技術士第一次試験 建設部門 第1回
問1
システムや機器の信頼性設計に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- アイテムが与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たす確率をアベイラビリティ(稼働率)という。
- 故障したシステムを、規定の条件で修理・復旧する際、規定の時間内に完了する確率を信頼度という。
- 信頼性設計とは、システムの初期コストを最小化することを最優先とした設計手法である。
- アイテムが与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たす確率を信頼度という。
- 予防保全とは、故障が発生した後に直ちに修理を行い、システムを復旧させることである。(正解)
解説
【正解】
4
【出題の意図】
この問題は、信頼度やアベイラビリティに関する単なる暗記ではなく、その根底にある「システムが社会でどう運用されるか」という実態を理解しているかを問う問題である。
各用語が「故障しないこと」を指すのか、「修理のしやすさ」を指すのか、「いつでも使える状態か」を指すのか、という本質的な違いを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、指定された期間内に機能を維持し続けるという定義そのものが「信頼度」の概念であるため、この選択肢が正解となる。
インフラや建設機械の設計においては、運用中に突然停止しないことが大前提となる。そのため、「与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たす」という現象を確率として評価し、設計基準に落とし込む必要がある。これが信頼度の考え方である。
したがって、信頼度の原則に最も合致する選択肢④が正解となる。
・選択肢①は、必要な時にシステムが機能している割合(アベイラビリティ)の説明であり矛盾している。
・選択肢②は、修理のしやすさ(保全度)の説明であるため誤り。
・選択肢⑤は、事後保全の説明であり、予防保全(壊れる前に直す)という原則を無視しているため誤り。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合や、丸暗記に頼っている場合、多くの人は
「横文字の用語(アベイラビリティ等)の意味を混同してしまう」
「現場では壊れたら直すのが普通だから、それが保全だろう」
と、短絡的・感覚的に判断してしまいがちである。
特に、
・表面的な用語のイメージだけで判断してしまう
・「壊れないこと」と「すぐに直せること」の技術的な意味の違いを飛ばしてしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、現場の感覚や式の丸暗記ではなく、明確な設計基準に基づいた論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正答を導き出せる。
1. まず、問題文が問うている「機能を果たす確率」という大前提となる目的を思い出す。
2. 次に、その大前提に照らし合わせたとき、「修理時間」や「コスト最優先」といった論理的にあり得ない選択肢を除外する。
3. 残った選択肢について、用語の定義(信頼度=壊れない確率、稼働率=使える時間の割合)の軸で比較する。
4. 対象期間中に働き続けるという目的に適しているかを確認し、最終決定する。
この流れでアプローチすれば、知識が曖昧な部分があっても、論理の筋道を通すことで確実に正解へとたどり着ける。
問2
フェイルセーフ(fail-safe)の概念を適用した設計の例として、最も適切なものはどれか。
- 誤操作を防ぐため、2つのボタンを同時に押さないとプレス機が起動しないようにした。
- 停電時にデータが失われないよう、サーバーに無停電電源装置を設置した。
- 踏切の遮断機は、故障時や停電時には重力で自動的に下りる構造にした。
- 部品の一部が故障しても、全体の機能が停止しないように予備の回路を設けた。(正解)
- 人間がミスをしても事故に繋がらないよう、電子レンジの扉が開いていると加熱できないようにした。
解説
【正解】
3
【出題の意図】
この問題は、フェイルセーフに関する単なる暗記ではなく、その根底にある物理現象(機械は必ず壊れるという事実)を理解しているかを問う問題である。
異常や故障が発生したという条件において、どのような原理原則を働かせて人命や設備を守るかを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、システムが故障・停止した際に「安全な方向へ自動的に移行する」というメカニズムがあるため、この選択肢が正解となる。
安全設計においては、機械の故障を完全に防ぐことは物理的に不可能であるという現象を考慮し、万が一故障した場合には被害を最小限に食い止める状態(安全側)へ導くことが大前提となる。
踏切の場合、電力が絶たれたときに遮断機が上がったままだと大事故になる。そのため、重力という自然法則を利用して「通行止め(安全側)」にする構造が必要となる。
したがって、フェイルセーフの原則に最も合致する選択肢③が正解となる。
・選択肢①と⑤は、人間の誤操作を防ぐフールプルーフの設計指針であり矛盾している。
・選択肢②と④は、機能の維持を目的としたフォールトトレランス(冗長設計)であり、安全側に停止させるフェイルセーフとは目的が異なるため誤り。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合や、丸暗記に頼っている場合、多くの人は
「安全のための設計手法だから、どれも似たようなものだろう」
と、短絡的・感覚的に判断してしまいがちである。
特に、
・安全=壊れないこと、と表面的なイメージだけで判断してしまう
・「人間のミスを防ぐ設計」と「機械が壊れた後の設計」を混同してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、現場の感覚ではなく、明確な「技術基準」に基づいた論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正答を導き出せる。
1. まず、問題文のフェイルセーフが問うている「機械が壊れた後に、安全な状態に移行する」という大前提を思い出す。
2. 次に、その大前提に照らし合わせたとき、「壊れる前の対策(誤操作防止など)」である選択肢を除外する。
3. 残った選択肢について、「機能を維持し続けるもの(予備回路)」か「機能を止めて安全を確保するもの」の軸で比較する。
4. 故障時に安全側に振り切るという目的に適しているかを確認し、最終決定する。
この流れでアプローチすれば、用語が曖昧でも、論理の筋道を通すことで確実に正解へとたどり着ける。
問3
フールプルーフ(foolproof)の概念に該当する具体例として、最も適切なものはどれか。
- 航空機のエンジンが1基停止しても、もう1基で安全に飛行を継続できるように設計する。
- 石油ストーブが地震などで転倒した場合に、自動的に消火される機構を設ける。
- ドラム式洗濯機において、運転中は扉に自動ロックがかかり、無理に開けられないようにする。
- 信号機が故障した場合、すべての方向の信号を赤点滅に切り替える。(正解)
- サーバーのハードディスクを複数台で構成し、1台壊れてもデータが復旧できるようにする。
解説
【正解】
3
【出題の意図】
この問題は、フールプルーフに関する単なる暗記ではなく、その根底にある「人間は必ず不注意やミスをする」という前提を理解しているかを問う問題である。
利用者が誤った行動をとったという条件において、システムが危険な状態に進まないようどう制御するかを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、人間の不注意な操作を物理的に無効化し、事故を防ぐメカニズムがあるため、この選択肢が正解となる。
フールプルーフの設計においては、人間が取扱説明書通りに動かない現象を考慮し、誤った使い方をしても事故にならないように防ぐことが大前提となる。
洗濯機が高速回転している最中に扉を開けると大けがをするリスクがある。そのため、使用者の「開けたい」という意思や行動よりも、安全機構による「物理的なロック」を優先する。
したがって、フールプルーフの原則に最も合致する選択肢③が正解となる。
・選択肢①と⑤は、機械の故障に備えた冗長設計の点であり矛盾している。
・選択肢②と④は、異常発生時(転倒・故障)に安全状態へ移行させるフェイルセーフの概念であり、人間の操作ミスへの対策ではないため誤り。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合や、丸暗記に頼っている場合、多くの人は
「安全装置がついているのだから、どれも正解に見える」
と、短絡的・感覚的に判断してしまいがちである。
特に、
・「誰が・何が」原因で危険になるかという視点を飛ばしてしまう
・「フール(愚か・不注意)」という用語の背景にある「人間の行動」に目が行かない
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、漠然とした安全対策ではなく、明確な「人間の行動に対する技術指針」に基づいた論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正答を導き出せる。
1. まず、問題文が問うているフールプルーフの「人間の誤操作や不注意をカバーする」という大前提を思い出す。
2. 次に、その大前提に照らし合わせたとき、「機械自体の故障」が引き金となっている選択肢(エンジン停止、信号機故障など)を物理的・論理的に除外する。
3. 残った選択肢について、「自然現象への対策(地震)」か「人間の行動への対策」の軸で比較する。
4. 人為的ミスから利用者を守るという目的に最も適しているかを確認し、最終決定する。
この流れでアプローチすれば、各安全設計の違いが明確になり、確実に正解へとたどり着ける。
問4
機器やシステムの故障率と時間の関係を示すバスタブ曲線に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- バスタブ曲線は、時間経過とともに「初期故障期」「偶発故障期」「摩耗故障期」の3つの期間に分けられる。
- 初期故障期では、設計ミスや製造不良などが原因で故障率が比較的高く、時間の経過とともに減少する。
- 偶発故障期では、故障率が時間の経過とともに徐々に上昇し続ける特徴がある。
- 偶発故障期における故障は、突発的な過負荷や予測不能なストレスによって発生することが多い。(正解)
- 摩耗故障期では、部品の劣化や摩耗が原因で、時間の経過とともに故障率が急激に上昇する。
解説
【正解】
3
【出題の意図】
この問題は、バスタブ曲線に関する単なる形状の暗記ではなく、機器のライフサイクルにおいてなぜそのような故障率の変化(物理現象や経年変化)が起こるのかを理解しているかを問う問題である。
時間軸という条件において、どのような劣化要因が働くかを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、偶発故障期における故障率の振る舞いが物理的実態(基準)と異なっているため、この選択肢が「不適切(正解)」となる。
工業製品のライフサイクルを評価する際は、初期の製造不良が取り除かれた後は、長期間にわたって安定稼働するという物理現象を考慮することが大前提となる。
「偶発故障期」とはその安定稼働している期間を指し、摩耗が始まるまでは故障率はほぼ「一定(低水準)」を保つのが原則である。「徐々に上昇し続ける」わけではない。
したがって、バスタブ曲線の原則と最も矛盾している選択肢③が本問の正解となる。
・選択肢①、②、④、⑤は、機械の劣化や製品の安定性に関する物理法則や設計評価の事実と完全に合致している。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合や、丸暗記に頼っている場合、多くの人は
「機械は使えば使うほど少しずつ壊れやすくなるはずだ」
と、日常の感覚的・経験的な判断をしてしまいがちである。
特に、
・「偶発」という言葉のイメージと「徐々に上昇」という直感的な劣化イメージを結びつけてしまう
・初期不良、安定期、寿命という3つの明確なフェーズの境界線を整理しないまま答えを選ぶ
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、現場の感覚やイメージではなく、明確な「信頼性工学の基準」に基づいた論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正答を導き出せる。
1. まず、バスタブ(浴槽)の形を頭に思い浮かべ、「高い→低い平坦→高い」という大前提となる推移を思い出す。
2. 次に、その大前提に照らし合わせたとき、「初期」「中盤(偶発)」「末期(摩耗)」の3段階の説明で不自然なものを探す。
3. 浴槽の底(中盤)は平坦であるはずなのに、「徐々に上昇し続ける」としている選択肢③を見つける。
4. それが曲線の形状(一定であるべき期間)と明確に矛盾しているかを確認し、最終決定する。
この流れでアプローチすれば、用語の定義が曖昧でも、曲線の形と物理現象をリンクさせることで確実に正解へとたどり着ける。
問5
冗長設計に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 部品数を極力減らすことで、システム全体の故障発生確率を低下させる設計手法である。
- 人間が誤った操作をしても、機械がそれを受け付けないようにする設計手法である。
- システムを構成する要素を複数用意し、一部が故障してもシステム全体としては機能を維持できるようにする設計手法である。
- 製品の廃棄やリサイクルが容易になるように、あらかじめ分解しやすい構造にしておく設計手法である。(正解)
- 故障が発生した際、被害を最小限に抑えるためにシステムを安全に停止させる設計手法である。
解説
【正解】
3
【出題の意図】
この問題は、冗長設計に関する単なる暗記ではなく、インフラや重要設備が「絶対に機能を止めてはならない」という要請に対して、どのような物理的配置をとるべきかを理解しているかを問う問題である。
単一障害点(一つの故障が全体の停止に繋がる箇所)をどうカバーするかを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、主要な機能に対して予備や並列のバックアップを設けるメカニズムが記述されているため、この選択肢が正解となる。
止まることが許されないシステム(通信網や発電所など)の設計においては、部品がいずれ寿命を迎える現象を考慮し、一つが壊れても迂回路や予備機で全体の運転を継続させることが大前提となる。
「冗長(余裕を持たせる、余分に用意する)」という言葉の通り、あえて複数用意することで信頼性を飛躍的に高める手法である。
したがって、冗長設計の原則に最も合致する選択肢③が正解となる。
・選択肢①は、部品削減による簡素化設計であり、冗長設計(あえて増やす)と矛盾している。
・選択肢②は、フールプルーフの設計指針であるため誤り。
・選択肢⑤は、フェイルセーフの制約条件であるため誤り。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合や、丸暗記に頼っている場合、多くの人は
「冗長とは無駄が多いという意味だから、それを減らすのが設計の基本だろう」
と、日常用語としての「冗長(無駄に長い)」のイメージで短絡的に判断してしまいがちである。
特に、
・「部品を減らす方が故障確率が下がる」という別の正しい理論(部品点数削減)に目を奪われ、冗長化の目的に気づかない
・フェイルセーフやフールプルーフといった他の安全用語と混同してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、日常の国語的感覚ではなく、明確な「信頼性向上のための技術基準」に基づいた論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正答を導き出せる。
1. まず、工学における「冗長(バックアップ・予備)」という大前提となる目的を思い出す。
2. 次に、その大前提に照らし合わせたとき、「部品を減らす」「廃棄しやすくする」といった無関係な選択肢を除外する。
3. 残った選択肢について、「人間のミス防止(フールプルーフ)」「安全に止める(フェイルセーフ)」か、「機能を維持する(冗長)」の軸で比較する。
4. 予備を用いてシステム全体を維持するという目的に最も適しているかを確認し、最終決定する。
この流れでアプローチすれば、用語の定義に迷っても、目的から逆算することで確実に正解へとたどり着ける。
問6
ユニバーサルデザインの原則に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 健常者の利便性を最優先しつつ、障害者向けの専用設備を別途併設する設計思想である。
- 年齢、性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるように製品や環境を設計することである。
- 製品のライフサイクル全体を通じて、環境負荷を最小限に抑えることを目的とした設計手法である。(正解)
- 機械の操作ミスを防ぐために、使用者の行動を物理的に制限する安全設計のことである。
- 高度な専門知識を持つ技術者のみが、安全かつ正確に操作できるように最適化された設計である。
解説
【正解】
2
【出題の意図】
この問題は、ユニバーサルデザインに関する単なる言葉の暗記ではなく、社会資本を整備する上で「誰を対象とするか」という公共性の理念を理解しているかを問う問題である。
特定の人に向けた特別扱いではなく、最初から多様性を包摂するという原理原則を起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、あらゆる利用者の特性を最初から考慮して設計する「普遍的(ユニバーサル)」という背景が記述されているため、この選択肢が正解となる。
公共施設やインフラの設計においては、人間はそれぞれ体格や能力が異なるという現象を考慮し、後から改修や専用通路を設けるのではなく、最初から段差をなくす等のアプローチをとることが大前提となる。
(※福祉の観点から「バリアフリー」から発展し、健常者・障害者を区別しない社会を作るための設計基準である。)
したがって、ユニバーサルデザインの原則に最も合致する選択肢②が正解となる。
・選択肢①は、「専用設備を別途設ける」点で、区別をなくすという設計指針と矛盾している(これはバリアフリー的アプローチに近い)。
・選択肢③は、エコデザイン(環境配慮)という制約条件であるため誤り。
・選択肢⑤は、特定のエキスパート向けであり、万人が使いやすいという原則を完全に無視しているため誤り。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合や、丸暗記に頼っている場合、多くの人は
「障害者のための設計だから、専用設備を作ればいいのだろう」
と、バリアフリーとユニバーサルデザインを混同して短絡的に判断してしまいがちである。
特に、
・「障害者=特別な対応」という表面的なイメージだけで判断してしまう
・「できるだけ多くの人」という言葉が、逆に妥協のように聞こえて選べない
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、現場の感覚や古い慣習ではなく、現代の明確な「設計基準・理念」に基づいた論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正答を導き出せる。
1. まず、ユニバーサル(普遍的な、全体の)という言葉の大前提となる目的を思い出す。
2. 次に、その大前提に照らし合わせたとき、「特定の人専用」「環境保護」「安全装置」など、焦点がずれている選択肢を論理的に除外する。
3. 残った選択肢について、「分離して対応する(選択肢①)」か「最初から統合して対応する(選択肢②)」の軸で比較する。
4. すべての人に平等な利用機会を提供するという目的に適しているかを確認し、最終決定する。
この流れでアプローチすれば、似たような福祉用語があっても、根本的な思想の差を見抜いて確実に正解へとたどり着ける。
問7
ライフサイクルコスト(LCC)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- ライフサイクルコストとは、構造物の企画・設計から建設、維持管理、解体・廃棄に至るまでに発生する総費用のことである。
- 一般に、建設時における初期費用(イニシャルコスト)よりも、長期間にわたる運用・維持管理費用(ランニングコスト)のほうが大きくなることが多い。
- ライフサイクルコストを低減するためには、設計段階から長寿命化やメンテナンスの容易さを考慮することが重要である。
- ライフサイクルコストの評価において、環境負荷や利用者の時間損失などの社会的損失は一切考慮してはならない。
- 予防保全による定期的な修繕は、一時的に費用がかかるが、事後保全を繰り返すよりも結果的にライフサイクルコストを抑制できることが多い。(正解)
解説
【正解】
4
【出題の意図】
この問題は、ライフサイクルコストに関する単なる計算式の暗記ではなく、インフラが数十年にわたり社会に存在し続けることによる「目に見えない費用」を理解しているかを問う問題である。
建設費だけでなく、社会全体に対する影響をどう評価に取り込むかを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、近年の公共事業評価において社会的費用(外部不経済)も考慮すべきという背景に逆行しているため、この選択肢が「不適切(正解)」となる。
建設部門におけるコスト評価の際は、工事の直接的な費用だけでなく、渋滞による時間損失や環境破壊というマイナス現象を考慮し、社会全体で負担するコスト(社会的ライフサイクルコストなど)として総合評価することが大前提となりつつある。
「一切考慮してはならない」と言い切ることは、現代の技術指針と真っ向から対立する。
したがって、LCCや公共事業評価の原則と明確に矛盾する選択肢④が正解となる。
・選択肢①、②、③、⑤は、構造物の維持管理に関する経済的・物理的法則に完全に合致している正しい記述である。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合や、現場の予算管理しか意識していない場合、多くの人は
「コストとは自分たちがお金を払うもののことだから、社会の損失などは無関係だろう」
と、狭い視野で感覚的に判断してしまいがちである。
特に、
・「コスト=発注者の財布から出る現金」というイメージだけで判断してしまう
・「一切考慮してはならない」という強い断定表現の危うさを飛ばしてしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、一企業の会計基準ではなく、公共の利益を守るための「技術基準や社会評価」に基づいた論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正答を導き出せる。
1. まず、インフラ事業が社会に与える影響(環境、渋滞など)の大前提を思い出す。
2. 次に、「一切考慮してはならない」「絶対に~ない」といった強い否定表現が含まれる選択肢に目星をつける(試験において不適切となりやすい典型パターン)。
3. その上で、環境負荷や社会的損失を無視することが、現代の設計指針として正しいかどうかを軸で評価する。
4. 公共事業の総合評価の目的に適していないことを確認し、最終決定する。
この流れでアプローチすれば、細かな定義を知らなくても、常識と論理の筋道を通すことで確実に正解へとたどり着ける。
問8
品質管理や業務改善における「PDCAサイクル」の各段階と、その内容の組み合わせとして、最も不適切なものはどれか。
- Plan(計画):目標を設定し、それを達成するための実行計画を立案する。
- Do(実行):立案した計画に基づいて、実際の業務や対策を実施する。
- Check(評価):実施した結果を測定し、計画で設定した目標が達成されているかを確認・分析する。
- Act(改善):実施結果に関わらず、発生した問題の責任者を特定して処分する。
- Act(改善):Checkでの分析結果に基づき、計画の修正や業務プロセスの標準化などの処置を行う。(正解)
解説
【正解】
4
【出題の意図】
この問題は、PDCAサイクルに関する単なる頭文字の暗記ではなく、業務プロセスを螺旋状に向上させていくという「継続的改善」の本質を理解しているかを問う問題である。
問題が起きた際に、属人的な責任追及ではなくシステムをどう改善するかを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、PDCAにおける「Act(処置・改善)」の目的が、責任追及ではなくプロセス改善であるという基準から逸脱しているため、この選択肢が「不適切(正解)」となる。
品質管理システム(ISO9001など)においては、エラーや未達が発生するという現象を前提とし、個人の処罰ではなく「仕組みの欠陥を修正し、次のPlanへと繋げること」を防ぐことが大前提となる。
(※責任者を処分したところで、システム上の根本原因が解決されなければ問題は再発するため。)
したがって、PDCAサイクルの原則と最も矛盾している選択肢④が正解となる。
・選択肢①、②、③、⑤は、PDCAサイクルの各段階における正しい定義と行動指針である。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合や、ブラックな労働環境に慣れている場合、多くの人は
「ミスが起きたら誰がやったか特定して怒るのが、現場の改善活動だろう」
と、経験則や感覚頼みで判断してしまいがちである。
特に、
・現場の慣習(責任追及)を、公式なマネジメント手法と勘違いしてしまう
・「処置する(Act)」という言葉の響きから、人への処罰を連想してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、現場の感覚や感情論ではなく、明確な「品質管理の技術基準」に基づいた論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正答を導き出せる。
1. まず、PDCAが「仕事の仕組みを良くし続けるためのループ」であるという大前提を思い出す。
2. 次に、その大前提に照らし合わせたとき、未来に繋がらない行動(個人の処分など)を除外候補として探す。
3. 選択肢④と⑤で同じ「Act」について述べており、どちらかが間違っていることに気づく。
4. 「個人の処分」と「プロセスの標準化」のどちらが技術的な改善・目的に適しているかを確認し、最終決定する。
この流れでアプローチすれば、用語の暗記に頼らずとも、マネジメントの本質から確実に正解へとたどり着ける。
問9
ヒューマンエラーの防止や対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ヒューマンエラーを完全に無くすためには、作業者の精神論や注意力の向上を徹底的に指導することが最も効果的である。
- ミステイク(Mistake)とは、行動の実行段階において、意図せず手が滑るなどの物理的な操作エラーのことである。
- 人間は必ずミスをするという前提に立ち、ミスが発生しても事故に直結しないシステム設計を導入することが重要である。
- 作業マニュアルを極限まで複雑かつ長文化することで、作業者がすべての手順を熟読するようになり、エラーは減少する。(正解)
- ヒューマンエラーが発生した際は、システムの欠陥を調査する前に、まず当事者を厳罰に処することが再発防止の基本である。
解説
【正解】
3
【出題の意図】
この問題は、ヒューマンエラーに関する単なる分類の暗記ではなく、人間の認知・行動特性という「変えられない現象」を理解し、それをシステムでどう補うかを問う問題である。
個人の努力に依存するのではなく、工学的な視点で安全をどう構築するかを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、人間の不完全さをシステム側でカバーする(フールプルーフやフェイルセーフ)という人間工学の大原則が記述されているため、この選択肢が正解となる。
安全管理においては、疲労や錯覚によって人間は必ずミスを犯すという物理現象を考慮し、重大な事故を防ぐための多重防護を構築することが大前提となる。
「気をつける」という精神論には限界があるため、機械的なインターロックなどで物理的に防ぐ設計が必要となる。
したがって、ヒューマンエラー対策の原則に最も合致する選択肢③が正解となる。
・選択肢①と⑤は、精神論や厳罰化であり、ミスの根本原因(システムの欠陥)の発見を阻害するため誤り。
・選択肢②は、実行段階のエラーは「スリップ(Slip)」であり、ミステイク(計画・意図自体の誤り)の説明と矛盾している。
・選択肢④は、マニュアルの複雑化は認知負荷を高め、逆にエラーを誘発する制約条件であるため誤り。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合や、精神論が根強い現場にいる場合、多くの人は
「ミスをしたのは本人なのだから、注意力が足りないせいだろう」
と、感覚的・感情的に判断してしまいがちである。
特に、
・個人のミスと組織・システムの問題を切り離して考えるプロセスを飛ばしてしまう
・「ミステイク」などの用語の正確な定義(意図の誤りか、実行の誤りか)を勘違いしてしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、現場の根性論ではなく、明確な「人間工学・安全工学に基づいた基準」での論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正答を導き出せる。
1. まず、人間工学における「人は必ず間違える」という大前提となる事実を思い出す。
2. 次に、その大前提に照らし合わせたとき、「個人の努力で解決する」「罰を与える」といった非工学的な選択肢を論理的に除外する。
3. マニュアルの複雑化も人間の認知限界を超えるため除外する。
4. 残った選択肢が「システムや設計で補う」という技術的な目的に適しているかを確認し、最終決定する。
この流れでアプローチすれば、心理学的な用語の暗記がなくても、工学的な思想の筋道を通すことで確実に正解へとたどり着ける。
問10
信頼度ブロック図におけるシステムの信頼度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。ただし、各構成要素の故障は独立して発生するものとする。
- 直列システムの全体の信頼度は、各要素の信頼度のうち最も高い値と等しくなる。
- 並列システムの全体の信頼度は、各要素の信頼度の和で表される。
- 直列システムにおいて、構成する要素の数を増やすほど、システム全体の信頼度は向上する。
- 並列システムにおいて、構成する要素の数を増やすほど、システム全体の信頼度は低下する。
- 直列システムの全体の信頼度は、それを構成するすべての要素の信頼度の積で表される。
解説
【正解】
5
【出題の意図】
この問題は、直列・並列に関する単なる公式の丸暗記ではなく、システムが「どのような条件で止まるか」という物理的なつながりを理解しているかを問う問題である。
各要素が一直線につながっているか、迂回路があるかという構造の違いを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、直列システムでは「すべての部品が同時に正常に動いて初めてシステムが成立する」という確率の乗法定理が示されているため、この選択肢が正解となる。
システムの設計においては、直列配置の場合、たった一つの部品が壊れるだけで全体の機能が停止するという現象を考慮することが大前提となる。
信頼度(0から1の間の確率)は、すべてが同時に成功する確率を求めるため「掛け算(積)」で計算される。1未満の数字を掛け合わせるため、全体の信頼度は必ず個々の部品よりも低くなる。
したがって、直列システムの物理的特性と確率の原則に最も合致する選択肢⑤が正解となる。
・選択肢①と③は、直列システムの弱点(一つ壊れれば終わり)を無視しており、部品が増えるほど信頼度は下がる(低くなる)ため誤り。
・選択肢②は、確率の計算上、和をとると1(100%)を超えてしまう矛盾があるため誤り。
・選択肢④は、並列システムは迂回路(バックアップ)を増やすことと同義であり、増やすほど信頼度は向上するため誤り。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合や、数式だけを丸暗記している場合、多くの人は
「部品がたくさんあるのだから、直列でも並列でも丈夫になるだろう」
「並列の計算式は複雑だった気がするから、足し算だったかもしれない」
と、短絡的・感覚的に判断してしまいがちである。
特に、
・「直列は一つ切れると全部消える豆電球」という物理的なイメージを思い出すプロセスを飛ばしてしまう
・確率の性質(1より小さい数を掛けるとどんどん小さくなる)を忘れてしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、公式の暗記ではなく、「どちらの構造が壊れやすいか」という原理原則に基づいた論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わずに正答を導き出せる。
1. まず、直列(一本道)と並列(迂回路あり)の物理的なつながり方の違いを思い出す。
2. 次に、直列は「一つでも壊れたらアウト」という過酷な条件であることを確認し、要素を増やすと弱くなる(選択肢③除外)、最も低い値よりもさらに弱くなる(選択肢①除外)と判断する。
3. 並列は「全部壊れない限りセーフ」という条件であることを確認し、要素を増やすほど強くなる(選択肢④除外)と判断する。
4. 残った選択肢⑤について、直列は「全部成功」の確率であるから「積」になるという数学的ルールと一致しているかを確認し、最終決定する。
この流れでアプローチすれば、複雑な計算式を忘れていても、直列と並列の物理現象の違いから確実に正解へとたどり着ける。
問11
アベイラビリティ(稼働率)に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
- アベイラビリティとは、アイテムが故障してから修理を完了するまでの時間の平均値のことである。
- アベイラビリティとは、規定の期間中に一度も故障が発生しない確率のことである。
- アベイラビリティとは、アイテムが修理可能な場合に、ある特定の瞬間に要求された機能を維持している確率のことである。
- アベイラビリティを向上させるためには、故障が発生した際に修理を行わずに新品と交換し続ける必要がある。(正解)
- アベイラビリティの値は、故障率がゼロでない限り、運用時間が長くなるほど必ずゼロに収束する。
解説
【正解】
3
【出題の意図】
この問題は、アベイラビリティに関する単なる公式の暗記ではなく、「いつでも使える状態にあるか」という運用の実態をどう評価するかを問う問題である。
単に「壊れないこと(信頼度)」と、壊れても「すぐ直ること(保全度)」を組み合わせた「稼働の状態」を起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、必要な時にそのシステムが「動いている確率」を指す定義が記述されているため、この選択肢が正解となる。
公共インフラや建設機械の管理においては、機械がいつかは故障するという物理現象を考慮し、故障しても速やかに修理して「使える状態」を維持し続けることが大前提となる。
アベイラビリティは、全運用時間のうち、故障していない時間の割合(確率)として評価される。
したがって、運用の継続性を示す原則に最も合致する選択肢③が正解となる。
・選択肢①は、平均修復時間(MTTR)の説明であり、一部の指標を指しているため誤り。
・選択肢②は、信頼度の説明であり、修理して使い続けるアベイラビリティとは概念が異なる。
・選択肢⑤は、修理しながら使うシステムであれば一定値に収束するため物理現象と矛盾している。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、多くの人は
「稼働率が高いということは、一度も壊れないことと同じだろう」
と、信頼度と稼働率を混同して短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「故障しないこと」と「修理して復旧すること」の区別をつけない
・用語のイメージだけで、数値の定義を曖昧なまま選んでしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、単発の事象ではなく、継続的な「運用状態」を評価する論理的な判断が求められている。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1,まず、アベイラビリティ(可用性)という言葉の「利用可能な状態」という大前提を整理する
2,次に、単なる「故障の有無(信頼度)」ではなく「修理も含めた運用」を判断軸に据える
3,「特定の瞬間に動いている確率」という定義に合致する選択肢を探す
4,他の選択肢が「修理時間の平均(MTTR)」や「信頼度」という部分的な要素のみを指していないかを確認する
この流れで考えれば、論理的に正解へたどり着ける。
問12
信頼性指標であるMTBF(平均故障間隔)とMTTR(平均修復時間)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- MTBFを大きくすることは、システムの保全性を高めることに相当する。
- MTTRを小さくすることは、システムの信頼性を高めることに相当する。
- システムの稼働率は、MTBFを「MTBFとMTTRの和」で割った値(MTBF / (MTBF + MTTR))で表される。
- MTBFが100時間、MTTRが50時間の場合、このシステムのアベイラビリティは0.3333…である。(正解)
- MTBFは、故障が発生してから修理が完了し、再始動するまでの平均時間のことである。
解説
【正解】
3
【出題の意図】
この問題は、MTBFとMTTRに関する単なる文字の暗記ではなく、「故障しにくさ」と「直しやすさ」という2つの物理的な評価軸が、どのように稼働率を構成するかを理解しているかを問う問題である。
時間という条件の中で、動いている時間と止まっている時間の比率を起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、稼働率の定義(動作時間の割合)を正しく計算式で表現しているため、この選択肢が正解となる。
工学的な管理において、システムが健全に動作する時間はMTBFで評価され、故障による停止時間はMTTRで評価される。
全体のサイクルは「MTBF+MTTR」であり、そのうちのMTBF(動作時間)の割合が稼働率となる。
したがって、動作と修復の物理的な関係を示す選択肢③が正解となる。
・選択肢①のMTBF増大は「信頼性」の向上、選択肢②のMTTR短縮は「保全性」の向上であるため、それぞれ定義が逆転しており矛盾している。
・選択肢④は、100 / (100 + 50) = 0.6666…となるべきであり計算が誤り。
・選択肢⑤は、MTTRの説明である。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、多くの人は
「MTBFもMTTRも数字が大きいほど性能が良いだろう」
「修理が早いことは信頼性が高いことだ」
と短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・用語が指す「動作中」か「停止中」かの状態を整理しない
・公式の分子と分母の物理的意味を考えないまま選んでしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、時間の性質に基づいた正確な優先順位の整理が必要である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1,まず、MTBF(故障の間=動作時間)とMTTR(修理の時間=停止時間)の定義を整理する
2,次に、稼働率とは「全体時間のなかの動作時間の割合」という判断軸を決める
3,その判断軸「MTBF / (MTBF + MTTR)」に合致する選択肢を探す
4,他の計算結果が、単純な分数の見間違い(分母をMTTRのみにしている等)でないかを確認する
この流れで考えれば、論理的に正解へたどり着ける。
問13
価値工学(VE:Value Engineering)における「価値(Value)」の向上方法として、最も不適切なものはどれか。
- コスト(Cost)を上げずに、機能(Function)を向上させる。
- 機能(Function)を下げずに、コスト(Cost)を低減させる。
- 機能(Function)をより大きく向上させ、同時にコスト(Cost)も少し上昇させる。
- 機能(Function)をわずかに低下させ、それ以上にコスト(Cost)を大幅に低減させる。
- 機能(Function)を維持し、かつコスト(Cost)を現状より大幅に上昇させる。
解説
【正解】
5
【出題の意図】
この問題は、VEに関する計算式の丸暗記ではなく、「価値を最大化する」という設計思想の本質を理解しているかを問う問題である。
機能とコストという相反する要素を、どのようなバランスで変化させれば価値が高まるかを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、価値(V)=機能(F)/コスト(C)という関係において、この選択肢は価値を低下させる方向であるため、不適切(正解)となる。
建設設計においては、単に安くすることや高性能にすることだけが目的ではなく、投資(コスト)に対して得られる効果(機能)を最大化することが大前提となる。
選択肢⑤のように、機能が変わらないのにコストだけが増えることは、物理的にも経済的にも「価値の低下」を意味する。
したがって、VEの目的である価値向上に反する選択肢⑤が正解となる。
・選択肢①、②は、公式(V = F / C)の分子を増やすか分母を減らす典型的な向上策。
・選択肢③、④は、両方が変化する場合でも、結果としてVの値が大きくなるため向上策として成立する。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、多くの人は
「機能を下げてはいけない」「コストを上げても高性能なら良い」
という固定観念で短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・機能とコストの「比率」という概念で捉えていない
・現場の「高級志向」や「安かろう悪かろう」という経験則だけで判断してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、公式の背景にある「効率性」をどう扱うかを考えなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1,まず、価値(V)=機能(F)/コスト(C)という基本構造を整理する
2,次に、選択肢の変化が「Vを大きくするか小さくするか」を最優先の判断軸にする
3,不適切なものを探すため、明らかに分子が据え置きで分母が増えているものを探す
4,他の選択肢が、相対的に価値を高めていることを再確認する
この流れで考えれば、論理的に正解へたどり着ける。
問14
ブレインストーミング(BS)の4つの原則に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 批判の禁止:他人の意見を批判してはならず、自由な発言を促す。
- 自由奔放:風変わりなアイデアや奇抜な発想も歓迎する。
- 質より量:アイデアの質にこだわらず、できるだけ多くの案を出す。
- 結合改善:他人のアイデアを組み合わせたり、改善案を加えたりする。
- 専門性の重視:専門知識を持つ特定のメンバーの発言のみを採用し、効率を高める。
解説
【正解】
5
【出題の意図】
この問題は、ブレストの手法に関する単なる暗記ではなく、集団で思考を広げる際の「心理的安全性の確保」という背景を理解しているかを問う問題である。
特定の人の発言を優先することが、全体の創造性を阻害するという現象を起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、この選択肢はブレストの基本原則である「誰でも自由に発言できる環境」を破壊する内容であるため、不適切(正解)となる。
技術的な問題解決においては、既成概念にとらわれない発想が重要となる。
選択肢⑤のように特定メンバーの発言のみを優遇することは、他の参加者の発言意欲を削ぎ、アイデアの連鎖を止めるため、ブレストの本質に反する。
したがって、BSの4原則(批判禁止・自由奔放・質より量・結合改善)に含まれず、かつその趣旨に反する選択肢⑤が正解となる。
・選択肢①~④は、オスボーンによって提唱されたブレインストーミングの4原則そのものである。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、多くの人は
「会議は専門家が主導し、効率的に進めるのが正しい」
という実務上の効率重視の感覚で短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「アイデアを出す段階」と「アイデアを絞り込む段階」を整理しない
・現場の上下関係や権威をそのまま会議手法に持ち込んでしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、思考の「発散」をどう実現するかを考えなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1,まず、ブレストが「アイデアを自由に出し尽くす(発散)」ための手法であることを整理する
2,次に、発散を阻害する「制限・批判・序列」を排除するという判断軸を決める
3,その判断軸に照らして、明らかに序列を作っている選択肢⑤を探す
4,他の選択肢が、4つの基本原則(批判禁止、自由奔放、質より量、結合改善)と一致しているかを確認する
この流れで考えれば、論理的に正解へたどり着ける。
問15
品質機能展開(QFD)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 完成した製品の故障を分析し、その原因を究明するためのボトムアップ的な手法である。
- 顧客の要求(要求品質)を、設計上の特性(品質特性)に変換し、品質の設計を行う手法である。
- 製造工程において、不良品を自動的に排除するメカニズムを構築するための手法である。(正解)
- 設計ミスを防ぐために、チェックリストを作成して一つずつ確認する作業のことである。
- 過去の類似事故の統計から、将来の事故発生確率を予測する数理モデルのことである。
解説
【正解】
2
【出題の意図】
この問題は、QFDに関する用語の暗記ではなく、「顧客の曖昧な願いを、いかに具体的な技術仕様に翻訳するか」という設計プロセスの本質を理解しているかを問う問題である。
顧客の声(VOC)を起点に、技術者が何を目標にすべきかを導く判断の順序を整理できるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、要求を仕様へ展開するという「翻訳」のプロセスを記述しているため、この選択肢が正解となる。
建設プロジェクトにおいては、発注者の「地震に強く、使いやすい駅にしたい」という曖昧な要求を、具体的な「構造部材の強度」や「通路の幅員」といった技術特性に落とし込むことが大前提となる。
「品質表(二元表)」を用いて、漏れなく展開していく手法である。
したがって、品質設計の原則に最も合致する選択肢②が正解となる。
・選択肢①はFMEA(故障モード影響解析)の説明。
・選択肢③はポカヨケ(自動排除)の説明であり、設計前の展開とは異なる。
・選択肢⑤は信頼性予測やリスク評価の説明である。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、多くの人は
「品質管理とは、検査で不良品を見つけることだ」
という「後工程」のイメージだけで短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「設計段階で品質を組み込む」という概念に馴染みがない
・用語の「展開」が、単に作業を広げることだとイメージだけで判断してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、製造や施工よりも先に「何を設計のターゲットにするか」という優先順位を考えなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1,まず、QFD(品質機能展開)という言葉の「要求を機能に広げる」という大前提を整理する
2,次に、判断軸として「顧客の声」を「技術的な言葉」に変換しているかを確認する
3,「要求品質」を「品質特性」に変換するというキーワードを含む選択肢を探す
4,他の選択肢が、設計完了後や施工中の対策になっていないかを確認する
この流れで考えれば、論理的に正解へたどり着ける。
問16
ロバスト設計(頑健設計)に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 想定外の故障が発生した際、システムを安全に停止させるための設計手法である。
- 製品コストを最小化するために、使用する材料の品質を極限まで下げる設計手法である。
- 外部環境の変化(ノイズ)や製造上のばらつきの影響を受けにくく、品質を安定させる設計手法である。
- 人間が誤った操作をしたとしても、事故に繋がらないように物理的に防止する設計手法である。(正解)
- 部品の一部が故障しても、予備の部品を用いて機能を維持し続ける設計手法である。
解説
【正解】
3
【出題の意図】
この問題は、ロバスト設計に関する単なる暗記ではなく、「現実の世界には、ばらつきや変動というノイズが必ず存在する」という現象をどう設計で受け止めるかを問う問題である。
理想的な条件だけでなく、過酷な条件や製造ミスというノイズを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、外部からの悪影響を「はねのける」のではなく「鈍感にする」という頑健性(ロバストネス)の定義が記述されているため、この選択肢が正解となる。
建設現場や製品使用環境においては、温度変化や材料の微細な個体差というノイズを考慮し、それらが多少あっても本来の機能を果たし続けるようにすることが大前提となる。
(※タグチメソッドに代表される、品質工学の根幹をなす考え方である。)
したがって、ばらつきに強い設計という原則に最も合致する選択肢③が正解となる。
・選択肢①はフェイルセーフの説明。
・選択肢④はフールプルーフの説明。
・選択肢⑤は冗長設計の説明であり、いずれも「壊れた後」や「操作」に注目している点が異なる。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、多くの人は
「頑健な設計とは、材料を厚くしたり高級なものを使ったりして、とにかく壊れにくくすることだ」
と、強度(スペック)向上と混同して短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「ノイズを排除する(=コストがかかる)」ことと「ノイズに鈍感にする(=工夫が必要)」ことの違いを整理しない
・他の安全設計用語と混同して、条件の優先順位を見失う
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、環境の不確かさをどう扱うかを考えなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1,まず、ロバスト(頑健)=「変動に左右されない」という大前提を整理する
2,次に、判断軸として「外乱(ノイズ)やばらつき」への感度を下げているかを確認する
3,「環境変化の影響を受けにくい」というキーワードに合致する選択肢を探す
4,他の選択肢が、単なるバックアップや安全停止を目的としていないかを確認する
この流れで考えれば、論理的に正解へたどり着ける。
問17
FMEA(故障モード影響解析)の手順や特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- まずトップイベント(重大事故)を設定し、その原因を階層的に掘り下げていくトップダウン的な手法である。
- 構成要素ごとの故障モードが、システム全体にどのような影響を及ぼすかを評価するボトムアップ的な手法である。
- 発生した事故の再発防止を目的として、当事者の心理状態を分析するための手法である。(正解)
- 施工段階において、作業員の安全意識を高めるためのポスター掲示などの活動のことである。
- チェックリストを用いて、設計図面に法的な誤りがないかを確認する形式的な審査のことである。
解説
【正解】
2
【出題の意図】
この問題は、FMEAに関する名前の暗記ではなく、「積み木を一つ抜いたら、全体はどう崩れるか」というボトムアップの思考フローを理解しているかを問う問題である。
各部品の壊れ方(故障モード)を起点に、全体の致命的なリスクを見つけ出せるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、各構成要素の故障から全体への波及を考えるという「ボトムアップ」のアプローチを正しく記述しているため、この選択肢が正解となる。
複雑な機械やインフラの設計においては、ネジ一本、リレー一個という微細な故障現象を考慮し、それが「火災」や「停止」という重大事態に繋がるルートを設計段階ですべて洗い出すことが大前提となる。
各モードに対して「影響度」「発生頻度」「検出難易度」を数値化(RPN)して評価する。
したがって、FMEAの解析原則に最も合致する選択肢②が正解となる。
・選択肢①はFTA(フォールトツリー解析)の説明であり、思考の向きが逆転している。
・選択肢③、④、⑤は、予防保全や設計解析としてのFMEAの技術指針から完全に外れている。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、多くの人は
「故障の分析なのだから、まず起きた大事故から原因を探るのが普通だろう」
と、日常の事後調査(なぜ起きたか?)の感覚で短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「故障モード」という用語が、部品レベルの話であることを認識していない
・トップダウン(全体から部分)とボトムアップ(部分から全体)という解析の「順序」を整理しない
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、設計段階での「予見」をどう行うかというフローを考えなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1,まず、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)の「Mode」が「部品の壊れ方」であることを整理する
2,次に、判断軸として「部品(ボトム)→全体(トップ)」という方向性になっているかを確認する
3,「ボトムアップ」というキーワードを含む選択肢を探す
4,選択肢①(トップダウン)と混同していないか、定義の「順序」を再確認する
この流れで考えれば、論理的に正解へたどり着ける。
問18
FTA(フォールトツリー解析)に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ボトムアップ的なアプローチで、すべての部品の故障モードを網羅的にリストアップする。
- 特定の望ましくない事象(トップイベント)を定義し、その発生原因を論理ゲート(AND, OR)を用いて展開する。
- 製品が完成した後に、市場から寄せられた苦情を分類し、統計処理を行う手法である。(正解)
- 製造工程において、作業者がミスをできないように物理的な治具を取り付ける手法である。
- 熟練技術者のノウハウをデータベース化し、若手技術者が検索できるようにするシステムのことである。
解説
【正解】
2
【出題の意図】
この問題は、FTAに関する図の形の暗記ではなく、「なぜ大事故が起きるのか」という因果関係を論理学の視点で整理するプロセスを理解しているかを問う問題である。
大事故という結果を起点に、それをもたらす複数の条件(AND/OR)を遡って考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、トップイベントから原因へと掘り下げる「トップダウン」のアプローチと論理演算の使用が記述されているため、この選択肢が正解となる。
安全設計においては、例えば「橋梁の崩落」という重大事象を考慮し、それが「腐食 かつ 過荷重(AND)」で起きるのか、それとも「設計ミス あるいは 施工不良(OR)」で起きるのかを論理的に整理することが大前提となる。
(※樹形図のように展開するため「ツリー」と呼ばれる。)
したがって、FTAの論理的な解析原則に最も合致する選択肢②が正解となる。
・選択肢①はFMEAの説明であり、解析の方向性が逆である。
・選択肢③は事後の統計解析にすぎず、論理ツリーによる因果関係の特定とは異なる。
・選択肢④はフールプルーフ(ポカヨケ)の説明である。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、多くの人は
「FTAもFMEAも同じような故障の分析手法だろう」
と、名前の響きだけで短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「ANDゲート(すべて揃うと起きる)」と「ORゲート(一つでも揃うと起きる)」という論理的な判断軸を持っていない
・思考が「部品から始まる」のか「事故から始まる」のかという優先順位を整理しない
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、事象を「分解」していく論理の順序を考えなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1,まず、FTA(Fault Tree Analysis)の「Tree」が「事故から枝分かれして原因を探る」姿であることを整理する
2,次に、判断軸として「トップ(事故)→ダウン(原因)」の流れになっているかを確認する
3,「論理ゲート(AND/OR)」というキーワードが含まれているかを確認し、選択肢を探す
4,ボトムアップであるFMEA(選択肢①)を確実に除外する
この流れで考えれば、論理的に正解へたどり着ける。
問19
リスクアセスメントのプロセスにおける「リスクの見積り」に関する説明として、最も適切なものはどれか。
- 現場における危険有害要因(ハザード)をすべて特定すること。
- 特定されたリスクについて、その発生確率と影響の大きさを組み合わせて評価すること。
- リスクを低減するために、どのような安全装置を導入するかを決定すること。(正解)
- リスクが許容可能かどうかを判断し、優先順位をつけること。
- 発生した事故の損害額を、保険会社に報告するために計算すること。
解説
【正解】
2
【出題の意図】
この問題は、リスクアセスメントに関する一連の流れ(PDCA的サイクル)を、段階ごとに正確に区別できているかを問う問題である。
単に「危ない」と言うだけでなく、それを「数値化・尺度化」するステップを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、リスクを「頻度」と「重大性」の積として定量化(または定性化)するステップが記述されているため、この選択肢が正解となる。
建設現場の安全管理においては、ハザードが存在するという現象を考慮した上で、それが「どのくらいの頻度で起き」「起きたらどのくらいの怪我になるか」を掛け合わせてリスクの大きさを測ることが大前提となる。
この「見積り」がないと、どこに予算をかけて対策すべきかの優先順位がつけられない。
したがって、リスク評価の中核である「見積り」の原則に最も合致する選択肢②が正解となる。
・選択肢①は「リスク特定」の説明。
・選択肢③は「リスク低減措置の検討」の説明。
・選択肢④は「リスク評価(判定)」の説明である。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、多くの人は
「リスクを考えることは、すべてひっくるめてリスクアセスメントだろう」
と、言葉の境界線を曖昧にしたまま短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「見つける(特定)」「測る(見積り)」「比べる(評価)」「減らす(措置)」という段階的な順序を整理しない
・日常語の「見積り」から、金銭的な計算(選択肢⑤)を連想してしまう
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、安全工学におけるプロセスの優先順位を整理しなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1,まず、リスクアセスメントの4ステップ(特定→見積り→評価→低減)を整理する
2,次に、判断軸として「見積り=大きさの算定」であることを決める
3,「発生確率(頻度)×影響の大きさ(重大性)」という工学的な定義を探す
4,他の選択肢が、特定(見つけるだけ)や措置(対策の実施)になっていないかを確認する
この流れで考えれば、論理的に正解へたどり着ける。
問20
標準化(Standardization)およびモジュール化のメリットに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 多品種少量生産において、各製品ごとにゼロから専用設計を行うことで、顧客の多様なニーズに完全に対応できる。
- 互換性を確保することで、部品の調達コストを低減し、在庫管理を効率化できる。(正解)
- 品質の安定性が向上し、製造や施工におけるヒューマンエラーを抑制できる。
- 開発期間や工期を短縮でき、市場や社会の変化に迅速に対応できるようになる。
- 複雑なシステムを独立性の高い複数の要素に分けることで、一部の改良や変更が容易になる。
解説
【正解】
1
【出題の意図】
この問題は、標準化に関する単なる定義の暗記ではなく、「共通化」がもたらす経済的・技術的な合理性を理解しているかを問う問題である。
個別の最適化(ゼロからの専用設計)が、コストや工期の増大という現象を招くことを起点に考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、この選択肢は「標準化」のメリットではなく、むしろ標準化を行わないことによる非効率性(個別設計の負担)を記述しているため、不適切(正解)となる。
現代の建設生産システムや製造業においては、多様な要求に対しても「共通の部品(モジュール)」を組み合わせることで効率を上げることが大前提となる。
選択肢①のように、すべてをゼロから設計することは、技術の蓄積を阻害し、コストを大幅に上昇させるため、標準化の技術指針と真っ向から矛盾する。
したがって、標準化の恩恵に反する選択肢①が正解となる。
・選択肢②、③、④、⑤は、スケールメリットの享受や品質管理、保守性の向上など、標準化・モジュール化の正しいメリットを記述している。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験が浅い場合、多くの人は
「お客様の要望に完璧に応えることが、技術者の最高の仕事だろう」
という「職人気質」や「現場のこだわり」の感覚で短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・「良いもの」=「専用設計」というイメージだけで判断してしまう
・標準化が「手抜き」や「画一化」というネガティブな言葉のイメージに引っ張られる
といった思考に陥りやすい。
しかし本問では、組織としての生産性や社会的な効率をどう確保するかを考えなければならない。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1,まず、標準化の目的が「共通ルールによる効率化と安定」であることを整理する
2,次に、判断軸として「バラバラにやる(非効率)」ことと「まとめてやる(効率的)」ことを分ける
3,「ゼロから専用設計(個別バラバラ)」という記述が、標準化の趣旨に反していることに気づく
4,他の選択肢が、コスト・品質・スピードのいずれかを改善しているかを確認する
この流れで考えれば、論理的に正解へたどり着ける。