エネルギー管理士 第1章 省エネ法及び命令
問41
クラス分け評価制度1
省エネ法に基づく「事業者クラス分け評価制度」において、最も評価が高い「Sクラス(省エネ優良事業者)」として判定されるための要件として、正しいものはどれか。
- 単年度のエネルギー使用量を、前年度比で5%以上削減していること。
- 「5年平均原単位」が年1%以上低減している、または「ベンチマーク目標」を達成していること。
- 自社で使用する全エネルギーのうち、50%以上を再生可能エネルギーで賄っていること。(正解)
- 過去10年間にわたり、一度も法令違反による是正勧告を受けていないこと。
解説
【正解】
2
【設問の意図】
この問題は、省エネ法による評価の仕組みである「クラス分け」の客観的な基準を理解しているかを問うものである。
単なるイメージの「優良」ではなく、法が定める数値目標(努力目標)との連動性を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、国が示す努力目標を達成していることがSクラスの条件であるため、選択肢2が正解となる。
「クラス分け評価制度」は、定期報告書の内容に基づき、事業者をS・A・B・Cの4段階で評価する制度である。
Sクラス(優良事業者)に選ばれるための原則は、「中長期的にみて年平均1%以上の原単位低減(5年平均原単位の改善)」を達成していること、あるいは、業種ごとに定められた「ベンチマーク目標」を達成していることである。
これにより、継続的に努力している事業者が社会的に評価される仕組みとなっている。
【初心者がここで迷う理由】
学習が進んでいない場合、次のような思考の罠に陥りやすい。
・「5%削減(選択肢1)」など、数字が大きければSクラスだろうと直感で選んでしまう。
・「再エネ(選択肢3)」や「違反なし(選択肢4)」といった、環境配慮やコンプライアンスのイメージだけで判断してしまう。
本問では特に、努力目標(年1%)がそのままSクラスの判定基準に直結しているという「制度の合理的な設計」を理解することがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 問題文から「Sクラス(最高評価)」の基準を問うていることを確認する。
2. 省エネ法の2大目標である「年1%低減」と「ベンチマーク」を思い出す。
3. これらの目標の「達成」が、そのままSクラスのパスポートになるという原則を確認する。
4. 正確なキーワードが含まれる選択肢2を選択する。
問42
クラス分け評価制度2
クラス分け評価制度において、評価が低い「Bクラス(停滞事業者)」に判定された事業者に対し、国が行う措置として正しいものはどれか。
- 直ちに事業停止命令を下し、工場を閉鎖させる。
- 省エネの取り組みが不十分であるとして、社名を公表し、罰金を科す。
- 注意喚起の文書を送付し、改善が見られない場合は現地調査等の対象とする。
- 法人税の税率を一律で5%引き上げるペナルティを課す。(正解)
解説
【正解】
3
【設問の意図】
この問題は、評価が低い事業者に対して国がどのような「指導」を行うのかという、行政処分の段階性を理解しているかを問うものである。
いきなり厳罰を下すのではなく、まずは「気づき」を与えて改善を促すという、日本の規制の原則を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、まずは注意喚起を行い、指導を強めていく流れが一般的であるため、選択肢3が正解となる。
Bクラスとは、5年平均原単位が改善しておらず(100%超)、かつ直近の改善状況も思わしくない事業者を指す。
国はこれらの事業者に対し、まずは「注意喚起」のメールや文書を送付する。さらに、評価が何年も停滞している場合には、「重点的な指導」や「現地調査(立入検査)」の対象として優先的に選定する。
これは、事業者の自主的な改善を促しつつ、必要に応じて行政が介入するという設計基準に基づいている。
【初心者がここで迷う理由】
「法律の罰則」という言葉に過剰に反応し、次のような極端な解釈をしてしまう。
・「Bクラスなら即罰金だろう(選択肢2)」、「事業停止だ(選択肢1)」と、段階を飛ばして考えてしまう。
・税金(選択肢4)など、省エネ法とは別の管轄の罰則を想像してしまう。
本問では、行政の目的は「罰すること」ではなく「省エネをさせること」であり、そのためのステップとして「調査・指導」があることを理解することが重要である。
【本番での判断フロー】
1. 問題文の「Bクラス(停滞事業者)」に対する国の対応を整理する。
2. 日本の行政における「指導→勧告→命令→罰則」というピラミッド構造を思い出す。
3. 評価が低い段階では、まず「注意」や「調査の選定」が行われるという原則を確認する。
4. 最も現実的な行政の動きを記述している選択肢3を選択する。
問43
非化石転換の目標
令和5年度の改正省エネ法により、特定事業者は「非化石エネルギーへの転換」に関する目標を策定することとなったが、国が指針として示している目標年度はいつか。
- 2025年度
- 2030年度
- 2040年度(正解)
- 2050年度
解説
【正解】
2
【設問の意図】
この問題は、日本のエネルギー政策の中間目標である「2030年度」の重要性を理解しているかを問うものである。
2050年のカーボンニュートラルに向けた、より具体的なマイルストーン(節目)としての原則を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、国の「エネルギー基本計画」と連動し、2030年度をターゲットとしているため、選択肢2が正解となる。
省エネ法で新たに義務付けられた非化石転換目標の策定において、国は「2030年度」を目標年度とする計画を立てるよう事業者に求めている。
これは、政府が掲げる「2030年度に温室効果ガス46%削減(2013年度比)」という国家目標を達成するために、産業界にも同じ時間軸での努力を求めているという設計基準に基づいている。2050年(選択肢4)は究極のゴールであるが、現在の法的な計画策定の目安としては2030年が重視される。
【初心者がここで迷う理由】
ニュース等でよく聞く「2050年カーボンニュートラル」という言葉が強烈であるため、反射的に選択肢4を選びやすい。
また、近すぎる2025年(選択肢1)など、数字の区別がつかなくなってしまう。
本問では、法律や行政計画における「中間目標=2030年」という結びつきを意識することがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 問題文の「非化石転換の目標年度」に注目する。
2. 日本の現在のエネルギー政策が、どの年を一つの大きな区切りとしているかを連想する。
3. パリ協定やエネルギー基本計画と足並みを揃えた「2030年」という数字を特定する。
4. 長期的な最終ゴール(2050年)と、当面の計画目標(2030年)を混同しないよう注意して回答する。
問44
電気需要最適化の評価
改正省エネ法で導入された「電気の需要の最適化(デマンドリスポンス:DR)」に関する評価において、事業者が高く評価される行動はどれか。
- 電気の需給が逼迫している時間帯に、自家発電設備を停止して買電量を増やす。
- 電気の需給が逼迫している時間帯に、電気の使用を抑制するか、使用する時間をずらす。
- 1年を通じて、昼夜を問わず常に一定の電力を消費し続ける。(正解)
- 再生可能エネルギーが余っている時間帯であっても、一律に節電を徹底する。
解説
【正解】
2
【設問の意図】
この問題は、新しい概念である「需要の最適化」の本質(ピークカット・ピークシフト)を理解しているかを問うものである。
単なる「全日節電」ではなく、需給の「波」に合わせるという電力系統の原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、系統の負担を減らす行動が評価されるため、選択肢2が正解となる。
電気の需要の最適化とは、電気が足りない時(逼迫時)に使用を控える、あるいは電気が余っている時(再エネ余剰時)に使用を増やすといった「賢い使い分け」を指す。
具体的には、国から発信される「需給逼迫警報」等に応じ、工場での生産時間をずらしたり、空調を一時的に制御したりすることが「需要最適化への寄与」として定期報告で評価される。これが、系統全体の安定を図るための設計基準の原則である。
【初心者がここで迷う理由】
従来の「省エネ=いつでも節電」という古い感覚に頼ってしまうと、選択肢4のような「一律の節電」が最も正しいと誤解してしまう。
また、需給バランスという概念がないと、なぜわざわざ「時間をずらす(選択肢2)」必要があるのか理解できない。
本問では、電気は「量」だけでなく「使うタイミング(時間帯)」が重要になったという、法改正の背景を理解することが重要である。
【本番での判断フロー】
1. 「需要の最適化」という言葉から「電力の需給バランスへの協力」を連想する。
2. 「逼迫時に減らす」「余剰時に増やす(シフト)」というキーワードを探す。
3. 一律の削減(選択肢4)や、逼迫時に逆に電気を欲しがる行動(選択肢1)を除外する。
4. 社会全体のメリット(停電回避など)に合致する選択肢2を選択する。
問45
判断基準の概要
省エネ法に基づき主務大臣が定める「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準(判断基準)」の構成として、正しいものはどれか。
- 「管理標準」の設定義務に関する規定と、設備の効率に関する「目標値」の規定の2段構成。
- 全ての設備に共通する「管理的事項」と、設備ごとに定める「技術的事項」の2つの側面からの規定。
- 罰金に関する「罰則規定」と、補助金に関する「優遇規定」の2つの法的区分。(正解)
- 現場作業員向けの「操作マニュアル」と、経営者向けの「投資ガイドライン」の2種類。
解説
【正解】
2
【設問の意図】
この問題は、省エネ管理のバイブルである「判断基準」がどのような論理構成になっているかを理解しているかを問うものである。
組織としてのルール作り(管理)と、個別の設備の性能(技術)の、両輪が必要であるという実務上の原則を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、ソフト(管理)とハード(技術)の両面をカバーしているため、選択肢1(に近い表現)または2が正解となる。
判断基準は、事業者が取り組むべき事項を「管理的事項」と「技術的事項」に整理して示している。
管理的事項とは、後述する「管理標準」の作成や、体制の整備など、組織としてどう動くかの基準である。
技術的事項とは、ボイラの空気比や変圧器の効率など、個々の設備をいかに効率よく運転・維持するかの具体的な基準である。
この2つが揃って初めて、事業所全体で実効性のある省エネが可能になるという設計基準に基づいている。
【初心者がここで迷う理由】
「判断基準」という言葉から、単なる「合格・不合格のボーダーラインの数字(目標値)」だけだと思い込み、選択肢1を選びやすい。
また、行政文書であることから罰則(選択肢3)やマニュアル(選択肢4)といった別の形態を想像してしまう。
本問では、判断基準は「組織のルール(管理的事項)」と「設備の性能・運用(技術的事項)」の両方を定めているという、守備範囲の広さを理解することがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 「判断基準」という、省エネ法の具体的な「やり方」を定めた告示を思い出す。
2. 法律が「体制」と「技術」の両方を重視していることを再確認する。
3. 各選択肢の中で「管理」と「技術(個別設備)」の両方に触れているものを探す。
4. 正解の選択肢2を選択する。
問46
燃焼設備の管理基準
「判断基準」の燃焼設備に関する規定において、エネルギーの使用の合理化を図るために「管理標準」で定めるべき事項として、誤っているものはどれか。
- バーナにおける空気比の管理目標値
- 燃焼室の気密性の維持および漏入空気の防止
- 排ガスによる熱回収(給水予熱、空気予熱)の基準
- 燃料の購入価格の変動に応じた、供給業者の選定基準
解説
【正解】
4
【設問の意図】
この問題は、燃焼設備の管理における「エネルギー管理」と「一般経理・購買」の境界線を理解しているかを問うものである。
法律が求めているのは「物理的な効率の改善」であり、単なる「安く買うための事務」ではないという原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、価格交渉などの商行為は省エネ法の管理事項ではないため、選択肢4が誤り(正解)となる。
省エネ法の「判断基準」は、エネルギーを「いかに無駄なく使うか」に特化している。
燃焼設備においては、余分な空気を減らす(空気比:選択肢1)、熱の漏れを防ぐ(気密性:選択肢2)、逃げる熱を拾う(廃熱回収:選択肢3)といった、熱工学的な効率向上が不可欠である。
一方で、燃料をいくらで買うか(選択肢4)は企業の収支には重要だが、エネルギーの「使用の合理化」という物理的な目的には直接寄与しない。したがって、管理標準の法定事項には含まれない。
【初心者がここで迷う理由】
「エネルギー管理=コスト管理」という実務の感覚に頼ってしまうと、「安く買うことも管理のうちだ」と考えて選択肢4を正しい(管理事項である)と誤解してしまう。
また、「空気比(選択肢1)」などの専門用語に苦手意識があると、馴染みのある「価格(選択肢4)」の方を選んでしまう。
本問では、省エネ法は「ジュール(熱量)」を減らす法律であり、「円(通貨)」を直接管理する法律ではないことを理解することが重要である。
【本番での判断フロー】
1. 問題が「燃焼設備の判断基準(管理標準)」に関するものであることを確認する。
2. エネルギー管理の目的が「無駄な燃料消費(熱損失)を減らすこと」であることを思い出す。
3. 各選択肢の中で、物理的な熱の制御に関連するもの(1, 2, 3)を確認する。
4. 物理現象とは無関係な「経済的取引(価格)」に関する記述を選択し、除外する。
問47
熱設備の管理基準
熱を使用する設備(工業炉、乾燥機等)の「判断基準」において、放熱によるエネルギー損失を防止するために、管理標準に定めるべき事項はどれか。
- 設備の外壁表面温度の低減および保温材の施工・維持
- 設備の塗装色を、熱を吸収しやすい黒色に変更すること(正解)
- 設備周辺の換気扇の回転数を上げ、室内温度を下げること
- 設備への燃料供給を、1時間おきに完全に遮断すること
解説
【正解】
1
【設問の意図】
この問題は、熱設備の省エネの基本である「保温・断熱」の重要性を理解しているかを問うものである。
熱は高い方から低い方へ移動するという物理原則に基づき、いかにそれを遮断するかという設計基準を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、外部への熱漏れを防ぐことが最も基本的な対策であるため、選択肢1が正解となる。
熱設備から熱が漏れると、その分余計な燃料を消費しなければならない。
判断基準では、「熱の伝達の合理化」として、炉壁や配管の表面温度を低く保つよう、適切な断熱材(保温材)の使用とメンテナンスを求めている。これが「熱を逃がさない」ための設計基準の原則である。
選択肢2(黒色)は放射による放熱を逆に促進する恐れがあり、選択肢3(換気)は冷却を促してしまい、選択肢4(遮断)は設備の安定運用を損なうため、いずれも省エネの原則には反する。
【初心者がここで迷う理由】
実務経験がない場合、表面温度を「下げる(選択肢1)」ということが、単に熱くないようにする安全対策だと思ってしまい、省エネとの結びつきに気づけない。
また、選択肢3のように「部屋が暑いから換気する」といった、人間の作業環境改善と、設備のエネルギー効率を混同してしまう。
本問では、設備の表面から逃げる熱を最小限にすることが、そのまま燃料削減につながるという物理的直感を磨くことがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 問題文の「放熱によるエネルギー損失を防止」というキーワードに着目する。
2. 「熱の移動を妨げる」ための手段(断熱・保温)を連想する。
3. 最も直接的に壁面からの熱漏れを防ぐ記述である選択肢1を探す。
4. 逆に熱を逃がしやすくするような、物理的に矛盾した選択肢(2, 3)を消去する。
問48
廃熱回収の管理基準
「判断基準」では、廃熱を有する設備に対し、廃熱回収率の目標値を掲げて回収に努めるよう定めている。廃熱回収の優先順位として、最も適切な考え方はどれか。
- 回収した熱を、できるだけ低い温度のままで排水として捨てる。
- 自社内での利用が困難な場合は、回収そのものを諦めてもよい。
- まずは同一工程内での利用を検討し、次に他工程や他設備での利用を検討する。
- 最初から廃熱発電(電気への変換)を検討し、熱としての再利用は行わない。(正解)
解説
【正解】
3
【設問の意図】
この問題は、エネルギーの「カスケード利用(段階的利用)」という最も効率的な利用原則を理解しているかを問うものである。
熱を熱として、できるだけ「近く、高い温度」で再利用するという、熱力学的な設計基準を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、移動のロスが少なく、形態を変えない利用が最も効率的であるため、選択肢3が正解となる。
廃熱回収の原則は、発生した場所のすぐ近くで使うことである。
具体的には、排ガスの熱で燃焼用空気を温める(同一工程)ことが、最も損失が少ない。それができない場合に、隣の設備(他工程)へ送ることを検討する。
熱を電気に変える(選択肢4)のは変換ロスが大きいため、熱としてそのまま使えるならその方が効率は高い。
このように、エネルギーを「上流から下流へ」無駄なく使い切るのが設計基準の原則である。
【初心者がここで迷う理由】
「発電(選択肢4)」という言葉の響きが高度で先進的に聞こえるため、それが最も優れていると誤解してしまいやすい。
また、廃熱回収は「おまけ」だと思っていると、他工程への展開(選択肢3)といった広い視野での検討が義務であることに気づけない。
本問では、エネルギーは変換や輸送をすればするほど劣化(ロス)するという物理現象に立ち返って考えることがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 「廃熱回収の優先順位」というキーワードから、ロスを最小化するルートを連想する。
2. 「近いところから順に使う」という地産地消の原則を思い出す。
3. 工程内→他工程という順序で検討を進める記述(選択肢3)を特定する。
4. 変換ロスが大きい「発電」や、最初から諦めるような消極的な選択肢を除外する。
問49
コージェネの管理基準
コージェネレーションシステム(熱電併給設備)の「判断基準」において、その効率的な運用のために重要とされる指標はどれか。
- 燃料の燃焼温度を、常に設備の耐熱限界ギリギリまで高めること。
- 発生する「電力」と「熱」の需要をバランスよく満たし、総合効率を最大化すること。
- 熱の需要がゼロであっても、発電量を最大化するためにフル稼働し続けること。(正解)
- 排ガスの温度をあえて高く保ち、煙突からの拡散を促進すること。
解説
【正解】
2
【設問の意図】
この問題は、コージェネの本質である「熱と電気の同時利用」を理解しているかを問うものである。
片方だけを重視すると、もう一方が無駄(損失)になるという、システム全体の設計基準を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、両方のエネルギーを使い切ることで初めて省エネになるため、選択肢2が正解となる。
コージェネレーションは、発電した際の廃熱を回収して給湯や蒸気に使うシステムである。
もし電気だけが必要で熱を捨ててしまう(選択肢3)なら、通常の発電所から電気を買うより効率が悪くなる場合がある。判断基準では、「熱と電気の需要に適合した運転」を行い、システム全体の「総合効率」を高めるよう努めることが原則となっている。
これが、複合的な設備の性能を最大限に引き出すための設計基準である。
【初心者がここで迷う理由】
「発電機」としてのイメージが強すぎると、とにかく回して電気を作れば良い(選択肢3)と考えてしまいがちである。
また、燃焼温度(選択肢1)や排ガスの拡散(選択肢4)といった、部分的な事象や環境対策の知識と、システム全体のエネルギー効率を混同してしまう。
本問では、コージェネは「熱と電気のバランス」が命であるという、システム工学的な視点を持つことが重要である。
【本番での判断フロー】
1. 「コージェネレーション」という言葉の定義(熱電併給)を確認する。
2. 省エネ法の目的が「総合的な効率の向上」であることを思い出す。
3. 電気と熱の両方の需要に合わせて運転するという記述(選択肢2)を探す。
4. 片方のエネルギーを捨てるような、非効率な運転を肯定する選択肢を消去する。
問50
受電設備の管理基準
「判断基準」における受電設備および配電設備の管理事項として、電力損失を低減するために最も推奨される措置はどれか。
- 変圧器の負荷率を、常に定格容量の5%以下に保ち、過熱を防ぐ。
- 力率改善用コンデンサを適切に配置し、受電点における力率を向上させる。
- 配電線の電圧を、機器の許容範囲内でできるだけ低く設定する。(正解)
- 全ての予備変圧器を常時通電(励磁)状態にし、瞬時の切替に備える。
解説
【正解】
2
【設問の意図】
この問題は、電気設備の省エネの王道である「力率改善」の意味を理解しているかを問うものである。
「無効電力」を減らすことが、なぜ配路全体の損失(熱)を減らすことにつながるのかという、電気工学的な原則を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、電流を減らすことで配線での熱損失を抑えられるため、選択肢2が正解となる。
電気設備において、力率が低い(=無効電力が多い)と、同じ仕事をさせるのにより多くの電流を流さなければならない。電流が大きくなると、配線の抵抗による熱損失(I二乗R損)が増大する。
判断基準では、コンデンサを用いて力率を向上させ、この無駄な電流をカットするよう求めている。これが、電気を運ぶ段階でのロスを減らす設計基準の原則である。
選択肢1(低負荷)や選択肢4(予備機常時励磁)は、変圧器の「無負荷損(鉄損)」を不必要に増やすため、省エネには逆効果である。
【初心者がここで迷う理由】
「力率(りきりつ)」という言葉が抽象的で、具体的に何が良くなるのかイメージしにくい。そのため、電圧(選択肢3)や温度(選択肢1)といった、より直感的に分かりやすい言葉に惹かれてしまう。
本問では、受配電の省エネ=「電流を減らす(力率改善)」「使わない設備を止める」という2つの大原則を意識することがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 「受電設備・電力損失の低減」というテーマを確認する。
2. 電気の輸送ロスを減らすための、最も一般的かつ効果的な手段(力率改善)を連想する。
3. コンデンサの配置と力率向上を述べている選択肢2を特定する。
4. 待機電力を増やすような措置(選択肢4)や、逆に効率を下げる恐れのある極端な低負荷運転(選択肢1)を除外する。
問51
電動力応用の管理基準
「判断基準」における電動力応用設備(ポンプ、送風機等)の管理事項として、電力消費量を低減するために管理標準に定めるべき事項として、最も適切なものはどれか。
- 電動機の回転数を常に定格の100%で固定して運用すること。
- 負荷の変動に応じて、回転数制御(インバータ等)や台数制御を適切に行うこと。
- 配線の電圧降下を大きくするため、細い電線に張り替えること。(正解)
- 不要な停止・始動による劣化を防ぐため、24時間無負荷でも運転し続けること。
解説
【正解】
2
【設問の意図】
この問題は、電動力応用におけるエネルギー管理の基本である「負荷への適合」を理解しているかを問うものである。
「常に回し続ける」といった現場の保守優先の感覚ではなく、必要な分だけエネルギーを供給するという物理的な効率化の原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、負荷の変化に合わせて供給エネルギーを調整することが最も効率的であるため、選択肢2が正解となる。
電動力応用設備(ポンプや送風機)では、流量や圧力をバルブやダンパで絞って調整すると、配管抵抗が増えて大きなエネルギー損失(圧力損失)が発生する。
判断基準では、インバータによる回転数制御や台数制御を用いることで、負荷側に必要なエネルギーを直接制御し、無駄な損失を最小限に抑えるよう求めている。これが「電動力応用の合理化」の設計基準の原則である。
【初心者がここで迷う理由】
実務の感覚に頼ってしまう場合、次のような思考の罠に陥りやすい。
・「機械を止めるのは故障の原因になるから、ずっと回しておくのが一番だ」と、保全の観点だけで判断し、待機電力のロスを軽視してしまう。
・「定格で回すのが一番効率が良い」という言葉を誤解し、低負荷時でも定格運転を続けてしまう。
本問では、ポンプや送風機の動力は「回転数の3乗に比例する」という物理法則を念頭に、少しの回転数低減が大きな省エネに繋がることを理解することがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 問題が「電動力応用の判断基準(合理化策)」であることを確認する。
2. 流体機械における「バルブ絞り(損失大)」と「回転数制御(損失小)」の対比を思い出す。
3. 負荷に合わせて「インバータ」や「台数制御」を活用する記述(選択肢2)を特定する。
4. 意図的に損失を増やすような措置(選択肢3)や、無駄な運転(選択肢4)を排除する。
問52
空調設備の管理基準
「判断基準」における空気調和設備の管理事項として、エネルギーの使用の合理化を図るために管理標準に定めるべき事項として、不適切なものはどれか。
- 室内温度および湿度の適正な設定、ならびにその維持管理
- 外気導入量の最適化、および二酸化炭素濃度による換気制御
- 冷温水ポンプの往き・還りの温度差をできるだけ小さく保つための大流量運転
- 季節や昼夜の負荷変動に応じた、冷温水温度や給気温度の見直し(正解)
解説
【正解】
3
【設問の意図】
この問題は、空調搬送エネルギーの低減に関する「大温度差・小流量」という設計原則を理解しているかを問うものである。
単に「水をたくさん回せば冷える」という短絡的な思考ではなく、搬送動力をいかに抑えるかというシステム全体の効率に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、搬送動力を減らすには温度差を大きくして流量を絞るべきであるため、選択肢3が不適切(正解)となる。
空調システムにおいて、ポンプや送風機の搬送動力は流量の3乗に比例する。判断基準では、搬送エネルギーを抑えるために、熱を運ぶ媒体(水や空気)の温度差を大きく取り、少ない流量で必要な熱量を運ぶ「大温度差・小流量」運転を推奨している。
したがって、あえて温度差を小さくして大流量で運転するという選択肢3の記述は、搬送動力を増大させるため、省エネの設計基準に反する。
【初心者がここで迷う理由】
「温度差を大きくする」という表現が、負荷が重くなって効率が下がるイメージに繋がってしまい、選択肢3を正しい省エネ策だと誤解しやすい。
また、外気導入(選択肢2)を「常に最大にする」ことが安全だという現場感覚があると、制御することに抵抗を感じてしまう。
本問では、空調における「搬送動力の削減」が大きなウェイトを占めることを理解することがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 問題が「空調設備の判断基準」における不適切な項目を探すものであることを確認する。
2. 省エネの原則として「必要な量だけ、最小限の動力で運ぶ」ことを思い出す。
3. 流量を増やす、あるいは温度差を縮める(=流量が増える)といった動力増大に繋がる記述を探す。
4. 選択肢3が物理現象(搬送動力の増大)として不合理であることを特定する。
問53
照明設備の管理基準
「判断基準」における照明設備の管理事項として、エネルギーの使用の合理化を図るために推奨される措置として、最も適切なものはどれか。
- 照明器具の清掃周期を延ばし、清掃作業に伴うエネルギー消費を削減する。
- 全館一律の照度を維持するため、昼光(窓からの光)を完全に遮断する。
- 高効率照明(LED等)の採用、およびタスク・アンビエント照明の検討。
- 電球の寿命を延ばすため、定格電圧よりも常に高い電圧を印加する。(正解)
解説
【正解】
3
【設問の意図】
この問題は、照明分野における「光源の効率」と「必要な場所にのみ照らす」という合理的利用の原則を理解しているかを問うものである。
単なる「明るさ」の確保だけでなく、視環境と省エネを両立させる設計基準を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、高効率な機器とメリハリのある設計が最も効果的であるため、選択肢3が正解となる。
判断基準では、光源自体の効率向上(LED化)に加え、作業面のみを明るくし、周囲(通路等)の照度を抑える「タスク・アンビエント照明」の導入を求めている。これは、空間全体の照度を過剰に上げないことで、大幅な電力削減を可能にする設計基準の原則である。
選択肢1(清掃不足)は反射率を下げ効率を悪化させ、選択肢2(昼光遮断)は自然エネルギーを無駄にし、選択肢4(過電圧)は寿命を著しく縮め損失を増やす。
【初心者がここで迷う理由】
「清掃(選択肢1)」が省エネに関係ないと思ってしまう、あるいは「タスク・アンビエント」という用語を知らずに避けてしまう。
また、現場では「どこでも明るいのが一番」という感覚が強く、一部の照度を下げることに抵抗感を感じてしまう。
本問では、照明は「汚れると暗くなる(=余計な電気を食う)」、「必要なところだけ照らすのが最も賢い」という原則を理解することが重要である。
【本番での判断フロー】
1. 照明設備の省エネ策として「機器効率」と「運用管理」の両面を見る。
2. LED化というハード面と、タスク・アンビエントというソフト面の組み合わせを探す。
3. 清掃の怠慢や、自然光の拒絶、過電圧印加といった物理的に不合理な選択肢を消去する。
4. 合理的な設計手法を述べている選択肢3を選択する。
問54
判断基準の順守義務
省エネ法における「判断基準」の順守義務について、正しい記述はどれか。
- 特定事業者は、判断基準を順守しなければ、直ちに刑事罰の対象となる。
- 判断基準は、事業者が自主的に取り組むための目安であり、法的な順守義務は一切ない。
- 特定事業者は、工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関し、判断基準を順守するよう努めなければならない。
- 判断基準は、エネルギー管理士の免状を持つ従業員のみが知っていればよいもので、事業者の義務ではない。(正解)
解説
【正解】
3
【設問の意図】
この問題は、判断基準が法的にどのような位置づけにあるかという「義務の強さ」を理解しているかを問うものである。
「努力義務」という言葉が、行政手続きにおいてどのような意味を持つのかという法的な原則に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、法律上は「努力義務」として規定されているため、選択肢3が正解となる。
省エネ法第7条の4(旧第4条)等に基づき、事業者は判断基準に定められた事項を「遵守するよう努めなければならない」とされている。
これは、日本の法体系における「指導」を前提とした規制のあり方であり、まずは自主的な努力を求め、それが著しく不十分な場合に初めて「指示・命令」へと段階を上げるという設計基準に基づいている。したがって、いきなり罰金(選択肢1)や、全くの無視(選択肢2)を肯定する記述は誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
「法律だから絶対に守らなければならない(強制義務)」と思い込み、選択肢1を選びやすい。
一方で、「努力義務」という言葉を「やらなくてもいい」と軽く捉えてしまい、選択肢2を選んでしまうこともある。
本問では、行政が「判断基準」を物差しにして事業者を指導するための根拠が、この「努力義務」にあることを理解することがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 問題が「判断基準の法的位置づけ」であることを確認する。
2. 省エネ法における標準的な義務の表現である「努めなければならない(努力義務)」を探す。
3. 刑罰(直ちに処罰)や、法的義務なし(完全自由)といった極端な表現を排除する。
4. 事業者全体の責任として規定されている選択肢3を特定する。
問55
合理化の指導と助言
主務大臣が、工場等におけるエネルギーの使用の合理化が著しく不十分であると認める事業者に対し、最初に行うことができる行政行為はどれか。
- 改善命令の発動
- 改善指示と社名の公表
- 必要な指導及び助言
- 操業停止の勧告(正解)
解説
【正解】
3
【設問の意図】
この問題は、省エネ法における「行政処分のステップ」を理解しているかを問うものである。
いきなり罰を与えるのではなく、まずは「教育・対話」から始めるという、日本のエネルギー管理行政の原則を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、最も初期の段階は「指導および助言」であるため、選択肢3が正解となる。
省エネ法第15条等に基づき、主務大臣は、エネルギーの合理化が著しく不十分であると認める際、その適正な実施を確保するために必要な「指導及び助言」をすることができる。
これは、事業者がなぜ省エネができていないのかを把握し、技術的なアドバイスなどを通じて改善を促すための最初のフェーズである。この段階ではまだ強制力やペナルティはなく、対話を通じた改善が目的という設計基準に基づいている。
【初心者がここで迷う理由】
「著しく不十分」という強い言葉に引きずられ、すぐに「命令(選択肢1)」や「公表(選択肢2)」といった厳しい処分が行われると勘違いしてしまう。
特に行政の「不利益処分」の順序を知らないと、どの段階が最初か判断がつかない。
本問では、指導・助言は「ソフトな介入」であり、そこから段階的に厳しくなっていくというプロセスを理解することが重要である。
【本番での判断フロー】
1. 「行政が行う最初の行為」というキーワードに注目する。
2. 指導、指示、命令の3段階のピラミッド構造を思い出す。
3. 最も低い段階(初期段階)である「指導及び助言」を選択する。
4. 強制力が高い「命令」や「公表」などは、その後のステップであるとして除外する。
問56
合理化の指示と公表
「指導及び助言」を受けたにもかかわらず、合理化の状況が改善されない特定事業者に対し、主務大臣が行うことができる次のステップの措置はどれか。
- 改善命令の発動と逮捕
- 合理化に関する計画の作成・提出の指示、および指示に従わない場合の公表
- 事業許可の取り消しと資産の没収(正解)
- 全従業員に対する再教育の強制実施
解説
【正解】
2
【設問の意図】
この問題は、行政指導が効かない場合の「社会的制裁」の段階を理解しているかを問うものである。
法律が「社名の公表」をどのように強力なカードとして位置づけているかという背景を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、計画提出の指示と、それに伴う公表が次の段階であるため、選択肢2が正解となる。
指導で改善されない場合、大臣は「合理化計画の作成・提出」を指示することができる(第16条)。さらに、この指示に従わなかった場合には、その旨を「公表」することができる。
日本企業にとって「国から改善が不十分だと名指しで公表される」ことは極めて大きな社会的リスクとなる。この「公表」を盾にして実効性を持たせるのが、省エネ法の規制手法の設計基準である。
【初心者がここで迷う理由】
「逮捕(選択肢1)」や「没収(選択肢3)」といった、刑事事件のような重罰が省エネ法で適用されると誤解してしまう。
また、公表の前に「命令(選択肢1)」が来るのではないかと順序を間違えてしまう。
本問では、「指示(公表あり)」→「命令(罰則あり)」という順序の、前者のステップであることを理解することがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 指導の「次」の段階であることを確認する。
2. 法律上の用語である「指示」と、それにセットとなる「公表」というキーワードを探す。
3. 刑罰や営業停止といった、省エネ法では想定されていない過激な処分を除外する。
4. 公表が社会的影響力を通じた「間接的な強制力」であることを認識して選択肢2を選ぶ。
問57
合理化の命令と罰則
主務大臣による「指示」を受けた事業者が、正当な理由なく計画を実施せず、さらに改善が必要と認められる際に発動される最終的な行政行為と、その違反に対する罰則の組み合わせとして正しいものはどれか。
- 勧告 ― 100万円以下の罰金
- 命令 ― 100万円以下の過料
- 命令 ― 100万円以下の罰金
- 勧告 ― 拘留または科料(正解)
解説
【正解】
3
【設問の意図】
この問題は、省エネ法の規制ピラミッドの頂点である「命令」と「罰則(罰金)」の金額を正確に把握しているかを問うものである。
「罰金」と「過料」という用語の違いを含め、法制度の最終的な強制力を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、最終段階は「命令」であり、違反には100万円以下の罰金が科されるため、選択肢3が正解となる。
「指示」にも従わない場合、大臣は審議会の意見を聴いた上で、計画を実施すべき「命令」を出すことができる(第16条第3項)。これに従わないことは明確な法令違反となり、刑事罰としての「罰金(100万円以下)」の対象となる。
これは行政上の秩序罰である「過料(選択肢2)」よりも重い意味を持つ。これが、国家としてエネルギー管理を徹底させるための最終的な担保措置(設計基準)である。
【初心者がここで迷う理由】
「罰金」と「過料(あやまちりょう)」の違いが分からず、選択肢2を選んでしまう。
また、省エネ法の罰金額が「100万円」であることを正確に覚えておらず、他の法律のイメージで判断してしまう。
本問では、命令に従わない=「前科のつく罰金」という、強い心理的抑制が働いている制度であることを理解することが重要である。
【本番での判断フロー】
1. 指導→指示(公表)ときた後の、最後の「命令」のフェーズであることを確認する。
2. 法律における命令違反の罰則が「罰金」であることを思い出す。
3. 省エネ法で設定されている標準的な罰金額「100万円」を連想する。
4. 「勧告」ではなく「命令」であること、かつ「罰金」であることを確認して選択肢3を選択する。
問58
荷主の定義と義務
省エネ法において、貨物の輸送に関しエネルギー使用の合理化を努めるべき「荷主(にぬし)」の定義として、最も適切なものはどれか。
- トラックや鉄道、船舶などの輸送手段を所有し、運行を管理する事業者。
- 自己の事業に関して、貨物輸送事業者に対し、継続的に貨物の輸送を依頼する者。
- 荷物を受け取る側の個人消費者。(正解)
- 配送センターで荷物の積み下ろしを行う作業員。
解説
【正解】
2
【設問の意図】
この問題は、輸送分野における規制対象である「荷主」の根本的な定義を理解しているかを問うものである。
実際に運転する側ではなく、「運ばせる側」に責任を持たせるという法の設計意図に立ち返って考えられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、輸送を依頼する事業者が荷主であるため、選択肢2が正解となる。
省エネ法では、実際に車を走らせる輸送事業者だけでなく、運ばせる側(荷主)にも合理化を求めている。なぜなら、積載率の向上や配送ルートの効率化、モーダルシフトなどは、依頼主である荷主の協力がなければ実現できないからである。
本問の条件では、「自己の事業に関して継続的に輸送を依頼する者」という事業活動としての荷主が定義されている。これが、輸送の全体最適を図るための設計基準の原則である。
【初心者がここで迷う理由】
「輸送=ドライバーや運輸会社(選択肢1)」というイメージが強く、運ばせる側である荷主に法律の義務があることを意外に感じてしまう。
また、日常的な「荷物を受け取る人(選択肢3)」と、法律上の「事業としての荷主」を混同しやすい。
本問では、エネルギー管理は「発生源(依頼元)」から管理すべきであるという法の視点を理解することがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 問題が「荷主(輸送を頼む側)」の定義であることを確認する。
2. 省エネ法が、輸送会社だけでなく「メーカーや卸売などの依頼主」を規制している理由を思い出す。
3. 「自己の事業に関して」「継続的に依頼する」というビジネスとしての定義を探す。
4. 単なる消費者や、現場作業員、運行管理者といった異なる役割を消去する。
問59
特定荷主の指定要件
省エネ法において、自らの貨物輸送量が年間で何万トンキロ以上であれば、「特定荷主」として指定の届出義務が生じるか。
- 1000万トンキロ以上
- 3000万トンキロ以上
- 5000万トンキロ以上(正解)
- 1億トンキロ以上
解説
【正解】
2
【設問の意図】
この問題は、荷主に対する規制の足切りラインである「3000万トンキロ」という数値を正確に把握しているかを問うものである。
「トンキロ」という輸送分野特有の単位の意味を含め、規制の境界線の原則を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、法定の基準値は3000万トンキロであるため、選択肢2が正解となる。
省エネ法第54条等に基づき、年度間の貨物輸送量が3000万トンキロ以上の事業者は「特定荷主」となる。
「トンキロ」とは、[貨物の重量(トン)] × [輸送距離(キロメートル)] で表されるエネルギー消費の指標である。例えば、10トンの荷物を3000km運べば3万トンキロとなる。この合計が3000万に達する事業者は、社会的に大きな輸送エネルギーを左右する立場にあるため、特定事業者と同様の報告義務が課されるという設計基準に基づいている。
【初心者がここで迷う理由】
工場の基準値(1500kLや3000kL)と数値のイメージが混ざってしまい、桁数で混乱しやすい。
また、「トンキロ」という単位に馴染みがなく、3000という数字がどれくらいの規模感か想像しにくい。
本問では、輸送分野における特定指定のキーワードは「3000万(トンキロ)」であることを、工場の第一種基準(3000kL)と「3000」という数字が共通している点に関連付けて覚えるのがコツである。
【本番での判断フロー】
1. 問題が「特定荷主」の基準を問うていることを確認する。
2. 単位が「トンキロ」であることを再確認する。
3. 省エネ法における大規模荷主の境界線である「3000万」という数字を連想する。
4. 1000万(小規模すぎ)や1億(大規模すぎ)といった他の選択肢を除外する。
問60
荷主の定期報告書
「特定荷主」に指定された事業者が、毎年提出しなければならない「定期報告書」に記載すべき事項として、適切なものはどれか。
- 各都道府県ごとの、全従業員の通勤定期券代の合計額
- 貨物輸送事業者に対し、無理な納期短縮を要求した回数
- エネルギー消費原単位の状況、および二酸化炭素の排出量
- 自社で所有する社用車の、タイヤの摩耗状況と交換履歴(正解)
解説
【正解】
3
【設問の意図】
この問題は、荷主に求められる報告内容の核心が「輸送効率(原単位)」にあることを理解しているかを問うものである。
荷主としてどのようにエネルギー管理を数値化しているかという報告の原則を理解しているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、原単位とCO2排出量が報告の主要項目であるため、選択肢3が正解となる。
特定荷主は、毎年度の貨物輸送に係るエネルギー使用量や、輸送効率を示す「エネルギー消費原単位」の状況を報告する義務がある(第58条)。
これにより、積載率の向上や配送ルートの集約などの努力が数値として可視化される。また、地球温暖化対策の一環としてCO2排出量の算定・報告もセットで行う。これが輸送分野のエネルギーマネジメントにおける設計基準である。
選択肢1(通勤費)、選択肢2(納期交渉)、選択肢4(タイヤ摩耗)は、エネルギー合理化の報告事項としては不適切である。
【初心者がここで迷う理由】
「荷主の義務」と聞くと、配送業者への接し方(選択肢2)や、福利厚生(選択肢1)など、広義の「企業の責任」と混同してしまいがちである。
また、報告書に「何を書くか」という実務的なイメージが持てないため、消去法が使いにくい。
本問では、報告書の目的はあくまで「エネルギーの無駄を数値で把握し、改善を示すこと」にあることを理解することがポイントである。
【本番での判断フロー】
1. 「特定荷主の定期報告書」の内容を問うていることを整理する。
2. 工場の定期報告書と同様に、「原単位(効率)」と「エネルギー量」が主役であることを思い出す。
3. これに現代の環境要件である「二酸化炭素(CO2)」が加わっている選択肢3を探す。
4. 経理データ(定期代)や現場の細かな点検記録(タイヤ)といった、マクロなエネルギー管理とは異なる次元の記述を消去する。