公害防止管理者 大気関係第1種 第4回
問61
悪臭の苦情件数推移
「令和6年版環境白書(令和5年度悪臭防止法等施行状況調査)」における、悪臭に係る苦情の現状に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 令和5年度の悪臭に係る苦情件数は、前年度と比較して大幅に増加した。
- (2) 発生源別の苦情件数では、「野外焼却」が最も多く、全体の20%以上を占めている。
- (3) 発生源別の苦情件数において、「製造工場」に起因するものが全体の半数を超えている。(正解)
- (4) 都道府県別の苦情件数では、人口の少ない地方部において苦情が集中する傾向がある。
- (5) 悪臭防止法に基づく「臭気指数規制」を導入している地方公共団体の数は、年々減少している。
解説
【正解】
(2)
【出題の意図と背景】
この問題は、悪臭苦情の統計データを通じて「現代の生活環境における公害の所在」を正しく把握しているかを問うものである。
統計の中で着目すべき最大のポイントは「苦情の発生源」であり、産業活動によるものか、生活に密着した活動によるものかの区別が分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、令和6年版白書(令和5年度調査)において、発生源別で「野外焼却」が2439件(22.0%)と最多であるため、(2)の選択肢が正解となる。
統計が示している背景には、大規模な工場の脱臭対策が進んだ一方で、廃棄物の野焼きやサービス業、個人住宅など、日常生活の距離感に近い場所での「におい」が大きなトラブルの要因になっているという現実がある。この現実に照らし合わせると、規制対象としての工場だけでなく、多様な発生源への対応が必要であることがわかる。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、多くの人は
「公害=工場の煙突から出るもの」
というイメージが強く、(3)のように「製造工場」が主因であると短絡的に考えてしまいがちである。
しかし本問では、実際の苦情統計が「野外焼却」や「サービス業」など、非産業的な要素にシフトしている点に着目しなければならない。この変化を捉えきれないことが、選択肢を誤る原因となる。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、白書の最新統計において「悪臭苦情は減少傾向(約1.1万件)」であることを思い出す。
2. 次に、発生源のツートップは「野外焼却」と「サービス業・その他」であることを特定する。
3. その判断軸に基づいて、「工場」よりも「身近な焼却行為」が最多であることを選ぶ。
4. 都道府県別では、人口密度の高い大都市圏(東京・愛知等)で苦情が多いという一般的原則を確認する。
問62
地盤沈下の現状
「令和6年版環境白書」における、全国の地盤沈下の現状と対策に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) かつて著しい地盤沈下が見られた東京都区部や大阪市では、現在も沈下速度が加速している。
- (2) 日本全土の地盤沈下は完全に終息しており、現在沈下が認められる地域は存在しない。
- (3) 地盤沈下の主な原因は、地下水の過剰な採取による粘性土層の収縮である。
- (4) 農地における地盤沈下は、洪水や高潮による甚大な災害の危険性を低下させる効果がある。(正解)
- (5) 地下水採取規制に関する法律は、公害防止のために廃止され、現在は民間による自主管理となっている。
解説
【正解】
(3)
【出題の意図と背景】
この問題は、地盤沈下という公害の「発生メカニズム」と「現在の推移」を正しく理解しているかを問うものである。
現象の中で着目すべき最大のポイントは「地下水採取と地質構造の関係」であり、ここを起点に物理的な収縮現象に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、地盤沈下の根本的な原因は地下水の過剰採取による粘性土層の収縮であるため、(3)の選択肢が正解となる。
法律(工業用水法やビル用水法)で地下水採取が規制されている背景には、地下水位が低下することで軟弱な粘土層が支えを失い、押しつぶされる(収縮する)という物理現象から建造物や農地を守るという明確な目的がある。この目的に照らし合わせると、地下水採取を適切にコントロールすることが対策の柱となる。
【初心者がここで迷う理由】
多くの人は
「地盤沈下は昔の問題であり、もう終わったことだ」
と短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・大都市部での鎮静化を見て、全国的に終息したと誤認する
・「沈下=災害リスクの増大」という基本的な因果関係を無視してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、依然として消融雪地下水の採取地域などで沈下が続いている実態に着目しなければならない。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、地盤沈下の定義である「地下水採取による粘性土層の収縮」を軸に置く。
2. 次に、大都市圏(東京、大阪等)では長期的には鎮静化しているが、全国的には依然として沈下地域(39都道府県など)が残っている事実を特定する。
3. その判断軸に基づいて、メカニズムを正しく述べている選択肢を探す。
4. 規制法が現在も有効に運用され、地下水管理が行われていることを確認する。
問63
一般廃棄物排出量推移
「令和6年版環境白書」における、我が国の一般廃棄物(ごみ)の排出・処理状況に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) ごみの総排出量は、ここ数年、右肩上がりで増加し続けている。
- (2) 1人1日当たりのごみ排出量は、近年1.5キログラム(1500グラム)を超えている。
- (3) ごみの最終処分量は、再資源化の進展等により、長期的に減少傾向にある。
- (4) 一般廃棄物の最終処分場(埋立地)の残余年数は、全国平均で100年を超えている。(正解)
- (5) ごみのリサイクル率は、現在50%を超えて推移している。
解説
【正解】
(3)
【出題の意図と背景】
この問題は、循環型社会の形成状況を示す「廃棄物統計」の主要な数値を把握しているかを問うものである。
統計の中で着目すべき最大のポイントは「最終処分量の推移」であり、ここを起点に減量化・資源化の成果を確認できるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、ごみの総排出量および最終処分量は長期的に減少傾向にあるため、(3)の選択肢が正解となる。
国がリサイクル法等を整備した背景には、最終処分場の逼迫を防ぎ、資源を循環させることで環境負荷を抑えるという明確な目的がある。この目的に照らし合わせると、分別の徹底や焼却残渣の資源化により、直接埋め立てられる「最終処分量」を減らす対応が成果として現れている。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、
「人口は減っているが、ごみの量は増えているのではないか」
「リサイクルは進んでいるのだから、率は半分くらいだろう」
と、具体的な数値を見ずにイメージで短絡的に選んでしまいがちである。
特に、
・1人1日あたりの排出量(約840~900グラム程度)の桁を間違える
・リサイクル率の実態(約20%弱)を過大評価してしまう
といった思考に陥りやすい。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、ごみ総排出量が「減少傾向(約3800万トン台)」であることを整理する。
2. 次に、1人1日あたりの量は「1キログラム弱(約840g)」であることを特定する。
3. リサイクル率は「20%程度」で足踏み状態、残余年数は「20~25年程度」であることを思い出す。
4. 最終処分量が着実に減っている(300万トン程度)というポジティブな傾向を正解の軸とする。
問64
産廃の排出量推移
「令和6年版環境白書」における、我が国の産業廃棄物の排出状況に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 産業廃棄物の総排出量は、近年約4億トン前後で横ばい(大きな増減なし)の状況である。
- (2) 産業廃棄物の排出量が最も多い業種は、一貫して「製造業」である。(正解)
- (3) 産業廃棄物の総排出量は、一般廃棄物の総排出量よりも少ない。
- (4) 産業廃棄物の約90%は、処理されずにそのまま最終処分(埋め立て)されている。
- (5) 電気・ガス・熱供給・水道業から排出される廃棄物の大半は、木くずである。
解説
【正解】
(1)
【出題の意図と背景】
この問題は、産業廃棄物の「規模感」と「主要な発生源」を正確に把握しているかを問うものである。
条件文の中で着目すべき最大のポイントは「一般廃棄物との量的差異」と「排出の多い3業種」であり、ここを起点に産業構造に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、産業廃棄物の総排出量は近年3.7億~4億トン程度で推移しており、大きな増減は見られないため、(1)の選択肢が正解となる。
統計が示している背景には、一般廃棄物(約3800万トン)の「約10倍」という圧倒的なボリュームがある。この現実に照らし合わせると、産業界全体での適正管理と資源化が、日本の環境保全の鍵を握っていることがわかる。
【初心者がここで迷う理由】
多くの人は
「工場が多いのだから製造業が1番だろう」
とイメージで短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・排出量上位3業種(電気・ガス等、農業・林業、建設業)を把握していない
・中間処理による劇的な減量化(埋め立てられるのは全体の数%)を理解していない
といった思考に陥りやすい。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、産廃の総量は「約4億トン(一般廃棄物の約10倍)」という規模を軸に置く。
2. 次に、排出トップ3は「電気・ガス・熱・水道(汚泥等)」「農業(家畜糞尿等)」「建設(がれき等)」であることを特定する。
3. 中間処理(脱水、焼却等)により、最終処分される量は全体のわずか数%(約900万トン程度)にまで減ることを思い出す。
4. 排出量自体は「ほぼ横ばい」という最新の傾向を確認する。
問65
産廃の最終処分と再生
産業廃棄物の処理フロー(発生から最終処分まで)における現状に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 産業廃棄物の再生利用率は、現在10%未満にとどまっている。
- (2) 排出された産業廃棄物のうち、中間処理によって減量化される割合は約10%である。
- (3) 産業廃棄物の最終処分量は、近年、大幅な増加傾向にある。
- (4) 排出量が多い「汚泥」や「家畜ふん尿」などは、その多くが再生利用や中間処理による減量化の対象となる。
- (5) 最終処分場の残余年数は、首都圏において全国平均よりも大幅に長く、余裕がある状態である。(正解)
解説
【正解】
(4)
【出題の意図と背景】
この問題は、廃棄物の種類に応じた「処理の特性」を理解しているかを問うものである。
プロセスの中で着目すべき最大のポイントは「中間処理による減量効果」であり、ここを起点に廃棄物の物性(水分の多さ等)に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、排出量の多い汚泥や家畜ふん尿は、脱水や乾燥、堆肥化等の中間処理によって大幅に減量・資源化されるため、(4)の選択肢が正解となる。
処理システムがこのようになっている背景には、そのまま埋め立てると膨大な容量を消費し、かつ腐敗等で環境負荷が高まる汚泥等を、物理的・生物的に処理して「安定化・減量化」するという明確な目的がある。この目的に照らし合わせると、再資源化率(約50%以上)や減量化率(約40%以上)の高さが納得できる。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、
「捨てたものがそのまま埋め立てられている」
という「直行埋立」のイメージを強く持ちすぎてしまう。
特に、
・日本の高度な中間処理技術(焼却、脱水等)による減量効果を過小評価する
・再生利用率の実態(半分以上が再利用されている)を知らない
といった思考に陥りやすい。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、産廃は「排出量(4億トン)」→「中間処理・再生利用」→「最終処分(1000万トン弱)」という劇的な絞り込みが行われていることを整理する。
2. 次に、主要品目である「汚泥」「家畜ふん尿」「建設廃材」が、リサイクルや減量化の主力であることを特定する。
3. 最終処分場の残余年数は全国で10〜20年程度、特に「首都圏」は逼迫している事実を思い出す。
4. 「再生利用(約5割)」と「中間処理減量(約4割)」の二本柱を正解の判断軸とする。
問66
アスベストの最新動向
「令和6年版環境白書」および近年の規制強化を踏まえた、石綿(アスベスト)対策に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 大気汚染防止法の改正により、現在は「吹付け石綿」のみが規制対象となり、石綿を含有する成形板は対象外となった。
- (2) 建築物の解体・改修時には、石綿の使用の有無にかかわらず、事前調査の実施と結果の報告が義務付けられている。
- (3) 大気環境中の石綿濃度は、現在も全国的に環境基準を大幅に超過し続けている。(正解)
- (4) アスベストは熱に弱いため、高温のボイラー付近での使用は禁止されていた。
- (5) 解体工事等における「特定粉じん排出等作業」の届出数は、建築物の老朽化に伴い、今後は減少していくと予測されている。
解説
【正解】
(2)
【出題の意図と背景】
この問題は、2021年(令和3年)から段階的に強化された「大気汚染防止法のアスベスト規制」の核心を理解しているかを問うものである。
条件文の中で着目すべき最大のポイントは「事前調査の義務化」であり、ここを起点に飛散事故を未然に防ぐ法の趣旨に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、解体・改修工事における事前調査の実施と一定規模以上の報告義務化が定着しているため、(2)の選択肢が正解となる。
法律でこの基準が設けられている背景には、かつて大量に使用されたアスベスト建材が、建築物の寿命に伴い今後「解体ラッシュ」を迎えるという明確な危機感がある。この危機感に照らし合わせると、作業開始前に石綿の有無を把握し、適切な飛散防止措置(隔離、湿潤化等)を講じる対応が必須となる。
【初心者がここで迷う理由】
多くの人は
「アスベストは昔に禁止されたから、もう対策は進んでいるはずだ」
と短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・規制対象が「すべての石綿含有建材(成形板等含む)」に拡大されたことを知らない
・解体ピークがこれから(2030年頃)やってくるという予測を無視してしまう
といった思考に陥りやすい。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、アスベスト対策は「今まさに強化されている(事前調査の報告義務等)」ことを軸に置く。
2. 次に、対象は「吹付け(レベル1)」だけでなく「成形板(レベル3)」まで全種類であることを特定する。
3. 大気中の濃度自体は、一般環境では十分に低く抑えられている(基準超過は稀)ことを思い出す。
4. 「老朽化による解体工事の増加」という背景を、今後の届出数増加の根拠として整理する。
問67
化学物質の環境リスク
「令和6年版環境白書」における、化学物質の管理と環境リスクに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 化学物質の管理に関する国際的な調和を図るため、GHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)が導入されている。
- (2) 我が国では、すべての化学物質の製造・輸入を完全に禁止することで、環境リスクをゼロにすることを目指している。(正解)
- (3) PRTR制度とは、事業者が化学物質を排出した際に、住民に対して直接的に金銭的な補償を行う制度である。
- (4) 化学物質の環境リスク評価においては、物質の「有害性」のみを考慮し、その「暴露量」は無視してよい。
- (5) 化審法(化学物質審査法)において、新規化学物質は一切の審査を受けずに自由に製造することができる。
解説
【正解】
(1)
【出題の意図と背景】
この問題は、多種多様な化学物質をどのように管理・評価するかという「現代的な環境リスク管理の枠組み」を理解しているかを問うものである。
条件文の中で着目すべき最大のポイントは「国際的な情報の共通化(GHS)」であり、ここを起点にグローバルな安全管理の原則に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、世界的に統一された基準で有害性を分類・表示するGHSの推進が白書でも強調されているため、(1)の選択肢が正解となる。
管理システムがこのようになっている背景には、化学物質が国境を越えて流通する中で、ラベルや安全データシート(SDS)の基準がバラバラだと事故や健康被害を招くという明確な懸念がある。この懸念に照らし合わせると、共通のピクトグラム(絵表示)や分類基準を用いる対応が必須となる。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、
「リスク管理=危険なものを禁止すること」
と短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・リスクの定義(有害性 × 暴露量)の片方だけに着目してしまう
・PRTR制度(届出・公表)と被害補償制度を混同してしまう
といった思考に陥りやすい。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、化学物質管理は「禁止」ではなく「適正な管理(審査、届出、表示)」が主軸であることを整理する。
2. 次に、リスクとは「有害性の強さ(ハザード)」と「どれだけ取り込まれるか(暴露量)」の掛け合わせであることを特定する。
3. PRTRは「排出量の把握と公表(コミュニケーション)」、GHSは「共通の分類・表示」というキーワードを一致させる。
4. 化審法による「事前審査」が厳格に行われている日本独自の仕組みを確認する。
問68
POPs条約の概要
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 地球温暖化を防止するため、二酸化炭素の排出を段階的に廃止することを目的とした条約である。
- (2) 残留性、生物蓄積性、長距離移動性及び毒性を有する化学物質の廃止や削減を目指している。
- (3) この条約の対象物質は、一度決定されると、その後新たに追加されることは一切ない。(正解)
- (4) 我が国はPOPs条約を批准しておらず、独自の国内法のみで管理を行っている。
- (5) 最近の動向として、プラスチック添加剤である「UV-328」などが新たに対象物質から除外された。
解説
【正解】
(2)
【出題の意図と背景】
この問題は、地球規模で拡散する化学物質に対する「国際的な規制の枠組み」を理解しているかを問うものである。
条約の中で着目すべき最大のポイントは「POPs(残留性有機汚染物質)の4つの特性」であり、ここを起点に環境汚染の深刻さに立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、条約の目的がPOPsの4特性(残留性、蓄積性、移動性、毒性)を持つ物質の管理・廃止であるため、(2)の選択肢が正解となる。
条約が設けられた背景には、これら4つの特性を併せ持つ物質が、偏西風や海洋循環に乗って極北などの未開発地域にまで運ばれ、野生生物や先住民の体内に蓄積するという深刻な地球規模の汚染がある。この汚染に照らし合わせると、一国のみならず世界中で製造・使用を禁止(廃絶)する対応が必須となる。
【初心者がここで迷う理由】
多くの人は
「環境条約といえば、すべて二酸化炭素に関することだろう」
とイメージで短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・条約名(POPs)と中身(化学物質)を結びつけていない
・対象物質が「毎年更新・追加」されているダイナミックな動きを知らない
といった思考に陥りやすい。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、POPs条約の対象が「分解されにくく(残留性)」「溜まりやすく(蓄積性)」「遠くまで行く(移動性)」物質であることを整理する。
2. 次に、これらは「POPs(Persistent Organic Pollutants)」と呼ばれ、代表例がPCBやDDTであることを特定する。
3. 最新の動向(締約国会議)において、メトキシクロルやUV-328といった新物質が次々と「追加(廃絶リスト)」されていることを思い出す。
4. 日本は積極的にこの条約を批准し、化審法等の国内法を連動させていることを確認する。
問69
水銀に関する水俣条約
「水銀に関する水俣条約」と我が国の対応に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 水銀による汚染を防止するため、全世界で水銀の使用を一律に「即時全面禁止」とする条約である。
- (2) 我が国では、この条約の発効に先立ち「水銀汚染防止法」を制定し、厳格な管理を行っている。
- (3) 条約の名称は、日本の水俣市で水銀が大量に採掘されていた歴史にちなんで命名された。(正解)
- (4) 大気中への水銀の排出規制は、この条約の対象外であり、各国の自主性に任されている。
- (5) 水銀の環境モニタリングは、技術的に困難なため、我が国では一切実施されていない。
解説
【正解】
(2)
【出題の意図と背景】
この問題は、水俣病という歴史的教訓を国際的な貢献に変えた「水銀管理の最新制度」を理解しているかを問うものである。
条件文の中で着目すべき最大のポイントは「日本の主導的立場と国内法の整備」であり、ここを起点に被害の根絶を目指す意志に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、条約の的確な実施のために国内法(水銀汚染防止法)が制定・施行されているため、(2)の選択肢が正解となる。
この枠組みが設けられた背景には、水銀が常温で液体かつ揮発しやすく、地球規模で循環しながら食物連鎖を通じて人体に悪影響を及ぼすという明確な物理的特性がある。この特性に照らし合わせると、採掘から製造、使用、排出、廃棄に至る「ライフサイクル全体」を包括的に規制する対応が必須となる。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、
「水銀は危険だから、明日から一切使ってはいけないのだろう」
と短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「段階的な廃止」や「排出の削減(大防法との連携)」という現実的な管理プロセスを理解していない
・条約名が「水俣病の教訓を世界へ」というメッセージである由来を知らない
といった思考に陥りやすい。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、水俣条約は「水銀のライフサイクル全体の管理」を目指していることを軸に置く。
2. 次に、日本はこの条約をリードする立場(2013年採択)であり、国内法(水銀法)を整備済みであることを特定する。
3. 大気排出については、大気汚染防止法の中に「水銀排出施設」としての規制が組み込まれていることを思い出す。
4. 環境モニタリング(辺戸岬、男鹿半島等)が現在も継続して行われている事実を確認する。
問70
白書総合:大気基準
「令和6年版環境白書(令和4年度常時監視結果)」における、大気汚染物質の環境基準達成状況に関する記述として、正しいものの組み合わせはどれか。
ア 微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準達成率は、一般局・自排局ともに100%に達した。
イ 光化学オキシダントの環境基準達成率は、依然として極めて低く、達成局は全国でわずか数局(または0)の状況である。
ウ 二酸化窒素(NO2)および二酸化硫黄(SO2)は、近年、環境基準を達成できない測定局が急増している。
エ 浮遊粒子状物質(SPM)は、黄砂の影響などにより、環境基準達成率が50%を下回っている。
- (1) ア、イ
- (2) ア、ウ(正解)
- (3) イ、ウ
- (4) イ、エ
- (5) ウ、エ
解説
【正解】
(1)
【出題の意図と背景】
この問題は、試験に最も頻出する「大気環境基準の達成率」の最新データを正確に整理できているかを問うものである。
統計の中で着目すべき最大のポイントは「PM2.5の劇的な改善」と「オキシダントの停滞」の対比であり、ここを起点に現在進行形の大気汚染課題に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、PM2.5の達成率100%(ア)と、光化学オキシダントの極めて低い達成率(イ)の双方が正しいため、(1)の選択肢が正解となる。
統計が示している背景には、ディーゼル車規制や工場の脱硝対策が結実し、PM2.5を含む主要物質が大幅に改善した一方で、NOxやVOCから二次生成される光化学オキシダントだけが、気象条件や越境汚染の影響を強く受け、基準達成が困難であるという明確な事実がある。
【初心者がここで迷う理由】
多くの人は
「空気は汚れているはずだから、達成率100%なんてありえない」
「すべての物質が同じように改善しているはずだ」
と短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・PM2.5がここ数年で「ほぼ100%」にまで到達した最新動向を知らない
・SPM(浮遊粒子状物質)が、実はNO2やSO2と同様に「ほぼ100%」達成されている事実を誤解している
といった思考に陥りやすい。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、達成率が「ほぼ100%(優等生)」なグループ(SO2、NO2、SPM、PM2.5)を整理する。
2. 次に、達成率が「ほぼ0%(劣等生)」な唯一の物質(光化学オキシダント)を特定する。
3. PM2.5については「令和4年度に全地点で100%を達成した」という最新の白書トピックを思い出す。
4. その判断軸に基づいて、アとイの記述を「最新の真実」として選ぶ。
問71
白書総合:苦情件数
令和6年版環境白書(令和4年度公害苦情調査結果)における「典型7公害」の苦情件数に関する記述として、正しいものはどれか。
- (1) 苦情総数は前年度より増加している。
- (2) 典型7公害の中で最も苦情件数が多いのは「大気汚染」である。
- (3) 典型7公害の中で最も苦情件数が多いのは「騒音」である。
- (4) 「地盤沈下」の苦情件数は「振動」より多い。(正解)
- (5) 「水質汚濁」の苦情件数は全体の50%を超えている。
解説
【正解】
3
【出題の意図と背景】
この問題は、環境白書における公害苦情の現状に関する「最新の統計データ」と、人々の生活に密着した「感覚公害」の重要性を理解しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは、典型7公害の中で圧倒的に苦情が多い項目は何かという点であり、ここを起点に現代の公害問題の主流が、かつての産業公害から都市生活型の公害(感覚公害)へシフトしている背景に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、令和4年度の統計において騒音の苦情件数が21,718件(典型7公害の47.3%)で最多であるため、(3)の選択肢が正解となる。
統計が示されている背景には、騒音が工場だけでなく、建設作業や近隣の生活音など、日常生活に最も密接に関わる問題であり、解決の難しさから苦情に結びつきやすいという特性がある。この状況に照らし合わせると、他の物理現象よりも「騒音」の苦情が突出しているという事実にたどり着く。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、多くの人は
「大気関係の試験だから、大気汚染が一番多いはずだ」
「昔は水質汚濁がひどかったから、今もそれなりに多いだろう」
と、試験科目への先入観や歴史的なイメージだけで短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・公害の種類(7公害)は知っていても、最新の「割合」を把握していない
・「典型7公害」と「それ以外の苦情(野焼きなど)」を混同してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、科目の知識よりも先に、「現代の苦情の主役は、音や臭いといった感覚に訴える公害である」という統計的な傾向を考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、迷いの最大の原因である。
【本番で迷わないための思考フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正解を導き出せる。
1. まず、問題文から「最新の白書データ(苦情件数)」であることを整理する。
2. 次に、典型7公害の中で「生活に最も身近で、かつトラブルになりやすいもの」は何かを特定する。
3. その判断軸に基づいて、「騒音」が不動の1位であることを思い出す。
4. 迷った場合は、2位が「悪臭」、3位が「大気汚染」という順序を確認し、1位である「騒音」の選択肢を選ぶ。
この流れで考えれば、正確な件数を覚えていなくても、論理的な筋道から正解へたどり着くことができる。
問72
白書総合:循環型社会
令和6年版環境白書における「循環型社会」の形成に関する記述として、誤っているものはどれか。
- (1) 一般廃棄物の総排出量は、近年減少傾向にある。
- (2) 産業廃棄物の総排出量は、一般廃棄物の総排出量よりも多い。
- (3) 一般廃棄物の最終処分量は、減少傾向が続いている。
- (4) 一般廃棄物のリサイクル率(再生利用率)は100%に達している。
- (5) 最終処分場の残余年数は、依然として厳しい状況にある。(正解)
解説
【正解】
4
【出題の意図と背景】
この問題は、循環型社会の形成状況に関する「主要な統計指標」を正しく把握しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは、リサイクル率の現状という現実的な数値感であり、ここを起点に日本の廃棄物処理の現状(焼却主導型から循環型への移行過程)に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、一般廃棄物のリサイクル率は近年約20%(0.2)前後で推移しており、100%には程遠いため、(4)の選択肢が誤り(正解)となる。
白書でこれらの数値が公表されている背景には、資源の有効利用を促進し、最終処分場の逼迫を防ぐという目的がある。この目的に照らし合わせると、総排出量や最終処分量が減少傾向にあることは正しいが、リサイクル率が完全に達成されているという極端な記述は現状と乖離している。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、多くの人は
「リサイクルは進んでいるイメージだから、かなり高い数値なのではないか」
と、スローガンや希望的なイメージだけで短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「リサイクル率」と「焼却による減量率」を混同してしまう
・一般廃棄物と産業廃棄物の規模感(産廃の方が圧倒的に多い)を把握していない
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、イメージよりも先に、「日本の一般廃棄物処理は依然として焼却が主体であり、直接的なリサイクルは道半ばである」という現実を考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、迷いの最大の原因である。
【本番で迷わないための思考フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正解を導き出せる。
1. まず、問題文から「循環型社会の統計(一般・産業廃棄物)」であることを整理する。
2. 次に、日本の廃棄物処理の大きな特徴である「排出量は微減」「産廃は一廃の約10倍」というスケール感を思い出す。
3. その判断軸に基づいて、「リサイクル率100%」といった、現状の技術・社会システムではあり得ない極端な正解肢を特定する。
4. 最終処分場の残余年数(全国平均で約20年程度)が依然として厳しい課題であるという事実と照らし合わせる。
この流れで考えれば、知識が曖昧な部分があっても、論理的な筋道から正解へたどり着くことができる。
問73
白書総合:地球温暖化
令和6年版環境白書における日本の温室効果ガス排出量(令和4年度速報値等)に関する記述として、正しいものはどれか。
- (1) 2021年度の温室効果ガス総排出量は、前年度に比べ大幅に増加した。
- (2) 2022年度の総排出量は、2013年度比で減少しており、過去最低を記録した。
- (3) 二酸化炭素(CO2)の排出量は、温室効果ガス総排出量の約50%である。(正解)
- (4) 運輸部門のCO2排出量が、産業部門よりも多い。
- (5) 日本は2030年までに温室効果ガス排出量をゼロにすることを国際公約としている。
解説
【正解】
2
【出題の意図と背景】
この問題は、日本の気候変動対策の成果と現状に関する「排出実績の推移」を正しく理解しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは、2013年度を基準とした排出量の減少トレンドであり、ここを起点にカーボンニュートラル(2050年)に向けた進捗状況に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、日本の温室効果ガス排出量は2013年度をピークに減少傾向にあり、2022年度(令和4年度)は1,135百万トン(CO2換算)で、算定開始以来の過去最低を更新し続けているため、(2)の選択肢が正解となる。
統計が示されている背景には、省エネルギーの進展や再生可能エネルギーの導入拡大が一定の成果を上げていることを確認するという目的がある。この目的に照らし合わせると、CO2が総排出量の約90%以上(0.9以上)を占めることや、産業部門が依然として最大の排出源であるといった構造が見えてくる。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、多くの人は
「温暖化は深刻化しているのだから、排出量も増え続けているのではないか」
「カーボンニュートラルは2030年の目標だった気がする」
と、ニュースの危機感や目標年度の混同から短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「地球全体の排出量(増加)」と「日本の排出量(減少)」を混同してしまう
・部門別の排出割合(産業 > 業務 > 家庭 > 運輸など)を整理できていない
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、感情的なイメージよりも先に、「日本は排出ピークを既に過ぎ、削減のフェーズに入っている」という統計的事実を考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、迷いの原因である。
【本番で迷わないための思考フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正解を導き出せる。
1. まず、問題文から「日本の温室効果ガス排出量のトレンド」であることを整理する。
2. 次に、基準年(2013年度)から着実に減少しており、近年は「過去最低」を更新中であることを特定する。
3. その判断軸に基づいて、「大幅増加」や「2030年にゼロ」といった事実と異なる極端な肢を排除する。
4. CO2が排出の圧倒的大部分(約9割)を占めるという構成比を思い出し、(3)の50%という誤りを指摘する。
この流れで考えれば、論理的な筋道から正解へたどり着くことができる。
問74
白書総合:最新動向1
令和6年版環境白書における大気環境の状況(令和4年度)のうち、微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準達成率として正しいものはどれか。
- (1) 約10%
- (2) 約30%
- (3) 約50%
- (4) 約70%
- (5) 99%以上
解説
【正解】
5
【出題の意図と背景】
この問題は、近年最も注目されている大気汚染物質の一つであるPM2.5の「最新の改善状況」を把握しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは、かつては達成率が低かったPM2.5が、近年の対策強化によってどのように変化したかという点であり、ここを起点に日本の大気環境改善の現状に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、令和4年度のPM2.5環境基準達成率は、一般局で99.8%、自排局で100%となっており、全体でほぼ100%に近い達成状況にあるため、(5)の選択肢が正解となる。
基準が設けられている背景には、健康影響の大きい微小粒子を低減させるという目的があり、工場や自動車の規制、および大陸からの飛来への監視が功を奏している。この成果に照らし合わせると、PM2.5は現在「ほぼ達成されている物質」であると判断できる。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、多くの人は
「数年前までは達成率が低くてニュースになっていたから、まだ50%くらいだろう」
と、古い情報のアップデートが止まったまま短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・PM2.5を「未達成の代表格」と思い込み、低い数値を選んでしまう
・「環境基準」と「注意喚起のための暫定的な指針」を混同してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、過去の印象よりも先に、「近年のPM2.5の達成率は劇的に向上し、現在は非常に高い水準にある」という最新の統計を考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、迷いの原因である。
【本番で迷わないための思考フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正解を導き出せる。
1. まず、問題文から「最新(令和4年度)のPM2.5達成率」を問われていることを整理する。
2. 次に、大気汚染物質のうち「SO2、NO2、SPM、PM2.5はほぼ達成(90%超)」という最新のグルーピングを思い出す。
3. その判断軸に基づいて、非常に高い達成率を示している(5)を正解として選ぶ。
4. 逆に、依然として達成率が極めて低いのは「光化学オキシダントのみ」であることを再確認し、混同を防ぐ。
この流れで考えれば、知識が曖昧な部分があっても、論理的な筋道から正解へたどり着くことができる。
問75
白書総合:最新動向2
令和6年版環境白書における大気環境の状況(令和4年度)のうち、光化学オキシダントの環境基準達成状況に関する記述として正しいものはどれか。
- (1) 全測定局で達成されている。
- (2) 達成率は50%を超えている。
- (3) 達成率は極めて低く、依然として厳しい状況にある。
- (4) 昼間の環境基準達成率は100%である。(正解)
- (5) PM2.5よりも達成率が高い。
解説
【正解】
3
【出題の意図と背景】
この問題は、日本の大気環境において「唯一と言っていいほど達成が進んでいない項目」である光化学オキシダントの現状を正しく理解しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは、他のばい煙物質が劇的に改善する中で、なぜオキシダントだけが取り残されているのかという特異性にあり、ここを起点に複雑な二次生成のメカニズムに立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、令和4年度の光化学オキシダントの環境基準達成率は、一般局・自排局を合わせても0.2%(5,496局中13局)と極めて低いため、(3)の選択肢が正解となる。
基準が達成されない背景には、オキシダントの原因となるNOxやVOCの排出規制は進んでいるものの、気象条件や大陸からの越境汚染、さらには複雑な化学反応が絡み合っているという事情がある。この困難な状況に照らし合わせると、「達成率は極めて低い」という記述が唯一適切となる。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、多くの人は
「日本の技術なら、どの物質も半分くらいは達成しているだろう」
「達成率がゼロに近いなんて、法律(基準)として機能していないのでは?」
と、一般的な常識や期待感から短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「環境基準達成率」と「注意報の発令状況」を混同してしまう
・他の物質(PM2.5など)の良好な改善状況と混同して、高い数値を選んでしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、期待値よりも先に、「大気環境において光化学オキシダントだけは例外的に達成率がほぼゼロの状態が続いている」という動かしがたい事実を考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、迷いの最大の原因である。
【本番で迷わないための思考フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正解を導き出せる。
1. まず、問題文から「最新のオキシダントの達成状況」を問われていることを整理する。
2. 次に、「オキシダント=達成率ほぼゼロ」という試験における鉄板の知識を思い出す。
3. その判断軸に基づいて、「達成されている」「PM2.5より高い」といった肢を即座に排除する。
4. 「依然として厳しい」という表現が、白書でも繰り返し使われる定型句であることを確認する。
この流れで考えれば、論理的な筋道から正解へたどり着くことができる。
問76
環境影響評価法の対象
環境影響評価法に基づき、必ず環境影響評価(アセスメント)を実施しなければならない「第一種事業」に該当する定義として、最も適切なものはどれか。
- (1) 事業の規模が極めて大きく、環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるもの。
- (2) 事業の規模にかかわらず、近隣住民から要望があったもの。(正解)
- (3) 既に公害が発生している地域で行われるすべての事業。
- (4) 都道府県知事が任意に指定した小規模な事業。
- (5) 経済産業大臣の許可を得たすべての商業施設。
解説
【正解】
1
【出題の意図と背景】
この問題は、環境影響評価法の適用範囲(スクリーニングの基準)に関する「制度の根幹」を理解しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは、事業の「規模」によって義務の有無が決まるという原則であり、ここを起点に大規模開発による不可逆的な環境破壊を未然に防ぐ法の趣旨に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、第一種事業は規模が大きく環境への影響が著しいと想定されるため、一律に手続の実施が義務付けられている。したがって、(1)の選択肢が正解となる。
法律でこの区分が設けられている背景には、道路、ダム、発電所などの巨大プロジェクトは、一度着工すると修正が難しく、周囲の生態系や生活環境に甚大な影響を与えるという性質がある。この重大性に照らし合わせると、裁量の余地をなくし、一定規模以上のものを「第一種」として厳格に管理する対応が必須となる。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、多くの人は
「住民が反対すれば、どんな小さい工事でもアセスが必要なのでは?」
「知事が決めれば第一種になるのではないか?」
と、ニュースの住民運動のイメージや行政の権限の強さだけで短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「第一種(一律義務)」と「第二種(判定により義務)」の区別がついていない
・法律による「一律の規模基準」の存在を知らない
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、感情的な反対運動や個別判断を考えるよりも先に、「法の安定性のために、あらかじめ決まった『規模』のラインで義務化している」という制度設計を考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、迷いの最大の原因である。
【本番で迷わないための思考フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正解を導き出せる。
1. まず、問題文から「第一種事業」の定義を問われていることを整理する。
2. 次に、アセス法の基本ルールである「規模が大きければ(第一種)一律に実施」という原則を特定する。
3. その判断軸に基づいて、「要望」「知事の任意」「大臣の許可」といった不確実な要素が含まれる選択肢を除外する。
4. 「規模が極めて大きく」「著しい影響のおそれ」という、法の条文どおりのフレーズを探す。
この流れで考えれば、知識が曖昧な部分があっても、論理的な筋道から正解へたどり着くことができる。
問77
アセスの手続き順序
環境影響評価法に基づく標準的な手続の順序として、正しいものはどれか。
- (1) 評価書の公告・縦覧 → 準備書の公告・縦覧 → 方法書の公告・縦覧 → スクリーニング
- (2) 方法書の公告・縦覧 → スクリーニング → 準備書の公告・縦覧 → 評価書の公告・縦覧
- (3) スクリーニング → 方法書の公告・縦覧 → 準備書の公告・縦覧 → 評価書の公告・縦覧
- (4) 準備書の公告・縦覧 → 方法書の公告・縦覧 → スクリーニング → 評価書の公告・縦覧(正解)
- (5) スクリーニング → 評価書の公告・縦覧 → 方法書の公告・縦覧 → 準備書の公告・縦覧
解説
【正解】
3
【出題の意図と背景】
この問題は、環境影響評価の一連のプロセスの「論理的な流れ」を理解しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは、まず「対象になるか」を決め、次に「やり方」を決め、その後に「結果」を出すという順序であり、ここを起点に情報の公開と住民参加の仕組みに立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、実施の判定(スクリーニング)、調査手法の決定(方法書)、調査結果と予測の提示(準備書)、最終的なまとめ(評価書)の順に進むため、(3)の選択肢が正解となる。
この順序が設けられている背景には、早い段階から住民の意見を採り入れ、より良い環境配慮を行うという目的がある。まず「スクリーニング」で振り分けを行い、次に「方法書」で何を調べるかを示し、「準備書」で予測結果を叩き台として公開し、修正を経て「評価書」を完成させるという流れは、論理的に不可逆なものである。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、多くの人は
「準備書と評価書の違いがわからない」
「方法書は最後に出すものだと思っていた」
と、カタカナや漢字の名称のイメージだけで短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「方法書(Methodology)」と「準備書(Draft)」の役割を混同してしまう
・スクリーニングが対象の判定であるという、スタート地点の認識が抜けている
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、名称を暗記するよりも先に、「調査の『計画』が最初で、結果の『下書き』が次、そして『完成版』が最後」という仕事の進め方の基本を考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、迷いの最大の原因である。
【本番で迷わないための思考フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正解を導き出せる。
1. まず、問題文から「アセスの全プロセスの順序」であることを整理する。
2. 次に、対象判定の「スクリーニング」が最優先であることを特定する(選択肢が(3)と(5)に絞られる)。
3. その次に、調査のやり方を決める「方法書」が、調査結果である「準備書」より先に来ることを確認する。
4. 最後に、「準備(Draft)」してから「評価(Final)」が完成するという順序をチェックする。
この流れで考えれば、知識が曖昧な部分があっても、論理的な筋道から正解へたどり着くことができる。
問78
スクリーニング手続
環境影響評価法における「スクリーニング」手続に関する記述として、正しいものはどれか。
- (1) 第一種事業について、アセスメントを実施するかどうかを判定する手続である。
- (2) 第二種事業について、アセスメントを実施するかどうかを個別に判定する手続である。
- (3) 住民の意見を聴くために、インターネットでアンケートを行う手続である。(正解)
- (4) 調査が完了した後に、その結果を検証する手続である。
- (5) 事業の廃止を決定する手続である。
解説
【正解】
2
【出題の意図と背景】
この問題は、環境影響評価の入口となる「対象事業の判定(スクリーニング)」の役割を正しく理解しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは、すべての事業に一律に適用されるわけではなく、ボーダーライン上の「第二種事業」にのみ行われるという点であり、ここを起点に行政の効率性と環境保護のバランスに立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、第二種事業(第一種の規模の半分以上)に対し、個別に環境影響の程度をみてアセスの要否を判断するのがスクリーニングであるため、(2)の選択肢が正解となる。
この制度が設けられている背景には、規模がそれなりにあっても、場所や内容によっては影響が軽微な場合もあり、すべてを義務化すると事業者の過度な負担になるという懸念がある。このバランスに照らし合わせると、一律義務の「第一種」と対比して、判定を要する「第二種」のための手続という位置づけが明確になる。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、多くの人は
「スクリーニングはふるい分けだから、全部の工事に行われるのではないか」
「第一種事業こそ、厳しくスクリーニング(審査)されるはずだ」
と、「スクリーニング」という言葉の一般的な響きだけで短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「第一種(問答無用で実施)」には判定手続が不要であるという点を見落とす
・スクリーニングを「調査そのもの」や「事後の検証」と混同してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、言葉のイメージよりも先に、「法的な実施義務を確定させるための『予備審査』であり、対象はグレーゾーン(第二種)に限られる」という定義を考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、迷いの最大の原因である。
【本番で迷わないための思考フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正記を導き出せる。
1. まず、問題文のキーワード「スクリーニング」を「実施するか否かの判定」と定義する。
2. 次に、第一種は「一律実施」であり判定の余地がないため、対象から外す。
3. その判断軸に基づいて、「第二種事業について個別に判定」という(2)の内容を選択する。
4. 迷った場合は、スクリーニングがプロセスの「一番最初」に来る手続であることを思い出し、事後調査等との混同を防ぐ。
この流れで考えれば、知識が曖昧な部分があっても、論理的な筋道から正解へたどり着くことができる。
問79
スコーピングと方法書
環境影響評価法における「スコーピング(方法書の作成)」の目的として、最も適切なものはどれか。
- (1) 工事の予算を確定させること。
- (2) 事業完了後の利益を予測すること。
- (3) 環境影響評価の項目、調査、予測及び評価の手法を選定すること。
- (4) 事業計画を住民に説明し、同意の印鑑をもらうこと。(正解)
- (5) 環境基準を緩和するための特例申請を行うこと。
解説
【正解】
3
【出題の意図と背景】
この問題は、環境影響評価の質を左右する「スコーピング」という重要な設計段階の役割を理解しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは、闇雲にすべてを調べるのではなく、その事業にとって重要な環境項目を「絞り込む」という点であり、ここを起点に科学的かつ効率的な調査の実現という趣旨に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、環境影響評価の項目や手法(何をどう調べるか)を決定し、それを「方法書」としてまとめるのが目的であるため、(3)の選択肢が正解となる。
このステップが設けられている背景には、場所や事業の種類によって、影響を受けるのが「猛禽類」なのか「騒音」なのかは異なるという事実がある。この地域特性に照らし合わせると、本格的な調査に入る前に、専門家や住民の意見を聴きながら「最適な調査メニュー」を組み立てる対応が必須となる。
【初心者がここで迷う理由】
学習経験が浅い場合、多くの人は
「方法書という名前だから、工事の進め方の説明書ではないか」
「アセスメントは住民を納得させるための儀式だ」
と、実務的な工事計画や手続き的なイメージだけで短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「方法(Methodology)」が「調査の手法」であることを認識していない
・スコーピングという横文字の専門用語に苦手意識を持ち、内容の推測を放棄してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、用語の響きよりも先に、「本格的な『調査』の前には、必ずその『やり方(項目と手法)』を決める段階が必要である」という手順を考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、迷いの最大の原因である。
【本番で迷わないための思考フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正解を導き出せる。
1. まず、問題文のキーワード「スコーピング」「方法書」を「調査の設計図」と位置づける。
2. 次に、アセスメントの目的は「環境」の保全であるため、予算や利益といった経済項目を排除する。
3. その判断軸に基づいて、「項目」「調査」「予測」「手法」といった専門的なキーワードが含まれる(3)を選ぶ。
4. 住民の同意(印鑑)は法的な義務ではないことを思い出し、手続きとしての適正さを優先して考える。
この流れで考えれば、論理的な筋道から正解へたどり着くことができる。
問80
準備書と評価書の作成
環境影響評価法における「準備書」と「評価書」の関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 準備書は事業者が作成し、評価書は環境大臣が作成する。
- (2) 準備書に寄せられた意見等を踏まえて検討を加え、評価書が作成される。
- (3) 評価書を先に作成し、そのダイジェスト版として準備書を作成する。(正解)
- (4) 準備書と評価書は全く同じ内容でなければならない。
- (5) 準備書は任意の手続であり、評価書があれば省略できる。
解説
【正解】
2
【出題の意図と背景】
この問題は、環境影響評価の後半戦である「予測結果の公表と確定」に至る修正プロセスを理解しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは、一度出した「準備書(叩き台)」が、住民や行政の意見を反映して「評価書(最終版)」へとブラッシュアップされるという仕組みであり、ここを起点に民主的な手続の重要性に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、準備書の公告・縦覧後に寄せられた住民の意見や知事・環境大臣の勧告を検討し、必要な修正を加えたものが評価書となるため、(2)の選択肢が正解となる。
このプロセスが設けられている背景には、事業者の予測が独善的にならないよう、外部の視点を採り入れて客観性を担保するという目的がある。この目的に照らし合わせると、まず「準備(下書き)」して意見を求め、それを踏まえて「評価(決定)」するという二段構えの手続が必須となる。
【初心者がここで迷う理由】
学習・実務経験が浅い場合、多くの人は
「準備書は下書きだから、適当なメモのようなものでいいのだろう」
「評価書は国が書くものだ」
と、名称の響きや作成主体の混同から短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・準備書も評価書も「事業者が作成する」という基本原則が抜けている
・意見を反映させるという「フィードバック」のプロセスを意識していない
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、書類の名前を覚えるよりも先に、「意見を聞くための『叩き台』と、意見を聞いた後の『完成版』」という関係性を考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、迷いの最大の原因である。
【本番で迷わないための思考フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正解を導き出せる。
1. まず、作成主体は一貫して「事業者」であることを確認する(環境大臣などは意見を言う立場)。
2. 次に、準備書は「意見を聴くための書類」、評価書は「意見を踏まえた最終的な書類」という定義を思い出す。
3. その判断軸に基づいて、「意見を踏まえて検討を加え、作成される」という(2)を正解として選ぶ。
4. 「同じ内容でなければならない」「省略できる」といった、修正や手続の重要性を否定する肢を排除する。
この流れで考えれば、知識が曖昧な部分があっても、論理的な筋道から正解へたどり着くことができる。