量を、1サイクル当たりの軟化水採取量と連続ブロー率を考慮した実質的な軟化水供給量で割ることで求められます。
分子の「(E - ER) * 24」は、1時間当たりの蒸発量Eから復水回収量ERを差し引いたものが1時間当たりの純水必要量となり、これに24時間を掛けることで1日当たりの純水必要量(補給水必要量)を算出しています。
分母の「Q * (1 - b2/100)」は、1サイクル当たりの軟化水採取量Qから、連続ブロー率b2を考慮した実質的な軟化水供給量を算出しています。ブローによってボイラー水が排出されるため、その分だけ給水量を多くする必要があります。したがって、ブロー率を差し引いた分が有効な給水として利用されるため、「1 - b2/100」を乗じます。
これらの要素を組み合わせた「N2 = ((E - ER) * 24) / (Q * (1 - b2/100))」が正しい計算式となります。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者がこの問題で迷う主な理由は以下の点です。
1. **復水回収量の扱い**: 蒸発量Eから復水回収量ERを差し引くことを忘れてしまい、単純にEのみで計算してしまうことがあります。
2. **時間単位の変換**: 蒸発量Eと復水回収量ERが「/h」で与えられているため、1日当たりの計算にするために「24」を乗じることを忘れることがあります。
3. **連続ブロー率の適用**: 連続ブロー率b2(%)を計算式に組み込む際に、「1 - b2/100」とすべきところを「1 + b2/100」や「b2/100」などと誤って適用してしまうことがあります。ブローはボイラー水の一部を排出する操作であり、その分だけ補給水が必要になるため、有効な軟化水供給量を減らす方向に作用することを理解しにくい場合があります。
4. **N1とN2の混同**: 別の計算式であるN1(復水回収がない場合の再生回数)と混同し、ERを考慮しない式を選んでしまうことがあります。
■【本番での判断フロー】
1. **問題の要求を正確に把握**: 「必要な1日当たりの樹脂の再生回数N2」を求める問題であることを確認します。特に「N2」は復水回収量を考慮する式であることを思い出します。
2. **分子の構成を検討**: 1日当たりの補給水必要量を計算します。蒸発量Eから復水回収量ERを差し引いたものが実質的な給水必要量(kg/h)であり、これを1日分にするために24を乗じます。したがって、分子は「(E - ER) * 24」となるべきです。
3. **分母の構成を検討**: 1サイクル当たりの軟化水採取量Q(m³)を、連続ブロー率b2(%)を考慮して補正します。ブローによって失われる分を補う必要があるため、有効な軟化水供給量はQに「(1 - b2/100)」を乗じたものとなります。
4. **選択肢との照合**: 上記で導き出した分子と分母の構成を持つ選択肢を探します。この場合、選択肢1が「N2 = ((E - ER) * 24) / (Q * (1 - b2/100))」であり、これが正解となります。
問74
JIS B 8223:2021「ボイラの給水、ボイラ水及び蒸気の質」における、常用使用圧力2MPa以下の産業用水管ボイラーの補給水に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- 補給水は軟化水とする。
- pH(25℃)は5.8~9.0とする。
- 硬度(mgCaCO3/L)は1以下とする。
- 補給水はイオン交換水とする。
解説
■【設問の意図】
JIS B 8223:2021「ボイラの給水、ボイラ水及び蒸気の質」に規定されている、常用使用圧力2MPa以下の産業用水管ボイラーの補給水に関する水質基準の正確な知識を問うています。特に、補給水の種類(軟化水かイオン交換水か)と、pH、硬度の具体的な数値基準を理解しているかを確認することが目的です。
■【正解の理由】
JIS B 8223:2021「ボイラの給水、ボイラ水及び蒸気の質」において、常用使用圧力2MPa以下の産業用水管ボイラーの補給水は「軟化水」と規定されています。選択肢4の「補給水はイオン交換水とする」は、常用使用圧力3MPaを超え5MPa以下のボイラーに適用される基準であり、2MPa以下のボイラーには当てはまりません。したがって、選択肢4が誤った記述です。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、ボイラーの圧力帯によって求められる給水処理の種類(軟化水、イオン交換水など)が異なることを混同しやすいです。特に、高圧ボイラーではより高純度の水が求められるため、圧力と水処理方法の対応関係を正確に覚えていないと、どの選択肢が正しいか判断に迷うことがあります。また、pHや硬度の数値も細かく、記憶があいまいだと誤った選択をしてしまう可能性があります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文で「常用使用圧力2MPa以下の産業用水管ボイラーの補給水」に関する誤った記述を問われていることを確認する。
2. JIS B 8223:2021の該当する圧力帯の補給水基準を思い出す。
3. 「2MPa以下」の補給水は「軟化水」であること、pHは「5.8~9.0」、硬度は「1以下」であることを確認する。
4. 各選択肢と記憶している基準を比較する。
* 選択肢1「補給水は軟化水とする」→ 正しい。
* 選択肢2「pH(25℃)は5.8~9.0とする」→ 正しい。
* 選択肢3「硬度(mgCaCO3/L)は1以下とする」→ 正しい。
* 選択肢4「補給水はイオン交換水とする」→ 誤り(これは3MPa超5MPa以下の基準)。
5. 誤っている記述である選択肢4を正解として選択する。
問75
常用使用圧力3MPaを超え5MPa以下のボイラーの補給水に関するJIS B 8223:2021「ボイラの給水、ボイラ水及び蒸気の質」の規定として、誤っているものは次のうちどれか。
- 補給水はイオン交換水とする。
- pH(25℃)は8.5~10.3とする。
- 硬度(mgCaCO3/L)は定量下限値から算出した値以下とする。
- シリカ(mgSiO2/L)は1以下とする。
解説
■【設問の意図】
JIS B 8223:2021「ボイラの給水、ボイラ水及び蒸気の質」における、常用使用圧力3MPaを超え5MPa以下のボイラーの補給水に関する水質基準の正確な知識を問うています。特に、補給水の種類、pH、硬度に関する規定を理解しているかを確認します。
■【正解の理由】
JIS B 8223:2021の規定では、常用使用圧力3MPaを超え5MPa以下のボイラーの補給水について、イオン交換水を使用し、pH(25℃)は8.5~10.3、硬度(mgCaCO3/L)は定量下限値から算出した値以下と定められています。選択肢4の「シリカ(mgSiO2/L)は1以下とする」という規定は、この圧力帯の補給水に関する直接的な基準としては明記されていません。シリカに関する規定は、ボイラー水に対しては存在しますが、補給水に対しては硬度のように具体的な数値が示されているわけではありません。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、ボイラー水質管理においてシリカが重要な項目であることは知っていても、それが「補給水」と「ボイラー水」のどちらに、どのような具体的な数値で規定されているかまで正確に覚えていないことがあります。特に、高圧ボイラーではシリカの管理が重要であるため、補給水にも厳しいシリカ基準があると思い込みやすいです。また、JISの規定は細かく、圧力帯によって基準が異なるため、混同しやすい点も迷う原因となります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文で問われているのが「常用使用圧力3MPaを超え5MPa以下のボイラーの**補給水**」に関する規定であることを確認する。
2. 各選択肢について、JIS B 8223:2021の知識と照合する。
3. 選択肢1「補給水はイオン交換水とする」:これは正しい。高圧ボイラーでは高純度水が求められる。
4. 選択肢2「pH(25℃)は8.5~10.3とする」:これも正しい。この圧力帯の補給水pH範囲である。
5. 選択肢3「硬度(mgCaCO3/L)は定量下限値から算出した値以下とする」:これも正しい。イオン交換水であるため、硬度は極めて低い値が求められる。
6. 選択肢4「シリカ(mgSiO2/L)は1以下とする」:この圧力帯の「補給水」に対するシリカの具体的な数値規定はJISにはないことを思い出す。シリカの規定は「ボイラー水」に対して設けられていることが多い。
7. したがって、選択肢4が誤りであると判断する。
問76
常用使用圧力1を超え2MPa以下のボイラ水に関するJIS B 8223:2021「ボイラの給水、ボイラ水及び蒸気の質」の規定として、誤っているものは次のうちどれか。
- 処理方法はアルカリ処理である。
- pH(25℃)は11.0~11.8である。
- 電気伝導率(25℃)は300μS/cm以下である。
- 塩化物イオン濃度は300mg/L以下である。
- りん酸イオン濃度は5~15mg/Lである。
解説
■【設問の意図】
JIS B 8223:2021に規定されている、常用使用圧力1を超え2MPa以下のボイラ水の水質管理基準に関する正確な知識を問うている。特に、各項目の具体的な数値範囲を正確に記憶しているかを確認することが目的である。
■【正解の理由】
JIS B 8223:2021「ボイラの給水、ボイラ水及び蒸気の質」において、常用使用圧力1を超え2MPa以下のボイラ水に関する規定は以下の通りです。
・処理方法:アルカリ処理
・pH(25℃):11.0~11.8
・電気伝導率(25℃):300μS/cm以下
・塩化物イオン濃度:300mg/L以下
・りん酸イオン濃度:20~40mg/L
・亜硫酸イオン濃度:10mg/L以上
選択肢5の「りん酸イオン濃度は5~15mg/Lである」は、常用使用圧力3を超え5MPa以下のボイラ水(りん酸塩処理)の基準であり、本設問の圧力範囲の基準とは異なるため、これが誤りである。
■【初心者がここで迷う理由】
JIS B 8223:2021には、ボイラーの常用使用圧力帯ごとに異なる水質管理基準が細かく規定されており、特に「1を超え2MPa以下」と「3を超え5MPa以下」のボイラ水で、処理方法や各イオン濃度の数値が似ているため混同しやすい。りん酸イオン濃度も両圧力帯で異なるため、正確な数値を記憶していないと誤った選択をしてしまう可能性がある。
■【本番での判断フロー】
1. 設問が「常用使用圧力1を超え2MPa以下のボイラ水」に関するJIS規定を問うていることを確認する。
2. 各選択肢について、この圧力帯のボイラ水基準と照合する。
3. 選択肢1~4は、この圧力帯のボイラ水基準と一致していることを確認する。
4. 選択肢5の「りん酸イオン濃度は5~15mg/Lである」が、この圧力帯の基準(20~40mg/L)と異なることを認識する。
5. したがって、選択肢5が誤りであると判断し、正解とする。
問77
JIS B 8223:2021「ボイラの給水、ボイラ水及び蒸気の質」において、常用使用圧力3を超え5MPa以下のボイラー水に関する規定として、誤っているものは次のうちどれか。
- pH(25℃)は9.6~10.8である。
- 電気伝導率(25℃)は80μS/cm以下である。
- 塩化物イオン濃度は80mgCl-/L以下である。
- りん酸イオン濃度は20~40mgPO4^3-/Lである。
- シリカ濃度は20mgSiO2/L以下である。(正解)
解説
■【設問の意図】
JIS B 8223:2021「ボイラの給水、ボイラ水及び蒸気の質」における、常用使用圧力3を超え5MPa以下のボイラー水に関する水質管理基準の正確な知識を問う問題です。特に、異なる圧力帯の基準値との混同を避けるための理解度を確認します。
■【正解の理由】
JIS B 8223:2021の規定では、常用使用圧力3を超え5MPa以下のボイラー水のりん酸イオン濃度は5~15mgPO4^3-/Lと定められています。選択肢4の「りん酸イオン濃度は20~40mgPO4^3-/Lである」は、常用使用圧力1を超え2MPa以下のボイラー水のりん酸イオン濃度の規定値であり、本設問の圧力帯の規定とは異なります。したがって、選択肢4が誤りです。
■【初心者がここで迷う理由】
JIS B 8223:2021には、ボイラーの常用使用圧力帯に応じて複数の水質基準が定められており、それぞれの基準値が似ているため、どの圧力帯の基準が問われているのかを正確に把握せずに回答すると、誤った選択肢を選んでしまうことがあります。特に、りん酸イオン濃度のように、異なる圧力帯で数値が異なる項目は混同しやすいため注意が必要です。
■【本番での判断フロー】
1. まず、問題文で問われているボイラーの「常用使用圧力帯」を正確に確認します。今回は「3を超え5MPa以下」です。
2. 次に、各選択肢の項目(pH、電気伝導率、塩化物イオン、りん酸イオン、シリカなど)について、この圧力帯におけるJIS B 8223:2021の規定値を頭の中で確認します。
3. 選択肢4の「りん酸イオン濃度は20~40mgPO4^3-/L」を見たときに、この数値が常用使用圧力1を超え2MPa以下のボイラー水の規定値であることを思い出し、本設問の圧力帯の規定値(5~15mgPO4^3-/L)と異なるため、これが誤りであると判断します。
4. 他の選択肢が正しい規定値であることを確認し、最終的に選択肢4を正解とします。
問78
純粋な水の性質に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
- 純粋な水は、温度が上昇するとpHが上昇する。
- 純粋な水は、温度が上昇すると電気伝導率が低下する。
- 純粋な水の電気伝導率は、測定温度に関わらず常に25℃の値で表す。
- 純粋な水は、温度が上昇するとpHが低下し、電気伝導率が上昇する。
解説
■【設問の意図】
純粋な水の温度変化に伴うpHと電気伝導率の変化に関する基本的な知識を問うものです。ボイラー水管理において、水の性質を理解することは非常に重要です。
■【正解の理由】
純粋な水(中性水)は、温度が上昇すると水の電離定数が増加し、水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度がともに増加します。しかし、pHは水素イオン濃度の逆対数であるため、水素イオン濃度が増加するとpHは低下します。また、イオン濃度が増加するため、電気伝導率は上昇します。電気伝導率は温度の影響を大きく受けるため、比較のために通常25℃の値に換算して表されます。
■【初心者がここで迷う理由】
一般的に「pH7が中性」という認識が強く、温度によってpHが変化することを知らない場合、pHが低下すると酸性になるという誤解から、純水が酸性になるのかと混乱することがあります。しかし、純水は常に中性であり、pHが低下しても酸性になるわけではありません。また、電気伝導率と温度の関係も直感的に理解しにくい場合があります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「純粋な水」の「温度上昇」による「pH」と「電気伝導率」の変化を問うていることを確認する。
2. 純水のpHは温度上昇で「低下」することを思い出す(イオン化が進むため)。
3. 純水の電気伝導率は温度上昇で「上昇」することを思い出す(イオンが増えるため)。
4. 電気伝導率の表示は「25℃」が基準であることを思い出す。
5. これらの知識と合致する選択肢を選ぶ。
問79
ボイラー水処理における水酸化ナトリウム(NaOH)の作用に関する記述として、正しいものは次のうちどれか。
- マグネシウム硬度を浮遊性の水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)にするとともに、シリカ(SiO2)を水溶性のメタけい酸ナトリウム(Na2SiO3)にして可溶化する。
- カルシウム硬度を不溶性の炭酸カルシウム(CaCO3)にするとともに、溶存酸素を除去する。(正解)
- 溶存酸素を除去する脱酸素剤として働き、反応後全蒸発残留物を増加させない。
- シリカを不溶性のシリカゲルにして沈殿させるとともに、ボイラー水のpHを低下させる。
解説
■【設問の意図】
ボイラー水処理において使用される水酸化ナトリウム(NaOH)の具体的な化学的役割と作用機序に関する知識を問うています。特に、硬度成分とシリカに対する作用を正確に理解しているかがポイントです。
■【正解の理由】
水酸化ナトリウム(NaOH)は、ボイラー水中でマグネシウム硬度成分と反応し、浮遊性の水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を生成します。これにより、マグネシウム硬度を不溶化し、スラッジとして排出されやすくします。また、シリカ(SiO2)と反応して水溶性のメタけい酸ナトリウム(Na2SiO3)を生成し、シリカのスケール化を防ぎ、可溶化する作用があります。これらの作用は、ボイラー水の適切な水質管理において重要な役割を果たします。
■【初心者がここで迷う理由】
ボイラー水処理には様々な薬剤が用いられ、それぞれの薬剤が硬度成分(カルシウム、マグネシウム)や溶存酸素、シリカなどに対して異なる作用を持つため、初心者はこれらの作用を混同しやすい傾向があります。特に、カルシウム硬度を不溶化する炭酸ナトリウムや、脱酸素剤の作用と水酸化ナトリウムの作用を区別することが難しい場合があります。また、シリカを「可溶化する」という作用が、他の硬度成分を「不溶化する」作用とは異なるため、記憶に残りづらいことも混乱の原因となります。
■【本番での判断フロー】
1. **問題文の確認**: 水酸化ナトリウム(NaOH)の作用について問われていることを明確に認識します。
2. **NaOHの主要な作用の想起**: NaOHは強アルカリ剤であり、pH調整のほか、硬度成分やシリカに対して特定の作用があることを思い出します。
3. **選択肢の吟味**: 各選択肢がNaOHの作用と合致するかどうかを一つずつ確認します。
* 選択肢1:「マグネシウム硬度を浮遊性の水酸化マグネシウムにする」「シリカを水溶性のメタけい酸ナトリウムにして可溶化する」→これらはNaOHの正しい作用です。
* 選択肢2:「カルシウム硬度を不溶性の炭酸カルシウムにする」(これは主に炭酸ナトリウムの作用)、「溶存酸素を除去する」(これは脱酸素剤の作用)→NaOHの作用ではありません。
* 選択肢3:「溶存酸素を除去する脱酸素剤として働き、反応後全蒸発残留物を増加させない」(これはヒドラジンなどの脱酸素剤の作用)→NaOHの作用ではありません。
* 選択肢4:「シリカを不溶性のシリカゲルにして沈殿させる」(これは逆の作用)、「ボイラー水のpHを低下させる」(これは酸の作用)→NaOHの作用ではありません。
4. **正解の特定**: 選択肢1がNaOHの作用を正確に記述しているため、これが正解であると判断します。
問80
ボイラー水の水質管理において、電気伝導率の測定に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- 水溶液の電気伝導は、溶存するイオンの移動によって行われる。
- 電気伝導率は温度の影響を大きく受けるため、通常25℃のときの値で表される。
- 溶解性蒸発残留物の濃度と電気伝導率は正比例するため、電気伝導率から正確な濃度を求めることができる。
- 水質条件がほぼ一定している場合は、ボイラー水の溶解性蒸発残留物の濃度と電気伝導率との関係線を作成しておけば濃度は容易に推定できる。(正解)
- イオン交換水を使用した給水及びボイラー水でも、溶解性蒸発残留物の濃度を求めるために、電気伝導率は比較的小さい誤差で測定が可能である。
解説
■【設問の意図】
電気伝導率測定の原理と、それがボイラー水質管理において溶解性蒸発残留物濃度を推定する際の限界を理解しているかを問うています。特に、電気伝導率と溶解性蒸発残留物濃度が必ずしも正比例しない点を把握しているかが重要となります。
■【正解の理由】
選択肢3が誤りです。溶解性蒸発残留物の濃度と電気伝導率は必ずしも正比例するわけではありません。溶解性蒸発残留物には電解質だけでなく、コロイド状シリカのような非電解質も含まれるため、電気伝導率から「正確な」濃度を求めることはできません。ただし、水質条件が一定していれば、関係線を作成することで「推定」することは可能です。
■【初心者がここで迷う理由】
電気伝導率が水中のイオン濃度を示す指標であるため、溶解性蒸発残留物濃度と直接的に結びつけてしまい、「正比例する」あるいは「正確に求められる」と考えてしまう点です。また、「推定できる」という記述と「正確に求められない」という記述のニュアンスの違いを理解しにくい可能性があります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文で「誤っているもの」を問われていることを確認します。
2. 各選択肢を読み、電気伝導率と水質管理に関する知識と照合します。
3. 選択肢3「溶解性蒸発残留物の濃度と電気伝導率は正比例するため、電気伝導率から正確な濃度を求めることができる。」に注目します。
4. 電気伝導率はイオンの移動によるものであり、溶解性蒸発残留物には非電解質も含まれるため、厳密には正比例しないことを思い出します。また、電気伝導率から濃度を「推定」はできるが、「正確に求める」ことはできないという知識を適用します。
5. この選択肢が誤りであると判断し、正解とします。他の選択肢は、電気伝導率の測定原理や一般的な利用方法として正しい記述であるため、誤りではないことを確認します。