貸金業務取扱主任者 第4回

問61

(協会の加入と脱退) 日本貸金業協会(以下「協会」という。)の加入および脱退に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、貸金業の登録を受けたときは、当然に協会の会員となり、脱退することはできない。
  2. 貸金業者は、法人の場合は協会への加入が義務付けられているが、個人の貸金業者の場合は任意である。
  3. 貸金業者は、協会の定款の定めるところにより、自由に協会に加入し、または協会から脱退することができる。
  4. 協会は、正当な理由がなくても、特定の貸金業者の加入を拒み、または加入に際して制限を課すことができる。(正解)

解説

【設問の意図】 この問題は、日本貸金業協会の「任意加入の原則」を理解しているかを問う問題である。公的な性格を持つ団体でありながら、加入の自由が認められている点、および不当な差別的取り扱いの禁止という組織の建前を正確に捉えられているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、協会の加入および脱退は原則として自由であるため、選択肢③が正解となる。 日本貸金業協会は、貸金業法に基づき設立される認可法人であるが、貸金業者の加入は義務(強制加入)ではない。ただし、業界の健全化と自律的な秩序維持のため、定款に従い、業者は自由に加入・脱退できる仕組みとなっている。また、協会側は正当な理由がない限り、加入を拒んではならないという公平性も求められる。 【初心者がここで迷う理由】 「これほど強力な自主規制を行う団体なのだから、登録業者なら全員入らなければならない(強制加入)はずだ」と、行政組織のようなイメージで考えてしまいがちである。 しかし本問では、「現場の感覚」ではなく、あくまで民間の自主規制団体としての「任意性」と「公平性」の両立という法的構造に基づき判断しなければならない。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、協会の性格が「強制加入」か「任意加入」かを思い出す。 2, 「原則は自由(任意)」であると決め、強制とする①や②を消去する。 3, 公的な認可法人である以上、特定の業者を不当に排除することは許されないはずだと考え、④を消去する。 4, 加入・脱退の自由を正確に記述した③を選択する。

問62

(自主規制基本規則) 日本貸金業協会が制定する「自主規制基本規則」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 自主規制基本規則は、協会の会員のみならず、非会員の貸金業者に対しても法的な拘束力を持つ。
  2. 自主規制基本規則に違反した会員に対し、協会はいかなる制裁も科すことはできない。
  3. 協会は、自主規制基本規則を制定し、または変更したときは、遅滞なく、これを内閣総理大臣に届け出なければならない。
  4. 自主規制基本規則の内容は、貸金業法よりも緩やかな基準でなければならない。(正解)

解説

【設問の意図】 この問題は、協会の「自主規制権能」とその「行政への報告義務」を理解しているかを問う問題である。単なる業界の「内規」ではなく、貸金業法を補完する公的な役割を担っている点に注目できるかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、基本規則の制定・変更時には行政への届出が必要であるため、選択肢③が正解となる。 協会は、資金需要者等の利益の保護や過剰貸付の防止のため、会員が守るべき厳格な自主規制基本規則を定める。この規則は貸金業法の趣旨に沿うものである必要があるため、制定・変更時には内閣総理大臣(実際には金融庁)への届出義務が課されている。 【初心者がここで迷う理由】 「自主規制なのだから、国にいちいち報告する必要はないだろう」と、単なる民間サークルや勉強会のようなイメージで考えてしまいがちである。 しかし、貸金業法は協会に対して「自律的な規制」を期待しており、その内容が適正かどうかを行政が監督する仕組みになっている。また、非会員に対しては規則の効力が直接及ばない点(①)や、違反者への違約金等の制裁が可能である点(②)を混同しないようにしなければならない。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、協会の自主規制は「法を補完する公的なもの」であると整理する。 2, 「行政(国)とのつながり(届出義務)」があるはずだと考え、③に注目する。 3, 非会員まで拘束するのは行き過ぎ(①誤り)、制裁がないなら規制の意味がない(②誤り)と判断する。 4, 「貸金業法より厳しい基準(上乗せ規制)」であるのが自主規制の意義であると思い出し、④を消去する。

問63

(協会の苦情・紛争解決) 日本貸金業協会が行う苦情処理および紛争解決に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 協会は、資金需要者等から会員の業務に関する苦情の相談を受けた場合、その相談に応じなければならないが、会員に通知する義務はない。
  2. 協会は、苦情の解決のために必要があると認めるときは、当該会員に対し、文書もしくは口頭による説明または資料の提出を求めることができる。
  3. 協会の苦情処理手続により解決が図られない場合であっても、裁判外紛争解決(ADR)へ移行することは禁止されている。(正解)
  4. 会員は、協会から苦情の解決に関する説明を求められたとしても、正当な理由の有無にかかわらず、これを拒否することができる。

解説

【設問の意図】 この問題は、協会が持つ「苦情解決の実効性」を担保するための権限を理解しているかを問う問題である。単なる「相談窓口」ではなく、会員業者に対して強い調査・説明要求権を持っている点に気づけるかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、協会は会員に対して資料提出や説明を求める権限があるため、選択肢②が正解となる。 協会は、利用者からの苦情を迅速に処理し、業界の信頼を守る役割がある。そのため、業者側の言い分や証拠を確認するために「説明や資料提出」を求めることができる。これに対し、会員は「正当な理由がない限り」拒否することはできず、誠実に対応しなければならない。 【初心者がここで迷う理由】 「協会は身内の団体なのだから、客からの苦情をいちいち業者にチクる(通知する)ことはしないだろう」といった誤った忖度のイメージを持つと、①を選んでしまう。 実際には、苦情を会員に通知し、迅速な解決を促すことが協会の公的な職務である。また、ADR(裁判外紛争解決)との連携も密接であり、段階を踏んで解決を図るのが基本である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、協会の役割は「苦情を放置せず、業者を指導して解決すること」だと整理する。 2, そのためには、業者への「通知」や「調査(資料提出要求)」が不可欠だと考える。 3, 「正当な理由なく拒否できる」とする④は、規制の意味をなさないため誤りと判断する。 4, 権限を正しく記述している②を正解とする。

問64

(協会の監査と処分) 日本貸金業協会が会員に対して行う監査および処分に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 協会は、会員の業務が法令や自主規制規則に適合しているかを確認するため、定期的に監査を実施しなければならない。
  2. 協会が行う監査の結果、重大な違反が発見されたとしても、協会は会員に対して「除名」の処分を科すことはできない。(正解)
  3. 協会は、会員に法令違反の疑いがある場合であっても、立入検査を行う権限は一切持たない。
  4. 協会が会員に対して制裁(過怠金の賦課など)を科した場合、その旨を内閣総理大臣に報告する義務はない。

解説

【設問の意図】 この問題は、協会が持つ「自浄作用(監査と制裁)」の重要性を理解しているかを問う問題である。行政による監督だけでなく、協会自身が「現場の警察」として機能している実態を捉えられているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、協会には会員への監査義務があるため、選択肢①が正解となる。 協会は、すべての会員がルール(法令および自主規制規則)を守っているかを厳しくチェックする責任を負っている。そのため、定期的な監査を実施し、不備があれば指導や改善を求める。万が一、悪質な違反が見つかった場合には、過怠金の賦課や、最も重い「除名」といった内部処分を下す権限も持っている。 【初心者がここで迷う理由】 「立入検査は金融庁(行政)だけができる特権であり、協会のような民間団体には許されないだろう」と、権限の所在を狭く解釈してしまいがちである。 しかし、協会は加入時の契約(定款への同意)等に基づき、会員の営業所への調査権限を持っている。また、制裁を下した場合には行政(内閣総理大臣)への報告も必須である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、協会が「自主規制」を掲げる以上、チェック(監査)と罰(制裁)の仕組みが必要だと考える。 2, 監査義務を述べる①を軸にしつつ、処分の可能性を否定する②を消去する。 3, 行政との連携(報告義務)を否定する④は、貸金業法の監督体制として不自然だと判断する。 4, 監査が協会の主要な業務の一つであると確信し、①を選択する。

問65

(指定紛争解決機関の要件) 「指定紛争解決機関(金融ADR)」の指定要件に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 指定紛争解決機関として指定を受けられるのは、営利を目的とする株式会社に限られる。
  2. 紛争解決委員として、法律学の教授や弁護士など、中立公正な立場の専門家を確保していなければならない。
  3. 特定の貸金業者の利益のみを代表する団体であっても、専門知識があれば指定を受けることができる。(正解)
  4. 指定紛争解決機関は、その業務を遂行するために必要な財産的基礎を有している必要はない。

解説

【設問の意図】 この問題は、裁判によらない紛争解決(金融ADR)の「中立性と専門性」の重要性を理解しているかを問う問題である。借り手と貸し手の対立を収める場所が、どちらかに偏っていては機能しないという制度の根幹を問うている。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、中立な専門家の確保が不可欠な要件であるため、選択肢②が正解となる。 指定紛争解決機関は、裁判所を通さずに柔軟かつ専門的な解決を目指す場所である。そのため、法律や金融の深い知識を持ち、かつ特定の業者の味方をしない「紛争解決委員(弁護士等)」を配置することが厳格に求められる。 【初心者がここで迷う理由】 「貸金業の紛争なのだから、貸金業者の役員などが委員になれば、実務に即した解決ができるだろう」と、現場の感覚だけで考えてしまうと、③のひっかけに陥る。 実際には、特定の業者の利益に偏る恐れがある団体は、指定を拒否される。また、営利目的(①)や、経済的に不安定な状態(④)での運営も認められない。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、紛争解決機関(ADR)に最も必要なのは「公平さ」と「専門性」であると整理する。 2, 特定の業者の味方をする③や、営利を追求する①は、その趣旨に反すると判断する。 3, 公的な役割を果たす以上、お金(財産的基礎)がないと困るため、④を消去する。 4, 弁護士などの「第三者の専門家」を活用する②が、最も制度の目的にかなっていると判断する。

問66

(手続の実施と時効) 指定紛争解決機関による紛争解決手続に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 紛争解決手続が開始されたとしても、当該紛争に係る請求の消滅時効が中断(更新)されることはない。
  2. 貸金業者は、紛争解決手続の開始に応じる義務はなく、常に一方的に拒否することができる。
  3. 紛争解決手続において提示された和解案を、当事者の双方が受諾したとしても、その内容には何ら効力が生じない。
  4. 紛争解決手続の申請があった場合において、一定の要件を満たせば、時効の完成猶予等の法的効果が認められる場合がある。

解説

【設問の意図】 この問題は、金融ADRの「法的な実効性(特に時効との関係)」を理解しているかを問う問題である。単なる「話し合い」で終わらせず、裁判に近い法的な保護を与えることで、利用者が安心して手続を利用できるようにしている点に注目できるかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、ADRの手続には時効に関する法的な救済措置があるため、選択肢④が正解となる。 紛争解決手続(金融ADR)の最中に時効が完成してしまうと、利用者は不利益を被る。そのため、ADRの申請を行い、手続が不調に終わった後に一定期間内に提訴すれば、ADR申請の時に遡って「時効の完成猶予(中断)」の効果が認められるという特例がある。これにより、裁判を急がずにじっくりADRで話し合うことが可能になるのである。 【初心者がここで迷う理由】 「裁判所ではないのだから、時効を止めるような強力な法的効果はないだろう」と、行政や民間の「相談」と同じレベルで考えてしまいがちである。 しかし、指定紛争解決機関は法律(貸金業法等)に基づく特別な地位を与えられており、裁判制度を補完するための強い権限(業者の応諾義務など)を持っている。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、ADRは「裁判に代わる便利な制度」にしたいのだと考える。 2, だとすれば、裁判と同じように「時効が止まる(猶予)」仕組みがないと、怖くて使えないはずだと判断する。 3, 「常に拒否できる」とする②は、ADRの「業者の応諾義務」に反するため消去する。 4, 和解案を受諾すれば、それは民法上の和解契約としての効力を有するため、③も消去する。

問67

(極度方式の定義と契約) 貸金業法上の「極度方式基本契約」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 極度方式基本契約とは、1回の貸付けごとにその都度、契約書を新規に作成して結ぶ契約のことをいう。
  2. 極度方式基本契約を締結しても、個別の貸付けのたびに必ず書面により合意しなければ、有効な貸付けとはならない。
  3. 極度方式基本契約とは、あらかじめ定めた極度額の範囲内で、繰り返し貸付けおよび返済を行うことを予定した契約をいう。
  4. 極度方式基本契約において、貸金業者は極度額を自由に定めることができるが、その額を途中で増減させることは一切禁止されている。(正解)

解説

【設問の意図】 この問題は、リボルビング払いなどのベースとなる「極度方式」の根本的な定義を理解しているかを問う問題である。1回限りの「証書貸付」と、カードローンのような「極度方式」の違いを正確に捉えられているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、極度額の範囲で繰り返し利用できる契約が極度方式であるため、選択肢③が正解となる。 貸金業法における極度方式基本契約は、将来にわたって何度も貸し借りすることを前提とした「枠」の契約である。一度基本契約を結べば、その「枠(極度額)」の範囲内であれば、個別に新たな契約書を作らなくても、ATM等でスピーディに融資を受けることが可能になる。 【初心者がここで迷う理由】 「お金を借りる時は、その都度、印鑑を押して契約書を作るのが当たり前だ」という従来の「証書貸付」のイメージが強いと、①や②を選んでしまいがちである。 しかし、現代の消費者金融やカードローンの主流はこの「極度方式」であり、利便性を高めるために、最初の基本契約で包括的に合意しておくという法的構造になっている。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、極度方式=「枠内での繰り返し利用」というキーワードを思い出す。 2, その都度契約する①や②は、極度方式の利便性を否定しているため誤りと判断する。 3, 極度額は、途中で増減させることが実務上当然に行われるため、禁止とする④は不自然だと判断する。 4, 「繰り返し」の概念を正しく記述している③を選択する。

問68

(極度方式の事前書面) 極度方式基本契約の締結に際しての「契約締結前の書面(16条の2第2項)」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 極度方式基本契約を結ぶ前には、書面を交付する必要はなく、口頭での説明のみで足りる。
  2. 契約締結前の書面には、極度額だけでなく、貸付けの利率(年率)も必ず記載しなければならない。
  3. 契約締結前の書面は、契約を結んだ後に速やかに送付すればよく、契約前に渡す必要はない。(正解)
  4. 将来的に貸付けが行われるか不明なため、返済の方法や時期についての記載は省略することができる。

解説

【設問の意図】 この問題は、極度方式における「契約前の情報開示(事前書面)」の厳格性を理解しているかを問う問題である。契約を結ぶ「前」に、借り手が条件を検討する機会を与えなければならないという消費者保護の視点を問うている。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、利率を含む重要事項の事前提示が必須であるため、選択肢②が正解となる。 貸金業法16条の2(事前書面)は、借り手が「本当にこの条件で契約していいのか」を冷静に判断させるための重要なステップである。そのため、極度額、利率(年率)、返済方法といった核心的な条件を、契約を結ぶ「前」に書面(または電磁的方法)で提示しなければならない。 【初心者がここで迷う理由】 「カードを作るだけ(基本契約を結ぶだけ)なら、まだ借金ではないのだから、細かい条件は実際に借りる時でいいだろう」と、現場の感覚やスピード感で考えてしまいがちである。 しかし、基本契約を結んだ瞬間に将来の貸借条件がほぼ固定されるため、法律は「入り口(契約前)」での厳格な書面交付を求めている。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、書面の名称が「契約締結『前』の書面」であることに注目する。 2, となれば、契約後でよいとする③や、口頭でよいとする①は、名称と矛盾するため即座に消去する。 3, 「利率」は借り手にとって最大の関心事であり、これが書かれていない書面は無意味だと考える。 4, 返済方法なども重要な契約条件であり、省略は許されないため、②を正解とする。

問69

(極度契約時の書面) 極度方式基本契約を締結した際の「契約締結時の書面(17条2項)」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 極度方式基本契約を締結した際、貸金業者は直ちに、当該契約の内容を明らかにする書面を交付しなければならない。
  2. 基本契約時の書面には、極度額を記載すれば足り、賠償額の予定(遅延損害金)に関する定めを記載する必要はない。(正解)
  3. 顧客が以前から同種の契約を結んでいる場合、今回の契約については書面の交付を完全に省略することができる。
  4. 契約締結時の書面は、本人の希望があれば、交付の代わりに口頭による要約のみで済ませることができる。

解説

【設問の意図】 この問題は、契約が成立した後の「証拠としての書面(17条書面)」の重要性を理解しているかを問う問題である。合意内容を確定させ、後日の紛争を防ぐという「契約の証」としての役割を捉えられているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、契約成立時の直ちになされる書面交付は、貸金業者の絶対的な義務であるため、選択肢①が正解となる。 17条書面は、合意した「利率」「極度額」「返済期間」「遅延損害金」などのすべてを網羅した正式な書類である。借り手が後から「そんな利率は聞いていない」となるのを防ぐための強力な証拠となるため、省略や口頭での代用(③、④)は一切認められない。 【初心者がここで迷う理由】 「さっき(契約前)に同じような紙を渡したのだから、また同じ内容の紙を渡すのは無駄ではないか」と、合理性や効率の観点で考えてしまいがちである。 しかし、法的には「検討用の紙(事前)」と「確定した契約内容の紙(事後)」は全く別物であり、両方の交付が必要なのが原則である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、17条書面(契約時書面)は「貸金業者の最も重い義務の一つ」であると整理する。 2, したがって、交付を「省略(③)」したり「口頭(④)」で済ませたりする選択肢は、法律の厳格さから見て真っ先に除外する。 3, 遅延損害金はトラブルになりやすい項目であり、重要事項に含まれないはずがないと考え、②を消去する。 4, 原則通り「直ちに交付」を定めた①を正解とする。

問70

(極度貸付時の書面) 極度方式基本契約に基づく貸付けを行った際の「貸付け時の書面(17条6項)」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 極度方式基本契約に基づきATMで貸付けを行った場合でも、その都度、貸付けの金額や年月日を記載した書面を交付しなければならない。
  2. 基本契約時に全条件を説明しているため、個別の貸付け時には一切の書面交付が免除される。(正解)
  3. 貸付け時の書面は、翌月末までに一括して郵送すればよく、貸付けの瞬間に渡す必要はない。
  4. 貸付け時の書面には、その貸付けの金額のみを記載すればよく、貸付け後の借入残高を記載する必要はない。

解説

【設問の意図】 この問題は、繰り返し行われる貸付けにおける「残高管理」の重要性を理解しているかを問う問題である。今いくら借りて、残りがいくらなのかを借り手が常に把握できるようにするという実務上のルールを問うている。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、個別の貸付け時にも書面(受取証書等を含む)の交付が必要であるため、選択肢①が正解となる。 極度方式では、借り手は今自分が「枠」をどれだけ使い、残りの借金がいくらあるのか(借入残高)を忘れがちになる。これを防ぐため、法律はATMでの引き出しなどの「貸付けの都度」、その金額や残高を記した書面を渡すよう業者に求めているのである。 【初心者がここで迷う理由】 「毎日ATMを使うような人もいるのに、そのたびに紙を出すのは紙の無駄ではないか」と、コストや環境への配慮の感覚で考えてしまいがちである。 しかし、多重債務防止のためには「借りた瞬間に現実を突きつける(残高を教える)」ことが最も効果的であり、貸金業法はこの手間を業者に課している。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、「貸付けの都度、書面交付」が貸金業法の鉄則であると思い出す。 2, したがって、免除をうたう②や、後日郵送でよいとする③(※一定の特例はあるが原則は都度)を一旦保留、または消去する。 3, 借り手にとって最も重要な情報は「あといくら借金が残っているか(残高)」であると考える。 4, 残高記載を不要とする④を消去し、原則通りの①を選択する。

問71

(月末一括交付の特例) 貸金業法第17条第6項に規定する「月末一括交付(マンスリーステートメント)」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、極度方式貸付けについて、顧客の承諾を得ることなく、貸付けの際に交付すべき書面の交付に代えて、一定期間の取引を記載した書面を交付することができる。
  2. 月末一括交付の特例を適用するためには、あらかじめ顧客に対し、一定期間の取引を記載した書面を交付する旨を通知し、かつ、顧客が当該書面の交付を受けることについて異議がないことを確認しなければならない。
  3. 月末一括交付の特例は、1回限りの金銭消費貸借契約(証書貸付)においても適用することができる。(正解)
  4. 貸金業者は、月末一括交付の書面を交付する場合であっても、返済を受けた際には、その都度、受取証書を交付しなければならない。

解説

【設問の意図】 この問題は、極度方式貸付け(カードローン等)における事務の効率化と利用者保護のバランスをとる「月末一括交付」の特例について、適用の条件と範囲を正しく理解しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、月末一括交付の適用には「顧客への事前通知と異議がないことの確認」が必須であるため、選択肢②が正解となる。 貸金業法においてこの特例が認められているのは、極度方式のように頻繁に借入れと返済を繰り返す場合、その都度詳細な書面を交付することが双方にとって負担となるからである。ただし、利用者が取引内容を把握できなくなるリスクを避けるため、「事前の通知」と「異議がないことの確認」という手続きを厳格に求めている。 【初心者がここで迷う理由】 実務上、カードローンなどでは明細が月1回送られてくるのが当たり前(デフォルト)であると感じていると、「業者が勝手に決めてよいだろう」と短絡的に考えて①を選んでしまいがちである。 しかし本問では、法律の基本原則は「取引の都度の交付」であり、特例を受けるためには「借り手の明示的または黙示的な同意」が不可欠であるという判断の筋道を外してはならない。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、設問のテーマが「書面交付の例外(特例)」であることを認識する。 2, 原則は「その都度交付」であるため、例外を適用するには必ず「借り手側の同意(異議なしの確認)」が必要だと判断する。 3, また、この特例は「頻繁に取引が発生する」ことが前提の「極度方式」専用のルールであることを思い出す。 4, したがって、同意手続きを不要とする①や、一般の貸付けに広げようとする③を消去する。

問72

(極度方式の受取証書) 貸金業法第18条第3項に規定する、極度方式貸付けにおける「簡素化された受取証書(レシート)」の交付に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。

  1. 現金自動入出金機(ATM)により返済を受けた場合、一定の事項を記載した簡素化された受取証書を交付することができる。
  2. 簡素化された受取証書であっても、当該返済後の借入金の残高を必ず記載しなければならない。
  3. 簡素化された受取証書を交付した場合であっても、顧客から請求があったときは、改めて正式な受取証書を交付しなければならない。
  4. 返済が極度方式基本契約に基づくものである場合において、一定の要件を満たせば、当該受取証書に貸金業者の商号を記載することを省略できる。

解説

【設問の意図】 この問題は、ATM取引の実務に合わせた受取証書の簡素化規定について、何が「削ってもよい項目」で、何が「絶対に削ってはいけない項目」なのかを正確に区別できるかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、受取証書において「貸金業者の名称(商号)」はどのような場合でも省略することができないため、選択肢④が不適切(正解)となる。 貸金業法において受取証書の交付が義務付けられているのは、後日「払った、払わない」の紛争になった際の証拠とするためである。誰に対して支払ったのかという「受領者の名称」は、証書としての最低限の要件であり、実務の簡素化よりも優先される。 【初心者がここで迷う理由】 「ATMのレシートは紙が小さいから、色々省略できるだろう」と現場の感覚で考えてしまうと、どの選択肢が誤りか分からなくなってしまう。 特に、残高の記載については「残高が分からないと困るだろう」という感覚から正しいと判断できるが、商号については「カードを見れば分かるからレシートには不要では?」と短絡的に考えてしまいがちである。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、受取証書は「支払いの公的な証明書」であることを再確認する。 2, 証明書として「誰が受け取ったか」が不明なものはあり得ないと判断する。 3, 極度方式の特例で省略できるのは、主に「契約年月日」や「利息の計算内訳」などの、基本契約を見れば確認できる補助的な情報であると整理する。 4, 責任の所在を示す「商号」を省略できるとする④に違和感を持つ。

問73

(極度方式保証契約) 極度方式基本契約に基づく債務を主たる債務とする保証契約(極度方式保証契約)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 極度方式保証契約を締結する際、保証人が負担する債務の最高限度額(極度額)をあらかじめ書面で定めなければ、その保証契約は無効となる。
  2. 極度方式保証契約において、極度額を定める必要はなく、主たる債務者が借りた金額のすべてを無制限に保証させることができる。(正解)
  3. 極度方式保証契約の保証人は、必ず個人(自然人)でなければならず、法人が保証人になることはできない。
  4. 極度方式保証契約を締結した場合、保証人に対しても貸付けの都度、貸付内容を詳細に記載した書面を交付しなければならない。

解説

【設問の意図】 この問題は、保証人の保護を目的とした「極度額の定め」の義務について、民法および貸金業法の規定に基づき正しく理解しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、極度方式の保証では「極度額(上限)」を決めなければ契約自体が無効となるため、選択肢①が正解となる。 これには、保証人が将来いくらまで借金が膨らむか分からない状態で「無限責任」を負わされることを防ぐという、強力な保証人保護の目的がある。このルールは民法の改正により厳格化されており、書面(または電磁的記録)で金額を明記することが成立の絶対条件である。 【初心者がここで迷う理由】 「保証人なのだから、本人が借りた分はすべて返すのが当たり前だろう」と現場の感覚や旧来のイメージで考えてしまうと、上限を設ける必要性を軽視して②を選んでしまいがちである。 しかし、法律(民法および貸金業法)は、特に個人の保証人が不当に莫大な負債を背負わされることを防ぐため、「出口(上限)」のない保証を厳しく排除している。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、設問のテーマが「保証人の保護」であることを認識する。 2, 保証人を守るための最強 of 武器は「上限(極度額)の設定」であると思い出す。 3, したがって、上限を定めない保証は現代の法律では認められないと判断する。 4, 「無制限」とする②や、個人の保証を前提とした③、④などの実務上の枝葉の知識に惑わされず、①を正解とする。

問74

(途上与信の義務) 極度方式基本契約を締結している貸金業者に課される「途上与信(定期的な返済能力の調査)」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、極度方式基本契約を締結した後であっても、実際の貸付けを行っていない期間は、返済能力 mercia の調査を行う必要は一切ない。
  2. 1か月の借入残高が合計10万円を超える顧客については、原則として3か月ごとに指定信用情報機関から信用情報を得て、調査を行わなければならない。
  3. 途上与信の結果、顧客の返済能力が低下したと判断された場合であっても、契約上の極度額を減額することは禁じられている。(正解)
  4. 途上与信において信用情報を調査した結果、顧客の他社を含む借入残高が年収の0.3333…を超えていたとしても、自社で新たな貸付けを行わない限り、特段の措置をとる必要はない。

解説

【設問の意図】 この問題は、過剰貸付を未然に防ぐために、契約後も継続的に借り手の状態をチェックする「途上与信」のルールを正確に理解しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、残高が10万円を超える場合などに義務付けられる定期的な調査ルールを述べた、選択肢②が正解となる。 貸金業法において途上与信が義務付けられている背景には、契約時はクリーンだった借り手が、後から他社で多額の借金をして「自転車操業」に陥るのを早期に発見し、それ以上の貸付けをストップさせる目的がある。 【初心者がここで迷う理由】 「一度契約してカードを渡したのだから、あとは返済さえ滞らなければ業者が勝手に調べる必要はないだろう」と、一般的な商取引の感覚で考えてしまうと、途上与信という「能動的な調査義務」を重荷に感じて①や④のような解釈をしてしまいがちである。 しかし本問では、業者は「貸しっぱなし」にしてはならず、定期的にストッパーとしての役割を果たさなければならないという公的な義務を意識しなければならない。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、「途上与信は義務である」ことを前提にする。 2, 調査の基準となる数字(残高10万円、3か月ごとの調査など)を思い出す。 3, 調査した結果、問題があれば「貸付けを止める(減額・停止)」という実効性のある措置がセットであることを理解する。 4, 何も措置をとらなくてよいとする④や、減額を禁じる③を消去し、基準が正しい②を選ぶ。

問75

(極度額の減額と停止) 貸金業法第13条の3の規定に基づき、途上与信の結果、特定の要件(総量規制の基準超過等)に該当した場合に貸金業者がとらなければならない措置に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 他社を含む借入残高の合計が年収の0.3333…を超えていることが判明した場合、直ちに貸金業の登録を取り消される。
  2. 他社を含む借入残高の合計が年収の0.3333…を超えていることが判明した場合、新たな貸付けができないよう、極度額を減額し、又は新たな貸付けを停止しなければならない。
  3. 借入残高が年収の0.3333…を超えていても、当該顧客がこれまでの返済を遅滞なく行っている場合は、極度額の減額等の措置をとる必要はない。(正解)
  4. 総量規制の基準を超えた場合、業者は当該顧客に対して、30日以内に全額を返済するよう一括請求しなければならない。

解説

【設問の意図】 この問題は、総量規制という「法律上の絶対的なライン」を超えてしまった顧客に対し、業者がどのような強制的な対応を求められるかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、年収の0.3333…(3分の1)を超えた場合は「極度額の減額」または「貸付けの停止」という措置が「義務」であるため、選択肢②が正解となる。 これは「総量規制の実効性」を担保するための規定である。もし「契約時の金額だから」という理由で貸し続けを許してしまうと、借り手の負債は無限に膨らんでしまう。そのため、法律は業者に対し、たとえ契約途中であっても強制的にブレーキをかけるよう命じているのである。 【初心者がここで迷う理由】 「ちゃんと返している客(優良顧客)なら、多少オーバーしても貸してあげてよいだろう」と現場の感覚(個別の事情)を優先してしまうと、③のひっかけに陥る。 また、一括返済を求めるべきだとする④のような過剰な制約をイメージしてしまうこともあるが、法律が求めているのは「これ以上借金を増やさないこと」であり、既存の債務を直ちに返させることではない。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、「総量規制(年収の0.3333…)」という壁は、契約後でも有効であることを認識する。 2, その壁にぶつかった時の業者の義務は「新たな貸付けの遮断(減額または停止)」であると整理する。 3, 事情(延滞の有無など)に関わらず機械的に適用されるルールであることを確認する。 4, 一括請求などの行き過ぎた措置ではないことを踏まえ、②を正解とする。

問76

(指定信用情報への提供) 貸金業者が指定信用情報機関を利用する際の義務に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 貸金業者は、顧客と貸付けの契約を締結したときは、遅滞なく、その顧客の氏名や借入金額などの情報を指定信用情報機関に提供しなければならない。
  2. 指定信用情報機関への情報の提供は、顧客の同意が得られた場合に限り行うことができ、同意がない場合は提供してはならない。(正解)
  3. 契約が終了し、借入残高が0(ゼロ)になった場合は、信用情報の正確性を保つため、速やかにその情報を指定信用情報機関から削除しなければならない。
  4. 指定信用情報機関から得た情報は、自社の広告宣伝やダイレクトメールの送付など、営業目的であれば自由に利用してよい。

解説

【設問の意図】 この問題は、業界全体で多重債務を防ぐためのインフラである「指定信用情報機関」に対し、個別の業者がどのような役割(情報の正確な提供)を負っているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、契約締結時には情報の提供が法律で義務付けられているため、選択肢①が正解となる。 貸金業法において情報の共有が義務化されている背景には、一社だけの審査では借り手の本当の負債総額が見えないという欠点を解消する目的がある。すべての業者がリアルタイムで正確な情報を登録することで、初めて「総量規制(年収の0.3333…)」が正しく機能するのである。 【初心者がここで迷う理由】 「個人の借金の情報はプライバシーだから、本人が嫌がれば登録できないはずだ」と考えて②を選んでしまいがちである。 しかし、貸金業法では「登録しなければ貸してはいけない」という建付けになっており、情報の提供は法律上の義務である。また、完済した情報は「削除」するのではなく「完済した(残高ゼロになった)」という実績として一定期間保持される必要があるため、③も誤りである。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、信用情報機関は「借り過ぎを防ぐための共同の見守りシステム」であると整理する。 2, システムの精度を保つには、「貸したとき」と「返したとき(残高の変化)」の情報の即時登録が不可欠だと判断する。 3, 「プライバシーだから同意次第」とする②や、「営業に使う」とする④のような、公益目的から外れる考え方を消去する。 4, 正確な登録義務を述べている①を正解とする。

問77

(住宅資金貸付契約) 総量規制(年収の0.3333…を超える貸付けの禁止)の対象から除外される「除外貸付け」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 住宅の建設や購入に必要な資金の貸付け(住宅ローン)は、総量規制の計算に含まれる「借入残高」には算入されない。
  2. 住宅ローンであっても、銀行ではなく貸金業者(住宅金融専門会社等)から借りる場合は、年収の0.3333…の制限を厳格に受ける。(正解)
  3. 住宅ローンの返済が困難になった場合の「借り換え資金」は、除外貸付けには該当しない。
  4. 総量規制の除外貸付けとは、年収の0.3333…を超えても貸してよいが、他の借入れの審査の際には残高として計算に含めるものをいう。

解説

【設問の意図】 この問題は、高額かつ長期にわたる「住宅ローン」が、なぜ日常のキャッシングと同じ枠(総量規制)で扱われないのか、その制度上の位置づけを理解しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、住宅ローンは「除外貸付け」に該当し、総量規制の枠外(計算に含まれない)であるため、選択肢①が正解となる。 もし住宅ローンを年収の0.3333…に含めてしまうと、家を買った人は一生カードローンも利用できなくなってしまう。また、住宅ローン自体が数千万円単位になるのが一般的であり、そもそも年収の3分の1という基準には馴染まない。そのため、法はこれらを完全に「別枠(除外)」としているのである。 【初心者がここで迷う理由】 「除外貸付け」と「例外貸付け」という言葉の似た2つの用語を混同してしまうのが最大の原因である。 「除外」は完全に枠の外(計算にも含めない)であり、「例外」は一時的に枠を超えてもよいが、他の審査の際には残高としてカウントされる。住宅ローンという「人生最大の買い物」は、完全に別格の「除外」であるという整理が必要である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、住宅ローンを年収の3分の1に当てはめたら誰も家を買えない、という現実的な矛盾に気づく。 2, したがって、住宅ローンは「別格(除外)」であるべきだと決める。 3, 「除外」とは「計算にも含めない(存在しないものとして扱う)」ことであると定義を確認する。 4, 銀行か貸金業者かという「主体の違い」は関係なく、あくまで「資金の使途(住宅)」で決める。

問78

(売却代金代入金) 総量規制の「例外貸付け(返済能力があると認められれば年収の0.3333…を超えてもよい貸付け)」に該当するものとして、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 自己の所有する不動産を売却し、その売却代金によって返済されることが確実と認められる貸付け。
  2. 生活費が不足している顧客に対し、緊急で10万円を貸し付ける契約。(正解)
  3. 他社での借入れを一本化し、金利負担を軽減するための「顧客に一方的有利となる借り換え」契約。
  4. パチンコや競馬などの娯楽資金として、一時的に年収の3分の1を超えて貸し付ける契約。

解説

【設問の意図】 この問題は、不動産という確実な裏付け(返済原資)がある場合に、一時的に総量規制の枠を超えることが許される「売却代金代入金」という例外規定を正しく理解しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、不動産の売却代金で返すことが確実な貸付けは、返済能力に問題がないため「例外」として認められており、選択肢①が正解となる。 例えば、家を買い替える際に「今の家が売れるまでの間だけ、一時的に年収以上のお金を借りたい」というニーズは健全なものである。売れば必ず返せるという裏付けがあるため、法は形式的な「年収の3分の1」という縛りを一時的に解除することを認めている。 【初心者がここで迷う理由】 「不動産に関係するから住宅ローンと同じで『除外』ではないか?」と迷ってしまうケースが多い。 しかし、住宅ローンは「買うための借金(除外)」であるのに対し、本問は「売るまでのつなぎの借金(例外)」である。あくまで通常の貸付けの枠内だが、返済の目処が立っているから特別に許可される、という「例外」のニュアンスを掴む必要がある。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、不動産売却代金による返済は「返す当てがハッキリしている」という特徴に注目する。 2, 返す当てがあるなら、年収の3分の1という機械的なルールを適用しなくても多重債務にはなりにくいと判断する。 3, ただし、住宅ローンのように「制度として完全に外す」ほどではないため、「例外」のリストにあるかを確認する。 4, 娯楽資金(④)などは論外として消去し、健全な経済合理性がある①を選ぶ。

問79

(つなぎ資金貸付け) 住宅の建設、購入、又は改良に必要な資金が融資されるまでの間の「つなぎ資金の貸付け」に関する総量規制の取り扱いとして、最も適切なものを1つ選べ。

  1. つなぎ資金は、住宅ローンの一部とみなされるため、常に「除外貸付け」として扱われる。
  2. つなぎ資金は、住宅ローンの実行によって確実に返済されることが見込まれる場合、「例外貸付け」として扱われる。
  3. つなぎ資金は、年収の0.3333…を超えて貸し付けることは、いかなる場合も認められない。(正解)
  4. つなぎ資金であっても、銀行以外の貸金業者から借りる場合は、一律に「個人顧客合算残高」に算入され、制限を受ける。

解説

【設問の意図】 この問題は、住宅ローン(除外)とセットで使われることが多い「つなぎ融資」が、法的にどのような扱いを受けるか、その実務的な位置づけを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、住宅ローンの実行が確実であれば、つなぎ資金は「例外貸付け」として年収の3分の1を超えて借りることができるため、選択肢②が正解となる。 家を建てる際、銀行の住宅ローンが降りる前(完成前)に、土地代や着工金を支払う必要がある。これを一時的に借りるのが「つなぎ資金」である。住宅ローンが降りれば必ず返せるため、多重債務のリスクは低く、国民の住環境の確保という観点から「例外」として認められている。 【初心者がここで迷う理由】 「住宅ローンそのもの」と「そのためのつなぎ資金」を同一視してしまい、①(除外)を選んでしまうミスが非常に多い。 しかし、法律上「除外(完全に別枠)」とされているのは、抵当権を設定するような正式な住宅ローン本体である。つなぎ資金はあくまで「返済能力の例外(例外)」というカテゴリーであることを、試験では厳密に区別しなければならない。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、設問が「住宅ローン本体」か「つなぎ資金」かを確認する。 2, 「つなぎ資金」であれば、それは「別の借金(住宅ローン)で返すための借金」であると構造を理解する。 3, 「返す当てがあるから許される」という構造は、総量規制における「例外」の典型的なパターンであると思い出す。 4, したがって、完全に枠外の「除外(①)」ではなく、条件付きで認められる「例外(②)」を選ぶ。

問80

(代理・媒介業者の規制) 貸金業法上の「貸借の媒介(仲介)」を行う業者に対する規制に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。

  1. 媒介業者は、貸主(貸金業者)から手数料を受け取るだけでなく、借主(資金需要者)からも媒介手数料を受け取ることができる。
  2. 媒介業者は、借主である資金需要者から、いかなる名目であっても金銭その他の報酬を受け取ってはならない。
  3. 媒介業者は、貸金業の登録を受ける必要はなく、自由に貸金業者と顧客の間を取り持つことができる。(正解)
  4. 媒介業者は、顧客を勧誘する際、貸主である貸金業者の商号を表示する必要はない。

解説

【設問の意図】 この問題は、媒介業者が借り手から不当な手数料を搾取することを防ぐための「手数料徴収禁止」のルールを正確に理解しているかを問う問題である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、媒介業者は借り手側(顧客)から報酬を受け取ることが一切禁じられているため、選択肢②が正解となる。 貸金業法においてこの規制が設けられているのは、業者が「手数料」や「調査料」といった名目で、実質的な利息制限法の上限を超える負担を借り手に強いるのを防ぐためである。媒介業者の報酬は、あくまで顧客を紹介された「貸し手(貸金業者)」側が支払うべきものとされている。 【初心者がここで迷う理由】 不動産の仲介などのように「仲介してあげたのだから、客から手数料をもらうのは当然だろう」と他業界の経験則で考えてしまうと、①を選んでしまいがちである。 しかし、お金に困っている資金需要者からさらに手数料を取ることは、多重債務を悪化させる行為であり、貸金業法では厳格に「NO」とされている。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば迷わない。 1, まず、媒介業者も「貸金業の登録が必要な業者」であることを再確認する。 2, 次に、借り手を守るための「金銭的負担のルール」を思い出す。 3, 「利息以外に、名目を変えてお金を取らせない」という法の鉄則を適用する。 4, 媒介業者に支払うお金は、結果として借り手の負担増につながるため、顧客からの徴収を全面禁止している②が正しいと判断する。