公害防止管理者 大気関係第1種 第3回
問41
越境大気汚染の現状
越境大気汚染および東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- (1) 酸性雨は、原因物質の発生源から数千キロメートルも離れた地域に影響を及ぼす典型的な越境大気汚染である。
- (2) EANETは、東アジア諸国が協力して酸性雨の現状を把握し、共通の理解を醸成することを目的として活動している。
- (3) 日本に降る雨の酸性度は、欧米諸国と比較して極めて低く、越境汚染の影響はほとんど無視できるレベルである。
- (4) 越境大気汚染の原因物質には、硫黄酸化物や窒素酸化物のほか、オゾンや微小粒子状物質(PM2.5)も含まれる。(正解)
- (5) 長距離越境大気汚染条約(LRTAP)は、主に欧州や北米を中心とした枠組みであり、アジア地域は対象外である。
解説
【正解】
(3)
【出題の意図と背景】
この問題は、越境大気汚染に関する「知識」だけでなく、日本を取り巻く「環境の現実と国際協力の必要性」を正しく判断できるかを問う問題である。
着目すべきポイントは「日本における酸性雨の観測データ」であり、ここを起点に近隣諸国との地理的・気象的な関係性に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート】
結論から言うと、日本の降水のpH値は概ね4.5から4.9程度で推移しており、欧米と同程度の酸性度を示しているため、(3)が不適切(正解)となる。
法令・国際協力の背景には、大気汚染物質は国境に関係なく風に乗って移動するという物理的特性がある。特に偏西風の下流に位置する日本では、大陸からの影響を強く受ける。この物理的現実に照らし合わせると、影響を「無視できる」とする判断は環境保全の観点から誤りとなる。
【初心者がここで迷う理由】
「日本の環境技術は進んでいるから、国内の雨もきれいなはずだ」という思い込みや、「他国のせいにしたくない」という主観的な感覚で判断してしまいがちである。
しかし本問では、自国の排出規制(国内対策)と、大気循環による飛来(越境汚染)を切り離して考えなければならない。この順序を飛ばしてしまうことが、データの誤解につながる。
【本番での判断フロー】
1. まず、日本が偏西風帯に位置し、大陸に近いという地理的条件を確認する。
2. 次に、EANETなどの観測網がなぜ必要なのか(=影響があるから監視している)という背景を特定する。
3. 日本の雨のpHが欧米並みである事実に照らし、極端に「低い」「無視できる」とする選択肢を排除する。
4. 他の選択肢が国際的な枠組み(LRTAP、EANET)の基本に沿っているかを確認する。
問42
砂漠化の現状と対策
地球規模の砂漠化の現状および砂漠化対処条約(UNCCD)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- (1) 砂漠化とは、気候変動や人間の活動(過放牧、過耕作など)を含む種々の要因に起因する、乾燥地域等における土地の劣化を指す。
- (2) 砂漠化の主な原因は、気候的な要因よりも、人口増加に伴う森林減少や不適切な水管理といった人為的要因が支配的である。
- (3) 砂漠化はアフリカ大陸のみの現象であり、アジアやラテンアメリカ地域では発生していない。
- (4) 砂漠化対処条約では、深刻な砂漠化に直面している地域、特にアフリカ地域への支援が強調されている。(正解)
- (5) 土地の劣化が進行すると、農業生産性が低下し、貧困や食料不足といった社会問題を引き起こす要因となる。
解説
【正解】
(3)
【出題の意図と背景】
この問題は、砂漠化という広域環境問題の「地理的な広がり」と「発生のメカニズム」を正しく理解しているかを問う問題である。
最大のポイントは「砂漠化は特定の地域だけの問題ではない」という点にあり、ここを起点に世界の乾燥地域の分布に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート】
結論から言うと、砂漠化はアフリカだけでなく、中国を含むアジア、北米、南米、豪州など、世界の乾燥地域で広く発生しているため、(3)が不適切(正解)となる。
環境保全の背景には、過度な経済活動や気候変動が、生態系のバランスを崩して土地を不毛化させるという普遍的な原理がある。この原理は地域を問わず、乾燥・半乾燥地を抱えるすべての国で共通の課題となる。
【初心者がここで迷う理由】
「砂漠といえばサハラ砂漠」という強いイメージから、アフリカ特有の問題だと限定的に考えてしまいがちである。
しかし本問では、土地の「劣化」という現象が、人口密度の高いアジア等でも深刻な社会不安を生んでいる事実に目を向ける必要がある。
【本番での判断フロー】
1. 砂漠化の定義が「土地の劣化」であることを確認する。
2. アジア(特に中央アジアや中国)においても黄砂の原因となるような砂漠化が進んでいる現状を想起する。
3. 選択肢の中で「○○のみ」「○○ではない」といった強い限定表現が含まれるものに注意し、広域性を否定する(3)を特定する。
4. 人為的要因(過放牧など)と社会的影響(貧困)の連鎖が論理的かを確認する。
問43
生物多様性の減少
生物多様性の現状および生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学ー政策プラットフォーム(IPBES)の報告に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- (1) 生物多様性の減少の主な原因には、土地利用の変化(生息地の破壊)、直接的な搾取、気候変動などが挙げられる。
- (2) 現在の生物の絶滅速度は、過去1000万年間の平均と比較して、少なくとも数十倍から数百倍に達していると推定されている。
- (3) 生態系サービスとは、食料や水の供給、気候の調節、精神的な充足など、人間が生態系から受ける恩恵を指す。
- (4) 生物多様性の保全は、あくまで自然保護の観点から行われるものであり、人類の経済活動とは無関係である。
- (5) 外来種の侵入は、在来種との競争や捕食を通じて、地域固有の生物多様性を著しく脅かす要因の一つである。(正解)
解説
【正解】
(4)
【出題の意図と背景】
この問題は、生物多様性の価値を「自然愛護」の枠に留めず、「人類の生存基盤」として論理的に捉えているかを問う問題である。
着目すべきポイントは「生態系サービス」という概念であり、ここを起点に経済と自然の不可分性に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート】
結論から言うと、生物多様性は農業、医薬品開発、防災などあらゆる経済活動の基盤を支えているため、(4)が不適切(正解)となる。
環境政策の背景には、自然資本が毀損されると人類の持続可能な発展が不可能になるという認識がある。この認識に照らし合わせると、保全を「経済と無関係」とする判断は、現在の国際的な評価基準(IPBES等)と相反する。
【初心者がここで迷う理由】
「経済活動は自然を破壊するものだ」という対立構造で考えてしまい、両者が互恵的な関係にある(自然が経済を支えている)という視点を見落としがちである。
また、絶滅速度の数値((2))などの具体的なデータに惑わされ、本質的な「価値観の誤り」を見逃す傾向がある。
【本番での判断フロー】
1. 「生態系サービス」という用語が、人間への恩恵を意味していることを整理する。
2. 自然の喪失が、ビジネスのリスク(原材料の枯渇など)に直結するという現代の潮流を確認する。
3. 選択肢の中で「無関係である」といった極端な断定を行っているものを、現代の環境保全思想に照らして除外する。
問44
ワシントン条約
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約/CITES)」に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- (1) この条約の主な目的は、野生動植物の特定の種が過度に国際取引されることによって絶滅するのを防ぐことである。
- (2) 条約の対象となる種は、その希少性や絶滅の危険度に応じて、附属書1、附属書2、附属書3のいずれかに分類される。
- (3) 附属書1に掲載されている種は、絶滅のおそれがあるものであり、学術研究目的であっても国際取引は一切禁止されている。
- (4) 附属書2に掲載されている種を輸出する場合、その輸出が種を存続させる上で有害でないことを証明する輸出許可証が必要である。(正解)
- (5) ワシントン条約は、野生生物の生息地(現地)での保護そのものを直接規制するのではなく、国際間の「取引」を規制するものである。
解説
【正解】
(3)
【出題の意図と背景】
この問題は、条約の「規制の仕組み」と「例外規定の存在理由」を正確に理解しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは「附属書1の取引条件」であり、ここを起点に管理された取引の許容範囲に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート】
結論から言うと、附属書1に掲載されている種であっても、商業目的以外の「学術研究目的」などであれば、厳格な管理(輸出入両国の許可)の下で取引が認められるため、(3)が不適切(正解)となる。
国際規制の背景には、絶滅を防ぎつつ、科学的な調査や種の保存のための移動を完全に遮断してはならないというバランス感覚がある。この目的に照らし合わせると、「一切禁止」という硬直的な対応は正解ではない。
【初心者がここで迷う理由】
「絶滅寸前なのだから一滴も外に出してはいけないはずだ」という強い規制イメージを持ちがちである。
しかし本問では、条約が「取引を止めること」自体を目的としているのではなく、「取引によって種を絶滅させないこと」を目的としている点に着目する必要がある。
【本番での判断フロー】
1. 附属書の数字が大きくなるほど規制が緩やかになる基本構造を確認する。
2. 附属書1(最も厳しい)でも、「学術目的」という例外があるかどうかをチェックする。
3. 「一切禁止」「例外なし」という文言は、国際条約においては稀であるため、疑ってかかる。
4. 他の選択肢(附属書2の証明義務、取引規制という条約の性質)が正しいことを確認する。
問45
生物多様性条約
「生物多様性条約(CBD)」の3つの主要な目的として、規定されていないものはどれか。
- (1) 生物多様性の保全
- (2) 生物多様性の構成要素の持続可能な利用
- (3) 遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分
- (4) 希少な野生動物の捕獲および殺傷に対する刑事罰の国際的一律化
- (5) 生物多様性の構成要素(遺伝資源など)への適切なアクセス(正解)
解説
【正解】
(4)
【出題の意図と背景】
この問題は、条約が目指す「3つの柱」という基本骨格を把握しているかを問う問題である。
着目すべきポイントは、この条約が「保全」だけでなく「経済(利益配分)」の視点を含んでいる点にあり、ここを起点に国家主権の尊重という背景に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート】
結論から言うと、生物多様性条約の3つの目的は「保全」「持続可能な利用」「利益の公正な配分」であり、(4)のような国内刑法の統一までは目的としていないため、これが正解となる。
条約の背景には、資源を持つ途上国とそれを利用する先進国の間の公平性を確保し、守ることと使うことを両立させるという枠組みがある。刑事罰などの司法手続きは、各国の主権(国内法)に委ねられる部分が大きく、国際条約が直接「一律化」を強制することはない。
【初心者がここで迷う理由】
「生物を殺すのは悪いことだから、条約で禁止しているはずだ」と、倫理的な観点から目的を想像してしまいがちである。
しかし本問では、条約が「利用(使うこと)」を認めた上で「利益の分け方」を議論しているという、現実的な経済的側面を理解しておく必要がある。
【本番での判断フロー】
1. 生物多様性条約の「3つの目的」を頭に浮かべる。
2. 「保全」だけではなく「利用」が含まれていることを確認する。
3. 途上国の利益を守るための「利益配分(名古屋議定書などに関連)」というキーワードを探す。
4. 選択肢の中で、主権を侵害するような「刑罰の一律化」といった非現実的な項目を排除する。
問46
海洋汚染とマルポール
船舶による海洋汚染防止のための国際条約(MARPOL条約)および海洋汚染の現状に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- (1) MARPOL条約は、船舶の事故による汚染だけでなく、船舶の通常運航に伴う油や有害液体物質などの排出も規制対象としている。
- (2) 船舶からの排ガスに含まれる硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)の規制も、MARPOL条約の附属書において定められている。
- (3) 海洋汚染の約8割は陸域での活動(家庭排水やプラスチックごみの流出など)に起因しており、船舶からの汚染は少数派である。
- (4) MARPOL条約は国際海事機関(IMO)が策定したものであり、加盟国の商船には旗国の如何を問わず厳格に適用される。
- (5) 海洋におけるプラスチックごみ問題は解決済みであり、現在の海洋汚染の主な原因は重油による汚染のみである。
解説
【正解】
(5)
【出題の意図と背景】
この問題は、海洋汚染の「多角的な要因」と「最新の国際規制の範囲」を理解しているかを問う問題である。
着目すべき最大のポイントは「汚染物質の種類の広がり」であり、ここを起点に大気汚染との接点(船舶排ガス)に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート】
結論から言うと、プラスチックごみ問題は深刻化しており、解決には程遠い現状にあるため、(5)が不適切(正解)となる。
環境規制の背景には、かつては「油」だけが問題だったが、現在は「化学物質」「下水」「ごみ」、さらには「船舶からの排ガス」までが地球規模の脅威になっているという認識の変化がある。大気関係の試験においても、船舶SOx規制などは重要なテーマである。
【初心者がここで迷う理由】
「海洋汚染防止法=海の中の話」と思い込み、(2)の「排ガス(空の話)」が含まれていることに違和感を感じて誤りと判断してしまいがちである。
しかし本問では、MARPOL条約の附属書VIに大気汚染防止が明記されている事実を把握しておく必要がある。
【本番での判断フロー】
1. MARPOL条約が「船舶」に起因するあらゆる汚染(排ガス含む)をカバーしていることを確認する。
2. 現状、マイクロプラスチックを含む「ごみ」が最大の懸案事項の一つである事実を想起する。
3. 「解決済み」「○○のみ」という断定的な表現が含まれる(5)が、現実のニュースや白書の記述と矛盾していることを特定する。
問47
マイクロプラスチック
海洋マイクロプラスチック問題に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- (1) マイクロプラスチックとは、一般に直径5ミリメートル以下の微小なプラスチック粒子を指す。
- (2) 海洋へ流出したプラスチックは、紫外線や波の衝撃による物理的な破砕を受けても、自然界で完全に分解・消失することはない。
- (3) マイクロプラスチックはその表面に、海水中のPCBなどの疎水性有害化学物質を吸着・濃縮する性質がある。
- (4) マイクロプラスチックは極めて微小であるため、魚類などの海洋生物が摂取しても食物連鎖を通じて上位者に濃縮されることはない。
- (5) 製品の原料として意図的に製造された「プライマリー・マイクロプラスチック(洗顔料のスクラブ等)」も汚染源の一つである。(正解)
解説
【正解】
(4)
【出題の意図と背景】
この問題は、マイクロプラスチックの「物理化学的な性質」と「生態系へのリスク」を正しく判断できるかを問う問題である。
着目すべきポイントは「有害物質の吸着と生物濃縮」にあり、ここを起点に環境汚染の連鎖という原則に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート】
結論から言うと、マイクロプラスチックは食物連鎖を通じて上位の生物に取り込まれ、その際に吸着した有害物質も移行するため、(4)が不適切(正解)となる。
環境リスクの背景には、プラスチックは分解されないまま残留し続けるという「難分解性」と、油になじみやすい物質を呼び寄せる「疎水性吸着」という科学的性質がある。これらが組み合わさることで、生命のサイクルに入り込み、最終的に人間への影響も懸念される事態を招く。
【初心者がここで迷う理由】
「小さなごみを魚が食べても、そのまま排出されるのではないか」という楽観的なイメージで判断してしまいがちである。
しかし本問では、単なる「ごみ」としてではなく、有害物質の「運び屋」としてのリスクを考慮する必要がある。
【本番での判断フロー】
1. 定義としての「5mm以下」を確認する。
2. プラスチックの性質として「難分解性」と「吸着性」を前提に置く。
3. 食物連鎖による「生物濃縮」は環境問題の基本原則(水銀やPCBと同様)であるため、それを否定する選択肢を探す。
4. 「濃縮されることはない」と言い切っている(4)を選択する。
問48
有害廃棄物の越境移動
有害廃棄物の国境を越える移動が国際的な問題となった背景に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- (1) 先進諸国で排出される有害廃棄物の処理コストが高騰したため、処理費用の安い発展途上国へ輸出されるケースが増えた。
- (2) 発展途上国では有害廃棄物を適切に処理・処分するための施設や法規制が不十分な場合が多く、不法投棄による深刻な環境汚染や健康被害が発生した。
- (3) 廃棄物の越境移動は、常に資源の有効活用のために行われており、過去に環境被害を引き起こした事例は一度も存在しない。
- (4) 有害廃棄物を積んだ船舶が、複数の国から入港を拒否され、行き場を失って公海上を漂流する事件(ココ号事件など)が発生した。(正解)
- (5) この問題に対処するため、有害廃棄物の輸出入を管理する国際的な枠組みとしてバーゼル条約が策定された。
解説
【正解】
(3)
【出題の意図と背景】
この問題は、国際条約が誕生した「負の歴史」と「経済的力関係」を理解しているかを問う問題である。
最大のポイントは、条約が「きれいごと」ではなく「実際に起きた悲惨な公害事件」への反省から生まれたという点にあり、ここを起点に規制の必要性に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート】
結論から言うと、1980年代にアフリカ諸国等で不法投棄による重大な健康被害が多発したことが条約策定の直接の契機であるため、(3)が不適切(正解)となる。
国際政治の背景には、環境規制の厳しい国(高いコスト)から緩い国(低いコスト)へ「公害を輸出」するという、市場の失敗がある。これを是正するために、単なる「資源活用」という言い訳を許さない厳格な手続きが必要となった。
【初心者がここで迷う理由】
「リサイクル(資源活用)は良いことだ」という現代のポジティブなイメージに引きずられ、有害廃棄物問題のドロドロとした歴史的背景を見過ごしがちである。
また、具体的な事件名(ココ号事件など)を知らなくても、(3)の「一度も存在しない」という強気な否定文に違和感を持てるかどうかが鍵となる。
【本番での判断フロー】
1. 「有害廃棄物」の処理にはコストがかかるという経済的現実を確認する。
2. コストの安い(規制の緩い)国へ流れるのは自然な動きだが、それが「不法投棄」につながった歴史を想起する。
3. 「一度も存在しない」という、歴史を否定するような記述を疑う。
4. バーゼル条約がその「対策」として生まれた流れを論理的に結びつける。
問49
バーゼル条約の概要
「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の統制に関するバーゼル条約」に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- (1) この条約は、有害廃棄物の輸出の際に、輸入国の「事前の同意(PIC)」を必要とする手続きを定めている。
- (2) 条約の対象となる廃棄物は、爆発性、引火性、毒性などの有害な特性を持つものに加え、一部のプラスチックごみなども含まれるよう見直されている。
- (3) 条約の目的の一つには、有害廃棄物の発生量そのものを最小限に抑えることが掲げられている。
- (4) 加盟国は、いかなる理由があっても自国内で発生した有害廃棄物を国外に輸出することは一切禁止されている。
- (5) 非締約国との間での有害廃棄物の輸出入は、原則として禁止されている。(正解)
解説
【正解】
(4)
【出題の意図と背景】
この問題は、条約の「統制(コントロール)」と「禁止(バニング)」の違いを正確に把握しているかを問う問題である。
着目すべきポイントは「手続きを踏めば移動可能」という実務的なルールにあり、ここを起点に国際間の適正処理の可能性に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート】
結論から言うと、バーゼル条約は輸出入を「一切禁止」しているのではなく、適切な管理能力がある場合などは「厳格な手続き(通知と同意)」の下で輸出が可能であるため、(4)が不適切(正解)となる。
法規制の背景には、国内に処理施設がない国などが、高度な技術を持つ他国へ適正処理を依頼する場合などは認めるべきであるという現実的な運用ニーズがある。このニーズに照らし合わせると、全廃的な禁止は逆効果(不法投棄の誘発)になりかねない。
【初心者がここで迷う理由】
「有害なものは動かさないのが一番だ」という倫理観が先行し、条約の名前にある「統制(コントロール)」という言葉の意味を読み飛ばしてしまいがちである。
また、(5)の「非締約国との禁止」といった細かいルールに不安を感じてしまうことがある。
【本番での判断フロー】
1. 条約の名称に「統制(Control)」とあることに着目する。
2. 原則は「国内処理」だが、輸出が必要な場合の「事前の同意(PIC)」手続きが条約の心臓部であることを想起する。
3. 選択肢の中で「いかなる理由があっても」「一切禁止」といった、例外を一切認めない極端な表現を探す。
4. 他の選択肢(プラスチックの追加、発生抑制の目的など)が最新の動向に沿っているかを確認する。
問50
地球環境問題の総合
地球環境問題の全体像および複数の環境問題の相互関係に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- (1) 地球温暖化の進行は、海水の膨張や氷河の融解を招き、地盤沈下とは別に海面水位の上昇を引き起こす。
- (2) オゾン層の保護のために導入された代替フロン(HFCなど)の中には、極めて強力な温室効果を持つものがあり、地球温暖化を促進する要因となっている。
- (3) 地球環境問題は互いに独立しており、例えば砂漠化の進行が地球温暖化の抑制に寄与するといった相乗効果は期待できない。
- (4) 生物多様性の損失と気候変動は相互に影響し合っており、例えば森林の減少は二酸化炭素の吸収源を失わせ、温暖化をさらに加速させる。(正解)
- (5) 地球環境問題の解決には、科学的知見に基づいた国際条約の策定と、それぞれの国内法による着実な履行が必要不可欠である。
解説
【正解】
(3)
【出題の意図と背景】
この問題は、個別の環境問題を「点」ではなく「線」で結び、全体的なシステム(地球生態系)として捉える統合的な思考力を問う問題である。
最大のポイントは「環境問題の相互関連性」であり、ここを起点に一つの対策が別の問題を悪化させたり、逆に悪循環を生んだりする複雑性に立ち返れるかどうかが分かれ目となる。
【正解への判断ルート】
結論から言うと、地球環境問題は「互いに独立」しているわけではなく、複雑に影響し合っているため(例えば温暖化が砂漠化を加速させ、砂漠化が炭素固定能力を下げて温暖化を加速させるなど)、(3)が不適切(正解)となる。
環境保全の背景には、地球は一つの生命維持システムであるという「ガイア理論」にも通じる大前提がある。この前提に照らし合わせると、問題を切り離して考えることは、真の解決策を妨げる原因となる。
【初心者がここで迷う理由】
科目ごとの勉強に集中するあまり、章をまたいだ情報のリンクを忘れがちである。
特に「砂漠化が温暖化を抑制する」という誤った仮説(反射率の変化など)が、一般常識と混ざって混乱を招くことがある。
【本番での判断フロー】
1. 地球環境問題のキーワード(温暖化、オゾン、多様性、砂漠化)を並べ、それらがどう繋がっているかを確認する。
2. 一つの対策が副作用を生む例((2)の代替フロンの温室効果)など、問題の複雑性を意識する。
3. 「独立している」「関係がない」といった、システムの相互作用を否定する表現を排除する。
4. 環境問題の多くが「正のフィードバック(悪循環)」の関係にあることを論理的根拠として正解を選ぶ。
問51
温室効果ガス排出量
令和6年版環境白書等に示された、我が国の2021年度(令和3年度)および2022年度(令和4年度)の温室効果ガス総排出量の動向に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 2013年度をピークとして増加を続けており、2022年度は過去最高を記録した。
- (2) 2022年度の総排出量は、前年度(2021年度)と比較して微増したが、2013年度比では大幅に減少している。
- (3) 2022年度の総排出量は、前年度(2021年度)と比較して約10%減少した。(正解)
- (4) 2021年度の総排出量は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の停滞により、前年度より大幅に増加した。
- (5) 温室効果ガスのうち、メタンの排出量が全体の90%以上を占めている。
解説
【正解】
(2)
【出題の意図と背景】
この問題は、我が国の温室効果ガス排出量の推移に関する「最新の統計データ」と「長期的な傾向」を正確に把握しているかを問う問題である。
白書等のデータで注目すべきポイントは「2013年度との比較」および「前年度比の変動要因」である [cite: 3, 4]。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、2022年度の総排出量は約11億3,500万トン(二酸化炭素換算)であり、前年度(2021年度)の約11億2,200万トンから微増している。しかし、基準年とされる2013年度と比較すると22.9%減少しており、長期的な減少傾向は維持されている [cite: 3]。したがって、(2)が適切である。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験や学習が浅い場合、「温暖化対策をしているのだから毎年必ず減っているはずだ」と短絡的に考えてしまい、前年度比での微増(社会経済活動の回復によるもの)を見落として(3)などを選びがちである。また、成分構成について二酸化炭素が9割以上であることを知らず、(5)で迷うケースも多い。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. まず、基準年(2013年度)以降の長期的傾向は「減少」であることを思い出す。
2. 次に、直近年度(2021-2022年度)はパンデミックからの経済回復により「微増」している特異点を整理する [cite: 3]。
3. 温室効果ガスの主成分は二酸化炭素(約90%以上)であることを前提に選択肢を絞り込む。
4. 白書(第2部 第4章)等の最新数値に基づき判断する [cite: 3]。
問52
PM2.5基準達成率
令和6年版環境白書等に示された、微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準達成状況(2022年度)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 一般環境大気測定局および自動車排出ガス測定局のいずれにおいても、達成率は50%を下回っている。
- (2) 一般環境大気測定局での達成率は90%を超えているが、自動車排出ガス測定局では30%程度に留まっている。
- (3) 一般環境大気測定局および自動車排出ガス測定局のいずれにおいても、達成率はほぼ100%(99%以上)に達している。
- (4) 近年の黄砂の影響により、達成率は前年度と比較して大幅に低下した。(正解)
- (5) PM2.5には環境基準が設定されていないため、達成率は算出されていない。
解説
【正解】
(3)
【出題の意図と背景】
この問題は、近年の大気汚染対策の成果を象徴するPM2.5の環境基準達成率について、最新の数値を理解しているかを問う問題である。
白書の中で注目すべきポイントは、かつて低かった達成率が「近年極めて高い水準で安定している」という点である [cite: 3, 6]。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、2022年度の達成率は、一般環境大気測定局で99.8%、自動車排出ガス測定局で100%となっており、(3)が正解である [cite: 3]。
【初心者がここで迷う理由】
「PM2.5はニュースでよく問題にされているから、まだ達成率は低いはずだ」というイメージ先行の判断をしてしまい、(1)や(2)を選びがちである。実際には、国内の排出規制や燃料転換が進んだことで、達成率は劇的に改善している事実に立ち返る必要がある。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. PM2.5は「近年、達成率が非常に高い項目」へと変化したことを認識する [cite: 3, 6]。
2. 白書(第2部 第4章)のデータを確認し、一般局・自排局ともに99%を超えていることを基準とする [cite: 3]。
3. 黄砂などの一時的な自然要因による変動はあるが、全体としての高い達成傾向は変わらないことを確認する。
問53
オキシダント基準達成
環境白書における光化学オキシダントの環境基準達成状況に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 排出規制の強化により、全国の測定局の約80%で環境基準を達成している。
- (2) 二酸化窒素の低減に伴い、達成率は年々向上しており、現在は50%を超えている。
- (3) 環境基準の達成状況は極めて低く、依然として全国のほとんどの測定局で達成されていない。
- (4) 達成率は都市部で高く、地方部で低いという顕著な傾向がある。(正解)
- (5) 光化学オキシダントの環境基準は、1年間の平均値で評価される。
解説
【正解】
(3)
【出題の意図と背景】
この問題は、他の大気汚染物質と比較して、光化学オキシダントが「唯一改善が進んでいない項目」であることを理解しているかを問う問題である [cite: 3, 6]。
白書において「極めて低い達成率」は毎年強調される重要ポイントである。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、光化学オキシダントの環境基準達成局数は、全国でも数局程度(達成率約0.1%前後)であり、ほとんど達成されていないのが現状である [cite: 3]。したがって、(3)が正解となる。
【初心者がここで迷う理由】
「他の物質(SO2やNO2)がほぼ100%達成しているから、オキシダントもそこそこ達成しているだろう」と推測してしまい、(1)や(2)を選びがちである。オキシダントは生成機構が複雑(二次生成)であり、NOxやVOCを減らしても数値が下がりにくいという特性がある。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. 大気汚染物質の中で「オキシダントだけは例外的に達成率がほぼゼロ」という特異性を頭に入れる [cite: 3, 6]。
2. 環境基準の評価が「1時間値が0.06ppm以下」という厳しい基準であることを思い出す。
3. 白書の統計(状況:大気環境の保全)に目を通し、達成率が0%に近いことを確認する [cite: 3]。
問54
NO2の基準達成率
二酸化窒素(NO2)の環境基準達成状況(2022年度)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 一般環境大気測定局では100%の達成率であるが、自動車排出ガス測定局では依然として90%を下回っている。
- (2) 一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局ともに、ほぼ100%の達成率を維持している。
- (3) ディーゼル車規制の緩和により、大都市圏での達成率が近年低下している。(正解)
- (4) 二酸化窒素の環境基準は、PM2.5の基準よりも達成が困難である。
- (5) 2022年度において、環境基準を達成できなかった測定局は全国で1,000局を超えた。
解説
【正解】
(2)
【出題の意図と背景】
この問題は、かつて大都市圏で深刻な問題であったNO2が、現在ではほぼ完全に環境基準を達成しているという現状を把握しているかを問う問題である [cite: 3, 6]。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、2022年度のデータでは、一般環境大気測定局で100%、自動車排出ガス測定局でも100%(長期的評価)を達成しており、(2)が正解である [cite: 3]。
【初心者がここで迷う理由】
「自動車が多い場所では排ガスで基準を超えているはずだ」という古い知識やイメージに引きずられ、(1)を選んでしまいがちである。自動車排出ガス規制(NOx・PM法など)の成果を正しく評価することが重要である。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. NO2は「過去の主要課題だったが、現在はほぼ100%達成された項目」であると整理する [cite: 3, 6]。
2. 自排局(道路沿い)であっても現在は極めて高い達成率であることを白書で確認する [cite: 3]。
3. 基準未達成局が全国でもゼロに近い極小規模であることを認識する。
問55
SO2の基準達成率
二酸化硫黄(SO2)の環境基準達成状況に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 火力発電所からの排出が増加しているため、近年達成率が低下している。
- (2) 火山活動の影響を受ける一部の地域を除き、ほぼ100%の達成率を長期間維持している。
- (3) SO2は環境基準が設定されていないため、達成率は公表されない。(正解)
- (4) 現在でも大規模工業地帯周辺では、達成率が50%程度である。
- (5) 自動車排出ガスが主な原因であり、自排局での達成率が極めて低い。
解説
【正解】
(2)
【出題の意図と背景】
この問題は、日本の公害対策の原点ともいえるSO2が、早期に対策が完了し、現在は火山等の自然要因を除きほぼ完遂されていることを理解しているかを問う問題である [cite: 3, 6]。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、SO2は高度経済成長期の脱硫技術の普及により早期に改善され、現在は100%に近い達成率を維持している。ただし、火山ガスの影響を受ける地点では一時的に基準を超えることがあるため、(2)が最も適切である [cite: 3]。
【初心者がここで迷う理由】
「石炭火力発電の利用が増えているからSO2も増えているのでは?」と、燃料種のニュースから短絡的に(1)を推測しがちである。実際には高度な排煙脱硫装置が設置されているため、排出は極限まで抑えられている。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. SO2は「1970年代から劇的に改善し、既に安定している項目」と整理する [cite: 6]。
2. 「火山活動による影響」という例外キーワードが白書によく登場することを思い出す [cite: 3]。
3. 発生源が「自動車」ではなく「工場・事業場(燃料燃焼)」であることを前提に、選択肢を排除する。
問56
SPMの基準達成率
浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準達成状況(2022年度)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局ともに、100%またはそれに極めて近い達成率である。
- (2) PM2.5よりも粒子径が大きいため、集じんが困難であり、達成率は80%程度に留まる。(正解)
- (3) 工場からのばいじん排出量が増加したため、近年達成率が急落した。
- (4) 二酸化硫黄と同様に、火山活動の影響を最も強く受ける項目である。
- (5) 達成率は、大気安定度が低くなる夏期に著しく低下する。
解説
【正解】
(1)
【出題の意図と背景】
この問題は、PM2.5と混同されやすいSPMについても、現在の達成状況を正確に把握しているかを問う問題である [cite: 3, 6]。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、2022年度の達成率は一般環境大気測定局で100%、自動車排出ガス測定局でも100%であり、(1)が正解である [cite: 3]。
【初心者がここで迷う理由】
「PM2.5が微小で大変なら、SPM(10マイクロメートル以下)もまだ問題があるはずだ」と誤解して(2)などを選びがちである。実際には、従来の集じん技術やディーゼル車規制の効果により、SPMの対策はほぼ完了している。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. SPMは「PM2.5より先に達成率が100%付近に達した項目」と認識する [cite: 6]。
2. 白書のグラフを確認し、長期的評価での達成率がほぼ100%であることを確認する [cite: 3]。
3. 粒径が大きいSPMの方が、技術的に捕集・抑制が容易であった歴史的背景を理解しておく。
問57
大気汚染の経年変化
1960年代から現在に至るまでの我が国の大気汚染物質の濃度の経年変化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 二酸化窒素は、1970年代から一貫して増加を続けている。
- (2) 二酸化硫黄は、1960年代後半をピークに、その後大幅に減少した。
- (3) 光化学オキシダントの年平均値は、近年、劇的な減少傾向にある。(正解)
- (4) 一酸化炭素は、自動車の普及に伴い、現在も濃度が上昇し続けている。
- (5) 浮遊粒子状物質は、2000年以降になって初めて測定が開始された。
解説
【正解】
(2)
【出題の意図と背景】
この問題は、日本の大気汚染対策の歴史的変遷をグラフ(白書等)のイメージとして理解しているかを問う問題である [cite: 3, 6]。
各物質がどのタイミングでピークを迎え、いつ改善したかの「順序」がポイントとなる。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、SO2は「四日市ぜんそく」等の深刻な公害を経て、1960年代後半から強力な対策(K値規制、脱硫等)がとられ、最も早く大幅に減少した物質であるため、(2)が正解である [cite: 6]。
【初心者がここで迷う理由】
「現在も環境問題は続いているから、どの物質も少しずつ増えているのではないか」と漠然と考えてしまい、(1)や(4)を疑ってしまう。実際には、日本の大気汚染防止技術は非常に高く、多くの項目で激減している。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. SO2が「公害の主役として最初に叩かれ、最初に減った」というストーリーを覚える。
2. NO2やSPMは、自動車対策が進んだ1990年代以降に大きく改善した [cite: 6]。
3. オキシダント(Ox)だけは「横ばい、あるいは微増傾向」であり、減少していないことを思い出す [cite: 3]。
問58
水質汚濁の現状と推移
環境白書に示された、我が国の公共用水域の水質汚濁状況に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)の達成率は、99%を超えた高い水準にある。
- (2) 生活環境の保全に関する環境基準(BOD/COD)の達成率は、すべての水域で100%である。(正解)
- (3) 湖沼におけるCODの環境基準達成率は、海域や河川と比較して非常に高い。
- (4) 水質汚濁の主な原因は、現在でも大規模工場からの重金属排出である。
- (5) 水質汚濁に関する苦情件数は、大気汚染に関する苦情件数よりも常に多い。
解説
【正解】
(1)
【出題の意図と背景】
この問題は、水質汚濁の現状について「健康項目(ほぼ達成)」と「生活環境項目(未達成あり)」の対比を理解しているかを問う問題である [cite: 3]。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、カドミウムやシアン等の健康項目については、2022年度の達成率が99.1%と極めて高い水準にあるため、(1)が正解である [cite: 3]。
【初心者がここで迷う理由】
「水質もまだ汚れているイメージがあるから、健康項目も低いのではないか」と考えがちである。実際には、深刻な健康被害をもたらす物質の規制は徹底されており、現在の課題は「生活排水によるBOD/COD(特に湖沼などの閉鎖性水域)」に移行している [cite: 3]。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. 健康項目は「ほぼ完璧(99%以上)」、生活環境項目(BOD/COD)は「まだ課題あり」という二段構えで理解する [cite: 3]。
2. 閉鎖性水域(湖沼)は達成率が低く(50%程度)、河川(90%以上)よりも状況が悪いことを認識する [cite: 3]。
3. 原因が「工場」から「生活排水(家庭)」へシフトしている歴史的背景を抑える。
問59
土壌汚染の状況
環境白書における土壌汚染対策法に基づく土壌汚染の状況に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 土壌汚染が判明するきっかけは、土地の形質変更時の調査が最も多い。
- (2) 土壌汚染の調査件数は、近年激減しており、新たな汚染は発見されていない。(正解)
- (3) 土壌汚染対策法には、罰則規定が一切存在しない。
- (4) 汚染物質として最も多いのは、常に「ダイオキシン類」である。
- (5) 土壌汚染の浄化費用は、すべて国が負担することが定められている。
解説
【正解】
(1)
【出題の意図と背景】
この問題は、土壌汚染がどのような場面で見つかり、どのような物質が主流かを統計的に把握しているかを問う問題である [cite: 3]。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、土壌汚染対策法に基づく調査のうち、3,000平方メートル以上の土地の形質の変更時に行われる調査(法第4条)によって汚染が判明するケースが最多であるため、(1)が正解である [cite: 3]。
【初心者がここで迷う理由】
「工場が閉鎖された時(法第3条)が一番多いはずだ」と推測してしまいがちだが、統計上は「土地の開発・改変時(第4条)」の調査機会が非常に多いため、そちらが判明件数の多数を占める。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. 土壌汚染は「土地を動かす(形質変更)ときに見つかる」のが現在の主流であると整理する [cite: 3]。
2. 汚染物質は「鉛、砒素、フッ素」などの重金属類や「ベンゼン、トリクロロエチレン」などの揮発性有機化合物が多いことを確認する。
3. 費用負担は「原因者負担の原則(PPP)」であることを前提に選択肢を除外する。
問60
騒音・振動の推移
環境白書における騒音・振動の現状と苦情に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- (1) 騒音に関する苦情件数は、典型7公害の中で最も少なく、年々減少している。
- (2) 騒音の苦情原因として最も多いのは、常に「航空機」によるものである。
- (3) 自動車騒音の常時監視において、環境基準を達成している住居等の割合は約90%以上である。
- (4) 振動に関する苦情は、大気汚染の苦情件数よりも常に多い。(正解)
- (5) 騒音の環境基準は、すべての地域で一律の数値(50デシベル)が適用される。
解説
【正解】
(3)
【出題の意図と背景】
この問題は、騒音・振動が「苦情件数の多さ」と「達成率」という二つの側面でどのように統計に表れているかを問う問題である [cite: 3]。
【正解への判断ルート(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、道路に面する地域における自動車騒音の環境基準達成率は、2022年度において約95%(昼夜間とも達成)に達しており、(3)が適切である [cite: 3]。
【初心者がここで迷う理由】
「騒音は身近な問題だから達成率は低いはずだ」と考えがちであるが、評価対象となる住居等の多くでは基準を満たしている。一方で、騒音は典型7公害の中で「苦情件数が最も多い(または上位)」という特徴があり、達成率が高いことと苦情が多いことが両立している点に注意が必要である。
【本番で迷わないための思考フロー】
1. 騒音・悪臭は「苦情件数が多い」グループであることを記憶する [cite: 3]。
2. 自動車騒音の達成率は「意外と高い(9割超)」ことを白書で確認する [cite: 3]。
3. 騒音の基準は「土地の利用状況(住居用、商業用など)」や「時間帯(昼間、夜間)」によって細かく分かれていることを思い出す。