貸金業務取扱主任者 第5回

問81

(手数料と保証料の制限) 貸金業法および利息制限法に基づく、保証料および手数料の制限に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者が受け取る「礼金」や「調査料」は、名目がいかなるものであっても、利息制限法上の利息とみなされることはない。
  2. 保証業者が受け取る保証料がある場合、利息の額に保証料の額を加算した合計額が、利息制限法第1条に定める利率(年15%~20%)を超えてはならない。
  3. 営業貸付において、金銭の貸借の媒介を行う者が受け取る手数料(媒介手数料)の額は、借入金額の年5%を超えても、当事者間の合意があれば有効である。(正解)
  4. 契約の締結費用や公約の費用を債務者が負担する場合、これらは利息制限法における「みなし利息」として常に全額が利息に含まれる。

解説

【設問の意図】 この問題は、利息以外の名目(保証料や手数料)による脱法的な高利貸付けを防ぐための「利息制限法」と「貸金業法」の連携ルールを理解しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、保証料がある場合は「利息+保証料」の合計が上限利率を超えてはならないため、選択肢②が正解となる。 もし保証料を別枠にできるとすると、業者は利息を上限ギリギリにしつつ、さらに「保証料」名目で追加の利益を得ることができてしまい、利息制限法の趣旨(借り手の保護)が骨抜きになってしまう。そのため、法は両者を合算して制限をかけている。 【初心者がここで迷う理由】 「保証料は保証会社に払うものだから、貸金業者の利息とは別物だろう」という現場の感覚で判断すると、合算の必要性に気づけず迷ってしまう。 しかし、法規の趣旨は「名目が何であれ、借り手が負担する実質的なコストが上限を超えないようにする」ことにある。 【本番での判断フロー】 1, まず、利息制限法における「利息とみなすもの(みなし利息)」の原則を思い出す。 2, 媒介手数料の上限(原則として年5%)や、保証料との合算ルールの存在を確認する。 3, 名目が「礼金」や「調査料」であっても利息に含まれることを認識し、①を消去する。 4, 合算合計が制限利率の範囲内であるべきだという②を正解として選ぶ。

問82

(みなし利息の計算) 利息制限法における「みなし利息」に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。

  1. 金銭を目的とする消費貸借に関し、債権者の受ける元本以外の金銭は、名目のいかんを問わず、利息とみなされるのが原則である。
  2. 契約の締結に要する費用(印紙代など)を債務者が負担する場合、その費用は利息とみなされない。
  3. 強制執行の費用や、受取証書の作成費用など、債務者の負担とすることが相当とされる特定の費用は利息とみなされない。
  4. 債権者が受け取る「契約更新手数料」は、事務手続きの対価であるため、いかなる場合も利息とみなされることはない。

解説

【設問の意図】 この問題は、「利息」という言葉の定義を、単なる暗記ではなく「債権者が実質的に得る利益」という観点から論理的に判別できるかを問うものである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、契約更新手数料であっても債権者が受け取るのであれば、原則として利息とみなされるため、選択肢④が不適切(正解)となる。 利息制限法は、「利息」という呼び名以外の名目で暴利を貪る行為を厳格に封じている。公的な実費(印紙代等)や、債務者が負担すべき当然の費用を除き、債権者の取り分となるものはすべて「利息」として合算計算しなければならない。 【初心者がここで迷う理由】 「事務作業の実費としての手数料なら、利息とは違うのではないか」という業者の視点で考えてしまいがちである。 しかし、法規は「なぜそのような法律が必要か」という背景に立ち返ると、業者が勝手に設定した手数料を野放しにすれば上限利率を守らせることが不可能になるため、厳しく「みなし利息」として扱うのである。 【本番での判断フロー】 1, まず、「債権者が自分の懐に入れるお金か、それとも外に支払う実費か」という判断軸を持つ。 2, 債権者の利益になる名目はすべて「利息」のバケツに入ると決める。 3, 印紙代(②)や公的な費用(③)は債務者が負担しても利息には入らないと判断する。 4, 「手数料」を利息から外そうとしている④に違和感を持ち、これを選ぶ。

問83

(ATM手数料等の取扱い) 貸金業法上、利息とみなされない「再発行手数料」や「ATM利用手数料」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者が顧客から受け取るATM利用手数料は、その額にかかわらず常に利息とみなされない。
  2. カードの再発行手数料を徴収する場合、実費の範囲内であれば利息とみなされないが、あらかじめ契約においてその額を定めておく必要はない。
  3. 顧客がATMを利用して返済や借入れを行う際の手数料は、1万円以下の取引では110円、1万円を超える取引では220円(税込)を上限として、利息とみなされない。
  4. 提携ATMの利用手数料は、貸金業者が自由に金額を設定してよい。(正解)

解説

【設問の意図】 この問題は、利息制限法の「例外」として認められている特定の費用について、その具体的な「上限額」と「条件」を正確に把握しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、ATM手数料には明確な上限(110円または220円)が定められており、この範囲内であれば利息とみなされないため、選択肢③が適切である。 これは、ATMなどのインフラ利用にかかるコストを、ある程度実費として債務者に負担させることを認めつつも、その名目で高額な利益を得ることを防ぐためのバランス調整である。 【初心者がここで迷う理由】 「手数料なのだから、業者がコストに合わせて自由に決めてよいはずだ」と現場の感覚で考えてしまうと、固定された金額の基準(110円/220円)を失念しがちである。 また、「常に免除される(①)」や「定めておく必要はない(②)」といった極端な表現に惑わされないようにする必要がある。 【本番での判断フロー】 1, まず、ATM手数料が例外的に「利息から除外」されるための数値条件を思い出す。 2, 「1万円以下は110円」「1万円超は220円」という具体的な数字を探す。 3, 「自由設定」や「常に免除」といった曖昧な記述を消去する。 4, 正確な数字が記載されている③を確信を持って選ぶ。

問84

(顧客情報の安全管理) 貸金業法上の「顧客情報の安全管理」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 個人情報取扱事業者に該当しない小規模な貸金業者であれば、安全管理措置を講じる義務は免除される。
  2. 貸金業者は、顧客情報の漏えい等の事故が発生した場合、直ちに内閣総理大臣(または知事)に報告する義務があるが、顧客本人への通知は努力義務にとどまる。
  3. 貸金業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。
  4. 従業員に個人データを取り扱わせる際、その監督を行う必要はないが、外部に委託する場合は委託先を監督しなければならない。(正解)

解説

【設問の意図】 この問題は、個人情報保護法と貸金業法の両面から求められる「安全管理措置」の重みを理解しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、漏えい防止等の措置を講じることは貸金業法上の義務であるため、選択肢③が正解となる。 貸金業者は、借入状況という極めてセンシティブな個人情報を扱う。これが漏えいすれば、他業者からの不要な勧誘や犯罪に利用されるなど、資金需要者の利益を著しく害するため、規模に関わらず厳格な管理が求められる。 【初心者がここで迷う理由】 「小さな会社ならそこまで厳しくないだろう」といったイメージで①を選んだり、「内部の人間なら信頼して任せてよい」と甘く考えて④を選んでしまいがちである。 しかし、法規は「なぜそのような法律が必要か」という背景(人権とプライバシーの保護)に基づき、内部・外部を問わず「適切かつ必要な監督」を求めている。 【本番での判断フロー】 1, まず、「個人情報の保護は貸金業の登録維持に不可欠な要件である」と整理する。 2, 規模による免除(①)や、従業員への監督不要(④)といった「抜け穴」を探す選択肢を消去する。 3, 法令上の表現として最も包括的で妥当な記述(漏えい・滅失・き損の防止)を選び取る。

問85

(暴力団員等の排除) 貸金業者の「暴力団員等の排除」に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、反社会的勢力との関係を遮断するため、社内規定(社内規則)を整備し、組織的に対応しなければならない。
  2. 貸金業者は、契約締結前の調査において、相手方が暴力団員等に該当するかどうかを確認するよう努める必要がある。
  3. 暴力団員等が貸金業者の役員に就任していることが判明した場合でも、その役員が実際の業務に携わっていなければ、登録を取り消されることはない。
  4. 貸金業者は、暴力団員等からの不当な要求があった場合、従業員の安全を確保しつつ、警察等の外部専門機関と連携して対応すべきである。(正解)

解説

【設問の意図】 この問題は、貸金業法が反社会的勢力に対してどれほど厳しい姿勢をとっているか(「人的欠格事由」と「登録取消」の関係)を問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、役員が暴力団員等に該当すれば、その業務実態に関わらず登録拒否事由・取消事由となるため、選択肢③が不適切(正解)となる。 貸金業法において反社排除が定められている背景には、貸金業を犯罪組織の資金源にさせないという強い目的がある。「名目上の役員なら良い」という理屈は通用しない。 【初心者がここで迷う理由】 「実態として何も悪いことをしていなければ、存在しているだけで免許がなくなるのは厳しすぎるのではないか」と現場の感覚で考えてしまう。 しかし、法規は「存在そのものを許さない」ことで、業界の健全性と社会の安全を守る設計になっている。 【本番での判断フロー】 1, まず、貸金業の登録要件において「暴力団員等は絶対的なNG項目である」と整理する。 2, 「業務に携わっていないならOK」といった、反社排除を緩めるような解釈の選択肢を探し、それを誤りとする。 3, 警察との連携(④)や社内規則の整備(①)などの、組織的な防衛策の記述が妥当であることを確認する。

問86

(犯収法:目的と定義) 「犯罪収益移転防止法(犯収法)」の目的および定義に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. この法律の目的は、犯罪収益の移転を防止することにより、組織的犯罪の根絶を図り、国民生活の安全を確保することにある。
  2. 貸金業者は、犯収法上の「特定事業者」には含まれないため、この法律に基づく義務を負わない。(正解)
  3. 「犯罪収益」とは、殺人や強盗などの凶悪犯罪によって得られた利益に限定され、詐欺や横領によるものは含まれない。
  4. 犯収法に基づく「取引時確認」は、法人の顧客に対してのみ行えばよく、個人の顧客に対しては行う必要はない。

解説

【設問の意図】 この問題は、貸金業者がなぜ金融犯罪対策の義務を負うのか、犯収法の全体像を把握しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、犯収法はマネー・ローンダリングやテロ資金供与を防ぎ、組織犯罪を根絶するための法律であるため、選択肢①が正解となる。 貸金業者は「特定事業者」に指定されており、架空口座やなりすましによる貸付け・返済がマネロンに利用されるのを防ぐゲートキーパーとしての役割が期待されている。 【初心者がここで迷う理由】 「貸金業法ではないから関係ないだろう(②)」や「犯罪という言葉のイメージで凶悪事件だけに目が行く(③)」という、制度の範囲に対する誤解が迷いの原因である。 犯収法は「取引の透明性を確保する」ためのインフラ法であると理解しなければならない。 【本番での判断フロー】 1, まず、貸金業者が「特定事業者」として犯収法の対象であることを確認する。 2, 目的が「犯罪収益の移転防止(マネロン対策)」であることを軸にする。 3, 特定事業者の対象外とする記述(②)や、対象を法人に限定する記述(④)を機械的に排除する。

問87

(犯収法:取引時確認) 犯罪収益移転防止法に基づく「取引時確認」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 個人の顧客の本人確認は、住所・氏名・生年月日を確認すれば足り、取引の目的や職業を確認する必要はない。
  2. 顧客が本人であることの確認は、運転免許証などの公的書類の提示を受ける方法だけでなく、顧客の口頭による申告のみで行うことも許される。
  3. 法人の顧客と取引を行う際は、その法人の名称および本店所在地だけでなく、実際に手続きを行う「担当者(取引の任に当たっている者)」の本人確認も行わなければならない。
  4. 一度取引時確認を行った顧客であれば、その後に取引内容に不自然な点が生じたとしても、再度確認を行う必要はない。(正解)

解説

【設問の意図】 この問題は、実務上極めて重要な「誰を、どこまで確認すべきか」という犯収法の詳細ルールを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、法人の場合は「法人そのもの」と「実際に動いている担当者」のダブルチェックが必要なため、選択肢③が適切である。 法人は実体が見えないため、偽装が容易である。そのため、登記情報で法人を確認すると同時に、窓口に来た人間の身分証も確認することで、なりすましによる不正取引を多層的に防ぐのである。 【初心者がここで迷う理由】 「会社の委任状があるのだから、担当者の身分証まで見るのは失礼ではないか」という現場の遠慮が生じることがあるが、法規はそれを許さない。 また、「本人確認=身分証」という単純な理解(①)にとどまらず、現在の法規は「目的」や「職業」などの背景確認も求めている。 【本番での判断フロー】 1, まず、本人確認の4項目「氏名・住所・生年月日」に加えて「目的・職業」もセットであると思い出す(①消去)。 2, 「口頭申告のみ(②)」といった、セキュリティを著しく下げる選択肢を排除する。 3, 「法人の取引=法人+担当者」という鉄則に合致する③を選ぶ。

問88

(犯収法:記録の保存) 犯罪収益移転防止法に基づく「確認記録」および「取引記録」の作成・保存に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 取引時確認を行った際の「確認記録」は、取引が終了した日から1年間保存すればよい。
  2. 貸金業者は、取引時確認を行った場合、直ちにその記録を作成し、取引が終了した日等から7年間保存しなければならない。
  3. 取引記録の作成は努力義務であり、保存期間についても特段の定めはない。(正解)
  4. 記録の保存は電子データで行うことは認められず、必ず紙の書類で保存しなければならない。

解説

【設問の意図】 この問題は、事後的な追跡(フォレンジック)を可能にするための「記録保存の重要性」と「期間」について問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、記録の保存期間は「7年間」であるため、選択肢②が正解となる。 なぜこれほど長い期間が必要かというと、大規模なマネー・ローンダリングやテロ資金供与の捜査には数年を要することが多く、古い記録が残っていないと資金の足跡を辿ることができなくなるからである。 【初心者がここで迷う理由】 「貸金業法の帳簿保存(10年)」と「犯収法の記録保存(7年)」の数字が混同しやすい。 また、「努力義務(③)」という言葉の響きの弱さに惑わされないよう、これが刑事罰や行政処分に直結する厳格な義務であることを認識する必要がある。 【本番での判断フロー】 1, まず、「犯収法の保存期間はラッキーセブンの『7年』」と暗記ではなく、捜査に必要な期間としてイメージする。 2, 1年(①)では短すぎ、努力義務(③)では法規の体をなさないと判断する。 3, 「取引終了から7年」という期間を正しく述べている②を選ぶ。

問89

(犯収法:疑わしい取引) 犯罪収益移転防止法に基づく「疑わしい取引の届出」に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、受け取った財産が犯罪収益である疑いがある場合、速やかに行政庁(金融庁等)に届け出なければならない。
  2. 疑わしい取引に該当するかどうかの判断に際しては、貸金業協会が定めるガイドラインなどを参考にする必要がある。
  3. 疑わしい取引の届出を行ったことを、当該顧客やその関係者に漏らしてはならない。
  4. 疑わしい取引の届出は、顧客からの強い抗議があった場合には、業者の判断で取り下げることができる。

解説

【設問の意図】 この問題は、届出の秘匿性(守秘義務)と、行政に対する協力の強制力について理解しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、一度「疑わしい」と判断して届け出たものを、顧客の抗議によって取り下げることは制度の趣旨に反するため、選択肢④が不適切(正解)となる。 犯収法の目的は「こっそり行政に知らせて捜査の端緒にすること」であり、顧客に知られること自体が厳禁(情報の漏えい禁止=③)である。顧客の抗議で取り下げるという行為は、顧客に届出を教えたことを示唆しており、極めて危険な行為である。 【初心者がここで迷う理由】 「顧客とのトラブルを避けたい」という現場の感覚が、④のような判断を正しいと誤認させてしまう。 しかし、法規は「現場の感覚」よりも「国家の安全(マネロン阻止)」を優先することを求めている。 【本番での判断フロー】 1, まず、疑わしい取引の届出は「絶対に本人に知られてはいけない(密告)」という性質を理解する。 2, したがって、本人への通知や、本人の意向による取り下げ(④)はあり得ないと判断する。 3, 「速やかに(①)」「外部への漏えい禁止(③)」という、犯収法の基本ルールが守られていることを確認する。

問90

(貸金業法総合:登録) 貸金業の登録制度全般に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 日本国内に営業所を置かず、海外の拠点からインターネットを通じて日本の居住者に貸付けを行う場合は、貸金業の登録を受ける必要はない。
  2. 登録の有効期間が満了する際、更新の申請を忘れていても、前回の登録期間中に違反行為がなければ、自動的に登録は更新される。
  3. 登録申請書に記載すべき「営業所等の名称」は、本店だけでなく、支店や、無人の自動契約機設置場所も含まれる。
  4. 法人が貸金業の登録を受ける場合、その代表者が主任者資格を持っていれば、各営業所に主任者を置く必要はない。(正解)

解説

【設問の意図】 この問題は、登録制度が「どこまで網をかけているか」という、貸金業法の統治範囲を総合的に理解しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、営業所等にはすべての拠点が網羅されるため、選択肢③が適切である。 貸金業法は、どこで誰がどのような営業活動をしているかを把握するために「営業所等」の定義を広く取っている。無人の機械であっても、そこで契約が行われる以上、行政の監督が及ぶ場所として登録が必要なのである。 【初心者がここで迷う理由】 「海外のサイトなら日本の法律は届かないだろう(①)」や「社長が資格を持っていれば十分だろう(④)」といった、法務上の管轄や組織責任の所在に関する誤解が迷いの原因となる。 日本の居住者を相手にする以上、入り口を問わず日本の法律が適用される。 【本番での判断フロー】 1, まず、貸金業法は「日本に住む借り手を守るための法律」であると整理する。 2, 海外からの攻撃も、無人機での契約も、すべて借り手に被害が出る可能性があるため、規制対象になると判断する(①消去)。 3, 「自動更新(②)」という、厳格な登録制度を緩めるような仕組みは存在しないと断ずる。 4, 拠点をすべて登録させることで、ヤミ金の入り込みを防ぐという③の論理を選び取る。

問91

(貸金業法総合:主任者) 貸金業務取扱主任者に関する次の記述のうち、貸金業法の規定によれば、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、営業所等において貸金業の業務に従事する者の人数にかかわらず、各営業所等に1名以上の主任者を置けば、法的な設置義務を完全に満たす。
  2. 主任者登録の有効期間は5年であり、有効期間の満了後も引き続き主任者として業務を行うには、有効期間が満了するまでに登録の更新を受けなければならない。
  3. 主任者は、貸金業の業務に従事する者に対し、法令を遵守して業務を行うよう助言又は指導を行う義務があるが、従業員がその助言に従わなかったとしても主任者が責任を問われることはない。
  4. 貸金業者は、営業所等において主任者が不足することとなった場合、その日から2週間以内に、新たに主任者を設置する等の必要な措置をとらなければならない。

解説

【設問の意図】 この問題は、貸金業務取扱主任者制度に関する「登録・設置・職務」という複数の重要項目を横断的に問うものである。単なる用語の暗記ではなく、現場のコンプライアンス維持のために主任者がどのように機能すべきかという制度の全体像を理解しているかを問う。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、主任者の欠員が生じた場合の「2週間以内」の措置義務を述べた選択肢④が正解となる。 主任者が突然退職するなどして、法令で定める設置人数(従事者50名に対して1名以上)を欠くこととなった場合、業者は直ちに営業停止になるわけではなく、2週間の猶予期間内に補充等の是正措置をとる必要がある。これは実務上の継続性と法令遵守のバランスをとるための規定である。 【初心者がここで迷う理由】 「主任者は1人いれば十分だろう」と安易に考えて①を選んだり、他の国家資格のイメージで「有効期間は5年だろう」と思い込んで②を選んでしまいがちである(貸金業の主任者登録は『3年』更新)。また、主任者の責任範囲を甘く解釈して③を選ぶケースも多いが、主任者は従業員への指導義務があり、管理体制に不備があれば当然その責任が問われる。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、主任者の設置比率が「50人に1人」であることを思い出し、①を消去する。 2, 次に、登録の有効期間が「3年」という短い期間(知識の鮮度を保つため)であることを確認し、②を消去する。 3, 主任者の役割は「コンプライアンスの指導・監督」という重い職務であることを再確認し、責任を逃れるような記述の③を消去する。 4, 貸金業法において多くの猶予期間が「2週間(14日)」に設定されているというパターンに合致する④を正解として選ぶ。

問92

(貸金業法総合:業務規制) 貸金業者が行う業務運営体制や業務上の規制に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、営業所等ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示しなければならないが、ウェブサイト上での掲示義務はない。
  2. 貸金業者は、貸金業の業務に従事する者の氏名等を記載した従業者名簿を営業所等ごとに備え置き、最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。
  3. 貸金業者は、資金需要者等の利益の保護を図るため、内閣府令で定めるところにより、貸金業の業務に関する社内規則を整備しなければならない。
  4. 貸金業者は、貸付けの契約の締結を勧誘する場合、相手方の請求があったときに限り、年利や返済方法などの貸付条件を掲示すればよい。(正解)

解説

【設問の意図】 この問題は、業者が守るべき「看板(標識)」「名簿」「社内ルール(社内規則)」「勧誘ルール」という多岐にわたる業務規制の要点を整理できているかを問うものである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、適切な社内規則の整備を義務付けている選択肢③が正解となる。 貸金業法において社内規則の整備が求められている背景には、個々の従業員の判断に任せるのではなく、組織として統一された高い法令遵守水準を保つ目的がある。社内規則には、過剰貸付の防止や苦情対応、主任者の権限などが明記されていなければならない。 【初心者がここで迷う理由】 「名簿はとりあえず保管していればよい」と期間をあやふやに覚えてしまい、②の「10年(正解は10年だが、記載事項や他の帳簿との混同)」に迷うことがある(従業者名簿の保存は最終記載から10年で正しいが、他の選択肢との比較が必要)。しかし、現在は一定の要件を満たす業者はウェブサイトへの標識掲示も義務付けられており①は不十分。また貸付条件の掲示は「常時」必要であり、請求時のみとする④は明確に誤りである。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、標識や条件掲示が「常に、誰でも確認できる」ことが利用者保護の基本であると整理し、①と④を消去する。 2, 従業者名簿の保存期間などの細かい数字に迷ったら、一度保留し、より根本的な「組織体制」に関する記述を探す。 3, 貸金業法が「仕組みとしての健全性」を重視していることから、社内規則の整備義務が必須であることを確認する。 4, 制度の目的(借り手保護)に最も合致する③を確信をもって正解とする。

問93

(貸金業法総合:総量規制) 総量規制(個人過剰貸付契約の禁止)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、個人顧客と貸付けの契約を締結しようとする場合、当該顧客の年収の0.3333333333…倍(3分の1)を超えていなければ、返済能力の調査を行う必要はない。
  2. 貸金業者が個人顧客に対して行う貸付けであれば、使途を問わず、すべて総量規制の対象となり、例外は認められない。
  3. 貸金業者は、個人顧客と極度方式基本契約を締結しようとする際、他の貸金業者からの借入残高の合計が100万円を超える場合は、当該顧客の年収を証明する書面を取得しなければならない。
  4. 総量規制の計算において、銀行からの借入金や、クレジットカードのショッピング利用分は、合算の対象に含まれない。

解説

【設問の意図】 この問題は、総量規制の計算範囲と、年収証明書の徴求義務という実務上の重要ポイントを正確に理解しているかを問うものである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、銀行借入やショッピング利用分が総量規制の枠外であることを述べた選択肢④が正解となる。 総量規制はあくまで「貸金業者(消費者金融・カード会社のキャッシング等)」からの借入れを制限するものであり、貸金業法が適用されない銀行等からの借入れや、割賦販売法に基づくクレジットのショッピング利用分は、この1/3(0.3333…)の計算には含まれない。 【初心者がここで迷う理由】 「1/3を超えなければ調査不要」という極端な解釈をして①を選んだり、「すべての貸付けが対象」と思い込んで②を選んでしまいがちである。返済能力調査は金額にかかわらず「義務」であり、総量規制には「除外」や「例外」の区分が存在する。また、年収証明の基準(50万円超または合計100万円超)の数字の組み合わせで③の記述が正しいか迷うこともある(③は『合計が100万円を超える場合』としているが、正しくは『合計が100万円を超える『とき』、すなわち100万円を含んで超えるかどうかの判定に注意)。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、総量規制は「貸金業者」を対象としたルールであることを再確認する。 2, 銀行(銀行法)とクレジットカードのショッピング(割賦販売法)は、貸金業法の総量規制の計算(分子)には入らないと決める。 3, 金額にかかわらず「返済能力の調査」は必須であるため、①を消去する。 4, 100万円の基準は「100万円『を超える』場合(すなわち1,000,001円〜)」ではなく「100万円『超』」という定義を正確に照合しつつ、確実な法的枠組みを述べた④を選ぶ。

問94

(貸金業法総合:書面交付) 貸金業法に基づく書面交付義務に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、貸付けの契約を締結したときは、遅滞なく、当該契約の内容を明らかにする書面(17条書面)を、貸付金の交付の有無にかかわらず交付しなければならない。
  2. 受取証書(18条書面)は、顧客から弁済を受けた都度、直ちに交付しなければならず、いかなる場合も後日の郵送や電磁的方法による提供は認められない。(正解)
  3. 契約締結前の書面(16条の2書面)には、利息の計算方法や返済の方式を記載しなければならないが、賠償額の予定(遅延損害金)に関する事項は記載不要である。
  4. 貸金業者が保証契約を締結した場合、主たる債務者に対してのみ書面を交付すればよく、保証人に対して書面を交付する義務はない。

解説

【設問の意図】 この問題は、16条の2(事前)、17条(契約)、18条(受取証書)という3つの書面交付義務について、交付のタイミングや対象者を正しく整理できているかを問うものである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、契約締結時の17条書面の交付義務を正しく述べた選択肢①が正解となる。 貸金業法において書面交付が厳格に定められている背景には、口約束や曖昧な条件によるトラブルを防ぎ、借り手がいつでも自分の契約内容を確認できるようにする目的がある。契約が成立した以上、実際にお金が動く前であっても書面の交付が必要である。 【初心者がここで迷う理由】 「受取証書は郵送でもよいはずだ」といった実務的な例外(電磁的方法の承諾があれば可)を混同して②を迷ったり、「保証人にも書面は必要だろう」という常識的判断で④を正しいと思ってしまったりすることがある(④は保証人にも交付が必要なので記述としては不適切)。また、記載事項の多さに圧倒されて③のような「一部不要」という記述に惑わされやすい。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、書面交付の3段階(前・中・後)を整理する。 2, 契約が成立した「中」の段階(17条)では、遅滞なく書面を出すのが大原則であると判断する。 3, 「〜に限り認められない」や「〜は不要」といった極端な限定表現(②、③)には疑いを持つ。 4, 保証人も「借り手」と同様に保護されるべき対象であるため、書面が不要とされる④を消去する。 5, 原則を忠実に述べている①を正解とする。

問95

(貸金業法総合:極度方式) 極度方式基本契約および極度方式貸付けに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 極度方式基本契約を締結している場合、個別の貸付けを行うたびに、必ず17条書面(契約書面)をその都度交付しなければならない。
  2. 貸金業者は、極度方式基本契約を締結している顧客に対し、少なくとも1ヶ月に1回、借入残高や返済状況を記載した書面を必ず送付しなければならない。
  3. 極度方式基本契約に基づく貸付けの受取証書(18条書面)について、顧客の承諾があれば、一定期間分をまとめて記載した明細書を交付することで代えることができる。
  4. 極度方式基本契約における「極度額」とは、顧客が一度に借り入れることができる最大金額のことであり、返済が進んでもその範囲内で繰り返し借りることはできない。(正解)

解説

【設問の意図】 この問題は、カードローンなどに代表される「極度方式(リボ払い・枠貸し)」特有のルールの例外規定(事務負担軽減のための措置)を理解しているかを問うものである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、受取証書のまとめ交付を認めている選択肢③が正解となる。 極度方式では頻繁に借り入れと返済が繰り返されるため、その都度紙の領収書(18条書面)を発行・郵送するのは現実的ではない。そのため、あらかじめ顧客の承諾を得るなどの要件を満たせば、一定期間(1ヶ月等)の取引をまとめた明細書の交付で済ませることが認められている。 【初心者がここで迷う理由】 「17条書面は毎回必要だろう」と思い込んで①を選んだり、明細書の送付頻度が「1ヶ月に1回」と法律で決まっていると勘違いして②を選んだりしがちである(実際には3ヶ月に1回以上の交付等のルールがある)。また、「極度額」の定義を単なる一回きりの上限と誤解すると④の誤りに気づけない。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、極度方式は「繰り返しの利用」が前提であると整理する。 2, 繰り返されるたびに詳細な契約書(17条)を出すのは非効率であるため、①は例外があるはずだと考える。 3, 領収書(18条)についても同様に「まとめ出し」の特例があるはずだと判断する。 4, 「必ず1ヶ月に1回」のような数字の限定(②)には慎重になり、特例の存在を正確に述べている③を正解として選ぶ。

問96

(貸金業法総合:罰則) 貸金業法および関連法令の罰則に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業の登録を受けずに貸金業を営んだ者(無登録営業者)に対しては、最高で1億円の罰金が科される場合があるが、懲役刑が科されることはない。
  2. 貸金業者が、取立制限規定に違反して深夜に執拗な電話取立てを行った場合、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらが併科される可能性がある。
  3. 過料(行政罰)は、裁判所ではなく都道府県知事や財務局長が直接徴収するものであり、前科として記録される。(正解)
  4. 法人である貸金業者の従業員が、業務に関して無登録営業などの重大な違反を犯した場合、その従業員本人は罰せられるが、法人(会社)に対して罰金が科されることはない。

解説

【設問の意図】 この問題は、罰則の種類(懲役・罰金・過料)と、法人の連帯責任(両罰規定)の仕組みを正しく理解しているかを問うものである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、不当な取立行為に対する刑事罰の可能性を述べた選択肢②が正解となる。 貸金業法において厳しい罰則が設けられている背景には、悪質な取立てが自殺や家庭崩壊などの深刻な社会問題を引き起こした歴史がある。そのため、取立制限違反などの重大な違反には、行政処分だけでなく懲役や罰金といった刑事罰が併科(両方科される)される非常に重い設定になっている。 【初心者がここで迷う理由】 「無登録営業は懲役がない」という①のような記述に、軽い罪だと思い込んで惑わされたり、「法人には罰金がいかない」という④の誤った思い込み(両罰規定の無視)をしてしまったりすることがある。また、「過料」を「罰金」と同じ刑事罰だと混同して③を選んでしまうケースも多い。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、貸金業法における「最も重い罪」は無登録営業や名義貸し、取立違反であると整理する。 2, それらには「懲役と罰金の両方」が科される重い罰があることを思い出し、①を消去する。 3, 法人の従業員が犯した罪は会社も責任を負う(両罰規定)ため、④を消去する。 4, 過料は「前科にならない軽い行政罰」であると判断し、③を消去する。 5, 消去法で②が残る。数字(2年・300万)が正確か不安でも、体系的に②が正しいと判断できる。

問97

(貸金業法総合:犯収法) 「犯罪収益移転防止法(犯収法)」に基づき、貸金業者が行うべき義務に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、顧客と貸付けの契約を締結する際、対面での取引であれば、運転免許証等の本人確認書類の提示を受けるだけでよく、その写し(コピー)を保存する義務はない。
  2. 貸金業者は、本人確認を行った際の「確認記録」および取引の内容を記した「取引記録」を、それぞれ契約終了の日から5年間保存しなければならない。
  3. 貸金業者は、取引の状況から「疑わしい取引」に該当すると判断した場合は、速やかに所轄の警察署にその旨を届け出なければならない。
  4. 貸金業者は、法人顧客と取引を行う場合、その法人の本人確認だけでなく、実質的支配者(議決権の25パーセント超を保有する個人等)の確認も行わなければならない。

解説

【設問の意図】 この問題は、マネーロンダリング防止のための犯収法について、貸金業者が負う具体的な義務(本人確認、記録保存、疑わしい取引の届出)を問うものである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、法人顧客の「実質的支配者」の確認義務を述べた選択肢④が正解となる。 犯収法において実質的支配者の確認が求められている背景には、法人の影に隠れて犯罪組織が資金洗浄を行うのを防ぐ目的がある。法人の代表者だけでなく、その法人を実質的に操っている個人(議決権を多く持つ者など)まで遡って確認する必要がある。 【初心者がここで迷う理由】 「コピーの保存は不要」という①や、保存期間の起算点を間違えた②(正解は取引日や確認日から7年等)、届出先を「警察」と思い込んだ③(正解は金融庁・財務局)などの「もっともらしい」誤答に惑わされやすい。特に保存期間の「7年」は、貸金業法の「10年」や「3年」と混同しやすいポイントである。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、犯収法は「テロ資金や犯罪収益を追跡するための法律」であると整理する。 2, したがって、単なる本人確認よりも厳しい「記録の保存(コピー等含む)」や「実質的な支配者の特定」が必要なはずだと判断する。 3, 保存期間は、多くの金融規制に合わせ「7年」であると思い出し(※問題文の5年は誤り)、②を消去する。 4, 疑わしい取引の届出先は、行政(金融庁)というパイプラインであることを確認し、③を消去する。 5, 法人の裏側までチェックする④を正解として選ぶ。

問98

(貸金業法事例:名義貸し) 貸金業者Aは、登録を受けていないBから「Bが集めた顧客に対して、Aの名義を使って融資を行いたい。売上の半分をAに支払う」との持ちかけを受けた。この事例に関する次の記述のうち、貸金業法上、最も適切なものを1つ選べ。

  1. Bが貸金業務取扱主任者の資格を持っており、Aの指示に従って業務を行うのであれば、Aは自己の名義をBに使わせることができる。
  2. Aが融資の最終審査を行い、貸付実行もA名義の口座から行うのであれば、集客や契約手続きをBに丸投げしても名義貸しには該当しない。
  3. AがBに対して「Aの代理人」として振る舞うよう指示し、顧客にもその旨を説明しているのであれば、名義貸しの禁止には抵触しない。
  4. Aが自己の名義をもってBに貸金業を営ませることは、いかなる理由があっても禁止されており、Aは登録取消処分や刑事罰の対象となる。

解説

【設問の意図】 この問題は、「名義貸し」の禁止という絶対的なルールについて、実務的な「言い訳」や「変則的な形態」が一切通用しないことを理解しているかを問う事例問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、名義貸しは例外なく禁止されていることを述べた選択肢④が正解となる。 貸金業法第12条において名義貸しが禁止されている背景には、厳しい登録審査をパスしていない不適格な者が、登録業者の名前を借りてヤミ金融のような活動をすることを根絶する目的がある。「名義を貸す側」も「借りる側」も、制度を破壊する極めて重い違反とされる。 【初心者がここで迷う理由】 「Bが資格を持っていればいいのでは?(①)」や「最終的なハンコをAが押せばいいのでは?(②)」といった、「実質的に管理していればセーフ」という勝手な思い込みをしてしまいがちである。また、「代理人ならいいのでは?(③)」というひっかけにも弱い。しかし、貸金業の登録は「その者自身が自ら営むこと」を前提としており、名前だけ貸して他人に商売をさせることは全面的にアウトである。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、問題文に「無登録のBがAの名前を使って商売をしようとしている」という構図を見つける。 2, これは貸金業法が最も嫌う「名義貸し」そのものであると判断する。 3, 「資格の有無」や「利益配分の形」といった枝葉末節の条件はすべて無視する。 4, 「いかなる理由があっても禁止」という強い表現を使っている④を、法の趣旨に最も合致するものとして選ぶ。

問99

(貸金業法事例:取立行為) 貸金業者Cの従業員が行った次の取立行為のうち、貸金業法の規定に照らして、適切(違反とならない)と考えられるものはどれか。

  1. 債務者の自宅を午後9時30分に訪問し、玄関前で「早く返せ」と大声で叫び、近隣住民に借金の存在を知らせた。
  2. 債務者の勤務先に電話をかけ、債務者以外の従業員に対し、債務者の借金額を詳細に話し、立て替えを要求した。
  3. 債務者が弁護士に債務整理を委託し、その旨の通知が届いた後であったが、今後の返済計画を相談するため、債務者本人に直接電話をかけた。
  4. 債務者が「今は支払えないので後日連絡する。今は帰ってほしい」と明確に意思表示したため、その場は引き下がり、翌日の日中に改めて連絡した。

解説

【設問の意図】 この問題は、取立行為の制限(21条)について、具体的なNG事例(時間帯、場所、方法、弁護士介入後)を判別し、何が「正当な取り立て」として許容されるかを問うものである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、債務者の退去要請に従い、適切な時間に再連絡した選択肢④が正解(違反とならない)となる。 貸金業法における取立規制は、債務者の平穏な生活を不当に害することを禁じている。「帰ってほしい」と言われたのに居座るのは「不退去」という違反になるが、指示通り引き下がり、常識的な時間帯(午前8時〜午後9時)に改めて連絡することは、債権回収としての正当な業務範囲内である。 【初心者がここで迷う理由】 「一度断られたら二度と連絡してはいけないのでは?」と消極的に考えて④を疑ったり、「午後9時30分ならまだ起きているからいいだろう」と自分勝手な時間感覚で①をセーフだと思ってしまったりすることがある(正解は午後9時以降は原則NG)。また、「返済計画の相談なら本人に電話してもいいはず」と③の弁護士介入後の接触禁止ルールを軽く見てしまうミスも多い。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、取立規制のキーワード「夜9時以降」「勤務先」「第三者への告知」「弁護士介入」を思い出す。 2, 午後9時を過ぎている①はアウト。 3, 第三者に情報を漏らし、肩代わりを迫る②はアウト。 4, 弁護士からの受任通知が届いた後の直接連絡(③)は、内容にかかわらず絶対アウト。 5, 消去法で、債務者の意思を尊重し、法令の枠内で行動している④を正解とする。

問100

(貸金業法事例:書面不備) 貸金業者Dが顧客に交付した17条書面(契約締結時の書面)において、次の事項のうち、1つでも記載が欠けていた場合に「書面不備(交付義務違反)」となるものはどれか。

  1. 貸金業者の登録番号、商号および住所
  2. 顧客が将来支払うことになる利息の総額(概算ではなく確定額)(正解)
  3. 契約を締結した担当従業員の生年月日および自宅住所
  4. 顧客が過去に他の貸金業者から借り入れた際のすべての取引履歴

解説

【設問の意図】 この問題は、契約書面(17条書面)の法定記載事項について、重要事項と、不必要な個人情報・他社情報を区別できているかを問うものである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、貸金業者の身元を示す登録番号等の記載が必須であるため、選択肢①が正解となる。 17条書面においてこれらの記載が求められている背景には、契約の責任主体を明確にし、紛争が生じた際の連絡先や行政による監督の対象を特定する目的がある。これが欠けていると、利用者は誰と契約したのか法的に証明することが困難になる。 【初心者がここで迷う理由】 「将来の利息総額」という言葉に、親切心から必要だと思い込んで②を選んでしまいがちである(実際には利率等は必須だが、変動金利や追加借入がある場合は確定額の記載は困難なため、必須事項の定義が異なる)。また、「担当者の情報(③)」や「他社の履歴(④)」まで契約書に載せるべきだという過剰なコンプライアンス意識を持ってしまうこともあるが、これらは法定記載事項ではない。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、契約書の「基本のキ」を考える。「誰が(業者)」「誰に(顧客)」「いくら(金額)」「いつまでに(期限)」「いくらで(利率)」は絶対に外せない。 2, 業者の登録番号や商号は「誰が」を証明する最重要項目であるため、①を必須と判断する。 3, 「将来の確定額(②)」や「プライバシーに関わる他社履歴(④)」は、契約そのものの条件ではないため、記載義務まではないと推測する。 4, 担当従業員の個人情報(③)は、業務上の責任とは無関係であり、書面への記載は不要であると消去する。 5, 業者の身元情報である①を確実な正解として選ぶ。