貸金業務取扱主任者 第2回
問21
(従業者名簿と証明)
貸金業法上の「従業者名簿」および「従業者証明書」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。
- 従業者名簿は、本店の営業所にのみ備え付けておけばよく、他の支店等の営業所に備え付ける必要はない。
- 貸金業者は、貸金業の業務に従事する者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者を業務に従事させてはならない。
- 従業者名簿の保存期間は、当該名簿の最終の記載をした日から5年間である。(正解)
- 従業者証明書には、当該従業者の住所および生年月日を必ず記載しなければならない。
解説
【設問の意図】
この問題は、従業者管理の基本ルールを「単なる事務作業」としてではなく、「実態のない担当者によるトラブル(なりすまし等)を防ぐための防波堤」として理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、従業員に証明書を持たせることは「業務に従事させるための絶対条件」であるため、選択肢②が正解となる。
貸金業法において証明書の携帯が義務付けられている背景には、顧客が「今、目の前にいる人間が本当に正規の業者の社員か」を確実に確認できるようにする目的がある。これが徹底されないと、退職者や無関係な第三者が業者を名乗って集金するなどの詐欺被害を防げないからである。
【初心者がここで迷う理由】
「名簿は本社で一括管理するのが効率的だ」という現場の感覚で判断してしまうと、①を正しいと勘違いしやすい。しかし、各店舗の責任を明確にするため、名簿は「各営業所ごと」に必要である。また、名簿の保存期間は「10年間(法改正による)」であり、一般的な5年というイメージに惑わされやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、顧客の立場になり「この人は本物か?」を確認する手段は何かを考える。
2, それが物理的な「証明書の携帯」であると判断し、これを必須条件とする②を選ぶ。
3, 管理の場所は「現場(各店舗)」、保存期間は「責任追及が可能な長い期間(10年)」と論理的に整理して他の選択肢を除外する。
問22
(帳簿の備付け保存)
貸金業法上の「帳簿の備付け」に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。
- 貸借対照表および損益計算書は、帳簿の備付け義務に含まれるが、これらは営業所ごとに備え付ける必要はない。
- 帳簿は、営業所ごとに、契約(貸付け)ごとに作成し、備え付けなければならない。(正解)
- 帳簿の保存期間は、当該帳簿の最終の記載をした日から10年間である。
- 帳簿は、電磁的記録(パソコンデータ等)により作成し、保存することができる。
解説
【設問の意図】
この問題は、帳簿の管理について「事務的な記録」という側面だけでなく、「行政による監督(立入検査)の際に、過去の取引をすべて正確に追跡できる状態(トレーサビリティ)」を確保するという公的な役割を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、財務諸表(貸借対照表等)も「営業所ごと」に備え付ける必要があるため、選択肢①が不適切(正解)となる。
貸金業法において営業所ごとの備付けが求められている背景には、金融庁や都道府県が「その店舗」に立入検査に入った際、その店舗の経営状況や取引実態をその場ですぐに確認できなければ、監督の効果が薄れてしまうからである。本社に行かなければわからない、という言い訳を許さないための規定である。
【初心者がここで迷う理由】
「決算書などは全社分を本社で管理するのが普通だ」という会計実務の常識で考えてしまうと、①を正しい(適切)と判断しがちである。しかし、貸金業法は「監督のしやすさ」を優先するため、あえて店舗ごとの管理を求めている。また、保存期間も「10年」という長期間であることに注意が必要である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、検査官になったつもりで「この店舗の健全性を今すぐ確かめたい」と考える。
2, そのために必要な資料(帳簿、決算書)は「その店舗に」あるべきだと判断する。
3, 「本社だけでよい」とする①に違和感を持つ。
4, 保存期間が、民事の時効(10年)と一致していることを確認して③を正しいと判断し、消去法で①を特定する。
問23
(苦情・紛争措置)
貸金業者の「苦情処理措置および紛争解決措置」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。
- 苦情処理措置としては、自社内に苦情受付窓口を設置し、その電話番号を公表するだけで法的義務を完全に果たしたことになる。
- 紛争解決措置としては、必ず「指定紛争解決機関」との間で紛争解決等業務の実施に関する契約(手続実施基本契約)を締結しなければならない。
- 貸金業協会に加入している業者は、それだけで紛争解決措置を講じたものとみなされるため、別途の契約は不要である。(正解)
- 指定紛争解決機関が存在しない場合は、貸金業者は紛争解決措置を講じる義務を負わない。
解説
【設問の意図】
この問題は、業者が顧客とのトラブルを「自社だけで握りつぶす」ことを防ぎ、第三者機関による公正な解決を担保する「ADR(裁判外紛争解決)制度」の強制性を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、指定紛争解決機関との契約締結は「登録の維持条件」といえるほど強力な義務であるため、選択肢②が正解となる。
この措置が義務化されている背景には、裁判には時間と費用がかかるため、資金需要者が泣き寝入りしがちであるという問題がある。そのため、業者に対して「第三者機関の土俵に乗る契約」をあらかじめ結ばせることで、顧客が安価・迅速に解決を求められる権利を保障しているのである。
【初心者がここで迷う理由】
「苦情処理は誠実に対応すれば自社内でも十分だろう」とか「協会に入っていれば大丈夫だろう」という経営側の感覚で判断してしまうと、①や③を選んでしまいがちである。しかし、法は「業者から独立した専門機関(指定紛争解決機関)」による関与を絶対的なルールとしている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、「業者は自分に都合の悪い話を隠したがるものだ」という前提(性悪説)に立つ。
2, だからこそ「自社完結」を許さず「外部機関の強制利用(契約)」を求めていると判断する。
3, したがって、外部との正式な「契約締結」を述べている②を正解とする。
問24
(誇大広告等の禁止)
貸金業法の「誇大広告等の禁止」に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。
- 「他社で断られた方でも、必ずお貸しします」という表示は、誇大広告として禁止される。
- 「日本最安の利息」という表示は、客観的な根拠や比較データがない場合であっても、事実であれば使用できる。
- 「即日融資・無審査」という表示は、審査を適切に行っていないことを示唆するため禁止される。(正解)
- 「ブラックの方もOK」といった、返済能力の調査を行わないことを暗示する表現は禁止される。
解説
【設問の意図】
この問題は、広告規制の目的が「業者の宣伝の自由」よりも「資金需要者が甘い言葉に誘われて、返済不可能な借金を背負うことを防ぐ」という借り手保護にあることを理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、客観的な根拠のない「最大・最安」といった最上級表現は禁止されているため、選択肢②が不適切(正解)となる。
貸金業法において誇大広告が厳しく制限されている背景には、追い詰められた資金需要者は「必ず貸す」「審査なし」といった言葉に非常に脆弱であり、結果としてヤミ金融や多重債務の罠に陥りやすいという現実がある。広告は、常に正確で誠実な情報提供でなければならない。
【初心者がここで迷う理由】
「嘘でなければ(事実であれば)、どんなアピールをしても営業の勝手だろう」という現場の商売感覚で考えてしまうと、②を適切だと誤認しやすい。しかし、貸金業においては「他社との比較」や「絶対的優位性」を根拠なく謳うことは、利用者の冷静な判断を狂わせるものとして法的にシャットアウトされている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、その広告を読んだ「多重債務寸前の人」がどう反応するかを想像する。
2, 「お、ここは他より甘そうだ、確実そうだ」と思わせるような極端な言葉(必ず、無審査、最安等)を特定する。
3, そのような言葉が含まれている選択肢は、すべて「禁止」の方向で判断する。
4, 根拠のない「最安」という表現を許容している②を誤りとして選ぶ。
問25
(広告の表示事項)
貸金業者が貸付条件の広告をする際に、表示が義務付けられていない事項はどれか。
- 貸金業者の登録番号
- 貸付けの利率(実質年率)
- 返済の方式および返済の期間
- 融資を実行するまでの最短時間
解説
【設問の意図】
この問題は、広告において「借り手が契約前に比較検討するために絶対に欠かせないコスト・リスク要因」が何であるかを正しく分類できているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、「融資までの時間」は業者のサービス競争の要素に過ぎず、法的義務事項ではないため、選択肢④が正解となる。
一方で、登録番号(①)、実質年率(②)、返済方式(③)の表示が義務付けられている背景には、これらがわからないと、利用者が「法外な利息ではないか(違法業者か)」や「最終的にいくら支払うのか」という最も重要な判断を下せないからである。広告の段階から重要なコストを開示させることで、後出しジャンケン的な被害を防いでいる。
【初心者がここで迷う理由】
「即日融資」を売りにしている業者が多いため、「スピードも重要な条件だから表示義務があるだろう」と現場のイメージで判断してしまいがちである。しかし、法が強制しているのはあくまで「お金に関する客観的な条件(コスト・ルール)」であり、業者の「早さ」のような努力目標ではない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、自分が金を借りる側だとして「これがわからないと怖くて借りられない」という情報を挙げる。
2, 「利息(年率)」と「返済ルール(期間・方式)」は必須だと確信する。
3, 「登録番号」は正規業者であることの証明として不可欠だと判断する。
4, 「スピード」は魅力的だが、それがなくても契約の損得計算は可能であるため、義務ではないと判断する。
問26
(不当な勧誘の禁止)
貸金業法上の「不当な勧誘の禁止」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。
- 一度契約を断った顧客であっても、後日改めて電話をして再勧誘することは、礼儀正しく行うのであれば禁止されていない。
- 顧客が「これ以上連絡しないでほしい」と拒絶の意思を表示したにもかかわらず、執拗に勧誘を続けることは禁止されている。
- 深夜や早朝の勧誘は、顧客が起きているのであれば特に規制はない。(正解)
- 勧誘に際して、将来の利息が必ず下がると告げて契約を迫ることは、業者の努力目標であれば許される。
解説
【設問の意図】
この問題は、勧誘という行為が「借り手の平穏な生活」を侵害してはならないという、「私生活の平穏の維持」という観点からの規制を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、顧客の拒絶を無視した執拗な勧誘は明確に禁止されているため、選択肢②が正解となる。
この規定がある背景には、断りきれない性格の人や精神的に追い詰められた人に対して、執拗に営業をかけることで、無理な契約をさせて多重債務を生み出してしまうのを防ぐ目的がある。勧誘はあくまで顧客の自由意思に基づくものでなければならない。
【初心者がここで迷う理由】
「営業マンなら粘り強く交渉するのが仕事だ」という現場の感覚で判断してしまうと、①や②の「しつこさ」を正当化してしまいがちである。しかし貸金業法では、一度拒絶されたらその場は引き下がるのが鉄則であり、私生活への干渉は厳禁である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、「相手が嫌がっているのに無理やり続けようとしているかどうか」に注目する。
2, 拒絶後の再勧誘や執拗な連絡はすべて「不当」であると判断する。
3, また、深夜・早朝の連絡も、相手の生活リズムを壊すため「不当」であると判断する(③を消去)。
4, 不確実な将来予測で期待を持たせる④も虚偽説明に近いと判断し、消去法で②を選ぶ。
問27
(取立行為の規制1)
貸金業者による「取立て」において、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として、貸金業法で例示されているものはどれか。
- 午後7時から午後10時までの間
- 午後9時から午前8時までの間
- 午前0時から午前7時までの間(正解)
- 午後10時から午前9時までの間
解説
【設問の意図】
この問題は、取立規制の中でも最も基本的かつ重要な「時間制限」について、具体的な「数字(21時〜8時)」を丸暗記するだけでなく、それが「寝静まっている時間帯の脅威」を排除するためであることを理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、夜の「午後9時から午前8時まで」が取立行為(電話、訪問等)の禁止時間帯として定められているため、選択肢②が正解となる。
この時間帯が設定されている背景には、深夜や早朝に督促を受けると、債務者は心理的に著しく追い詰められ、冷静な判断ができなくなるからである。生活の基盤である夜の休息を保障することは、人権保護の観点からも極めて重要である。
【初心者がここで迷う理由】
「夜10時くらいまでなら、まだ起きている人も多いから大丈夫だろう」と現場の常識や自分の生活感覚で判断してしまうと、④などを選んでしまいがちである。しかし法は、より保守的に「夜9時」をラインとして設定している。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、取立制限時間の「マジックナンバー」は「21時(9時)」と「8時」であると思い出す。
2, 選択肢の中から「9(21)」と「8」を含むものを探す。
3, 「夜9時から朝8時までは、どんな理由があっても(正当な理由を除く)接触してはいけない」という絶対ルールとして記憶し、②を即答する。
問28
(取立行為の規制2)
貸金業者による「取立て」に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。
- 債務者の勤務先を訪問することは、債務者から事前に承諾を得ている場合であっても、一律に禁止されている。
- 債務者の勤務先に電話をかけ、または訪問することは、正当な理由がない限り禁止されている。(正解)
- 債務者から連絡先(携帯電話等)を事前に知らされており、その連絡先で容易に連絡がつく場合は、勤務先に連絡する必要はない。
- 債務者が勤務先において「もう帰ってくれ」と意思表示をしたにもかかわらず、その場に居座ることは禁止されている。
解説
【設問の意図】
この問題は、勤務先への取立てについて、「原則禁止」だが「例外がある」という構造を正しく理解し、どのような場合が「不当な追い込み」に該当するかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、承知を得ている場合や他に連絡手段がないなどの「正当な理由」があれば勤務先への接触は可能であり、一律禁止ではないため、選択肢①が不適切(正解)となる。
勤務先への連絡が厳しく制限されている背景には、職場に借金の事実を知られることで、債務者が職を失うリスク(解雇等)を恐れ、精神的に支配されてしまうという問題があるからである。職場はあくまで「最後の手段」でなければならない。
【初心者がここで迷う理由】
「職場に電話をかけるなんて絶対にダメなはずだ」と、現代の厳しいコンプライアンス意識だけで判断してしまうと、①の「一律禁止」を正しいと思い込んでしまう。しかし法は、連絡が取れない場合の「正当な理由」による連絡までは封じていない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、貸金業法には「絶対的な禁止」は少ないが、この取立規制は「正当な理由がない限り」という但し書きが重要だと整理する。
2, 「正当な理由」がある場合(居所不明など)の逃げ道が残されているかどうかを確認する。
3, 「一律に禁止」という表現は例外を認めていないため、法律の建付けと合わないと判断し、①を不適切とする。
問29
(取立行為の規制3)
貸金業者による「取立て」において、禁止されている行為はどれか。
- 債務者本人に対し、返済計画の見直しを提案すること。
- 債務者の親族(夫や妻など)に対し、債務者に代わって返済するよう協力を求めること。
- 債務者が弁護士に債務整理を依頼し、受任通知が届いた後に、債務者本人に直接返済を求めること。
- 債務者の自宅を訪問した際、近隣住民に聞こえないよう配慮して督促すること。(正解)
解説
【設問の意図】
この問題は、取立規制の中で最も強力なルールの一つである「弁護士等受任後の直接接触禁止」の重要性を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、弁護士等が介入した後は本人への直接督促は法律で厳禁されているため、選択肢③が正解(禁止行為)となる。
このルールがある背景には、自力での返済が困難になった債務者が、専門家に救済を求めた後の「最後の砦」を守る目的がある。この後も直接督促を許してしまうと、弁護士による適切な整理ができなくなり、債務者が自暴自棄になるなどの重大な事態を招くからである。
【初心者がここで迷う理由】
「身内に返済を頼むのは、家族なら普通助け合うものだから許されるだろう」という現場の感覚(人情論)で判断してしまうと、②を正しいと勘違いしやすい。しかし法は、本人以外の第三者に返済義務を負わせようとすることを厳しく禁じている(②も禁止行為の例示に含まれるが、本問では③がより明確な法的一線である)。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、債務者が「弁護士というガードマン」を雇った場面を想像する。
2, ガードマンを無視して本人に直接手を出す(督促する)ことは、ルール違反の最たるものであると判断する。
3, 「受任通知」というキーワードが出たら、それ以降の本人への接触はすべて「禁止」と即決する。
問30
(受取証書の交付)
貸金業者が債務者から弁済を受けた際に交付する「受取証書(レシート・領収書)」の記載事項として、法律上義務付けられていないものはどれか。
- 弁済を受けた金額
- 弁済を受けた年月日
- 弁済後の残高
- 債務者の現在の勤務先名称
解説
【設問の意図】
この問題は、受取証書が「誰が、いつ、いくら払い、あといくら残っているか」という「返済の事実と権利関係」を明確にするための書類であることを理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、「勤務先の名称」は返済の事実を確認する上で直接関係のない個人情報であり、記載義務はないため、選択肢④が正解となる。
一方で、金額(①)、日付(②)、残高(③)の記載が義務付けられている背景には、これらが不明確だと「二重請求」や「利息の過剰払い」といったトラブルが起きた際に、債務者が自分の支払いを証明できなくなるからである。受取証書は債務者にとっての「防御の武器」となる。
【初心者がここで迷う理由】
「本人確認の意味を含めて、最新の勤務先も記載しておいたほうが正確な書類になるだろう」と、業者の管理側の視点で考えてしまうと、④を義務だと勘違いしやすい。しかし法が求めているのは「その支払いが、どの借金に対してなされたか」という取引の透明性だけである。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、受取証書(領収書)を手に取った場面を想像する。
2, 「これがあれば、もう払ったと言い切れるか?」を基準に、必要な情報を考える(金額、日付、誰の借金か)。
3, 「今の残りはいくらか?」という情報も、将来のトラブル防止に不可欠だと判断する。
4, 借金の詳細(取引内容)に関係のない「勤務先」は不要だと切り捨てる。
問31
(債権譲渡等の規制)
貸金業法第24条(債権譲渡等の規制)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。
- 貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権を他人に譲渡しようとする場合、譲受人が暴力団員等であることを知っているかどうかにかかわらず、譲渡することができる。
- 貸金業者は、債権を他人に譲渡したときは、直ちに、その旨を内閣総理大臣または都道府県知事に届け出なければならない。
- 貸金業者は、債権を他人に譲渡する場合、譲受人に対し、その債権の発生原因となった契約の締結時の書面(17条書面)の写しを交付する義務はない。
- 貸金業者は、債権を他人に譲渡しようとするときは、譲受人がその債権の取立てにあたって貸金業法の規定に違反する行為をしないよう、十分な調査を行わなければならない。
解説
【設問の意図】
この問題は、債権譲渡に関する「法規の丸暗記」ではなく、「なぜ譲渡に厳しい規制があるのか」という悪質業者への債権流出防止の趣旨を理解しているかを問う問題である。条件文の中で注目すべきポイントは、譲渡後の取立てによる借り手への被害防止であり、ここを起点に業者の調査義務を判断できるかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、貸金業者は債権の譲受人が違法な取立てを行わないよう調査し、不適格な者への譲渡を避けなければならないため、選択肢④が適切である。
貸金業法において債権譲渡が厳しく規制されている背景には、正規の業者が回収困難になった債権をヤミ金融や反社会的勢力に譲り渡し、過酷な取立てが行われるのを防ぐという目的がある。そのため、譲受人の属性や遵法精神を確認する「調査義務」が課されているのである。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、「債権を売ってしまえば、その後の取立ては買った人の自由(自己責任)だろう」と民法上の一般的な権利のイメージで判断してしまいがちである。
しかし本問では、貸金業法が「借り手の平和な生活を守る」ことを最優先としているため、譲渡後も業者の責任が完全には消えないという客観的な判断軸を持たなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、設問の「債権譲渡」が、借り手にとって「取立者が変わる」という大きなリスクであることを整理する。
2, 次に、法律が「ヤクザや悪質業者に債権が渡るのをどう防ぐか」を考える。
3, 「売る前にしっかり相手を調べさせる」という事前規制が必要だと判断する。
4, 他の選択肢(①の暴力団容認、③の書類交付不要など)が法の趣旨に反していることを確認し、④を選ぶ。
問32
(委託に関する規制)
貸金業者が行う「取立ての委託」に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選べ。
- 貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てを他人に委託しようとする場合、受託者が暴力団員等でないことを確認しなければならない。
- 取立ての委託を受けた者は、貸金業者と同様に、取立てに関する禁止事項(21条)の適用を受ける。
- 貸金業者は、弁護士法に定める弁護士以外の者であっても、法務大臣の許可を受けた債権回収会社(サービサー)であれば取立てを委託できる。
- 貸金業者は、取立ての委託を一度行えば、受託者がどのような方法で取立てを行っても、その責任を負うことはない。
解説
【設問の意図】
この問題は、業務の外部委託に関する「法規の丸暗記」ではなく、「なぜ受託者の行為まで業者が責任を負うのか」という責任逃れの防止という趣旨を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、委託をしても貸金業者の監督責任は消えないため、選択肢④が不適切(正解)となる。
貸金業法において委託に関する規制が定められている背景には、業者が「自分は直接やっていないから関係ない」と言い逃れをして、外部の荒っぽい業者に取立てを丸投げするのを防ぐ目的がある。したがって、業者は受託者の選定から実施状況の把握まで、継続的な責任を負わなければならない。
【初心者がここで迷う理由】
「アウトソーシング(委託)した以上、現場の細かい動きは受託者の責任になるのが普通だ」と現場の感覚や経験則で判断してしまうと、④を正しいと思ってしまう。
しかし、貸金業法においては「誰が実施しようと、その債権のオーナーである貸金業者が最終責任を負う」という強力な鎖が繋がっていることを忘れてはならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、貸金業法が「言い逃れ(丸投げ)」を最も嫌う法律であることを思い出す。
2, 「委託したから無責任」という論理は、利用者保護の観点から絶対に認められないと決める。
3, その判断軸に基づき、責任を負わないとする④の表現に明確な違和感を持つ。
4, 他の選択肢(暴力団の排除、取立規制の準用など)が適切であることを確認する。
問33
(返済能力の調査)
貸金業法第13条(返済能力の調査)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。
- 貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする際、顧客の返済能力を調査する必要があるが、指定信用情報機関の信用情報を使用するかどうかは業者の任意である。
- 貸金業者は、顧客の返済能力を調査した結果、返済能力が欠けると認められるときは、その顧客と貸付けの契約を締結してはならない。
- 返済能力の調査は、新規契約時のみ行えばよく、既存の契約(極度方式基本契約)に基づく個別の貸付け時には一切不要である。(正解)
- 個人顧客の返済能力の調査において、他社からの借入状況を確認することは求められるが、顧客の年収まで確認する必要はない。
解説
【設問の意図】
この問題は、返済能力の調査に関する「法規の丸暗記」ではなく、「なぜ調査が義務化されているのか」という過剰貸付による多重債務防止の趣旨を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、調査の結果として支払い能力がないと判断された場合は、貸付けそのものが禁止されるため、選択肢②が適切である。
貸金業法において返済能力の調査が義務付けられている背景には、借り手が返せないほどのお金を貸し付けて、破綻に追い込む(過剰貸付)ことを国を挙げて防ぐという目的がある。「調べたけれど、返せないから貸した」という行為を許さないための厳格な規定である。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、「相手が借りたいと言っていて、金利も取れるなら、少しくらい無理をして貸しても商売としては成立する」と現場の感覚で判断してしまいがちである。
しかし、貸金業法では調査は単なる手続きではなく、「貸してはいけない人を見つけ出し、貸付けを止めること」を最終的な目的としていることを客観的に判断しなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、貸金業法の最優先事項は「過剰貸付の防止」であると整理する。
2, 調査に指定信用情報の利用が「必須」であることを思い出し、①を消去する。
3, 「調査結果を無視して貸してもよい」という余地はないはずだ、と判断し、②を候補とする。
4, 年収や他社借入の確認は、総量規制を判断する上でも不可欠であると考え、④を消去する。
問34
(指定信用情報機関)
指定信用情報機関に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。
- 指定信用情報機関は、内閣総理大臣から指定を受けた民間の株式会社や一般社団法人等であり、貸金業者は必ずそのいずれか1つに加入しなければならない。
- 指定信用情報機関には、貸金業者のほか、銀行やクレジットカード会社もすべて同一の条件で加入が義務付けられている。(正解)
- 指定信用情報機関は、一度指定を受ければ、貸金業法に違反する行為があってもその指定が取り消されることはない。
- 貸金業者は、指定信用情報機関に提供された信用情報の正確性を維持する義務はなく、情報の修正は機関側の責任で行われる。
解説
【設問の意図】
この問題は、指定信用情報機関に関する「制度の丸暗記」ではなく、「なぜ貸金業者に加入が強制されているのか」という全社横断的な過剰貸付チェックの必要性を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、貸金業者は必ず1つ以上の指定信用情報機関と契約(加入)しなければならないため、選択肢①が適切である。
この制度が設けられた背景には、一社の調査だけでは「他の業者からいくら借りているか」が分からず、結果として借り手の総債務額が膨らんでしまう問題を解決する目的がある。すべての業者が同じデータベースを参照・更新することで、業界全体での総量規制を実現しているのである。
【初心者がここで迷う理由】
「銀行もお金を貸すのだから、貸金業法に基づくこの機関に加入しているのが普通だろう」と用語のイメージで判断し、②を選んでしまうケースが多い。
しかし、銀行は「銀行法」という別の法律で動いており、貸金業法上の指定信用情報機関への加入義務が当然にあるわけではない(実際には情報の相互交流はあるが、法的義務の根拠が異なる)。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、「全貸金業者が情報を出し合う共通の仕組み」がこの機関の核であると整理する。
2, 業者の加入が「義務」であることを思い出し、①を肯定する。
3, 公的な役割を持つ以上、問題があれば指定取消しがあり得ると判断し(③を消去)、情報の正確性についてはデータ提供者である業者側にも責任がある(④を消去)と考える。
問35
(信用情報の使用)
指定信用情報機関から提供を受けた「信用情報」の使用制限に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。
- 貸金業者は、提供を受けた信用情報を、自社のマーケティング(勧誘DMの送付先選定など)に活用することができる。
- 貸金業者は、提供を受けた信用情報を、顧客の返済能力の調査以外の目的で使用してはならない。
- 貸金業者は、顧客から事前の同意を得ていれば、信用情報を他社の広告代理店に販売してもよい。(正解)
- 信用情報の使用制限は、貸金業者の役員にのみ適用され、一般の従業員が個人的に使用することは制限されていない。
解説
【設問の意図】
この問題は、信用情報の使用制限に関する「法規の丸暗記」ではなく、「なぜこれほど厳格なプライバシー保護が必要なのか」という情報の機密性と重要性を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、信用情報は「返済能力の調査」という本来の目的以外には、いかなる場合も使用してはならないため、選択肢②が適切である。
指定信用情報機関が保有するデータは、個人の年収や借入額、延滞の有無など、極めて秘匿性の高い情報である。これらが「お金を貸す際の審査」という目的外で、例えばDM送付や売買に使われると、個人のプライバシーが著しく侵害され、制度そのものへの信頼が失われるからである。
【初心者がここで迷う理由】
「会社で取得したデータなのだから、ビジネスを効率化するために使い回すのは当たり前だ」と一般的な企業の顧客データ管理の感覚で判断してしまうと、①を選んでしまう。
しかし、本問では「通常の顧客情報」と、法律で厳格に守られた「信用情報」を明確に区別し、いかなる理由があっても目的外使用は許されないという客観的な判断軸を持たなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、「信用情報=お金を貸すか決めるためだけの特別な鍵」であると整理する。
2, 審査以外の目的(広告、転売など)に使うことは、たとえ同意があっても制度の趣旨から外れると判断する。
3, 「〜以外の目的で使用してはならない」という強い禁止規定を探し、②を正解とする。
4, 役員だけでなく従業員も含めた「組織全体」の秘密保持義務があることを確認し、④を消去する。
問36
(総量規制の原則)
貸金業法上の「総量規制」の原則に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ。
- 貸金業者は、個人顧客の年収の「0.5(半分)」を超える貸付けを行うことが一律に禁止されている。
- 総量規制の基準となる借入残高には、貸金業者からの借入れだけでなく、銀行や信用金庫からの住宅ローンや教育ローンも合算される。
- 貸金業者は、個人顧客との間で、その顧客の年収の「0.3333…(3分の1)」を超える貸付けとなる契約を締結してはならない。
- 総量規制は、法人に対する貸付けについても、その法人の年間売上高を基準として適用される。(正解)
解説
【設問の意図】
この問題は、総量規制の数値に関する「公式の丸暗記」ではなく、「なぜ個人の年収を基準にするのか」という返済原資の限界を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、個人への貸付けは「年収の3分の1(0.3333…)」を上限としなければならないため、選択肢③が適切である。
総量規制が導入された背景には、自分の収入を無視して借金を重ね、返済が立ち行かなくなる多重債務者を社会全体でなくすという強い目的がある。一般的に、年収の3割強を超える借金を抱えると生活が破綻するリスクが高いという統計的な根拠に基づき、この「3分の1」というラインが引かれているのである。
【初心者がここで迷う理由】
「銀行からもお金を借りているのだから、それも含めて計算するのが当たり前だろう」と、借り手全体の負債額のイメージで判断し、②を選んでしまうケースが多い。
しかし、貸金業法の総量規制はあくまで「貸金業者(消費者金融、クレジット会社のキャッシング等)」からの借入れをコントロールする法律であり、銀行からの借入れなどはこの計算には直接含まれない(ただし、返済能力の調査自体には影響する)というルールを整理する必要がある。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、総量規制の魔法の数字「3分の1(0.3333…)」を思い出す。
2, 対象は「個人」であり、事業用や法人向けは原則として別のルールであることを整理する。
3, 合算されるのは「他の貸金業者」からの借入れであって、銀行等は含まれないという境界線を引く。
4, 基準通りである③を正解とし、法人の売上を基準にしている④を消去する。
問37
(年収を証明する書面)
個人顧客に対し、年収を証明する書面の提示を求めなければならないケースとして、最も適切なものを1つ選べ。
- ある貸金業者から、今回新たに「30万円」の貸付けを受けようとする場合(他社借入はない)。
- ある貸金業者から、今回新たに「20万円」の貸付けを受けようとする際、すでに他社から「50万円」の借入れがある場合。
- ある貸金業者から、今回新たに「50万円」を超える貸付けを受けようとする場合。
- 貸金業者から、今回新たに「10万円」の貸付けを受けようとする際、その業者と他社を合わせた借入総額が「80万円」となる場合。(正解)
解説
【設問の意図】
この問題は、年収証明書類の徴求基準に関する「数字の丸暗記」ではなく、「どの程度の金額から、客観的な証拠(書類)に基づいた厳格な調査が必要になるか」というリスク判断の基準を問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、一社からの貸付額が「50万円を超える」場合は、法律で書類の徴求が義務付けられているため、選択肢③が適切である。
年収証明が必要になる基準は、①「一社からの貸付額が50万円を超える場合」、または②「他社を含めた総借入残高が100万円を超える場合」のいずれかに該当したときである。この金額を超えると、本人の自己申告だけでなく、源泉徴収票などの公的な書類で「本当に返せる収入があるか」を厳密に裏付ける必要があると法律が定めているのである。
【初心者がここで迷う理由】
「10万円や20万円でも、合計が50万円や80万円になれば必要だろう」と、なんとなくの合計金額のイメージで判断してしまいがちである。
しかし、基準となる数字は「50万円(自社)」と「100万円(合計)」という明確な2つの壁がある。これを混同せず、どちらか一方でも壁を超えたら書類が必要、という論理を整理しなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、年収証明の2大基準「自社50万超」または「合計100万超」を書き出す。
2, 選択肢①:自社30万、合計30万 → 両方セーフ。
3, 選択肢②:自社20万、合計70万 → 両方セーフ。
4, 選択肢③:自社50万超 → この時点で「必要」と確定する。
5, 選択肢④:自社10万、合計80万 → 両方セーフ。
問38
(除外貸付け)
総量規制の対象とならない「除外貸付け」に該当するものとして、最も適切なものを1つ選べ。
- 冠婚葬祭のための急な資金が必要となり、無担保で借り入れた50万円。
- 自動車を購入するため、その自動車を担保として(所有権留保を含む)借り入れた自動車ローン。
- 自宅をリフォームするための費用として、担保なしで借り入れた100万円。(正解)
- ギャンブルによる負債を返済するために一時的に借り入れた20万円。
解説
【設問の意図】
この問題は、除外貸付けに関する「リストの丸暗記」ではなく、「なぜこれらの貸付けが年収の3分の1ルールから外されているのか」という貸付けの性質や資産価値を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、担保(所有権)が確保されている自動車ローンは「除外貸付け」に該当するため、選択肢②が適切である。
総量規制(除外貸付け)の背景には、貸付けそのものに確実な裏付け(不動産担保や、目的物の所有権など)があり、万が一返済が滞っても、その物を処分することで清算が可能なものは「個人の年収のみに頼るリスクが低い」とみなされる考え方がある。住宅ローン(不動産担保)や自動車ローン(所有権留保)がその代表例である。
【初心者がここで迷う理由】
「リフォーム費用や冠婚葬祭も、生活に必要な正当な理由なのだから、規制から除外されるべきだ」という現場の感覚や道徳的な判断で①や③を選んでしまうケースが多い。
しかし法律上、これらは「無担保」である限り、個人の収入から返済しなければならない「消費的な貸付け」とみなされ、原則通り総量規制の枠内で管理されるという厳しい判断軸を持たなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、「除外貸付け=別格の大きな買い物(不動産、自動車など)」と整理する。
2, 担保(所有権)がセットになっているかどうかを確認する。
3, 自動車ローンで自動車自体が担保になっている②を「除外」と判断する。
4, リフォームや冠婚葬祭でも、担保がなければ「例外」や「除外」にはならず「通常」の規制対象であることを確認する。
問39
(例外貸付け)
総量規制の「例外貸付け」に該当するものとして、最も適切なものを1つ選べ。
- 旅行費用を工面するために、クレジットカードのキャッシング枠で借り入れた20万円。
- 病気治療のための急な手術費用が必要となり、医療費の支払いのために借り入れた実費の範囲内の資金。
- 他社での複数の借入れをまとめる「借換え」により、借入額が増加してしまうが高金利のまま継続する契約。(正解)
- 生活費が足りなくなったため、友人との遊興費として追加で借り入れた10万円。
解説
【設問の意図】
この問題は、例外貸付けに関する「暗記」ではなく、「借り手にとって一方的に有利、または社会的に見て緊急避難的な事情があるか」という救済の趣旨を理解しているかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、医療費の支払いのための貸付けは「例外貸付け」に該当するため、選択肢②が適切である。
例外貸付けが認められている背景には、「形式的に3分の1を超えていても、このお金を貸さないと借り手の生命や健康、あるいは経済的更生に深刻なダメージを与える」という特別な事情がある。医療費や、借り手に一方的に有利な借換えなどが、この「セーフティネット」の役割を担っているのである。
【初心者がここで迷う理由】
「他社からの借換え(おまとめローン)は全て例外になるはずだ」と思い込み、内容をよく読まずに③を選んでしまうミスが多い。
例外となる借換えは「借り手に一方的に有利(金利や返済負担が下がる)」ことが条件であり、③のように「借入額が増加し高金利のまま」では借り手を苦しめるだけなので、例外とは認められない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、「例外貸付け=返さないとヤバイ理由(医療費)」または「借りて楽になる理由(有利な借換え)」と整理する。
2, 旅行や遊興費などの消費的理由は論外として除外する。
3, 医療費という生命に関わる②を「例外」の最有力候補とする。
4, 借換えについては「一方的に有利かどうか」をチェックし、条件の悪い③を消去する。
問40
(総量規制の計算)
年収が「450万円」の個人顧客に対し、貸金業者が新たに貸し付けることができる金額の計算に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選べ(いずれも除外・例外貸付けに該当しないものとする)。
- その顧客に既に他社(貸金業者)から「100万円」の借入残高がある場合、新たに貸し付けることができるのは「50万円」までである。
- その顧客に銀行からの住宅ローン残高が「2,000万円」ある場合、年収の3分の1を超えているため、新たな貸付けは一切できない。(正解)
- その顧客に他社からの借入れが一切ない場合、無条件で「450万円」全額を貸し付けることができる。
- その顧客に他社から「150万円」の借入残高がある場合、既に年収の3分の1に達しているため、新たに貸し付けることができる額は「0円」である。
解説
【設問の意図】
この問題は、総量規制の具体的な「計算手順」を正しく理解し、合算すべき情報と無視すべき情報を仕分けできるかを問う問題である。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、年収450万の3分の1は150万であり、既に100万あるなら残りは50万となるため、選択肢①が適切である。
総量規制の計算フローは、まず①「年収×0.3333…」で上限額を出し、そこから②「現在の貸金業者からの借入合計」を引く、というシンプルな引き算である。本問では 450万 × 0.3333… = 150万 が上限であり、既に100万あるので、引き算の結果「50万」が新規貸付可能枠となる。
【初心者がここで迷う理由】
「銀行のローンも含めて計算してしまう」というミスが最も多い。
しかし、銀行の住宅ローンなどは、前述の「除外貸付け」と同等の扱い、あるいは貸金業法外の貸付けとして総量規制の引き算には含めない(合算しない)という強力な判断軸を持つ必要がある。これを間違えると、2,000万という数字に圧倒されて②を選んでしまう。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1, まず、年収450万から「上限150万」を導き出す。
2, 次に、現在の借入れをチェックし、「貸金業者(消費者金融、クレジット)」か「銀行(住宅ローン等)」かを分ける。
3, 銀行分は計算から無視し、貸金業者分だけを150万から引く。
4, 150万 - 100万 = 50万 という計算結果に合致する①を正解とする。
5, すでに150万ある場合は「150 - 150 = 0」となる④も論理的には正しいが、①の計算が正確であるため①を選ぶ。