エネルギー管理士 第2章 エネルギー情勢・政策、エネルギー概論

問81

世界のエネルギー動向 世界のエネルギー需給動向に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 世界の一次エネルギー需要は、アジアを中心とした新興国の経済成長を背景に、長期的には減少傾向にある。
  2. 経済協力開発機構(OECD)諸国のエネルギー需要は、非OECD諸国を上回るペースで増加し続けている。
  3. 世界の一次エネルギー消費における化石燃料(石油、石炭、天然ガス)の割合は、依然として8割程度を占めている。
  4. 再生可能エネルギーの導入拡大により、世界の石炭消費量は2020年以降、全世界でゼロとなっている。(正解)

解説

【正解】 3 【設問の意図】 この問題は、世界のエネルギー需給の全体像を「データに基づいた客観的な視点」で把握しているかを問うものである。 ニュースなどの断片的なイメージ(再エネの普及など)だけでなく、現時点での世界のエネルギー構造という物理的な事実に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、世界のエネルギー消費構造は依然として化石燃料が主軸であるため、選択肢3が正解となる。 「エネルギー白書2025」等の国際統計によれば、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは急速に普及しているものの、世界の一次エネルギー消費量全体に占める化石燃料(石油、石炭、天然ガス)の割合は、依然として80パーセント程度と高い水準にある。 これは、新興国の急速な経済成長に伴うエネルギー需要を、既存の化石燃料インフラが支え続けているという構造的な要因に基づいている。 【初心者がここで迷う理由】 「脱炭素」や「カーボンニュートラル」というスローガンを強く意識しすぎると、次のような思考の罠に陥りやすい。 ・「環境意識が高まっているから、需要は減っているはずだ(選択肢1)」と、人口増加や経済成長という物理的な需要増を見落としてしまう。 ・「石炭はもう使われていないはずだ(選択肢4)」と、極端な思い込みをしてしまう(実際には発電用などで依然として大量に消費されている)。 本問では、理想(目標)と現実(統計データ)を切り離し、現在の世界のエネルギーバランスの「重み」を正しく捉えることが重要である。 【本番での判断フロー】 1. 問題が「世界規模」のエネルギー動向を問うていることを確認する。 2. 「新興国の需要増」と「化石燃料への依存継続」という2つの大きな流れを思い出す。 3. 極端な減少や廃止を述べている選択肢(1, 4)を、統計上の事実と異なるものとして排除する。 4. 化石燃料が依然としてエネルギーの8割を支えているという記述を選択する。

問82

日本のエネルギー需給 日本のエネルギー需給構造に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 東日本大震災以降、日本のエネルギー自給率は一貫して上昇し、現在は30パーセントを超えている。
  2. 日本の一次エネルギー供給における化石燃料依存度は、震災直後に上昇した後、現在は震災前よりも低い水準まで改善した。
  3. 日本のエネルギー自給率は、原子力の再稼働や再エネの導入により改善傾向にあるが、依然として主要国の中で極めて低い水準にある。
  4. 日本の最終エネルギー消費量は、人口減少にもかかわらず、1970年代から一貫して増加し続けている。(正解)

解説

【正解】 3 【設問の意図】 この問題は、日本のエネルギー供給が抱える「構造的な脆弱性(低自給率)」という背景を理解しているかを問うものである。 資源小国である日本が、どのような供給体制で社会を支えているかという政策的な原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、日本のエネルギー自給率は極めて低く、依然として課題であるため、選択肢3が正解となる。 日本のエネルギー自給率は、震災による原発停止で一度4.4パーセント(2012年度)まで低下した。その後、再生可能エネルギーの導入や原発の再稼働により改善傾向にはあるものの、2022年度時点で12.9パーセント(エネルギー白書2025ベース)であり、他の主要国(OECD諸国)と比較して極めて低い。 これは、石油、石炭、天然ガスのほとんどを海外からの輸入に頼らざるを得ないという物理的な資源制約に基づいている。 【初心者がここで迷う理由】 「再エネが増えている」というニュースを、「自給率が十分に高まった」と拡大解釈してしまい、選択肢1のような高い数値を選んでしまう。 また、震災前の水準(約20パーセント)を現在の水準と混同したり、エネルギー消費が増え続けている(選択肢4)という古い時代のイメージを適用してしまったりすることが誤答の原因となる。 本問では、日本のエネルギーセキュリティの根底にある「脆弱な自給率」という事実を、正確な数値感(1割強程度)で捉えることが重要である。 【本番での判断フロー】 1. 「日本の自給率」というキーワードから、国際的に見て「低い」という大原則を思い出す。 2. 震災前(約20パーセント)→震災直後(約4パーセント)→現在(約13パーセント)という推移を連想する。 3. 30パーセント以上(高すぎ)や、震災前より改善(まだそこまで至っていない)という記述を排除する。 4. 「依然として極めて低い」という客観的な評価をしている選択肢3を選択する。

問83

一次エネ供給の推移 日本の一次エネルギー供給における燃料別の構成推移に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 石油は、1970年代のオイルショック以降、供給シェアを低下させてきたが、依然として最大のエネルギー源である。
  2. 天然ガス(LNG)は、環境負荷が比較的低く、震災後の原発の代替電源としても重要性が高まった。
  3. 石炭は、供給の安定性や経済性の観点から一定の役割を担っており、近年の供給シェアは急激な右肩下がりとなっている。
  4. 再生可能エネルギー(水力を含む)のシェアは、固定価格買取制度(FIT)等の普及策により上昇している。(正解)

解説

【正解】 3 【設問の意図】 この問題は、日本のエネルギー源の「ポートフォリオ(組み合わせ)」の変遷を正しく理解しているかを問うものである。 特定の燃料に対する「世論のイメージ」と、電力安定供給や経済性のために維持されている「実際の供給割合」の違いを理解しているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、石炭は依然として重要な電源であり、シェアは横ばいまたは微減に留まっているため、選択肢3が誤り(正解)となる。 石炭は、二酸化炭素(CO2)排出量が多いという課題があるものの、地政学的リスクが低く価格が安定しているため、日本のベースロード電源として重要な役割を担っている。エネルギー白書2025のデータを見ても、供給シェアは20パーセントから25パーセント程度で推移しており、「急激な右肩下がり」とはなっていない。 これは、急激な廃止が電力の安定供給やコストに与える影響を考慮した、現実的なエネルギー政策の設計基準に基づいている。 【初心者がここで迷う理由】 「脱石炭」という言葉を「すでに石炭は使われなくなっている」と極端に解釈してしまい、選択肢3を正しい記述(シェアが激減している)だと思い込んでしまう。 また、石油(選択肢1)や天然ガス(選択肢2)の重要性が低下していると勘違いすることもある。 本問では、理想としての脱炭素化の動きと、現実の「安定供給のための石炭利用」のギャップを正しく理解することがポイントである。 【本番での判断フロー】 1. 各燃料の「役割」と「シェアの推移」を整理する。 2. 石油(最大だが低下)、天然ガス(増加・重要)、再エネ(増加)という3つの傾向を確認する。 3. 石炭について、課題はあるものの「安定供給の要」としてシェアが底堅く推移している事実を思い出す。 4. 「急激な右肩下がり」という極端な減少を述べる記述を、統計上の誤りとして特定する。

問84

最終エネ消費の推移 1970年代のオイルショック以降における、日本の「最終エネルギー消費」の推移に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 日本の最終エネルギー消費量は、経済成長(実質GDP)と完全に比例して増加し続けている。
  2. 省エネルギー努力や産業構造の変化により、実質GDPが増加する一方で、最終エネルギー消費量は横ばいまたは減少傾向にある。
  3. 家庭部門のエネルギー消費量は、世帯数の減少に伴い、オイルショック以降一貫して減少している。(正解)
  4. 運輸部門のエネルギー消費量は、自動車の燃費向上にもかかわらず、現在も過去最高の消費量を更新し続けている。

解説

【正解】 2 【設問の意図】 この問題は、経済成長とエネルギー消費の「デカップリング(切り離し)」という現象を理解しているかを問うものである。 単なる「不況で減った」という感覚ではなく、技術革新による「エネルギー効率の向上」という物理的な成果に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、経済は成長してもエネルギー消費は抑えられているため、選択肢2が正解となる。 1970年代のオイルショック以降、日本は世界最高水準の省エネ技術を導入し、エネルギー効率を劇的に改善した。その結果、実質GDP(経済の規模)は大幅に増加したが、最終エネルギー消費量は2000年代半ばをピークに減少に転じ、現在は経済成長とエネルギー消費が比例しない「デカップリング」の状態にある。 これは、産業部門における徹底した熱管理や、家電・自動車のトップランナー制度による効率向上の成果に基づいている。 【初心者がここで迷う理由】 「豊かな社会になればエネルギーをより多く使う」という直感的なイメージに頼ってしまい、経済成長と比例する(選択肢1)と考えてしまう。 また、家庭部門(選択肢3)は世帯数の増加や利便性向上により、長期的には増加傾向にあった(近年は減少)という歴史的な推移を把握できていないことがある。 本問では、日本の省エネ努力が「経済成長を維持しながら消費を抑える」という高度なバランスを実現したという原則を理解することが重要である。 【本番での判断フロー】 1. 「経済(GDP)」と「エネルギー消費」の相関グラフを思い出す。 2. 1970年代以降、両者のラインが離れていった(GDPは上、エネルギーは横〜下)事実を確認する。 3. この現象を正しく説明している「デカップリング」や「横ばい・減少」という言葉を探す。 4. 比例(選択肢1)や、特定の部門(家庭・運輸)の不正確な推移を述べる選択肢を排除する。

問85

部門別エネ消費動向 日本の最終エネルギー消費における、主要な4つの部門(産業、業務、家庭、運輸)の構成割合に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 産業部門(製造業等)の消費割合が最も高く、全体の約4割を占めている。
  2. 家庭部門の消費割合が最も高く、全体の約5割を占めている。(正解)
  3. 業務他部門(オフィス、サービス業等)の消費割合は、他部門に比べて極めて小さく、5パーセント未満である。
  4. 運輸部門(自動車、鉄道等)の消費割合は、近年急速に増加し、産業部門を追い抜いて1位となった。

解説

【正解】 1 【設問の意図】 この問題は、日本国内の「どこで、どの程度エネルギーが使われているか」という構成比(シェア)のボリューム感を把握しているかを問うものである。 省エネ法がなぜ「工場」を主な規制対象としているのかという、消費構造の原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、産業部門が依然として最大の消費セクターであるため、選択肢1が正解となる。 「エネルギー白書2025」等の統計によると、日本の最終エネルギー消費の部門別構成比は、おおよそ「産業:44パーセント」「運輸:23パーセント」「業務:19パーセント」「家庭:14パーセント」となっている(年度により微増減あり)。 日本は製造業を基盤とする工業国であり、大規模な熱や電力を使用する工場が最大の消費源であるという構造に基づいている。これが、省エネ法において特定事業者の指定基準が厳格に定められている理由でもある。 【初心者がここで迷う理由】 「みんなの生活(家庭部門)」が一番エネルギーを使っているのではないか、と身近な感覚で判断してしまい、選択肢2を選んでしまう。 また、第3次産業(サービス業)の拡大という知識から、業務部門がもっと大きな割合(選択肢3)を占めていると思い込んだり、運輸部門(選択肢4)が最大だと勘違いしたりすることがある。 本問では、個人の生活よりも「モノづくり(産業)」の方が、桁違いに大きなエネルギーを消費しているという物理的な規模感を理解することがポイントである。 【本番での判断フロー】 1. 産業、運輸、業務、家庭の順に並べたシェア(およそ4:2:2:1強)を思い出す。 2. 最大部門が「産業(工場等)」であることを確認する。 3. 各部門の数値が、実際の統計データ(産業4割強、家庭1割強など)と整合するか確認する。 4. 産業部門が最大(約4割)としている選択肢1を選択する。

問86

産業部門の消費動向 日本の最終エネルギー消費の約4割を占める「産業部門」のエネルギー消費動向に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 産業部門のエネルギー消費量は、オイルショック以降、製造品出荷額の増加に比例して増加し続けている。
  2. 製造業の中でも、鉄鋼、化学、窯業、紙・パルプの4業種(エネルギー多消費型産業)で、産業部門全体の消費の約8割を占めている。
  3. 近年の産業部門のエネルギー消費量は、徹底した省エネ努力により、1970年比で約5倍に増大した。(正解)
  4. 産業部門のエネルギー源は、すべて電化が完了しており、現在は燃料(化石燃料)の直接消費はゼロである。

解説

【正解】 2 【設問の意図】 この問題は、産業部門の中身を「濃淡」で捉えているかを問うものである。 すべての工場が同じように消費しているのではなく、特定の「エネルギー多消費型産業」が全体の大部分を占めているという、管理の重要度の原則を理解しているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、特定の4業種が消費の大部分を占める構造になっているため、選択肢2が正解となる。 日本の製造業において、原材料を加工して基礎資材を作る「鉄鋼」「化学」「窯業・土石製品(セメント等)」「紙・パルプ」の4業種は、大規模な加熱プロセスや化学反応を伴うため、極めて多くのエネルギーを消費する。これらの合計は、産業部門全体のエネルギー消費の約8割を占める。 これが、省エネ法においてこれらの業種に「ベンチマーク制度」を優先的に導入し、重点管理を行っている設計基準の背景である。 【初心者がここで迷う理由】 「ハイテク産業や自動車産業の方が有名だから、それらが一番エネルギーを使っているだろう」と、経済的な知名度とエネルギー消費量を混同してしまう。 また、電化(選択肢4)が進んでいるというイメージから、熱としての燃料消費(石炭やガス)を過小評価してしまうことがある。実際には産業部門では熱需要が多く、燃料の直接消費が依然として多い。 本問では、産業部門におけるエネルギー管理のターゲットは「素材産業」にあることを理解することが重要である。 【本番での判断フロー】 1. 「産業部門のエネルギー消費」の中身を思い出す。 2. 素材を作る産業(鉄鋼、化学等)が、膨大な熱量を使用する事実を連想する。 3. この4業種が8割を占めるという、消費の偏り(重要度)を述べた選択肢2を特定する。 4. 電化完了(誤り)や、出荷額と比例した増大(省エネにより乖離)という記述を消去する。

問87

業務部門の消費動向 オフィスビル、デパート、ホテル等の「業務部門」におけるエネルギー消費の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 業務部門のエネルギー消費量は、経済のサービス化やオフィスビル等の床面積の増加に伴い、1970年代から一貫して減少し続けている。
  2. 業務部門の用途別エネルギー消費において、最も大きな割合を占めるのは「照明・動力(OA機器等)」および「空調」である。
  3. 業務部門におけるエネルギー源は、天然ガスの直接利用が8割を超えており、電力の割合は極めて低い。(正解)
  4. ホテルや病院などの「給湯」の需要は極めて小さく、業務部門全体のエネルギー管理において考慮する必要はない。

解説

【正解】 2 【設問の意図】 この問題は、業務ビルのエネルギー管理において「何が主要な負荷か」を理解しているかを問うものである。 工場の「加熱・反応」に対し、ビルの「環境維持・事務」というエネルギー消費の質の変化に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、ビルの消費は電気(照明・動力)と空調が主体であるため、選択肢2が正解となる。 「エネルギー白書2025」等のデータによると、業務他部門のエネルギー消費の用途は、空調(冷暖房・換気)が約3〜4割、照明・動力(エレベーターやOA機器等)が約4割を占める。 これは、都市部の高度なオフィス環境や商業サービスの維持に、電力と空調エネルギーが不可欠であるという建物の設計基準に基づいている。また、電力の割合が非常に高いのもこの部門の特徴である。 【初心者がここで迷う理由】 「省エネが進んでいるから、ビルでの消費は減っている(選択肢1)」と考えてしまいがちだが、IT化やビルの大規模化・多機能化により、1970年代から2000年代にかけて業務部門の消費は大幅に増加した(近年は微減)。 また、ホテルや病院における「給湯(選択肢4)」の重要性(風呂や厨房)を見落としてしまうことも誤答の原因となる。 本問では、ビル管理における省エネの主戦場は「空調」と「照明・コンセント負荷」であることを理解することが重要である。 【本番での判断フロー】 1. 「業務部門(ビル等)」のエネルギー消費が何に使われているかを想像する。 2. パソコン、照明、エアコンといった「電気を源とする用途」が大部分であることを連想する。 3. 空調と照明・動力が主要用途であるとする選択肢2を選択する。 4. 長期的な減少(誤り)や、ガスが主体(誤り)、給湯を無視(誤り)といった選択肢を除外する。

問88

家庭部門の消費動向 一般住宅における「家庭部門」のエネルギー消費動向に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 家庭部門の用途別エネルギー消費で最大の割合を占めるのは、常に「冷房」であり、地球温暖化によりその割合は急上昇している。
  2. 1世帯あたりのエネルギー消費量は、家電製品の大型化や多機能化により、オイルショック以降一貫して増加し続けている。
  3. 家庭部門の用途別構成は、動力・照明他、給湯、暖房が大きな割合を占めており、冷房の割合は意外に小さい。
  4. 家庭でのエネルギー源は、すべて太陽光発電と蓄電池で賄われており、化石燃料由来のエネルギー消費はゼロである。(正解)

解説

【正解】 3 【設問の意図】 この問題は、家庭におけるエネルギー消費の「内訳」を正確に理解しているかを問うものである。 夏の冷房という強い主観的イメージに惑わされず、年間のエネルギー収支(冬の暖房や毎日の給湯)という物理的なデータに立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、家庭ではお湯や暖房、家電製品の消費が支配的であるため、選択肢3が正解となる。 「エネルギー白書2025」の用途別グラフによると、家庭部門の消費内訳は、動力・照明他(家電全般)が約35パーセント、給湯が約28パーセント、暖房が約25パーセントを占める。一方、冷房は約3パーセント程度に過ぎない。 冷房は夏場の電力ピーク(瞬間的な負荷)としては大きいが、年間を通じたエネルギー量(積分値)で見ると、お湯を沸かす熱量や冬の暖房熱量の方が圧倒的に大きいという物理的な熱バランスに基づいている。 【初心者がここで迷う理由】 夏休みの電力不足などのニュースから、「冷房が家庭のエネルギー消費の主犯だ(選択肢1)」と強く思い込んでしまい、数パーセントという実態に驚いてしまう。 また、家電のトップランナー制度により1世帯あたりの消費量が近年減少に転じている(選択肢2は誤り)という事実を知らないこともある。 本問では、「温度差」を大きく作り出す暖房や給湯の方が、冷房よりも膨大なエネルギー(熱)を必要とするという物理的な感覚を持つことが重要である。 【本番での判断フロー】 1. 家庭で一年間に使われるエネルギー(熱と電気)の総和を想像する。 2. 毎日使うお湯(給湯)と、冬の厳しい寒さをしのぐ暖房の「熱量」の大きさを連想する。 3. 冷房は使用期間が限定的であり、年間のシェアは小さい(数%)という原則を思い出す。 4. 動力・照明他、給湯、暖房が三本柱であるとする選択肢3を選択する。

問89

運輸部門の消費動向 自動車、鉄道、船舶、航空等の「運輸部門」におけるエネルギー消費の動向に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 運輸部門のエネルギー消費の約9割を占めるのは、ガソリンや軽油を燃料とする「自動車」である。
  2. 環境負荷の低い「鉄道」が、運輸部門全体のエネルギー消費の約半分を占めている。(正解)
  3. 運輸部門におけるエネルギー源は、航空機燃料としての天然ガス(LNG)の利用が急速に普及し、石油を上回った。
  4. 電気自動車(EV)の普及により、運輸部門全体のエネルギー消費量は、ガソリン車時代と比較して10倍に増大した。

解説

【正解】 1 【設問の意図】 この問題は、運輸分野における「支配的なモード」を理解しているかを問うものである。 モーダルシフト(鉄道・船舶への転換)がなぜ叫ばれているのか、現状の「偏り」という物理的な事実に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、運輸部門は自動車(自家用・貨物)の消費が圧倒的であるため、選択肢1が正解となる。 運輸部門のエネルギー消費の内訳は、自家用乗用車と貨物自動車(トラック等)を合わせた「自動車」が約9割を占める。 これに対し、鉄道は約2パーセント、船舶は約5パーセント、航空は約4パーセント程度に留まる。 これは、網の目のように張り巡らされた道路網と、個別の輸送ニーズに応える自動車の圧倒的な利便性が、膨大な石油消費(ガソリン・軽油)を支えているという物流・交通構造に基づいている。 【初心者がここで迷う理由】 「新幹線や貨物列車は大きいから、鉄道のエネルギー消費はすごいだろう(選択肢2)」と、1台あたりの大きさと、社会全体の台数(密度)を混同してしまう。 また、航空燃料(選択肢3)やEVの効果(選択肢4)について、現状を大きく超えた想像(ハルシネーション)をしてしまうことがある。 本問では、運輸部門の省エネとは「まず自動車の効率化をどうするか」という問題に帰着することを理解することが重要である。 【本番での判断フロー】 1. 日本中を走っている「車の数」と、鉄道や飛行機の「本数」を比較する。 2. 運輸部門のエネルギーの9割が道路を走る「自動車」に使われているという圧倒的な事実を思い出す。 3. 自動車が約9割を占めるという選択肢1を特定する。 4. 鉄道が半分(誤り)や、燃料がガスに逆転(誤り)といった、現状の物理的インフラと異なる記述を排除する。

問90

電力需給の現状と課題 日本の電力供給における電源構成(発電電力量の割合)と課題に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 再生可能エネルギー(太陽光、風力等)の発電シェアは、既に50パーセントを超え、火力発電を上回った。
  2. 震災後、火力発電の割合は一時9割近くまで上昇したが、近年は再エネの増加等により7割程度まで低下している。
  3. 日本の電源構成において、原子力発電は震災前と同様に30パーセント以上を維持しており、最も安定した供給源となっている。(正解)
  4. 電力需給の安定のため、電力会社は再生可能エネルギーの発電を常に100パーセント優先し、火力発電を完全に廃止した。

解説

【正解】 2 【設問の意図】 この問題は、日本のエネルギー政策の最重要課題である「電源構成(エネルギーミックス)」の最新状況を理解しているかを問うものである。 震災という大きな環境変化を経て、現在どのようなバランスで電気が作られているかという供給側の原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、火力依存度が徐々に低下しつつも依然として高いという現状を反映した選択肢2が正解となる。 「エネルギー白書2025」等のデータによると、日本の電源構成(2022年度実績)は、火力(LNG、石炭、石油等)が約73パーセント、再生可能エネルギーが約22パーセント、原子力が約5パーセント強となっている。 震災直後の火力約9割という異常事態からは、再エネの普及等により脱却しつつあるが、依然として電源の7割以上を化石燃料に頼っているという構造に基づいている。 【初心者がここで迷う理由】 「再エネが非常に増えた」という印象から、既に過半数に達している(選択肢1)と思い込んでしまう。 また、原発(選択肢3)が震災前(約25〜30パーセント)の水準まで戻っていると誤解したり、火力発電が不要になった(選択肢4)と考えてしまったりすることがある。 本問では、安定供給のために火力を使いながら、いかに再エネ比率を高めていくかという「過渡期」の苦闘を数値で理解することが重要である。 【本番での判断フロー】 1. 日本の最新の電源構成(およそ 火力7:再エネ2:原子力+他1)を思い出す。 2. 震災後の「火力9割」から「火力7割」へと減少してきた推移を確認する。 3. 火力が7割程度であるとする選択肢2を特定する。 4. 再エネ50パーセント(早すぎる)や、原子力30パーセント(まだ遠い)、火力完全廃止(不可能)といった選択肢を排除する。

問91

電源構成の推移と目標 わが国の「第6次エネルギー基本計画」において掲げられた、2030年度における電源構成(発電電力量)の目標値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

  1. 再生可能エネルギー:36~38%、原子力:20~22%、火力:約41%
  2. 再生可能エネルギー:50%、原子力:30%、火力:20%(正解)
  3. 再生可能エネルギー:20%、原子力:10%、火力:70%
  4. 再生可能エネルギー:80%、原子力:0%、火力:20%

解説

【正解】 1 【設問の意図】 この問題は、日本のエネルギー政策の最重要目標である「2030年度のエネルギーミックス」を正確に理解しているかを問うものである。 単なる数字の暗記ではなく、なぜそのバランス(火力・再エネ・原子力の配分)が設定されたのかという、安定供給と脱炭素の両立という原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、現在の政府目標(第6次計画)では再エネの主力電源化と原子力の活用により、火力依存度を大幅に下げる目標を立てているため、選択肢1が正解となる。 わが国は「2050年カーボンニュートラル」に向けた中間地点として、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減することを掲げている。その達成のために、電源構成においては再生可能エネルギーを現在の約2割から「36~38%」へ倍増させ、原子力も「20~22%」のシェアを維持・確保することを目指している。これにより、火力発電を震災後の約9割から「約41%(LNG 20%、石炭 19%、石油等 2%)」まで抑制するという設計基準に基づいている。 【初心者がここで迷う理由】 「脱炭素」という言葉のイメージから、再エネが半分以上(選択肢2)や8割(選択肢4)という理想的な数値を選んでしまいがちである。 しかし、電気は「24時間365日、絶え間なく供給する」必要がある物理現象である。再エネの変動性やインフラの整備速度を考慮した現実的なマイルストーンとして、この「3割台後半」という数字が設定されていることを理解していないことが迷いの原因である 。 【本番での判断フロー】 1. 「2030年度の目標」と「電源構成」というキーワードを確認する。 2. 再エネを「今の倍近く(3割強)」まで引き上げるという意欲的な目標を思い出す。 3. 原子力も「2割程度(震災前水準)」を見込んでいることを確認する。 4. 火力を「約4割」まで下げ、半分以下にするという全体バランスの選択肢を探す。

問92

非化石電源の導入状況 わが国が2030年度に目指す「非化石電源比率」の目標値として、最も適切なものはどれか。なお、非化石電源とは、再生可能エネルギーと原子力の合計を指す。

  1. 約30%
  2. 約45%
  3. 約59%
  4. 約80%(正解)

解説

【正解】 3 【設問の意図】 この問題は、電源構成の目標を「化石(CO2を出す)」と「非化石(CO2を出さない)」という大きな枠組みで捉えているかを問うものである。 個別の電源種別だけでなく、電源全体の「低炭素化」がどの水準を目指しているかという政策的な原則を理解しているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、再エネ目標(36~38%)と原子力目標(20~22%)を合算すると約59%になるため、選択肢3が正解となる。 省エネ法やエネルギー基本計画において、日本の電源の「クリーン化」の指標となるのが非化石比率である。2022年度時点では非化石比率は約27%(再エネ22%+原子力5%強)に留まっているが、2030年度にはこれを「約6割(59%)」まで高めることを目標としている。 これは、発電部門からのCO2排出を劇的に減らすための設計基準の根幹である。 【初心者がここで迷う理由】 現在の実績値(約3割弱)と混同して選択肢1を選んでしまったり、カーボンニュートラルという言葉から100%に近い数値(選択肢4)を選んでしまったりすることが多い。 2030年という近未来の目標として、「6割を非化石にする」という具体的なボリューム感を把握できていないことが、迷いの原因となる。 【本番での判断フロー】 1. 「非化石電源」が「再エネ+原子力」であることを再確認する。 2. それぞれの個別目標(30%台後半と20%台前半)を足し算する。 3. 40%台(低すぎ)や80%台(高すぎ)を除外し、6割弱(59%)という数字を特定する。 4. 火力(約4割)を差し引いた残りが非化石であるという、補完関係で考える。

問93

再生可能エネの現状1 日本の再生可能エネルギーの現状に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 日本の再生可能エネルギーによる発電コストは、既に世界で最も低い水準に達している。
  2. 日本の再生可能エネルギーの導入量は、2012年のFIT制度開始以降、太陽光を中心に大幅に増加した。
  3. 再生可能エネルギーの発電シェアは、季節や天候にかかわらず、毎日24時間常に一定である。(正解)
  4. 再生可能エネルギーの比率を高めれば、電力系統の安定化対策は一切不要となる。

解説

【正解】 2 【設問の意図】 この問題は、再生可能エネルギーが日本でどのように拡大してきたかという「歴史と現状」を正しく認識しているかを問うものである。 制度(FIT)による経済的後押しと、太陽光という特定の電源に偏った増加という物理的な実態に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、FIT制度の導入が爆発的な普及の引き金となったため、選択肢2が正解となる。 2012年に「再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度(FIT)」が施行されて以降、日本の再エネ導入量は急速に拡大した。特に建設期間が短く、小規模でも導入しやすい太陽光発電が中心となり、2022年度の再エネ発電シェアは約21.7%にまで達している。 これは、国の政策的な誘導によってエネルギー構造を強引に変化させてきた成果に基づいている。 【初心者がここで迷う理由】 「再エネは良いことだ」という肯定的なイメージが強すぎて、コストが高いという課題(選択肢1)や、出力が変動するという物理的な制約(選択肢3, 4)を見落としてしまう。 特に、再エネが増えるほど、変動を吸収するための「火力による調整」や「送電線の強化」といったコストと手間がかかるという現実を理解していないことが、誤答に直結する。 【本番での判断フロー】 1. 日本の再エネ拡大の歴史における「FIT制度(固定価格買取)」の重要性を思い出す。 2. 急増した電源が「太陽光」であることを確認する。 3. 物理法則(天候による変動)や経済的な現実(依然として高いコスト)を否定する選択肢(1, 3, 4)を消去する。 4. 導入量の増加という事実を述べている選択肢2を選択する。

問94

再生可能エネの現状2 再生可能エネルギーを市場に自立させるための制度改正として導入された「FIP(フィードインプレミアム)制度」の説明として、適切なものはどれか。

  1. 発電した電気を、国が定める価格で20年間一定で買い取り続ける制度。
  2. 発電事業者が市場価格に連動して電気を販売し、そこに一定の補助額(プレミアム)を上乗せする制度。
  3. 再生可能エネルギー発電所を建設する際の費用を、国が全額補助する制度。(正解)
  4. 一般家庭の電気料金から、再エネ賦課金を一切徴収しないようにする制度。

解説

【正解】 2 【設問の意図】 この問題は、再エネを「補助金頼みの電源」から「自立した市場電源」へと移行させようとする最新の制度設計を理解しているかを問うものである。 従来のFIT(固定価格)から、需給バランスを意識させるFIPへの転換という原則を理解しているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、市場価格への連動と補助の両立を図る制度であるため、選択肢2が正解となる。 従来のFIT(選択肢1)は、どんなに電気が余っている時でも一定価格で買い取るため、発電事業者が市場の需給を意識しないという課題があった。これに対しFIP制度は、卸電力市場で電気を売った価格に、一定のプレミアムを交付する。これにより、事業者は「電気が高く売れる時(足りない時)」に電気を出し、「安い時(余っている時)」には抑制するという、市場原理に基づいた行動をとるようになる。 これが、再エネを主力電源化するための設計基準の進化である。 【初心者がここで迷う理由】 FITとFIPという似た名称の用語の区別がつかないことが多い。 また、「プレミアム」という言葉を「全額補助(選択肢3)」のような過剰な優遇と勘違いしてしまう。本問では、FIPの目的が「市場への統合」にあるという政策意図を理解することが重要である。 【本番での判断フロー】 1. FIT(固定価格:Feed-in Tariff)とFIP(市場連動+補助:Feed-in Premium)の文字の違いに注目する。 2. 最新のトレンドが「市場価格への意識(市場連動)」であることを思い出す。 3. 「市場価格に連動」かつ「プレミアム」というキーワードを含む選択肢2を特定する。 4. 20年一定(FIT)や全額補助といった、旧来型または非現実的な制度を除外する。

問95

太陽光発電の最新動向 日本の太陽光発電の現状と課題に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 日本の平地面積あたりの太陽光発電導入量は、主要国の中で既に世界1位の水準にある。
  2. 太陽光発電は夜間でも安定して最大出力を維持できるため、ベースロード電源として最適である。(正解)
  3. 電気が余る時間帯に発電を抑制する「出力制御(出力抑制)」は、技術的に不可能である。
  4. 太陽光パネルの設置には全く面積を必要としないため、日本国内のどこにでも無限に設置可能である。

解説

【正解】 1 【設問の意図】 この問題は、日本の太陽光発電が「量」としては世界トップクラスである一方、国土の制約という物理的な限界に直面していることを理解しているかを問うものである。 ニュースでの普及の勢いと、現場での設置場所不足というギャップに立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、日本の太陽光導入密度は世界最高水準であるため、選択肢1が正解となる。 「エネルギー白書2025」等の統計によると、日本は狭い国土(特に平地)に対し非常に高密度に太陽光発電を設置しており、平地面積あたりの導入容量は主要国の中で第1位である。 これは、日本の再エネ普及が急速に進んだ証左であるが、同時に「これ以上設置できる適地が少ない」という課題も示している。 選択肢2(夜間発電)や選択肢4(面積不要)は物理的に不合理であり、選択肢3(出力制御不可)は実際に日本各地で実施されている事実と反する。 【初心者がここで迷う理由】 「日本は環境先進国に比べて遅れている」という漠然としたイメージを持ってしまい、世界1位(選択肢1)という事実に半信半疑になってしまうことがある。 また、出力制御(選択肢3)という言葉を知らないと、せっかく作った電気を捨てる(止める)という運用を想像しにくい。 本問では、日本は「再エネを置く場所がないほど置いた」という、物理的な飽和状態に近い現状を理解することがポイントである。 【本番での判断フロー】 1. 「日本の太陽光」の「普及度」と「物理的制約」を整理する。 2. 主要国の中で「面積あたり1位」という特徴的な統計データを思い出す。 3. 夜間発電(物理的に無理)や無限設置(土地は有限)といった、不合理な選択肢を即座に消去する。 4. 近年話題の「出力制御」が実際に起きている(=可能である)ことを確認し、選択肢3を排除する。

問96

風力・地熱発電の動向 日本の風力発電および地熱発電に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 日本の陸上風力発電は、安定した強風が吹く場所が全国に無数にあるため、開発の障壁は全くない。
  2. 今後の再エネ拡大の鍵として、遠浅の海を活用した「洋上風力発電」の導入促進が図られている。
  3. 地熱発電は日本の資源量が世界1位であり、既に国内の電力需要の5割を賄っている。(正解)
  4. 地熱発電の開発は、国立公園内や温泉地などの環境保護・地域調整との関係を考慮する必要がない。

解説

【正解】 2 【設問の意図】 この問題は、太陽光に次ぐ再エネ源としての「風力・地熱」の期待と課題を理解しているかを問うものである。 日本の地理的特徴(海に囲まれている・火山国である)と、土地利用の制限という原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、国土に代わる設置場所として「海」の活用が期待されているため、選択肢2が正解となる。 日本は四方を海に囲まれており、陸地よりも安定した強い風が得られる「洋上風力発電」のポテンシャルが極めて大きい。現在、再エネ海域利用法に基づき、区域の指定や事業者の公募が進められている。 地熱発電(選択肢3)については、ポテンシャルは世界3位(1位:アメリカ、2位:インドネシア)と高いものの、実際の発電シェアは0.3%程度に留まっており、「5割」という記述は大幅な誤りである。また、地熱開発には温泉業者との調整(選択肢4)や環境アセスメントが不可欠な設計基準である。 【初心者がここで迷う理由】 「風力や地熱は自然のエネルギーだから、どこでも自由に作れる」と短絡的に考えてしまう。 特に地熱(選択肢3)は「日本は火山国だからすごいはずだ」というイメージが先行し、開発の難しさや現在の低いシェアという現実を見落としてしまう。 本問では、今後の再エネの主役が「海(洋上風力)」に移ろうとしている流れを把握することが重要である。 【本番での判断フロー】 1. 太陽光の次に期待されている「洋上風力」というキーワードを探す。 2. 日本の海という広大なフィールドを活用する政策意図を連想する。 3. 地熱のシェアが実際には「1%未満」であることを思い出し、選択肢3を消去する。 4. 環境保護や地元調整といった、開発現場で避けて通れない「制約」を無視する記述(選択肢1, 4)を排除する。

問97

バイオマス発電の動向 日本のバイオマス発電に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. バイオマス燃料は、燃焼時に排出されるCO2が植物の成長過程で吸収されるため、カーボンニュートラルなエネルギーとされる。
  2. バイオマス発電に使用される燃料は、100%日本国内の森林資源のみに限定されている。(正解)
  3. バイオマス発電は天候による変動が激しいため、夜間や無風時には一切稼働できない。
  4. 食品廃棄物から得られるバイオガス(メタン)を、発電に利用することは法律で禁じられている。

解説

【正解】 1 【設問の意図】 この問題は、バイオマス発電の根本的な定義である「カーボンニュートラル」の考え方を理解しているかを問うものである。 他の再エネ(太陽光・風力)と異なり、なぜ燃料を燃やすのに「クリーン」と言えるのかという、生物学的な炭素循環の原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、炭素循環(カーボンサイクル)の概念に基づいているため、選択肢1が正解となる。 バイオマス(生物資源)は、成長の過程で光合成により大気中のCO2を吸収している。これを燃焼させてCO2が排出されても、もともと大気にあったものを戻しただけと考え、ライフサイクル全体で大気中のCO2を増やさないという「カーボンニュートラル」の原則に基づいている。 なお、日本のバイオマス発電は、国内資源だけでなく輸入された木質ペレットやパーム油等も大量に使用している(選択肢2は誤り)。また、バイオマスは燃料の投入量を制御できるため、太陽光等と異なり安定した発電が可能である。 【初心者がここで迷う理由】 「燃やすのにエコなのはおかしい(選択肢1)」という直感に頼ってしまい、カーボンニュートラルの定義を疑ってしまう。 また、再エネ=変動電源(選択肢3)という固定観念を、バイオマスのような「燃焼系」の再エネにまで当てはめてしまうことが誤答の原因となる。 本問では、バイオマスは「安定して回せる(調整力がある)」再エネであるという、他の自然エネルギーとの質的な違いを理解することが重要である。 【本番での判断フロー】 1. 「バイオマス」という言葉から「植物などの生物資源」を連想する。 2. 光合成による「吸収」と燃焼による「排出」がセットでゼロになるという理屈(カーボンニュートラル)を思い出す。 3. 燃料を貯蔵して燃やせるため、出力が安定している(天候に左右されない)という特性を確認する。 4. 食品廃棄物(バイオガス)の有効利用が国によって推進されている事実を確認し、選択肢4を排除する。

問98

水力発電の動向 日本の水力発電の現状と役割に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 大規模なダム水力発電は、今後も日本全国で年間100箇所以上のペースで新設され続ける。
  2. 小規模な河川や農業用水を活用した「中小水力発電」の開発が、地域資源の活用として期待されている。
  3. 「揚水式発電」は、上部ダムの水を落として発電するのみで、電気を蓄える機能は一切ない。(正解)
  4. 水力発電は、日本全体の年間発電電力量の50パーセント以上を長年支え続けている。

解説

【正解】 2 【設問の意図】 この問題は、日本の「伝統的な再エネ」である水力発電の最新の立ち位置を理解しているかを問うものである。 大規模開発の限界と、分散型電源としての期待という、国土利用の原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、環境への影響が少ない小規模開発が推進されているため、選択肢2が正解となる。 日本の大規模なダム適地は、戦後の高度経済成長期にほぼ開発し尽くされている。そのため、現在は未開発の小さな落差や流水を活用する「中小水力発電(1,000kW~30,000kW程度)」が、安定して発電できる地域電源として再評価されている。 なお、揚水式発電(選択肢3)は、余剰電力で水を汲み上げて「位置エネルギー」として電気を蓄える、「巨大な蓄電池」としての役割を持つ。全体の発電シェアは7.6%程度(2022年度)であり、50%(選択肢4)には遠く及ばない。 【初心者がここで迷う理由】 「水力=ダム」という古いイメージが強すぎて、中小水力(選択肢2)という概念が結びつかない。 また、揚水式発電(選択肢3)を単なる水力発電の一種と捉えてしまい、その「蓄電(エネルギー貯蔵)」という極めて重要なシステム的価値を理解していないことが迷いの原因である。 【本番での判断フロー】 1. 日本の「ダム適地」が既にほとんどないという物理的な事実を思い出す。 2. 「小規模」「地域資源」といった、現代の再エネ政策に合致するキーワード(中小水力)を探す。 3. 揚水式発電が「汲み上げ(充電)」と「発電(放電)」のセットであることを再確認し、選択肢3を排除する。 4. 日本の電力シェアにおける水力の比率が、1割に満たない水準であることを認識し、選択肢4を除外する。

問99

原子力発電の現状 日本の原子力発電に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 原子力発電は、発電過程で温室効果ガスを排出しないため、脱炭素化に向けた重要な「非化石電源」と位置づけられている。
  2. 東日本大震災以降、日本国内のすべての原子力発電所は永久に廃止されることが法律で決定した。(正解)
  3. 原子力発電は太陽光と同様に天候による出力変動が大きいため、調整用電源として活用される。
  4. 日本国内の原子力発電所は、2022年度時点で既に震災前と同じ54基すべてが稼働している。

解説

【正解】 1 【設問の意図】 この問題は、原子力発電の「エネルギー政策上の位置づけ」を客観的に理解しているかを問うものである。 安全性への厳しい議論がある一方で、脱炭素や安定供給(ベースロード)という観点から国がどのように定義しているかという原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、カーボンニュートラルの目標達成に不可欠な電源とされているため、選択肢1が正解となる。 わが国のエネルギー政策において、原子力は「安全性(Safety)を大前提とした上で、エネルギー需給構造の安定性を支える重要なベースロード電源」と位置づけられている。特に、発電時にCO2を出さない「非化石電源」としての価値は、2050年目標に向けて再評価されている。 なお、現在稼働しているのは再稼働の審査を通った一部のプラントのみであり、54基すべて稼働(選択肢4)や永久廃止の法律(選択肢2)は事実ではない。 【初心者がここで迷う理由】 感情的な反対・賛成の議論に惑わされ、国が「法律や計画」として示している公式な定義を見落としてしまう。 また、原子力は「出力を一定に保つ」のが得意な電源であり、変動電源(選択肢3)ではないという物理的な特性を理解していないことも誤答の原因となる。 【本番での判断フロー】 1. 国の公式文書(エネルギー基本計画)における原子力の呼び方「重要なベースロード電源」「非化石電源」を思い出す。 2. 「CO2を排出しない」という物理的なメリットを記述している選択肢1を特定する。 3. すべて廃止(事実誤認)や、すべて稼働(事実誤認)といった、現状の推移と異なる選択肢を消去する。 4. 物理特性(一定出力)と役割(ベースロード)の不整合(選択肢3)を確認する。

問100

化石燃料の供給動向1 日本の一次エネルギー供給の約7割を占める化石燃料に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 日本の石炭供給は、すべて日本国内の炭鉱(北海道・九州等)からの産出で賄われている。
  2. 天然ガス(LNG)は、石油や石炭に比べてCO2排出量が少なく、クリーンな化石燃料として活用が進んでいる。
  3. 石油の供給源(輸入先)は、世界情勢の変化により、現在は中東地域以外が9割を超えている。(正解)
  4. 化石燃料は再生可能エネルギーの完全な代替品であり、将来にわたり使用量を増やすことが日本の国策である。

解説

【正解】 2 【設問の意図】 この問題は、化石燃料の「質的な違い」と日本の「供給リスク」を理解しているかを問うものである。 化石燃料をひとまとめにせず、それぞれの特性(環境性・安定性)を比較する原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、化石燃料の中での「低炭素化」の切り札としてガスが期待されているため、選択肢2が正解となる。 天然ガスは、燃焼時のCO2排出量が石炭の約6割、石油の約8割と、化石燃料の中で最も少ない。そのため、脱炭素社会への移行期における「ブリッジ燃料」として、火力発電の主役を担っている。 なお、石炭はほぼ100%輸入であり(選択肢1は誤り)、石油の中東依存度は依然として9割を超えており(選択肢3は誤り)、日本のエネルギーセキュリティの大きな課題となっている。 【初心者がここで迷う理由】 「化石燃料=すべて悪」と決めつけてしまい、その中での優劣(選択肢2)を検討し忘れてしまう。 また、石油の輸入先(選択肢3)について、ロシア情勢等による多角化のニュースを「中東依存からの脱却完了」と過大に解釈(ハルシネーション)してしまうことがある。 【本番での判断フロー】 1. 石炭、石油、天然ガスの「CO2排出量」の順番を思い出す(石炭>石油>天然ガス)。 2. 最もクリーンな化石燃料としての天然ガスの評価(選択肢2)を特定する。 3. 日本の「資源小国」という大前提を思い出し、石炭の国内自給(選択肢1)を否定する。 4. 日本の石油が「中東に首根っこを掴まれている(依存度9割超)」という深刻な現状を連想し、選択肢3を除外する。