甲種 ガス主任技術者 第5回

問81

ガス事業法施行規則第202条の消費機器の技術上の基準に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. ガスの消費量が12kWを超える屋内に設置するガス調理機器であって、密閉燃焼式以外のものには、当該燃焼器に接続して排気筒を設けること。ただし、当該燃焼器の構造上その他の理由によりこれによることが困難な場合において、当該燃焼器のための排気フードを設けるときは、この限りでない。
  2. ガスの消費量が12kWを超える屋内に設置するガス調理機器であって、密閉燃焼式以外のものには、必ず排気筒を設けなければならず、排気フードによる代替は認められない。(正解)
  3. 屋内に設置するガス調理機器は、ガスの消費量にかかわらず、密閉燃焼式であれば排気筒の設置は不要である。
  4. ガスの消費量が12kW以下の屋内に設置するガス調理機器であっても、密閉燃焼式以外のものには、排気筒又は排気フードのいずれかを設けなければならない。
  5. 屋内に設置するガス調理機器の排気筒は、燃焼器に直接接続するのではなく、必ず排気フードを介して接続しなければならない。

解説

■【設問の意図】 法令科目における消費機器の技術上の基準、特に屋内設置のガス調理機器の排気設備に関する知識を問うものです。 ■【正解の理由】 選択肢1は、ガス事業法施行規則第202条の消費機器の技術上の基準(ガス事業法施行規則第202条第1項第1号ロ)の記述と完全に一致します。ガスの消費量が12kWを超える密閉燃焼式以外の屋内設置ガス調理機器には排気筒の設置が原則ですが、燃焼器の構造上その他の理由により困難な場合は排気フードで代替できるという内容です。 ■【初心者がここで迷う理由】 「12kWを超える」という条件や「密閉燃焼式以外」という条件を見落としやすい点、また排気筒と排気フードのどちらが必須で、どちらが代替可能か、その条件を混同しやすい点が挙げられます。法令の条文を正確に記憶していないと、微妙な表現の違いで誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が「消費機器の技術上の基準」に関するものであることを確認します。 2. 各選択肢を読み、特に「ガスの消費量」「燃焼方式」「排気筒/排気フードの要否と条件」に注目します。 3. 選択肢1が、知識集にある「ガスの消費量が12kWを超える屋内に設置するガス調理機器であって、密閉燃焼式以外のものには、当該燃焼器に接続して排気筒を設けること。ただし、当該燃焼器の構造上その他の理由によりこれによることが困難な場合において、当該燃焼器のための排気フードを設けるときは、この限りでない。」という記述と完全に一致することを確認します。 4. 他の選択肢が、この基準の条件(12kW超、密閉燃焼式以外、排気筒の原則と排気フードによる代替)と異なる点がないかを確認し、誤りであると判断します。 5. 選択肢1を正解として選びます。

問82

保安規程の目的として、正しいものは次のうちどれか。

  1. ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため。
  2. ガス小売事業者の事業活動の効率化を図るため。(正解)
  3. ガスの供給区域における需要家の利便性を向上させるため。
  4. ガス料金の適正な水準を維持するため。
  5. ガス事業者の収益性を最大化するため。

解説

■【設問の意図】 保安規程の基本的な目的について、法令上の定義を理解しているかを確認する問題です。 ■【正解の理由】 保安規程は、ガス事業法第27条第1項において「ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため」に定めるとされており、選択肢1がこの目的を正確に記述しています。 ■【初心者がここで迷う理由】 他の選択肢は、ガス事業の運営において重要ではありますが、直接的に「保安規程」の目的として法令で定められているものではありません。事業の効率化、需要家の利便性向上、料金の適正化、収益性最大化などは、事業活動全般の目標や経営上の課題であり、保安規程の直接的な目的とは異なります。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が「保安規程の目的」を問うていることを確認する。 2. 保安規程は、ガス事業における「保安」を確保するためのものであるという基本を思い出す。 3. 各選択肢を読み、保安に直接関連する記述を探す。 4. 選択肢1が「ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため」と、保安に特化した記述であることを確認し、これが正解であると判断する。 5. 他の選択肢が、保安以外の事業目的や経営目標に関する記述であることを確認し、誤りであると判断する。

問83

保安規程に定めるべき事項に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。

  1. ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための組織に関する事項を定める。
  2. 消費機器に関する周知及び調査の方法を定める。(正解)
  3. ガス事故が発生した場合の報告に関する事項を定める。
  4. ガス工作物の設置又は変更の工事の計画に関する事項を定める。
  5. 認定高度保安実施一般ガス導管事業者の認定の更新に関する事項を定める。

解説

■【設問の意図】 保安規程に定めるべき事項に関する正確な知識を問うものです。特に、保安規程と保安業務規程、その他の法令上の義務との区別を理解しているかを確認します。 ■【正解の理由】 ガス事業法に基づき、一般ガス導管事業者は、ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、経済産業省令で定めるところにより保安規程を定めなければなりません。この保安規程には、「ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための組織に関する事項」を定めることが明記されています。したがって、選択肢1が適切です。 ■【初心者がここで迷う理由】 ・選択肢2は、消費機器に関する周知及び調査の方法であり、これは保安業務規程に定める事項です。保安規程と保安業務規程の区別が曖昧だと誤って選択する可能性があります。 ・選択肢3は、ガス事故が発生した場合の報告に関する事項であり、これはガス事業法に基づく事故報告の義務ですが、保安規程に定めるべき内容とは異なります。 ・選択肢4は、ガス工作物の設置又は変更の工事の計画に関する事項であり、これは工事計画の届出の対象となる事項です。これも保安規程に直接定める内容ではありません。 ・選択肢5は、認定高度保安実施一般ガス導管事業者の認定の更新に関する事項であり、これは認定制度に関する規定であり、保安規程の内容とは異なります。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が「保安規程に定めるべき事項」を問うていることを確認する。 2. 各選択肢がどの法令や規程、義務に関するものかを識別する。 3. 選択肢1は「ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための組織に関する事項」であり、これは保安規程の主要な内容の一つであることを思い出す。 4. 選択肢2は「消費機器に関する周知及び調査の方法」であり、これは保安業務規程の内容であることを思い出す。 5. 選択肢3は「ガス事故の報告」であり、これは事故報告の義務であることを思い出す。 6. 選択肢4は「工事計画の届出」であり、これは工事計画に関する義務であることを思い出す。 7. 選択肢5は「認定の更新」であり、これは認定制度に関する事項であることを思い出す。 8. 以上の識別により、選択肢1が保安規程に定めるべき事項として最も適切であると判断する。

問84

保安規程に定めるべき事項に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するための業務の実施に関する事項を定める。
  2. 消費機器に関する周知及び調査の方法を定める。(正解)
  3. ガス工作物の設置又は変更の工事の計画を経済産業大臣に届け出る方法を定める。
  4. 毎年のガス事故の報告書を提出する期限を定める。
  5. 一般ガス導管事業者がその供給区域における託送供給に係る料金その他の供給条件について定める託送供給約款の内容を定める。

解説

■【設問の意図】 保安規程に定めるべき事項について、正確な知識を問う。特に、保安規程と保安業務規程、工事計画、事故報告などの他の法令上の義務との区別を理解しているかを確認する。 ■【正解の理由】 本文「1.12 論述問題からの知識」の「保安規程の目的、内容、及び定めるべき事項」において、「ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するための業務の実施に関する事項」が保安規程に定めるべき事項として明記されているため、選択肢1が最も適切である。 ■【初心者がここで迷う理由】 ガス事業法には、保安規程の他にも、保安業務規程、工事計画の届出、ガス事故の報告など、様々な保安に関する規定が存在する。これらの内容が混同されやすく、特に「保安規程」と「保安業務規程」の違いが曖昧になりがちである。選択肢2は保安業務規程に定める事項であり、選択肢3、4、5はそれぞれ工事計画、ガス事故報告、託送供給約款に関する事項であり、保安規程に直接定める事項ではない。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が「保安規程に定めるべき事項」を問うていることを確認する。 2. 各選択肢の内容が、保安規程の定義や記載事項と合致するかを検討する。 3. 選択肢1は、保安規程の定めるべき事項として直接記述されている「ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するための業務の実施に関する事項」であるため、これが正解の可能性が高いと判断する。 4. 選択肢2は、「消費機器に関する周知及び調査の方法」であり、本文「1.3 ガス工作物及び保安規程」の記述「消費機器に関する周知及び調査の方法は保安業務規程に定める事項であり、保安規程には定めない。」から、保安規程の事項ではないと判断する。 5. 選択肢3は「工事計画の届出」、選択肢4は「ガス事故の報告」、選択肢5は「託送供給約款」に関する事項であり、これらは保安規程とは別の法令上の義務であるため、不適切と判断する。 6. 以上の検討から、選択肢1が最も適切であると確定する。

問85

ガス小売事業者が行う消費機器に関する調査について、法令上定められている事項として、次のうち正しいものはどれか。

  1. ガス小売事業者は、その供給するガスに係る消費機器が経済産業省令で定める技術上の基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。
  2. ガス小売事業者は、その供給するガスに係る消費機器が経済産業省令で定める技術上の基準に適合しているかどうかを調査するよう努めなければならない。(正解)
  3. ガス小売事業者は、その供給するガスに係る消費機器が経済産業省令で定める技術上の基準に適合しているかどうかを、経済産業大臣の指示があった場合にのみ調査しなければならない。
  4. ガス小売事業者は、その供給するガスに係る消費機器が経済産業省令で定める技術上の基準に適合しているかどうかを、消費機器の所有者又は占有者からの要請があった場合にのみ調査しなければならない。
  5. ガス小売事業者は、その供給するガスに係る消費機器が経済産業省令で定める技術上の基準に適合しているかどうかを、自主的に調査することができる。

解説

■【設問の意図】 ガス小売事業者に課せられる消費機器に関する調査義務について、法令上の規定を正確に理解しているかを確認する。特に、「調査しなければならない」という義務規定と、努力義務や条件付き義務との違いを識別できるかが問われる。 ■【正解の理由】 法令(ガス事業法)において、「ガス小売事業者は、経済産業省令で定めるところにより、その供給するガスに係る消費機器が経済産業省令で定める技術上の基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。」と明確に規定されているため、選択肢1が正しい。これは、ガス小売事業者の重要な保安責務の一つである。 ■【初心者がここで迷う理由】 「~しなければならない」という義務規定と、「~努めなければならない」という努力義務、あるいは特定の条件(経済産業大臣の指示、所有者からの要請など)が付く場合との区別が曖昧な場合、迷う可能性がある。また、「自主的に調査することができる」という表現も、義務規定ではないため誤りである。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が「消費機器に関する調査」の「法令上定められている事項」を問うていることを確認する。 2. 知識として、ガス小売事業者には消費機器の技術基準適合性について「調査しなければならない」という義務があることを思い出す。 3. 各選択肢を検討し、「調査しなければならない」と明記されている選択肢1が、法令の規定と合致することを確認する。 4. 他の選択肢が「努めなければならない」「指示があった場合のみ」「要請があった場合のみ」「自主的に調査できる」といった、義務規定ではない表現を含んでいるため、これらを誤りとして排除する。

問86

ガス小売事業者が消費機器の調査を行う際の、所有者又は占有者の承諾に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. ガス小売事業者は、消費機器の調査を行う際、その所有者又は占有者の承諾を得ることができない場合でも、調査を実施しなければならない。
  2. ガス小売事業者は、消費機器の調査を行う際、その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、調査を実施しなくてもよい。
  3. ガス小売事業者は、消費機器の調査を行う際、その所有者又は占有者の承諾を得る必要はない。(正解)
  4. ガス小売事業者は、消費機器の調査を行う際、その所有者又は占有者の承諾を得ることができない場合、経済産業大臣の許可を得て調査を実施できる。
  5. ガス小売事業者は、消費機器の調査を行う際、その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、その旨を経済産業大臣に報告しなければならない。

解説

■【設問の意図】 消費機器の技術上の基準への適合性に関する調査について、ガス小売事業者の義務と、その例外となる所有者または占有者の承諾の有無に関する法令の規定を理解しているかを問うものです。 ■【正解の理由】 法令(ガス事業法)において、ガス小売事業者は消費機器の技術上の基準への適合性に関する調査を行う義務がありますが、「ただし、その消費機器を設置し、又は使用する場所に立ち入ることにつき、その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、この限りでない。」と規定されています。これは、所有者または占有者の承諾が得られない場合には、調査を実施しなくてもよいことを意味します。したがって、選択肢2が適切です。 ■【初心者がここで迷う理由】 保安確保の重要性から、ガス小売事業者が何らかの形で必ず調査を実施しなければならない、あるいは承諾が得られない場合でも報告義務がある、と考えてしまうことがあります。しかし、法令では個人の財産権やプライバシーに配慮し、承諾が得られない場合の立ち入り調査義務を免除しています。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が「消費機器の調査」と「所有者又は占有者の承諾」の関係について問うていることを確認する。 2. 関連する法令の条文「ただし、その消費機器を設置し、又は使用する場所に立ち入ることにつき、その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、この限りでない。」を思い出す。 3. この条文が、承諾が得られない場合は調査義務が免除されることを意味すると理解する。 4. 選択肢の中から、この内容に合致する「調査を実施しなくてもよい」という記述(選択肢2)を選び、正解とする。

問87

ガス小売事業者が消費機器に関する調査の結果、消費機器が経済産業省令で定める技術上の基準に適合していないと認めた場合に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 遅滞なく、その技術上の基準に適合するようにするためにとるべき措置及びその措置をとらなかった場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知しなければならない。
  2. 経済産業大臣の指示を待って、その所有者又は占有者に通知しなければならない。(正解)
  3. 直ちに当該消費機器の使用を停止させ、その旨を経済産業大臣に報告しなければならない。
  4. 当該消費機器の修理又は改造を自ら行い、その費用を所有者又は占有者に請求することができる。
  5. 通知の義務はなく、所有者又は占有者の判断に委ねられる。

解説

■【設問の意図】 ガス小売事業者が消費機器の調査を行った結果、技術基準に適合していないと判断した場合の対応義務について問うています。 ■【正解の理由】 ガス事業法第159条第3項(保安業務規程)において、「ガス小売事業者は、前項の調査の結果、消費機器が経済産業省令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは、遅滞なく、その技術上の基準に適合するようにするためにとるべき措置及びその措置をとらなかった場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知しなければならない。」と規定されています。したがって、選択肢1が適切です。 ■【初心者がここで迷う理由】 ガス事業者の保安責務が広範であるため、どこまでが事業者の義務で、どこからが経済産業大臣の指示や使用者の責任になるのかの線引きが曖昧に感じられることがあります。特に、通知義務の具体的な内容や、通知後の対応(修理命令など)との関係で迷う可能性があります。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が「消費機器が技術基準に適合していないと認めた場合」のガス小売事業者の対応を問うていることを確認する。 2. ガス事業法における消費機器に関する調査後の対応義務を思い出す。 3. 「遅滞なく、とるべき措置と結果を通知する」という条文のキーワードを想起する。 4. 選択肢1がこの条文の内容と完全に一致することを確認する。 5. 他の選択肢は、経済産業大臣の指示待ち、使用停止命令、修理費請求、通知義務なしなど、いずれも法令の規定と異なるため不適切と判断する。

問88

ガス事業法において、ガス事業者が負う保安責務に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. ガス事業者は、ガス工作物を経済産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
  2. ガス事業者は、ガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、経済産業省令で定めるところにより、保安規程を定め、事業の開始の後、遅滞なく、経済産業大臣に届け出なければならない。(正解)
  3. 一般ガス導管事業者は、工事計画の届出をして工事をするガス工作物であって、経済産業省令で定めるものの工事について使用前検査を受けなければ、これを使用することができない。ただし、試験のために使用する場合は使用前検査を受けずに、そのガス工作物を使用することができる。
  4. 一般ガス導管事業者は、一般ガス導管事業の用に供するガス工作物であって経済産業省令で定めるものについては、経済産業省令で定めるところにより、定期に、自主検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない。ただし、認定高度保安実施一般ガス導管事業者は、工事計画の対象となるガス工作物について、経済産業省令で定めるところによる自主検査を行わずに当該ガス工作物を使用することができる。
  5. ガス工作物(ガス栓を除く。)を操作することにより人が酸素欠乏症となった事故は、ガス事故速報のみの報告でよい。

解説

■【設問の意図】 本設問は、ガス事業法におけるガス事業者の基本的な保安責務、特にガス工作物の維持、保安規程の届出時期、使用前検査の例外、定期自主検査の特例、およびガス事故報告の要件に関する正確な知識を問うものです。法令の条文の細部まで理解しているかを確認することを目的としています。 ■【正解の理由】 選択肢1が正しい記述です。ガス事業法において、ガス事業者は「ガス工作物を経済産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない」と明確に規定されており、これはガス事業者の最も基本的な保安責務の一つです。(1.12 論述問題からの知識「ガス事業者の保安責務」参照) ■【初心者がここで迷う理由】 * 選択肢2: 保安規程の届出時期について、「事業の開始の後、遅滞なく」とありますが、正しくは「事業の開始前に」です。この「前」と「後」の区別は、法令問題で頻出する引っかけポイントです。 * 選択肢3: 使用前検査の例外規定について、「試験のために使用する場合は使用前検査を受けずに、そのガス工作物を使用することができる」とありますが、これには「ただし、そのガス工作物に係るガスを使用者に供給する場合にあっては、当該ガス工作物の使用の方法を変更するごとにガスの熱量等を測定して供給する場合に限る」という重要な条件が付帯します。この条件が省略されているため、不完全な記述となります。 * 選択肢4: 認定高度保安実施一般ガス導管事業者の特例について、「自主検査を行わずに当該ガス工作物を使用することができる」とありますが、正しくは「自主検査を行わずに当該ガス工作物を使用することはできない」です。特例は工事計画の届出義務の緩和であり、自主検査義務は免除されません。 * 選択肢5: ガス事故報告の要件について、「ガス工作物(ガス栓を除く。)を操作することにより人が酸素欠乏症となった事故は、ガス事故速報のみの報告でよい」とありますが、正しくは「ガス事故速報及びガス事故詳報の両方を報告する必要がある」です。事故の種類によって速報のみか詳報も必要かが異なります。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文の確認: 「ガス事業者が負う保安責務に関する記述として、正しいものはどれか」という問いであることを確認する。 2. 選択肢1の評価: 「ガス工作物を経済産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない」という記述は、ガス事業法の基本原則であり、疑う余地なく正しいと判断できる。 3. 他の選択肢の評価(時間があれば): * 選択肢2: 保安規程の届出時期「事業の開始の後、遅滞なく」に注目し、これが「事業の開始前に」であるべきことを思い出す。→誤り。 * 選択肢3: 使用前検査の例外について、試験使用の条件が不完全であることに気づく。特に「使用者に供給する場合」の条件が抜けている点を指摘できるか。→誤り。 * 選択肢4: 認定高度保安実施事業者の自主検査義務について、「行わずに使用できる」が誤りであることに気づく。自主検査は必須である。→誤り。 * 選択肢5: 酸素欠乏症事故の報告について、速報「のみ」という表現に注目し、詳報も必要であることを思い出す。→誤り。 4. 最終判断: 選択肢1が最も正確で基本的な保安責務を述べており、他の選択肢には明確な誤りがあるため、選択肢1を正解とする。

問89

ガス事業法における工事計画の届出に関する記述として、正しいものは次のうちどれか。

  1. 一般ガス導管事業者は、一般ガス導管事業の用に供するガス工作物の設置又は変更の工事であって、経済産業省令で定めるものをしようとするときは、その工事の計画を経済産業大臣に届け出る必要はない。
  2. ガス工作物が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時的な工事としてするときも、工事計画の届出は必要である。
  3. 工事計画の届出をした者は、その届出を提出した日から14日を経過した後でなければ、その届出に係る工事を開始してはならない。
  4. 経済産業大臣が認めるときは、工事計画の届出を提出した日から30日を経過する前であっても、工事を開始することができる。

解説

■【設問の意図】 工事計画の届出に関するガス事業法の規定について、正確な知識を問う。特に、届出の義務、例外規定、工事開始までの期間、および期間短縮の特例に関する理解度を確認する。 ■【正解の理由】 選択肢4が正しい。知識集の「1.6 工事計画、使用前検査及び定期自主検査」に「工事計画の届出をした者は、その届出を提出した日から30日を経過した後でなければ、その届出に係る工事を開始してはならない。ただし、経済産業大臣が認めるときは、工事を開始するまでの期間を短縮することができる。」とある通り、経済産業大臣の承認があれば期間短縮が可能である。 ■【初心者がここで迷う理由】 * 選択肢1と2は、届出の義務や例外規定に関する基本的な理解が不足している場合に迷う可能性がある。特に、災害時の一時的な工事が届出不要である点を誤解しやすい。 * 選択肢3は、工事開始までの期間が「30日」であるところを「14日」と誤って記憶している場合に迷う。数字の記憶は混同しやすいため、注意が必要である。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が「正しいもの」を求めていることを確認する。 2. 選択肢1:「届け出る必要はない」は誤り。原則として届け出が必要である。 3. 選択肢2:「災害時の一時的な工事も届出が必要」は誤り。災害時の一時的な工事は届出不要である。 4. 選択肢3:「14日を経過した後でなければ」は誤り。原則は「30日」である。 5. 選択肢4:「経済産業大臣が認めるときは、期間を短縮できる」は正しい記述である。 6. したがって、正解は4と判断する。

問90

一般ガス導管事業者が行う定期自主検査に関する記述として、ガス事業法上、正しいものは次のうちどれか。

  1. 一般ガス導管事業者は、一般ガス導管事業の用に供するガス工作物であって経済産業省令で定めるものについて、経済産業省令で定めるところにより、定期に、自主検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない。
  2. 一般ガス導管事業者は、すべてのガス工作物について、定期に、自主検査を行い、その検査記録を作成し、経済産業大臣に届け出なければならない。(正解)
  3. 一般ガス導管事業者は、経済産業大臣の指示があった場合に限り、定期自主検査を実施し、その結果を経済産業大臣に報告しなければならない。
  4. 定期自主検査の対象となるガス工作物は、使用前検査の対象となるガス工作物と同一であり、その検査記録は5年間保存すればよい。

解説

■【設問の意図】 一般ガス導管事業者に課せられる定期自主検査に関する法令上の義務について、正確な知識を問う。特に、検査の対象範囲、実施頻度、記録の作成・保存義務に焦点を当てている。 ■【正解の理由】 選択肢1は、ガス事業法第32条第1項(一般ガス導管事業者の自主検査)の規定に合致する。「一般ガス導管事業者は、一般ガス導管事業の用に供するガス工作物であって経済産業省令で定めるものについては、経済産業省令で定めるところにより、定期に、自主検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない。」と定められている。 ■【初心者がここで迷う理由】 ・「すべてのガス工作物」と誤解する可能性がある。実際には「経済産業省令で定めるもの」に限定される。 ・検査記録の「報告」義務と「保存」義務を混同する可能性がある。法令では「保存」が義務付けられている。 ・使用前検査と定期自主検査の対象や義務を混同する可能性がある。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が「定期自主検査」に関するものであることを確認する。 2. 法令の知識を想起し、定期自主検査の「対象」「実施頻度」「義務(記録作成・保存・報告など)」のポイントを思い出す。 3. 選択肢1:「経済産業省令で定めるもの」「定期に、自主検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない」とあり、法令の規定と完全に一致するため、これが正しいと判断する。 4. 他の選択肢を確認し、誤りを見つける。 ・選択肢2:「すべてのガス工作物」が誤り。「経済産業大臣に届け出なければならない」も誤り(保存義務)。 ・選択肢3:「経済産業大臣の指示があった場合に限り」が誤り(定期的な義務)。「報告しなければならない」も誤り(保存義務)。 ・選択肢4:「使用前検査の対象となるガス工作物と同一」とは限らない。「5年間保存」という具体的な期間は、この条文では明記されていない(省令で定められるが、ここでは一般的な知識として「保存」が重要)。

問91

気体の拡散速度に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 気体の拡散速度は、分子量が大きくなるにつれて小さくなる。
  2. 気体の拡散速度は、分子量が大きくなるにつれて大きくなる。(正解)
  3. 気体の拡散速度は、分子量に関わらず一定である。
  4. 気体の拡散速度は、分子量が小さくなるにつれて小さくなる。

解説

■【設問の意図】 気体の拡散速度と分子量の関係についての基本的な知識を問うています。これはグラハムの法則として知られる物理化学の基礎知識です。 ■【正解の理由】 気体の拡散速度は、その気体の分子量の平方根に反比例します(グラハムの法則)。したがって、分子量が大きくなるにつれて拡散速度は小さくなります。例えば、水素(分子量約2)はメタン(分子量約16)よりも拡散速度が速く、メタンはプロパン(分子量約44)よりも速いです。選択肢1がこの関係を正しく述べています。 ■【初心者がここで迷う理由】 分子量が大きいと「重い」ため、動きが遅くなるという直感的な理解は正しいですが、正確な反比例の関係を覚えていないと、他の選択肢と混同する可能性があります。特に、分子量と拡散速度が比例すると誤解したり、関係がないと考える場合があります。 ■【本番での判断フロー】 1. 設問が気体の拡散速度と分子量の関係を問うていることを確認する。 2. グラハムの法則(拡散速度は分子量の平方根に反比例)を思い出す。 3. 分子量が大きいほど拡散速度が遅くなる、という関係を導き出す。 4. 各選択肢を検討し、この関係に合致する選択肢1が正解であると判断する。

問92

1 molあたりで比較した場合、圧縮係数が1より小さい気体の体積は、同じ温度、同じ圧力の理想気体の体積と比較してどうなるか。

  1. 小さくなる。
  2. 大きくなる。(正解)
  3. 等しくなる。
  4. 温度によって変化する。
  5. 圧力によって変化する。

解説

■【設問の意図】 圧縮係数(Z)の定義と、それが1より小さい場合の気体の体積が理想気体と比較してどうなるかを理解しているかを確認する。 ■【正解の理由】 圧縮係数Zは、実在気体の体積V_realと理想気体の体積V_idealの比 (Z = V_real / V_ideal) で定義される。したがって、Z < 1 の場合、V_real < V_ideal となり、実在気体の体積は理想気体の体積より小さくなる。これは、分子間引力が支配的である場合に起こりやすい。 ■【初心者がここで迷う理由】 圧縮係数の定義を正確に覚えていない場合や、分子間引力と分子自身の体積の影響を混同する可能性がある。Z > 1 の場合は分子自身の体積が支配的で体積は大きくなるため、その逆のケースと誤解するかもしれない。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文「圧縮係数が1より小さい気体の体積」に注目する。 2. 圧縮係数Zの定義 Z = V_real / V_ideal を思い出す。 3. Z < 1 の条件をこの定義に当てはめる。 4. V_real / V_ideal < 1 となるため、V_real < V_ideal であると判断する。 5. したがって、理想気体の体積より「小さくなる」が正解であると結論付ける。

問93

次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. ラウールの法則によれば、液体に不揮発物質を溶解した希薄溶液の蒸気圧は、その不揮発物質のモル分率の上昇に比例して低下する。
  2. 気体の拡散速度は、分子量が小さくなるにつれて小さくなる。(正解)
  3. 1 molあたりで比較すると、圧縮係数が1より大きい気体の体積は、同じ温度、同じ圧力の理想気体の体積より小さくなる。
  4. 実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力よりも、圧力を高くする作用をもたらす。
  5. 一定の温度で一定質量の液体に溶解する気体の質量は、溶解度が小さい場合、気体の圧力に反比例する。

解説

■【設問の意図】 ラウールの法則および気体の基本的な性質に関する理解度を問う。 ■【正解の理由】 1. ラウールの法則は、液体に不揮発物質を溶解した希薄溶液の蒸気圧が、溶質のモル分率に比例して低下することを示す。この記述は正しい。 ■【初心者がここで迷う理由】 2. 気体の拡散速度は、分子量が小さいほど速くなるため、記述は誤り。 3. 圧縮係数が1より大きい気体は、理想気体よりも体積が大きくなるため、記述は誤り。 4. 実在気体における分子間引力は、分子同士が引き合うため、理想気体の状態方程式で求められる圧力よりも圧力を低くする作用をもたらすため、記述は誤り。 5. 一定の温度で一定質量の液体に溶解する気体の質量は、溶解度が小さい場合、気体の圧力に比例する(ヘンリーの法則)ため、記述は誤り。 ■【本番での判断フロー】 1. 各選択肢の記述が、基礎知識として正しいか否かを判断する。 2. 選択肢1はラウールの法則の定義そのものであり、正しいと判断できる。 3. 選択肢2は、分子量が小さいほど拡散速度が速くなるという知識から誤りと判断。 4. 選択肢3は、圧縮係数が1より大きい場合は理想気体より体積が大きいという知識から誤りと判断。 5. 選択肢4は、分子間引力は圧力を低下させる作用があるという知識から誤りと判断。 6. 選択肢5は、ヘンリーの法則から圧力に比例するという知識から誤りと判断。 7. 以上の判断から、選択肢1が唯一の正しい記述であると結論する。

問94

実在気体における分子間引力に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力よりも、圧力を低くする作用をもたらす。
  2. 実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力よりも、圧力を高くする作用をもたらす。(正解)
  3. 実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力に影響を与えない。
  4. 実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる体積を小さくする作用をもたらす。
  5. 実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる体積を大きくする作用をもたらす。

解説

■【設問の意図】 実在気体の分子間引力が圧力に与える影響について理解しているかを確認する。 ■【正解の理由】 実在気体では、分子間に引力が働くため、分子が壁に衝突する際の衝撃が理想気体の場合よりも弱くなる。このため、実在気体の圧力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力よりも低くなる。したがって、分子間引力は圧力を低くする作用をもたらす。 ■【初心者がここで迷う理由】 実在気体の状態方程式(ファンデルワールスの式など)における分子間引力項(a/V^2)が圧力の補正項としてどのように作用するかを混同する可能性がある。また、分子自身の体積(排除体積)による影響と分子間引力による影響を区別できていない場合がある。分子間引力は分子が互いに引き合うため、壁への衝突頻度や衝撃力を減少させ、結果として圧力を低下させる効果がある。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が実在気体の「分子間引力」が「圧力」に与える影響を問うていることを確認する。 2. 実在気体では分子間に引力が働くことを思い出す。 3. 分子間引力があると、分子が容器の壁に衝突する力が弱まる、または衝突頻度が減少すると考える。 4. 結果として、理想気体よりも圧力が低くなる作用をもたらすと判断する。 5. 選択肢の中から、この結論に合致する記述(圧力を低くする作用)を選ぶ。

問95

気体の溶解度に関する記述として、適切なものはどれか。

  1. 一定の温度で一定質量の液体に溶解する気体の質量は、溶解度が小さい場合、気体の圧力に比例する。
  2. 一定の温度で一定質量の液体に溶解する気体の質量は、溶解度が小さい場合でも、気体の圧力に反比例する。(正解)
  3. 気体の溶解度は、温度の上昇とともに増加する。
  4. 気体の溶解度は、液体の種類によらず一定である。
  5. 気体の溶解度は、気体の分子量に反比例する。

解説

■【設問の意図】 気体の溶解度に関する基本的な法則(ヘンリーの法則)と、その条件についての理解度を問うている。特に、圧力と溶解度の関係、および溶解度が小さい場合の適用条件を把握しているかを確認する。 ■【正解の理由】 選択肢1は、ヘンリーの法則(Henry's Law)の記述そのものである。ヘンリーの法則は、「一定温度において、一定量の溶媒に溶解する気体の質量は、その気体の分圧に比例する」というもので、特に溶解度が小さい希薄溶液の場合に良く成り立つ。与えられた知識「一定の温度で一定質量の液体に溶解する気体の質量は、溶解度が小さい場合、気体の圧力に比例する。」と完全に一致する。 ■【初心者がここで迷う理由】 気体の溶解度は、温度が上昇すると一般的に減少するため、選択肢3のように「増加する」と誤解する可能性がある。また、気体の溶解度は、液体の種類や気体の種類によって大きく異なるため、選択肢4や5のように「一定である」あるいは単純な反比例関係と誤解する可能性がある。ヘンリーの法則の適用条件(溶解度が小さい場合)を見落とし、常に比例すると考えてしまうこともある。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が「気体の溶解度」に関する記述を求めていることを確認する。 2. 各選択肢を読み、既知の法則や一般的な傾向と照合する。 3. 選択肢1が「一定の温度で一定質量の液体に溶解する気体の質量は、溶解度が小さい場合、気体の圧力に比例する」とあり、これはヘンリーの法則の正確な記述であることを認識する。 4. 他の選択肢(温度との関係、液体の種類との関係など)が一般的な傾向や法則と異なることを確認し、選択肢1が最も適切であると判断する。

問96

気体の液化など実在気体に特有の性質に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 気体の液化など実在気体に特有の性質は、分子間の万有引力が主たる原因である。
  2. 水素は常温で圧力を加えると液化するが、アンモニアは常温で圧力を加えても液化しない。(正解)
  3. 実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力よりも、圧力を高くする作用をもたらす。
  4. 気体の拡散係数は、圧力の増加により増加し、温度の上昇に伴い減少する。
  5. 1 molあたりで比較すると、圧縮係数が1より大きい気体の体積は、同じ温度、同じ圧力の理想気体の体積より小さくなる。

解説

■【設問の意図】 実在気体の液化現象やその原因、および関連する気体の性質に関する基本的な理解度を問う。特に、分子間力と液化の関係、および異なる気体の液化条件の違いを把握しているかを確認する。 ■【正解の理由】 選択肢1が正しい。実在気体が理想気体と異なる振る舞いをする主な原因は、分子間に働く万有引力(分子間力)と分子自身の体積である。特に液化現象は、分子間引力によって分子が互いに引き合い、液体状態に凝集することによって生じるため、分子間引力が主たる原因である。 ■【初心者がここで迷う理由】 * 選択肢2は、水素とアンモニアの液化条件に関する記述が逆になっているため、知識が曖昧だと誤って選んでしまう可能性がある。アンモニアは分子間力が強く常温でも液化しやすいが、水素は分子間力が弱く液化には極低温が必要である。 * 選択肢3は、実在気体の状態方程式における分子間引力の効果を混同しやすい。分子間引力は、分子が容器壁に衝突する力を弱めるため、理想気体よりも圧力を低くする作用がある。 * 選択肢4は、気体の拡散係数と圧力・温度の関係を混同しやすい。拡散係数は圧力に反比例し、温度の上昇とともに増加する。 * 選択肢5は、圧縮係数と体積の関係を混同しやすい。圧縮係数が1より小さい場合、実在気体の体積は理想気体よりも小さくなる。 ■【本番での判断フロー】 1. 設問が実在気体の液化に関するものであることを確認する。 2. 選択肢1:「気体の液化など実在気体に特有の性質は、分子間の万有引力が主たる原因である。」これは知識集の記述と完全に一致しており、実在気体の基本原理として正しい。 3. 他の選択肢も確認し、誤りがないか検証する。 * 選択肢2:「水素は常温で圧力を加えると液化するが、アンモニアは常温で圧力を加えても液化しない。」知識集では「水素は常温で圧力を加えても液化しないが、アンモニアは常温で圧力を加えると液化する。」とあり、記述が逆であるため誤り。 * 選択肢3:「実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力よりも、圧力を高くする作用をもたらす。」知識集では「圧力を低くする作用をもたらす」とあり、誤り。 * 選択肢4:「気体の拡散係数は、圧力の増加により増加し、温度の上昇に伴い減少する。」知識集では「圧力の増加により減少し温度の上昇に伴い増加する」とあり、誤り。 * 選択肢5:「1 molあたりで比較すると、圧縮係数が1より大きい気体の体積は、同じ温度、同じ圧力の理想気体の体積より小さくなる。」知識集では「圧縮係数が1より小さい気体の体積は、同じ温度、同じ圧力の理想気体の体積より小さくなる」とあり、誤り。 4. すべての選択肢を比較検討した結果、選択肢1が最も適切であると判断する。

問97

物質の性質に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 窒素、水素のような多原子気体は、並進運動に加えて、分子内で振動運動と回転運動を行っている。
  2. 気体の拡散速度は、分子量が大きくなるにつれて大きくなる。(正解)
  3. 圧縮係数が1より小さい気体の体積は、同じ温度、同じ圧力の理想気体の体積より大きくなる。
  4. 実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力よりも、圧力を高くする作用をもたらす。
  5. 常圧において気体の熱伝導率は温度の上昇とともに減少する。

解説

■【設問の意図】 多原子気体の分子運動に関する基本的な知識を問うものです。 ■【正解の理由】 選択肢1が正しいです。窒素(N₂)や水素(H₂)は複数の原子からなる多原子気体であり、分子全体が移動する並進運動(重心の移動)に加えて、分子内の原子が互いに近づいたり離れたりする振動運動や、分子全体が軸を中心に回転する回転運動も行います。これは、単原子気体(ヘリウムやネオンなど)が並進運動のみを行うのと対照的です。 ■【初心者がここで迷う理由】 ・単原子気体と多原子気体の分子運動の違いを混同することがあります。単原子気体は並進運動のみですが、多原子気体はより多くの自由度を持つため、振動運動や回転運動も行います。 ・他の選択肢も気体の基本的な性質に関する記述であるため、それぞれの知識が曖昧だと誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。 ■【本番での判断フロー】 1. 各選択肢が気体のどの性質について述べているかを確認します。 2. 選択肢1:「多原子気体の運動」について。知識集の「窒素、水素のような多原子気体は、並進運動に加えて、分子内で振動運動と回転運動を行っている。」と合致するため、正しい記述であると判断します。 3. 選択肢2:「気体の拡散速度」について。知識集の「気体の拡散速度は、分子量が大きくなるにつれて小さくなる」とあるため、この記述は誤りです。 4. 選択肢3:「圧縮係数と体積」について。知識集の「1 molあたりで比較すると、圧縮係数が1より小さい気体の体積は、同じ温度、同じ圧力の理想気体の体積より小さくなる」とあるため、この記述は誤りです。 5. 選択肢4:「実在気体の分子間引力」について。知識集の「実在気体における分子間引力は、理想気体の状態方程式を用いて求められる圧力よりも、圧力を低くする作用をもたらす」とあるため、この記述は誤りです。 6. 選択肢5:「気体の熱伝導率」について。知識集の「常圧において気体の熱伝導率は温度の上昇とともに増加する」とあるため、この記述は誤りです。 7. 以上の確認から、選択肢1が正しい記述であると確定します。

問98

気体の拡散係数に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 気体の拡散係数は、圧力の増加により減少し温度の上昇に伴い増加する。
  2. 気体の拡散係数は、圧力の増加により増加し温度の上昇に伴い減少する。(正解)
  3. 気体の拡散係数は、圧力の増加により減少し温度の上昇に伴い減少する。
  4. 気体の拡散係数は、圧力の増加により増加し温度の上昇に伴い増加する。
  5. 気体の拡散係数は、圧力や温度の影響を受けず一定である。

解説

■【設問の意図】 気体の拡散係数が圧力と温度によってどのように変化するかを理解しているかを確認する。 ■【正解の理由】 知識集「2.1 物質の性質」に「気体の拡散係数は、圧力の増加により減少し温度の上昇に伴い増加する。」と明記されているため、選択肢1が正しい。 ■【初心者がここで迷う理由】 圧力と温度が拡散係数に与える影響の方向性を混同しやすい。特に、温度上昇が分子運動を活発化させるため拡散を促進するが、圧力増加が分子密度を高め、分子間の衝突頻度を増やすことで拡散を阻害するという直感的な理解が曖昧だと迷う可能性がある。 ■【本番での判断フロー】 1. 「気体の拡散係数」に関する問題であることを確認する。 2. 知識として「圧力増加で減少、温度上昇で増加」という関係性を思い出す。 3. 各選択肢をこの知識と照合する。 4. 選択肢1が知識と完全に一致するため、これを正解と判断する。

問99

逆カルノーサイクルの高温熱源への放熱量は、低温熱源からの吸熱量と仕事の和に等しい。温度400Kの高温熱源と温度200Kの低温熱源の間で作動する逆カルノーサイクルの時間あたりの仕事が10kWの場合、高温熱源への放熱量は何kWとなるか。

  1. 10 kW
  2. 15 kW
  3. 20 kW
  4. 25 kW(正解)
  5. 30 kW

解説

■【設問の意図】 逆カルノーサイクルの熱力学的関係と計算能力を問う。 ■【正解の理由】 逆カルノーサイクル(ヒートポンプまたは冷凍機)において、高温熱源への放熱量 (Q_H) は、低温熱源からの吸熱量 (Q_L) とサイクルに供給される仕事 (W) の和に等しい。 Q_H = Q_L + W また、逆カルノーサイクルの成績係数 (COP) は、温度比で表される。冷凍機としての成績係数 (COP_R) は以下の式で計算される。 COP_R = Q_L / W = T_L / (T_H - T_L) 与えられた値: 高温熱源の温度 (T_H) = 400 K 低温熱源の温度 (T_L) = 200 K 仕事 (W) = 10 kW まず、COP_R を計算する。 COP_R = 200 K / (400 K - 200 K) = 200 K / 200 K = 1 次に、低温熱源からの吸熱量 (Q_L) を計算する。 Q_L = COP_R * W = 1 * 10 kW = 10 kW 最後に、高温熱源への放熱量 (Q_H) を計算する。 Q_H = Q_L + W = 10 kW + 10 kW = 20 kW したがって、高温熱源への放熱量は20kWとなる。 ■【初心者がここで迷う理由】 1. 逆カルノーサイクルの熱力学的関係式(特にQ_H = Q_L + W)を忘れている、または混同している。 2. 成績係数 (COP) の計算式を誤解しているか、適用方法を間違えている。 3. 温度が絶対温度 (K) で与えられていることに気づかず、摂氏温度で計算してしまう(この問題では差分なので影響は少ないが、比率計算では重要)。 4. 問題文の「高温熱源への放熱量」と「低温熱源からの吸熱量」を混同してしまう。 ■【本番での判断フロー】 1. 問題文が逆カルノーサイクルに関するものであることを確認する。 2. 与えられた情報(T_H, T_L, W)を整理する。 3. 逆カルノーサイクルの基本関係式 Q_H = Q_L + W を思い出す。 4. Q_L を求めるために、冷凍機としての成績係数 COP_R = T_L / (T_H - T_L) を計算する。 5. COP_R を用いて Q_L = COP_R * W を計算する。 6. 最後に Q_H = Q_L + W を計算し、結果を選択肢と照合する。

問100

都市ガスを燃焼させて空気を加熱する際、必要な都市ガスの体積に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、その他の条件は一定とする。

  1. 加熱する空気の温度上昇幅が2倍になると、必要な都市ガスの体積は約2倍になる。
  2. 熱効率が2倍になると、必要な都市ガスの体積は約2倍になる。(正解)
  3. 都市ガスの発熱量が2倍になると、必要な都市ガスの体積は約2倍になる。
  4. 加熱する空気の体積が2倍になると、必要な都市ガスの体積は変化しない。
  5. 空気の定圧モル熱容量が2倍になると、必要な都市ガスの体積は約1/2になる。

解説

■【設問の意図】 この問題は、都市ガスを燃焼させて空気を加熱する際に必要なガスの体積が、様々な熱力学的・燃焼効率的要因とどのように関係しているかを理解しているかを問うものです。単なる計算能力だけでなく、各パラメータが結果に与える影響の方向性と程度を把握しているかが重要です。 ■【正解の理由】 空気を加熱するために必要な熱量Q_airは、加熱する空気のモル数(または体積)、空気の定圧モル熱容量、および空気の温度上昇幅(ΔT)に比例します。 一方、都市ガスから得られる熱量Q_gasは、必要な都市ガスの体積、都市ガスの発熱量、および熱効率に比例します。 Q_air = Q_gas の関係から、必要な都市ガスの体積は、Q_airに比例し、都市ガスの発熱量と熱効率に反比例します。 したがって、加熱する空気の温度上昇幅が2倍になれば、必要な熱量Q_airも2倍になるため、必要な都市ガスの体積も約2倍になります。 他の選択肢は、この比例・反比例の関係と矛盾しています。熱効率や発熱量が2倍になれば、必要な都市ガスの体積は1/2になります。加熱する空気の体積や定圧モル熱容量が2倍になれば、必要な都市ガスの体積も2倍になります。 ■【初心者がここで迷う理由】 熱量計算の基本式(Q=mcΔTやQ=nCΔT)と、燃焼効率、発熱量の関係を混同しやすい。特に、効率や発熱量が「分母」に来ることを忘れがちです。 「約」という表現があるため、厳密な比例関係ではないと誤解する可能性がありますが、これは計算上の近似値や実用上の表現であり、比例関係の原則は変わりません。 各パラメータが独立して変化した場合の「影響の方向性」を正確に把握できていないと、選択肢を誤る可能性があります。 ■【本番での判断フロー】 1. まず、空気を加熱するために必要な熱量 (Q_air) と、都市ガスから得られる熱量 (Q_gas) の関係式を頭の中で整理する。 Q_air ∝ (空気の体積 or モル数) × (定圧モル熱容量) × (温度上昇幅) Q_gas ∝ (都市ガスの体積) × (発熱量) × (熱効率) 2. Q_air = Q_gas の関係から、必要な都市ガスの体積 (V_gas) が各パラメータとどのように比例・反比例するかを導き出す。 V_gas ∝ Q_air / (発熱量 × 熱効率) つまり、V_gas ∝ (空気の体積 or モル数) × (定圧モル熱容量) × (温度上昇幅) / (発熱量 × 熱効率) 3. 各選択肢について、この比例・反比例の関係が正しいかを確認する。 選択肢1: 温度上昇幅が2倍 → V_gasも2倍。 (正しい) 選択肢2: 熱効率が2倍 → V_gasは1/2倍。 (誤り) 選択肢3: 発熱量が2倍 → V_gasは1/2倍。 (誤り) 選択肢4: 空気体積が2倍 → V_gasも2倍。 (誤り) 選択肢5: 定圧モル熱容量が2倍 → V_gasも2倍。 (誤り) 4. 正しい選択肢を選ぶ。