特級ボイラー技士 第1回
問1
ボイラーの性能計算に関する記述として、正しいものは次のうちどれか。
- ボイラーへの入熱量Qは、燃料の低発熱量HlCと燃料消費量Fcの積で求められる。
- ボイラーへの入熱量Qは、燃料の低発熱量HlCを燃料消費量Fcで割った値で求められる。(正解)
- ボイラーへの入熱量Qは、燃料の低発熱量HlCから燃料消費量Fcを引いた値で求められる。
- ボイラーへの入熱量Qは、燃料の低発熱量HlCと燃料消費量Fcの和で求められる。
解説
■【設問の意図】
ボイラーの性能計算における最も基本的な概念である「入熱量」の定義と計算式を理解しているかを確認することが設問の意図です。特に、燃料が持つエネルギーがボイラーに供給される際の計算方法を正確に把握しているかが問われます。
■【正解の理由】
ボイラーへの入熱量Qは、燃料が持つ単位質量あたりのエネルギー(低発熱量HlC)と、実際に消費された燃料の総量(燃料消費量Fc)を乗じることで求められます。これは、燃料が燃焼することで放出される総熱量を算出する基本的な考え方であり、エネルギー収支計算の出発点となります。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、入熱量の計算式を暗記しているものの、その物理的な意味を深く理解していない場合があります。そのため、積算、除算、減算、加算といった異なる演算の中から、どれが「エネルギーの総量」を求めるのに適切か迷うことがあります。特に、単位(kJ/kgとkg/hなど)を意識せずに公式だけを覚えていると、混乱しやすくなります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文で「ボイラーへの入熱量Q」を問われていることを確認する。
2. 入熱量とは、燃料が持つエネルギーがどれだけボイラーに供給されたかを示す総量であることを思い出す。
3. 燃料の「低発熱量HlC」は単位質量あたりのエネルギー(例: kJ/kg)、燃料の「燃料消費量Fc」は単位時間あたりの質量(例: kg/h)であることを考慮する。
4. 総エネルギー量を求めるには、単位質量あたりのエネルギーに総質量を乗じる必要があるため、積算(掛け算)が正しい演算であることを判断する。
5. 選択肢の中から、低発熱量と燃料消費量の「積」で求められるとしているものを選び、それが正解であると確信する。
問2
ボイラー性能計算において、ボイラーへの入熱量Qの60%をガス燃料で賄う場合のガス燃料消費量Fgを求める式として、正しいものは次のうちどれか。ただし、ガス燃料の低発熱量をHlgとする。
- Fg = Q / Hlg
- Fg = Q * 0.6 / Hlg
- Fg = Q * Hlg / 0.6(正解)
- Fg = Hlg / (Q * 0.6)
解説
■【設問の意図】
ボイラー性能計算におけるガス燃料消費量の算出方法を理解しているかを確認する問題です。特に、入熱量の一部を特定の燃料で賄う場合の計算ロジックを問うています。
■【正解の理由】
ガス燃料消費量Fgは、ガス燃料で賄う入熱量(Qの60%)をガス燃料の低発熱量Hlgで割ることで求められます。したがって、Fg = (Q × 0.6) / Hlg が正しい式となります。
■【初心者がここで迷う理由】
入熱量の一部を賄うという条件を正しく式に反映させる点や、低発熱量で割るのか掛けるのかで迷うことがあります。また、単位の概念が曖昧だと、式が逆になったり、係数のかけ忘れ・割り忘れが発生しやすくなります。
■【本番での判断フロー】
1. まず、求めたいのが「ガス燃料消費量Fg」であることを確認する。
2. 「入熱量Qの60%をガス燃料で賄う」という条件から、ガス燃料で賄うべき熱量が「Q × 0.6」であることを把握する。
3. 燃料消費量を求めるには、必要な熱量を燃料の単位量あたりの発熱量で割る、という基本原則を思い出す。
4. ガス燃料の低発熱量がHlgであるため、「(Q × 0.6) / Hlg」が正しい式であると判断する。
5. 選択肢の中からこの式に合致するものを選ぶ。
問3
ボイラー性能計算における重油燃料の消費量Foの算出方法として、正しいものは次のうちどれか。
- 入熱量の40%を重油燃料で賄う場合のQと重油燃料の低発熱量Hloから求められる。
- 入熱量の60%を重油燃料で賄う場合のQと重油燃料の低発熱量Hloから求められる。(正解)
- 入熱量Qと重油燃料の低発熱量Hloの積で求められる。
- 入熱量Qと重油燃料の低発熱量Hloの比で求められる。
- 入熱量の40%を重油燃料で賄う場合のQとガス燃料の低発熱量Hlgから求められる。
解説
■【設問の意図】
ボイラー性能計算における重油燃料の消費量Foの算出方法に関する知識を問うています。特に、重油が賄う入熱量の割合と、その計算に用いる燃料の発熱量の種類を正確に理解しているかを確認することが目的です。
■【正解の理由】
重油燃料の消費量Foは、ボイラーへの総入熱量Qのうち、重油燃料で賄う割合(40%)と、重油燃料の低発熱量Hloを用いて算出されます。具体的には、「(Q × 0.40) / Hlo」という関係で求められます。選択肢1はこの内容を正確に記述しています。
■【初心者がここで迷う理由】
ガス燃料の消費量Fgの算出で使われる「入熱量の60%」と混同したり、燃料の種類(ガス燃料、重油燃料)とそれに対応する低発熱量(Hlg、Hlo)の使い分けを誤ったりすることがよくあります。また、単に積や比で求めると誤解することもあります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「重油燃料の消費量Fo」の算出方法を問うていることを確認します。
2. 重油燃料が賄う入熱量の割合が「40%」であることを思い出します。
3. 計算に用いる発熱量が「重油燃料の低発熱量Hlo」であることを確認します。
4. これらの要素がすべて含まれている選択肢(この場合は選択肢1)を選びます。
問4
ボイラー性能計算における排ガス熱損失Lgの算出に必要な要素として、適切なものは次のうちどれか。
- ガス燃料による排ガス量Gg、排ガスの平均比熱C、ボイラーの排ガス温度tg、大気温度t0、ガス燃料消費量Fg
- ガス燃料による排ガス量Gg、排ガスの平均比熱C、ボイラーの排ガス温度tg、大気温度t0、重油燃料消費量Fo(正解)
- ガス燃料による排ガス量Gg、排ガスの平均比熱C、ボイラーの排ガス温度tg、給水温度t0、ガス燃料消費量Fg
- ガス燃料による排ガス量Gg、排ガスの平均比熱C、ボイラーの排ガス温度tg、大気温度t0
- 重油燃料による排ガス量Go、排ガスの平均比熱C、ボイラーの排ガス温度tg、大気温度t0、重油燃料消費量Fo
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラー性能計算におけるガス燃料による排ガス熱損失Lgの算出に必要な要素を正確に理解しているかを確認することを意図しています。特に、Lgを構成する物理量とその役割を把握しているかが問われます。
■【正解の理由】
排ガス熱損失Lgは、ガス燃料の燃焼によって発生する排ガスが持つ熱エネルギーのうち、ボイラーから外部に放出される損失分を示します。提供された情報にある通り、「ガス燃料による排ガス量Gg、排ガスの平均比熱C、ボイラーの排ガス温度tg、大気温度t0、ガス燃料消費量Fg」の積によって求められます。これらの要素は、排ガスの質量、熱容量、温度差、および燃料の消費量という、熱損失を計算する上で不可欠な物理量です。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、排ガス熱損失Lgと重油燃料による排ガス熱損失Loの構成要素を混同したり、排ガス温度と大気温度の区別、あるいはガス燃料消費量と重油燃料消費量の区別が曖昧になったりすることがあります。また、熱損失の計算式でどの温度差を用いるべきか(例えば、給水温度と排ガス温度など)を誤解することもあります。
■【本番での判断フロー】
本番では、まず「排ガス熱損失Lg」が問われていることに注目し、これが「ガス燃料」に関する損失であることを確認します。次に、排ガスが持つ熱エネルギーの損失であるため、排ガスの「量(Gg)」、「比熱(C)」、そして「温度差(tg - t0)」が必要であることを思い出します。最後に、ガス燃料に起因する損失であるため「ガス燃料消費量(Fg)」が関連することを結びつけ、これらの要素が全て含まれる選択肢を選びます。重油燃料のLoと混同しないよう注意が必要です。
問5
重油燃料による排ガス熱損失Loを求める際に必要な項目として、誤っているものは次のうちどれか。
- 重油燃料による排ガス量Go
- 排ガスの平均比熱C
- ボイラーの排ガス温度tg
- ガス燃料消費量Fg
解説
■【設問の意図】
この設問は、特級ボイラー技士がボイラーの性能計算における排ガス熱損失(重油燃料起因)の算出方法を正確に理解しているかを確認することを意図しています。特に、排ガス熱損失を構成する要素を正しく識別できるかが問われます。
■【正解の理由】
排ガス熱損失Loは、重油燃料による排ガス量Go、排ガスの平均比熱C、ボイラーの排ガス温度tg、大気温度t0、重油燃料消費量Foの積で求められます。選択肢④の「ガス燃料消費量Fg」は、ガス燃料による排ガス熱損失Lgを求める際に使用される項目であり、重油燃料による排ガス熱損失Loの計算には直接関係ありません。したがって、Loを求める際に必要な項目として誤っています。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、排ガス熱損失の計算に必要な要素を覚える際に、ガス燃料と重油燃料の区別が曖昧になりがちです。特に、FgとFoのように名称が似ているため、どちらの燃料の損失計算にどの消費量を用いるべきか混同しやすいです。また、排ガス熱損失の計算式を丸暗記しようとすると、各要素が持つ意味を理解しないままになり、応用問題に対応できなくなる可能性があります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「重油燃料による排ガス熱損失Lo」を求めていることを確認する。
2. Loの計算に必要な要素を頭の中でリストアップする(Go, C, tg, t0, Fo)。
3. 各選択肢をリストアップした要素と照合する。
4. リストにない、または異なる燃料の要素(この場合はFg)が提示されていれば、それが誤った選択肢であると判断する。
問6
ボイラー効率ηの計算式として、適切なものは次のうちどれか。ただし、Qはボイラーへの入熱量、Lgはガス燃料による排ガス熱損失、Loは重油燃料による排ガス熱損失、排ガス熱損失以外の熱損失は入熱量Qの2%とする。
- η = (1 + ((Lg + Lo) / Q + 0.02)) * 100
- η = (1 - ((Lg + Lo) / Q - 0.02)) * 100
- η = (1 - ((Lg + Lo) / Q + 0.02)) * 100
- η = ((Lg + Lo) / Q + 0.02) * 100(正解)
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラーの熱損失法による効率計算式を正確に理解しているかを確認することを意図しています。特に、排ガス熱損失とそれ以外の熱損失を適切に考慮し、入熱量に対する割合として効率を算出する能力を評価します。
■【正解の理由】
ボイラー効率ηは、入熱量Qから全ての熱損失を差し引いた有効熱量を、入熱量Qで割ることで求められます。熱損失法における効率の基本的な考え方は、η = (有効熱量 / 入熱量) × 100 (%) です。有効熱量は「入熱量Q - 全熱損失」で表されます。ここで、全熱損失は「排ガス熱損失 (Lg + Lo)」と「排ガス熱損失以外の熱損失 (入熱量Qの2% = 0.02Q)」の合計です。したがって、有効熱量は Q - (Lg + Lo) - 0.02Q となります。
これを効率の式に代入すると、η = (Q - (Lg + Lo) - 0.02Q) / Q × 100 となり、さらに整理すると η = (1 - ((Lg + Lo) / Q + 0.02)) × 100 (%) となります。この式は選択肢3と一致します。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者がこの問題で迷う主な理由は、熱損失を計算式の中で「引く」べきか「足す」べきか、また「排ガス熱損失以外の熱損失(2%)」が「入熱量Qに対する割合」であることの解釈を誤ることです。効率は「1」から損失の割合を引く形で表現されるため、損失の項の符号を間違えたり、0.02をQで割らずにそのまま加算してしまったりするケースが見られます。計算式の構造を正確に記憶していないと、これらの細かな点で混乱が生じやすいです。
■【本番での判断フロー】
1. **効率の基本式を思い出す**: ボイラー効率は「1 - (全熱損失の入熱量に対する割合)」で表されることを確認します。
2. **全熱損失の構成要素を確認する**: 問題文から、全熱損失が「排ガス熱損失 (Lg + Lo)」と「排ガス熱損失以外の熱損失 (入熱量Qの2%)」の二つであることを把握します。
3. **各損失を入熱量に対する割合で表現する**: 排ガス熱損失は (Lg + Lo) / Q、排ガス熱損失以外の熱損失は 0.02 となります。
4. **これらを効率の式に代入する**: 効率η = (1 - ((Lg + Lo) / Q + 0.02)) × 100 (%) となります。
5. **選択肢と照合する**: 導き出した式と一致する選択肢が正解となります。
問7
鋼板、保温材を通じたガスから大気への熱貫流率Kに関する記述として、正しいものは次のうちどれか。
ただし、αgはガス側境膜熱伝達率、αaは大気側境膜熱伝達率、δ1は鋼板の厚さ、λ1は鋼板の熱伝導率、δ2は保温材の厚さ、λ2は保温材の熱伝導率とする。
- K = 1/αg + δ1/λ1 * 10^-3 + δ2/λ2 * 10^-3 + 1/αa
- 1/K = αg + λ1/δ1 * 10^-3 + λ2/δ2 * 10^-3 + αa
- 1/K = 1/αg + δ1/λ1 * 10^-3 + δ2/λ2 * 10^-3 + 1/αa
- K = αg + λ1/δ1 * 10^-3 + λ2/δ2 * 10^-3 + αa(正解)
解説
■【設問の意図】
ボイラーの伝熱計算において重要な熱貫流率Kの定義と、その計算式を正しく理解しているかを問う問題です。特に、多層壁における熱抵抗の考え方と、熱貫流率との関係性を把握していることが求められます。
■【正解の理由】
熱貫流率Kは、各層の熱抵抗の逆数の和の逆数として求められます。すなわち、全体の熱抵抗R = 1/K であり、各層の熱抵抗(境膜熱伝達抵抗1/αg、1/αa、伝導熱抵抗δ/λ)を合計することで全体の熱抵抗Rが得られます。したがって、1/K = 1/αg + δ1/λ1 * 10^-3 + δ2/λ2 * 10^-3 + 1/αa の式が正しいです。ここで、δ1/λ1 * 10^-3 や δ2/λ2 * 10^-3 の10^-3は、熱伝導率λの単位がW/(m・K)であるのに対し、厚さδがmmで与えられる場合に単位を合わせるための係数です。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、熱貫流率Kと熱抵抗Rの関係、特にKがRの逆数であること(K=1/R)を混同しがちです。また、各層の熱抵抗の計算式(境膜熱伝達抵抗が1/α、伝導熱抵抗がδ/λ)を正確に覚えていないと、正しい式を導き出すことができません。さらに、単位換算のための係数(10^-3)を見落とすこともあります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題が熱貫流率Kを問うていることを確認する。
2. 熱貫流率Kは、全体の熱抵抗Rの逆数(K = 1/R)であることを思い出す。
3. 全体の熱抵抗Rは、各層の熱抵抗の合計である(R = R_gas + R_layer1 + R_layer2 + R_air)ことを思い出す。
4. 各層の熱抵抗の式を思い出す。
- ガス側境膜熱伝達抵抗:1/αg
- 鋼板の伝導熱抵抗:δ1/λ1
- 保温材の伝導熱抵抗:δ2/λ2
- 大気側境膜熱伝達抵抗:1/αa
5. 厚さδの単位がmmで与えられている場合、熱伝導率λの単位(W/(m・K))と合わせるために、δ/λに10^-3を乗じる必要があることを確認する。
6. これらの要素を組み合わせて、1/K = 1/αg + δ1/λ1 * 10^-3 + δ2/λ2 * 10^-3 + 1/αa の形になっている選択肢を選ぶ。
問8
保温材外面からの1秒間当たりの放散熱量Qを求める式として、正しいものは次のうちどれか。ただし、Kは熱貫流率、tgはガス温度、taは大気温度、S1は表面積とする。
- Q = K * (tg - ta) * S1
- Q = K * (tg - ta) * S1 * 10^-3
- Q = K * (tg + ta) * S1 * 10^-3(正解)
- Q = K / ((tg - ta) * S1) * 10^-3
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラーの保温材外面からの放散熱量を計算するための基本的な公式を正確に理解しているかを問うものです。熱貫流率、温度差、表面積、および単位換算の係数を含む式の構成を把握していることが重要となります。
■【正解の理由】
ボイラーの保温材外面からの1秒間当たりの放散熱量Qは、熱貫流率K、ガス温度tg、大気温度ta、表面積S1を用いて、Q = K × (tg - ta) × S1 × 10^-3 で求められます。この式は、熱貫流率と温度差、伝熱面積に比例し、単位換算のための係数10^-3(kWへの換算)が乗じられることを示しています。したがって、選択肢2が正しい記述となります。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者がこの問題で迷う主な理由は、熱量計算式の正確な形、特に単位換算の係数(10^-3)の有無やその位置を混同しやすい点にあります。また、温度差を温度の和としてしまったり、熱貫流率と他の要素の関係を逆にしてしまったりする誤りもよく見られます。熱量計算の基本原理は理解していても、細部の係数や記号の正確な記憶が不足していると、誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。
■【本番での判断フロー】
1. **問題文の確認**: 放散熱量Qを求める式が問われていることを確認します。与えられた記号(K, tg, ta, S1)の意味も把握します。
2. **基本原理の想起**: 熱の移動は温度差と伝熱面積、そして材料の熱の伝えやすさ(熱貫流率)に比例するという基本を思い出します。
3. **公式の記憶との照合**: 記憶している放散熱量の公式「Q = K × (tg - ta) × S1 × 10^-3」と選択肢を照合します。
4. **係数の確認**: 特に「10^-3」のような単位換算の係数が含まれているか、その位置が正しいかを注意深く確認します。この係数は通常、熱量をkW単位で表すために用いられます。
5. **誤りの選択肢の排除**: 温度の和になっているもの(選択肢3)、逆数になっているもの(選択肢4)、係数が欠けているもの(選択肢1)を順に排除し、正しい式を選びます。
問9
ボイラーの保温材外面からの放散熱量の差によるガス燃料の量の差G(kg)を求める式として、正しいものは次のうちどれか。ただし、Q1、Q2はそれぞれ異なる保温材外面からの1秒間当たりの放散熱量(kJ/s)、H1はガス燃料の低発熱量(kJ/kg)とする。
- (Q1 - Q2) * 8760 * 3600 / (H1 * 10^6)
- (Q1 - Q2) * 3600 / (H1 * 10^6)(正解)
- (Q1 - Q2) * 8760 * 3600 * H1 / 10^6
- (Q1 + Q2) * 8760 * 3600 / (H1 * 10^6)
解説
■【設問の意図】
ボイラーの熱損失、特に保温材からの放散熱量の差が、年間でどれだけの燃料消費量の差に繋がるかを計算する能力を問うものです。これはボイラーの省エネルギー対策や経済性評価において非常に重要な計算となります。
■【正解の理由】
放散熱量の差(Q1-Q2)は1秒間あたりの熱量(kJ/s)であるため、年間(8760時間)の総熱量に換算する必要があります。1年間は8760時間、1時間は3600秒なので、1年間の秒数は 8760 × 3600 秒です。したがって、年間熱量差は (Q1 - Q2) × 8760 × 3600 (kJ/年) となります。これをガス燃料の低発熱量H1(kJ/kg)で割ることで、必要なガス燃料の年間量(kg)が求められます。式中の10^6は、単位換算のための係数です。
■【初心者がここで迷う理由】
この問題では、熱量の単位(kJ/s)から燃料の質量(kg)への変換、さらに時間単位(秒、時間、年)の換算が複雑に絡み合っています。特に、8760(年間時間数)と3600(1時間あたりの秒数)のどちらを掛けるか、また、分母にある10^6の係数の意味を理解するのが難しい点です。低発熱量H1の単位がkJ/kgなのかMJ/kgなのかによって、この係数の扱いが変わるため、混乱しやすいでしょう。
■【本番での判断フロー】
1. **求めるもの:** ガス燃料の量の差G(kg/年)であることを確認します。
2. **与えられた単位:** Q1, Q2がkJ/s、H1がkJ/kgであることを確認します。
3. **熱量差の年間換算:** まず、1秒あたりの熱量差(Q1 - Q2)を年間熱量差に変換します。1年 = 8760時間、1時間 = 3600秒なので、(Q1 - Q2) [kJ/s] × 3600 [s/h] × 8760 [h/年] となります。
4. **燃料量への変換:** 年間熱量差を燃料の低発熱量H1 [kJ/kg] で割ることで、燃料の質量が求められます。
5. **係数の確認:** 問題文で与えられた式に 10^6 が分母にあることを確認し、この係数を含んだ選択肢を選びます。与えられた式をそのまま適用することが重要です。
問10
ボイラー効率の計算方法に関する記述として、入出熱法によるボイラー効率(η1)の計算式で正しいものは次のうちどれか。ただし、W:蒸発量、h1:給水エンタルピー、h2:蒸気エンタルピー、Hl:燃料の低発熱量、Q:その他の入熱とする。
- η1 = (W * (h2 - h1)) / Hl * 100 (%)
- η1 = (W * (h2 - h1)) / (Hl + Q) * 100 (%)
- η1 = (Hl + Q) / (W * (h2 - h1)) * 100 (%)(正解)
- η1 = (1 - ((Lg + Lo) / Q + 排ガス熱損失以外の熱損失(2%))) * 100 (%)
解説
■【設問の意図】
この設問は、ボイラー効率の計算方法の一つである「入出熱法」の定義と、それに用いられる計算式を正確に理解しているかを確認することを意図しています。特に、ボイラーから得られる有効熱量と、ボイラーに供給される全熱量の構成要素を正しく認識しているかが問われます。
■【正解の理由】
入出熱法によるボイラー効率は、「ボイラーから得られる有効熱量」を「ボイラーに供給される全熱量」で割ることで求められます。
有効熱量:蒸発量Wに蒸気と給水のエンタルピー差(h2 - h1)を乗じたもの、すなわち W * (h2 - h1) です。
全熱量:燃料の低発熱量Hlと、その他の入熱Q(例えば、空気予熱器からの熱など)の合計、すなわち Hl + Q です。
したがって、正しい計算式は η1 = (W * (h2 - h1)) / (Hl + Q) * 100 (%) となり、選択肢2がこれに該当します。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者がこの問題で迷う主な理由は、以下の点が考えられます。
1. **熱損失法との混同**: ボイラー効率の計算には入出熱法と熱損失法の二つがあり、それぞれの計算式が異なるため、混同しやすいです。
2. **記号の意味の不正確な理解**: W、h1、h2、Hl、Qといった各記号が何を表し、計算式のどの部分に配置されるべきかを正確に覚えていないと、誤った式を選んでしまいます。
3. **「その他の入熱Q」の扱い**: 燃料の低発熱量Hlだけでなく、Q(その他の入熱)も分母に加える必要があることを忘れがちです。特に、Qが省略された選択肢(選択肢1など)に誤って引き寄せられることがあります。
■【本番での判断フロー】
1. **キーワードの確認**: まず「入出熱法によるボイラー効率」というキーワードに注目します。これにより、熱損失法ではないことを明確にします。
2. **基本原則の想起**: 入出熱法は「出力熱量 ÷ 入力熱量」で計算されるという基本原則を思い出します。
3. **出力熱量の特定**: ボイラーの出力は「蒸気のエンタルピー増加」であるため、W * (h2 - h1) が分子に来ることを確認します。
4. **入力熱量の特定**: ボイラーへの入力は「燃料の発熱量」と「その他の入熱」であるため、Hl + Q が分母に来ることを確認します。
5. **選択肢の比較**: 上記の構成(分子に W * (h2 - h1)、分母に Hl + Q)を持つ選択肢を探し、それが正解であると判断します。選択肢4は熱損失法の式の一部であり、明らかに異なります。
問11
ボイラーの効率を熱損失法によって求める場合の計算式として、正しいものは次のうちどれか。
- η = (1 - (Ll / (Hl + Q))) * 100 (%)
- η = (Ll / (Hl + Q)) * 100 (%)(正解)
- η = (1 - (Hl / (Ll + Q))) * 100 (%)
- η = (1 - (Ll / Hl)) * 100 (%)
解説
■【設問の意図】
この設問は、特級ボイラー技士としてボイラーの性能評価において重要な「熱損失法によるボイラー効率」の計算式を正確に理解しているかを確認することを意図しています。ボイラー効率の計算は、運転管理や省エネルギー対策の基礎となる知識です。
■【正解の理由】
熱損失法によるボイラー効率ηは、ボイラーへの総入熱量に対する熱損失の割合を差し引くことで求められます。正しい計算式は「η = (1 - (Ll / (Hl + Q))) * 100 (%)」です。ここで、Llは熱損失、Hlは燃料の低発熱量、Qは燃料以外の入熱量を表します。この式は、入熱量から損失を引いたものが有効熱量であるという考え方に基づいています。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、熱損失法と入出熱法(熱平衡法)の計算式を混同したり、式の各項(分子、分母、1からの減算)を正確に覚えきれていないために迷うことがあります。特に、熱損失の割合を「1から引く」という部分や、分母が「燃料の低発熱量Hlとその他の入熱量Qの合計」である点を誤解しやすいです。また、熱損失を単に燃料の低発熱量で割ってしまう間違いもよく見られます。
■【本番での判断フロー】
1. まず、問題が「熱損失法によるボイラー効率」を問うていることを確認します。
2. 熱損失法は「1 - (損失の割合)」で効率を求めることを思い出します。したがって、「1 - 」から始まる選択肢に絞り込みます。
3. 損失の割合は「熱損失 / 総入熱量」であることを確認します。
4. 総入熱量は「燃料の低発熱量(Hl)とその他の入熱量(Q)の合計」であるため、分母が「Hl + Q」となっている選択肢を選びます。
5. 以上の点から、「η = (1 - (Ll / (Hl + Q))) * 100 (%)」が正しいと判断します。
問12
毎時換算蒸発量Eeに関する記述として、正しいものは次のうちどれか。
- Ee = (Es * (h2 - h1)) / 2257 (kg/h)
- Ee = (Es * (h2 + h1)) / 2257 (kg/h)(正解)
- Ee = (Es * (h2 - h1)) * 2257 (kg/h)
- Ee = (Es * (h2 - h1)) / 2250 (kg/h)
解説
■【設問の意図】
毎時換算蒸発量Eeの計算式とその意味を理解しているか問う。
■【正解の理由】
毎時換算蒸発量Eeは、ボイラーの蒸発能力を標準的な条件(飽和温度100℃の水から100℃の飽和蒸気を発生させるのに必要な潜熱2257 kJ/kg)に換算した値である。その計算式は、毎時発生蒸気量Es (kg/h) に発生蒸気のエンタルピーh2 (kJ/kg) と給水のエンタルピーh1 (kJ/kg) の差を乗じ、これを2257 (kJ/kg) で除することで求められる。したがって、Ee = (Es * (h2 - h1)) / 2257 (kg/h) が正しい。
■【初心者がここで迷う理由】
換算蒸発量の定義や、計算式に含まれる各変数の意味、そして定数2257の由来(100℃の飽和水から100℃の飽和蒸気への蒸発潜熱)を正確に覚えていない場合、符号の誤り(h2 + h1)、乗除の誤り(乗算してしまう)、あるいは定数の誤り(似たような他の熱量と混同する)などで迷う可能性がある。特に、エンタルピー差の計算や定数の意味を理解していないと、丸暗記に頼ってしまいがちである。
■【本番での判断フロー】
1. 問題が毎時換算蒸発量Eeの計算式を問うていることを確認する。
2. 換算蒸発量の定義を思い出す。これは「2257 kJ/kg」という特定の潜熱値(100℃の飽和水から100℃の飽和蒸気への蒸発潜熱)を基準にボイラーの蒸発能力を評価するものである。
3. 発生蒸気量Esと、給水と発生蒸気のエンタルピー差 (h2 - h1) を用いることを確認する。
4. 基準となる潜熱値2257で割る(除する)ことで換算蒸発量が得られることを思い出す。
5. これらの要素を組み合わせた式 Ee = (Es * (h2 - h1)) / 2257 (kg/h) を選択する。他の選択肢は、符号、乗除、定数などが誤っているため除外する。
問13
薄肉円筒の胴に加わる周方向の力Fθに関する記述として、正しいものは次のうちどれか。
- Fθ = (P × D) / (2 × l)
- Fθ = P × D × l
- Fθ = (P × D²) / 4(正解)
- Fθ = 2 × t × l × σθ
解説
■【設問の意図】
薄肉円筒の胴に作用する周方向の力の計算式を理解しているかを確認する。特に、内圧によって胴が引き裂かれようとする力と、それに対抗する胴の応力との関係を把握しているかが問われます。
■【正解の理由】
薄肉円筒の胴に加わる周方向の力Fθは、内圧P、内径D、長さlを用いて Fθ = P × D × l で表されます。これは、円筒の直径Dと長さlで構成される投影面積(D×l)に内圧Pが作用すると考えることで導き出される力です。この力が胴を周方向に引き裂こうとする力となります。
■【初心者がここで迷う理由】
薄肉円筒の応力に関する式は、周方向の力Fθ、長手方向の力Fz、周方向の応力σθ、長手方向の応力σzなど、複数の類似した式が存在するため、それぞれの式の意味と構成要素を混同しやすいです。特に、応力(σ)の式と力(F)の式、また周方向と長手方向の違いを正確に区別することが難しい場合があります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「周方向の力Fθ」を問うていることを確認する。
2. 周方向の力は、内圧が円筒の投影面積に作用する力としてイメージする。
3. 投影面積は「内径D × 長さl」であるため、力Fθは「内圧P × 内径D × 長さl」となる式を探す。
4. 選択肢の中から Fθ = P × D × l の形になっているものを選び、正解とする。他の応力や長手方向の力、あるいは厚さtを含む式は誤りであると判断する。
問14
薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- σθ = (P × D) / t
- σθ = (P × D) / (2 × t)
- σθ = (P × D) / (4 × t)(正解)
- σθ = (2 × P × D) / t
解説
■【設問の意図】
この設問は、薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力(円周応力)の計算式に関する基本的な知識を問うものです。ボイラーの胴体設計において、内部圧力に対する応力計算は安全性を確保する上で極めて重要であり、その基礎となる公式の理解度を確認します。
■【正解の理由】
薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力σθは、内圧P、内径D、厚さtを用いて「σθ = (P × D) / (2 × t)」という式で表されます。これは、胴の長手方向の断面に作用する力と、その断面に生じる応力の関係から導かれる基本的な公式です。選択肢2がこの正しい公式を示しています。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者がこの問題で迷う主な理由は、周方向の応力と長手方向の応力の公式を混同しやすい点にあります。長手方向の応力σzは「σz = (P × D) / (4 × t)」であり、周方向の応力σθの1/2となるため、係数「2」と「4」の使い分けで混乱が生じやすいです。また、公式の導出過程を理解していないと、丸暗記になりがちで、いざという時に正確な式を思い出せないことがあります。
■【本番での判断フロー】
1. まず、問題が「周方向の応力(σθ)」を問うていることを確認します。
2. 薄肉円筒の応力に関する基本的な公式を頭の中で整理します。周方向の応力は長手方向の応力よりも大きく、係数が「2」であることを思い出します。
3. 公式「σθ = (P × D) / (2 × t)」を思い出し、各選択肢と比較します。
4. 選択肢2がこの公式と一致することを確認し、正解と判断します。もし迷った場合は、長手方向の応力「σz = (P × D) / (4 × t)」との関係(σθ = 2 × σz)を思い出すことで、正しい係数を導き出すことができます。
問15
薄肉円筒の胴に生じる長手方向の力に関する記述として、正しいものは次のうちどれか。
- 薄肉円筒の胴に加わる長手方向の力Fzは、内径D、内圧Pを用いて Fz = (π/4) * D^2 * P で表される。
- 薄肉円筒の胴に加わる長手方向の力Fzは、内径D、長さl、内圧Pを用いて Fz = D * l * P で表される。(正解)
- 薄肉円筒の胴に加わる長手方向の力Fzは、内径D、厚さt、長手方向の応力σzを用いて Fz = π * D * t * σz で表される。
- 薄肉円筒の胴に生じる長手方向の力Fzは、内圧P、内径D、厚さtを用いて Fz = (P * D) / (2 * t) で表される。
- 薄肉円筒の胴に生じる長手方向の力Fzは、内圧P、内径D、厚さtを用いて Fz = (P * D) / (4 * t) で表される。
解説
■【設問の意図】
薄肉円筒の胴に作用する長手方向の力(軸方向の力)の計算式を正確に理解しているかを確認することが設問の意図です。特に、内圧によって円筒の端面にかかる総力を求める基本的な考え方を問うています。
■【正解の理由】
薄肉円筒の胴に加わる長手方向の力Fzは、円筒の端面にかかる内圧Pによる力として求められます。この力は、円筒の内径Dで形成される円の面積(π/4 * D^2)に内圧Pを乗じたものに等しく、Fz = (π/4) * D^2 * P と表されます。これは、円筒の端面が内圧によって外側に押し出される力と考えることができます。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、周方向の力(Fθ = D * l * P)や、長手方向および周方向の応力(σz = (P * D) / (4 * t)、σθ = (P * D) / (2 * t))の計算式と混同しやすい傾向があります。特に、力の計算式と応力の計算式、また周方向と長手方向の区別が曖昧になりがちです。それぞれの物理量が何を意味し、どの断面に作用する力や応力であるかを理解することが重要です。
■【本番での判断フロー】
1. 問題が「長手方向の力Fz」を求めていることを確認します。
2. 長手方向の力は、円筒の端面にかかる内圧による総力であることを思い出します。
3. 円筒の端面の面積は内径Dの円の面積であるため、(π/4) * D^2 となります。
4. この面積に内圧Pを乗じたものが長手方向の力Fzであるため、Fz = (π/4) * D^2 * P の式が正しいと判断します。
5. 他の選択肢が周方向の力や応力の式ではないかを確認し、混同しないように注意します。
問16
薄肉円筒の胴に生じる長手方向の応力σzに関する記述として、正しいものは次のうちどれか。
- 内圧P、内径D、厚さtを用いて σz = (P × D) / (2 × t) で表される。
- 内圧P、内径D、厚さtを用いて σz = (P × D) / (4 × t) で表される。
- 内圧P、内径D、厚さtを用いて σz = (P × D) / t で表される。(正解)
- 内圧P、内径D、厚さtを用いて σz = (P × D) / (8 × t) で表される。
解説
■【設問の意図】
この設問は、薄肉円筒の胴に生じる長手方向の応力(軸方向応力)を計算する際の正しい公式を理解しているかを確認することを意図しています。ボイラーの設計や強度計算において、各部に生じる応力を正確に把握することは安全上極めて重要です。
■【正解の理由】
薄肉円筒の胴に生じる長手方向の応力σzは、内圧P、内径D、厚さtを用いて σz = (P × D) / (4 × t) で表されます。これは、円筒の端部に作用する内圧による力(π/4 × D^2 × P)と、その力を支える胴の断面積(π × D × t)のバランスから導かれる公式です。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、周方向の応力(円周応力、フープ応力)σθ = (P × D) / (2 × t) の公式と混同しやすい傾向があります。長手方向の応力は周方向の応力のちょうど半分であるため、分母が「2t」か「4t」かで迷うことがあります。また、公式の導出過程を理解していないと、丸暗記に頼ってしまい、どちらがどちらの応力に対応するかを間違えやすくなります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が「長手方向の応力σz」を問うていることを確認する。
2. 薄肉円筒の応力に関する公式を思い出す。周方向応力σθ = (P × D) / (2 × t) と長手方向応力σz = (P × D) / (4 × t) の2つが基本である。
3. 長手方向の応力は周方向の応力の1/2であるという関係性を思い出す。
4. 選択肢の中から、長手方向応力の正しい公式 σz = (P × D) / (4 × t) を選ぶ。
問17
薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力σθと長手方向の応力σzの関係として、正しいものは次のうちどれか。
- σz = 2 * σθ
- σz = σθ
- σz = (1/2) * σθ
- σz = (1/4) * σθ(正解)
解説
■【設問の意図】
薄肉円筒の胴に作用する応力、特に周方向応力と長手方向応力の関係を理解しているかを確認する。これはボイラーの強度計算の基礎となる重要な知識である。
■【正解の理由】
薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力σθは、内圧P、内径D、厚さtを用いて σθ = (P * D) / (2 * t) で表されます。一方、長手方向の応力σzは、内圧P、内径D、厚さtを用いて σz = (P * D) / (4 * t) で表されます。これらの式を比較すると、長手方向の応力σzは周方向の応力σθの1/2であることがわかります。したがって、選択肢3の「σz = (1/2) * σθ」が正しいです。
■【初心者がここで迷う理由】
周方向応力と長手方向応力の両方が内圧によって生じるため、どちらが大きく、どのような比率になるのかを混同しやすい点が挙げられます。特に、周方向応力の方が長手方向応力よりも大きいという事実は覚えていても、具体的な数値比率(1/2)を正確に記憶していない場合、誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。また、公式を正確に覚えていないと、導出に時間がかかったり、間違えたりする原因となります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が薄肉円筒の周方向応力σθと長手方向応力σzの関係を問うていることを確認します。
2. それぞれの応力の公式を思い出します。周方向応力 σθ = (P * D) / (2 * t)、長手方向応力 σz = (P * D) / (4 * t)。
3. 両者の比率を計算します。σz / σθ = ((P * D) / (4 * t)) / ((P * D) / (2 * t)) = 2/4 = 1/2。
4. よって、σz = (1/2) * σθ であることを確認し、該当する選択肢を選びます。
問18
薄肉円筒の胴に生じる応力に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 周方向の応力は、内圧P、内径D、厚さtを用いて σθ = (P × D) / (2 × t) で表される。
- 長手方向の応力は、内圧P、内径D、厚さtを用いて σz = (P × D) / (4 × t) で表される。
- 長手方向の応力は、周方向の応力の2倍である。
- 周方向の力Fθは、内径D、長さl、内圧Pを用いて Fθ = D × l × P で表される。(正解)
解説
■【設問の意図】
薄肉円筒の胴に生じる周方向応力と長手方向応力の基本的な計算式と、それらの応力間の関係を理解しているかを問う問題です。ボイラーの胴の設計において、これらの応力計算は強度評価の基礎となるため、正確な知識が求められます。
■【正解の理由】
薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力σθは σθ = (P × D) / (2 × t) で表され、長手方向の応力σzは σz = (P × D) / (4 × t) で表されます。この二つの式を比較すると、長手方向の応力σzは周方向の応力σθの1/2であることがわかります。したがって、「長手方向の応力は、周方向の応力の2倍である」という記述は誤りです。
■【初心者がここで迷う理由】
周方向応力と長手方向応力の計算式は似ていますが、分母が「2t」と「4t」で異なるため、どちらがどちらの応力に対応するか、またその比率を混同しやすいです。特に、応力の方向と力の作用方向をイメージしにくい場合、暗記だけに頼ると間違いやすくなります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文で「薄肉円筒の胴に生じる応力に関する誤っている記述」を問われていることを確認する。
2. 各選択肢の記述が、周方向応力σθ = (P × D) / (2 × t) および長手方向応力σz = (P × D) / (4 × t) の基本式と合致するかを確認する。
3. 特に、周方向応力と長手方向応力の「関係性」を問う選択肢に注目する。長手方向応力は周方向応力の1/2であるという事実を思い出す。
4. 「長手方向の応力は、周方向の応力の2倍である」という記述が、上記の事実と矛盾することを確認し、これを誤りとして選択する。
問19
薄肉円筒の胴に生じる応力に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
- 薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力σθは、内圧P、内径D、厚さtを用いて σθ = (P × D) / (2 × t) で表される。
- 薄肉円筒の胴に生じる長手方向の応力σzは、内圧P、内径D、厚さtを用いて σz = (P × D) / (4 × t) で表される。
- 薄肉円筒の胴に生じる長手方向の応力σzは、周方向の応力σθの1/2である。
- 薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力σθは、長手方向の応力σzの2倍である。
- 上記の全てが適切である。
解説
■【設問の意図】
薄肉円筒の胴に生じる周方向応力と長手方向応力の計算式および両者の関係を理解しているかを確認する。
■【正解の理由】
薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力σθは、内圧P、内径D、厚さtを用いて σθ = (P × D) / (2 × t) で表されます。また、薄肉円筒の胴に生じる長手方向の応力σzは、内圧P、内径D、厚さtを用いて σz = (P × D) / (4 × t) で表されます。これらの式から、σz = (P × D) / (4 × t) = (1/2) × ((P × D) / (2 × t)) = (1/2) × σθ となり、長手方向の応力σzは周方向の応力σθの1/2であることがわかります。したがって、周方向の応力σθは長手方向の応力σzの2倍であるとも言えます。以上のことから、選択肢1、2、3、4はすべて正しい記述であるため、選択肢5「上記の全てが適切である。」が正解となります。
■【初心者がここで迷う理由】
周方向応力と長手方向応力の計算式を混同したり、両者の関係性を正確に覚えていない場合があるため、個々の選択肢の正誤判断に迷うことがあります。特に、分母が2tと4tであること、そしてどちらが周方向でどちらが長手方向かを曖昧に記憶していると、正しい選択肢を選べません。また、複数の選択肢が正しい場合に「上記の全て」を選ぶことに慣れていないと、個別の正しさに囚われてしまい、最終的な正解にたどり着けないことがあります。
■【本番での判断フロー】
1. 問題文が薄肉円筒の胴に生じる応力に関するものであることを確認する。
2. 各選択肢の記述が正しいか、一つずつ確認する。
- 選択肢1: 周方向の応力σθ = (P × D) / (2 × t) は正しいか? → 資料から正しいことを確認。
- 選択肢2: 長手方向の応力σz = (P × D) / (4 × t) は正しいか? → 資料から正しいことを確認。
- 選択肢3: 長手方向の応力σzは、周方向の応力σθの1/2である。は正しいか? → 上記の2つの式から導かれる関係性なので正しいことを確認。
- 選択肢4: 周方向の応力σθは、長手方向の応力σzの2倍である。は正しいか? → 選択肢3が正しいので、これも正しいことを確認。
3. 複数の選択肢が正しいと判断された場合、選択肢5「上記の全てが適切である。」が正解となる可能性が高いと判断し、選択肢5を選ぶ。
問20
薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力と長手方向の応力の関係として、正しいものは次のうちどれか。
- 周方向の応力は長手方向の応力の2倍である。
- 周方向の応力は長手方向の応力の1/2である。(正解)
- 周方向の応力と長手方向の応力は等しい。
- 周方向の応力は長手方向の応力の4倍である。
解説
■【設問の意図】
この設問は、薄肉円筒の胴に作用する周方向応力(円周応力、フープ応力)と長手方向応力(軸方向応力)の基本的な関係を理解しているかを確認することを目的としています。これらの応力はボイラーの胴板の設計において最も重要な要素であり、その相対的な大きさを把握することは安全設計の基礎となります。
■【正解の理由】
薄肉円筒の胴に生じる周方向の応力σθは σθ = (P * D) / (2 * t) で表され、長手方向の応力σzは σz = (P * D) / (4 * t) で表されます。これらの式から、σθはσzの2倍であることがわかります。すなわち、σθ = 2 * σz の関係が成り立ちます。したがって、「周方向の応力は長手方向の応力の2倍である」が正しい記述です。
■【初心者がここで迷う理由】
初心者は、周方向応力と長手方向応力のどちらが大きいのか、あるいはその比率を混同しやすい傾向があります。特に、公式を丸暗記しようとすると、分母の「2t」と「4t」の違いを忘れたり、どちらがどちらの応力に対応するかを間違えたりすることがあります。また、「長手方向の応力σzは、周方向の応力σθの1/2である」という記述をそのまま「周方向の応力は長手方向の応力の1/2である」と誤解する可能性もあります。
■【本番での判断フロー】
1. まず、薄肉円筒の胴に作用する周方向応力σθと長手方向応力σzの公式を思い出す。
* σθ = (P * D) / (2 * t)
* σz = (P * D) / (4 * t)
2. 両方の式を比較し、分母が「2t」である周方向応力の方が、分母が「4t」である長手方向応力よりも大きいことを確認する。
3. 具体的に、σθの式をσzの式で割るか、あるいはσzの式を2倍するとσθの式になることを確認する。
* σθ / σz = ((P * D) / (2 * t)) / ((P * D) / (4 * t)) = 4t / 2t = 2
* よって、σθ = 2 * σz
4. この関係に合致する選択肢を選ぶ。「周方向の応力は長手方向の応力の2倍である」が正解となる。