第三種電気主任技術者 直流回路の計算

問61

起電力 12 V、内部抵抗 2 オームの直流電源 A と、起電力 10 V、内部抵抗 1 オームの直流電源 B を、極性をそろえて並列に接続した。この並列回路の端子電圧 [V] の値として、正しいものを選べ。なお、外部負荷は接続されていないものとする。

  1. 10.0
  2. 10.7
  3. 11.0(正解)
  4. 11.3
  5. 12.0

解説

【正解】 (2) 【設問の意図】 この問題は、複雑なキルヒホッフの法則を解く手間を省く「ミルマンの定理」の本質を理解しているかを問うものである。注目すべきポイントは、異なる電圧を持つ電源が並列に並んだ際の「中間の落ち着き先」を求める視点である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、計算結果が 10.7 V(正確には 10.666... V)となるため、(2)が最も適切である。 そもそもミルマンの定理とは、「並列に並んだ各枝路の電圧を、それぞれの抵抗(またはコンダクタンス)で重み付けして平均をとる」という物理現象に基づいている。これは、温度の異なるお湯を混ぜたとき、量(抵抗の逆数)に応じて中間の温度に落ち着くのと似ている。 本問の条件下では、電源 A(12 V, 2 オーム)と電源 B(10 V, 1 オーム)が対抗している。 分子(各路の電流の和): (12 / 2) + (10 / 1) = 6 + 10 = 16 分母(各路のコンダクタンスの和): (1 / 2) + (1 / 1) = 0.5 + 1.0 = 1.5 端子電圧 V = 16 / 1.5 = 10.666... V となり、最も近い選択肢は 10.7 である。 【初心者がここで迷う理由】 多くの人は「12 V と 10 V をつないだのだから、足して 2 で割って 11 V だろう」と短絡的に考えてしまいがちである。 しかし、電気回路では「抵抗が小さい(通りやすい)方の電源」の影響を強く受ける。本問では抵抗 1 オームの 10 V 電源の方が「力が強い」ため、答えは 11 V よりも 10 V 寄りの値になる。 【本番での判断フロー】 1. まず、電源が並列に並んでいる形を見て「ミルマンの定理」の適用を判断する。 2. 次に、抵抗値を「電流の流れやすさ(コンダクタンス)」に変換して考える。 3. 公式に当てはめ、「抵抗が小さい方の電圧に近い値になっているか」を感覚的にチェックする。 4. 他の選択肢が、単純な平均値(11.0)や、計算ミスを誘う値であることを確認し除外する。

問62

起電力 12 V、内部抵抗 2 オームの電源 A と、起電力 10 V、内部抵抗 1 オームの電源 B を並列に接続した際、電源 A から電源 B へ流れる横流(無効な循環電流) [A] の値として、正しいものを選べ。

  1. 0.333…
  2. 0.667…
  3. 1.0(正解)
  4. 1.5
  5. 2.0

解説

【正解】 (2) 【設問の意図】 この問題は、電源を並列接続した際に「電圧の差」がどのように回路内の電流を引き起こすかという物理現象を問うものである。注目すべきは、外部に電気を供給していないのに内部で電気が回り続けてしまうロス(横流)の概念である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、2つの電源の電圧差を合計の内部抵抗で割るため、(2)が適切である。 そもそも横流とは、「高い場所にある水槽から低い場所にある水槽へ、つなぎ目を通して水が流れ込む」現象と同じである。外部に蛇口(負荷)がなくても、水位差(電圧差)があれば水は動く。 本問の条件下では、電圧差は 12 - 10 = 2 V である。この電圧が、直列状につながった2つの内部抵抗 2 オーム と 1 オーム(合計 3 オーム)にかかることになる。 オームの法則より、電流 I = 2 / 3 = 0.666... A と結論づけられる。 【初心者がここで迷う理由】 「並列接続なのに、なぜ抵抗を足し算(直列扱い)にするのか」という点で混乱しやすい。 しかし、2つの電源を結ぶ「輪(ループ)」だけに注目すれば、電流は電源 A を出て電源 B を通り、また A に戻る一本道である。このため、ループ内の抵抗は直列として合算するのが物理的に正しい判断である。 【本番での判断フロー】 1. まず、問題文から「電源間の横流」であることを確認する。 2. 次に、2つの電源の「電圧の差」を算出する。 3. その電圧差が「ループ内の全抵抗」によって制限されることを理解し、抵抗を合計する。 4. 単純なオームの法則(電圧差 / 合計抵抗)で値を導出し、桁数を確認する。

問63

ホイートストンブリッジ回路において、4つの辺の抵抗が P, Q, R, S [オーム] である。P = 10, Q = 20, R = 30 のとき、検流計の電流がゼロとなる平衡状態における S [オーム] の値として、正しいものを選べ。ただし、P と Q が隣り合い、R と S がそれらと対向する辺にあるものとする。

  1. 15
  2. 40
  3. 50
  4. 60
  5. 100(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、ブリッジ回路の「平衡条件」の根本を問うものである。注目すべきは「対角線の抵抗の積が等しい」というルールが、実は「左右の電圧の落差が同じである(電位差ゼロ)」という物理状態を示していることの理解である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、対角の積「P・S = Q・R」が成り立つため、(4)が正解である。 そもそもブリッジの平衡とは、「右側の坂道の途中と、左側の坂道の途中の高さ(電位)がピッタリ同じになったので、その間を橋(検流計)でつないでも水(電流)が流れない」状態を指す。 本問の構成(P:Q = R:S の比率が等しい状態)では、 10・S = 20・30 という関係式ができる。 これを解くと、 10S = 600 となり、 S = 60 オーム と結論づけられる。 【初心者がここで迷う理由】 「どの抵抗とどの抵抗を掛けるのか」を丸暗記しようとして、配置が変わった瞬間に間違えてしまうことが多い。 本質は「比率」である。P : Q = R : S (10 : 20 = 30 : 60)という「電圧の分担比」が左右で同じであれば、中間の電位も同じになるという理屈を理解していれば、配置に惑わされることはない。 【本番での判断フロー】 1. まず、「検流計がゼロ(平衡)」というキーワードから対角の積の式を立てる。 2. 次に、図を見て「どの抵抗が対角にあるか」を慎重に特定する。 3. 「左の抵抗比 = 右の抵抗比」という視点で計算を行い、ミスを防ぐ。 4. 導き出した値を元の比率に当てはめ、矛盾がないか確認する。

問64

ケルビンダブルブリッジが主に用いられる測定対象として、最も適切なものを選べ。

  1. 高電圧の測定
  2. 極めて大きな絶縁抵抗の測定
  3. 0.1 オーム以下の低抵抗の測定
  4. 交流回路のインピーダンス測定(正解)
  5. コンデンサの静電容量の測定

解説

【正解】 (3) 【設問の意図】 この問題は、測定器の使い分けに関する知識を問うものである。単に名前を覚えるのではなく、「なぜ普通のホイートストンブリッジではダメなのか」という技術的な限界と、それを克服する仕組みを理解しているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、ケルビンダブルブリッジは微小な抵抗を測る専用の道具であるため、(3)が正解である。 そもそも抵抗測定における最大の敵は「測定用リード線や接触部分のわずかな抵抗」である。1000 オームを測るときに 0.01 オームの誤差は無視できるが、0.01 オーム自体を測るときには、リード線の抵抗が無視できない巨大な誤差になる。 ケルビンダブルブリッジは、回路を二重(ダブル)にすることで、これら「余計な抵抗」の影響を計算上打ち消す(キャンセルする)構造を持っている。 したがって、技術基準として低抵抗測定にはこの方式が指定される。 【初心者がここで迷う理由】 「ダブル」という言葉の響きから、なんとなく「精密だから高い電圧や大きい抵抗も測れるだろう」と勘違いしがちである。 しかし、精密さが求められるのは常に「測りたいものに対して、邪魔なもの(誤差)の影響が相対的に大きくなる場面」である。 【本番での判断フロー】 1. まず、「ケルビン」という名前から、熱力学の温度ではなく「低抵抗測定」を連想する。 2. 次に、「接触抵抗やリード線抵抗の影響を避けるため」という目的を思い出す。 3. 選択肢の中から「低い抵抗(目安は 1 オーム以下)」を探す。 4. 逆に「絶縁抵抗」にはメガー(絶縁抵抗計)が必要であることを思い出し、他の選択肢を除外する。

問65

スライドワイヤブリッジを用いた抵抗測定において、長さ 1.0 m の均一な抵抗線を使用している。既知の抵抗 R = 10 オームとし、検流計がゼロを示す位置が左端から 0.4 m であった。未知の抵抗 Rx [オーム] の値として、正しいものを選べ。なお、Rx は右側に接続されているものとする。

  1. 4.0
  2. 6.7
  3. 10.0
  4. 15.0
  5. 25.0(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、ブリッジの原理を「長さの比」という物理的な形に置き換えて理解しているかを問うものである。注目すべきポイントは、一様な線の「長さ」がそのまま「抵抗値」に比例するという単純な物理法則の活用である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、長さの比が抵抗の比と等しくなるため、(4)が正解である。 そもそもスライドワイヤブリッジとは、ホイートストンブリッジの2つの辺を「1本の長い針金」で代用したものである。針金の材質が同じなら、抵抗は長さに比例する。 左側の長さが 0.4 m なら、右側の残りは 1.0 - 0.4 = 0.6 m である。 平衡条件は「左の抵抗 : 右の抵抗 = 左の長さ : 右の長さ」となるため、 10 : Rx = 0.4 : 0.6 0.4・Rx = 6.0 Rx = 15 オーム と結論づけられる。 【初心者がここで迷う理由】 「0.4 m」という数字だけを見て、全体の長さ(1.0 m)との引き算を忘れ、10 : Rx = 0.4 : 1.0 などと誤った比率を立ててしまいがちである。 回路を左右に分けて考えていることを常に意識する必要がある。 【本番での判断フロー】 1. まず、全体の長さを確認し、接点で分かれた「左」と「右」それぞれの長さを出す。 2. 次に、抵抗と長さが比例するという物理原則を思い出す。 3. 「抵抗 / 長さ = 抵抗 / 長さ」という比の式を立てる。 4. 求めた Rx が、長さの比(この場合は左より右の方が長い)と矛盾していないか直感的に確認する。

問66

抵抗 R [オーム] の3つの等しい抵抗がデルタ(三角形)結線されている。これを等価なスター(星形)結線の抵抗 r [オーム] に変換したとき、r の値として正しいものを選べ。

  1. 3・R
  2. 1.732…・R
  3. R
  4. 0.577…・R
  5. 0.333…・R

解説

【正解】 (5) 【設問の意図】 この問題は、Y-Δ変換という手法が、回路全体のインピーダンスをどう変化させるかという本質を問うものである。公式を覚えるだけでなく、「広げた形(Δ)」から「中心に集めた形(Y)」にすると、一つの抵抗あたりの負担(値)がどう変わるべきかの感覚が重要である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、ΔからYへの変換では値は 0.333... 倍(3分の1)になるため、(5)が正解である。 そもそも Y-Δ変換とは、「外側から見たときに、同じ電流が流れ、同じ電圧降下が起きるように回路の形を書き換える」操作である。 同じ3つの抵抗を使う場合、デルタ結線は「2つの経路が並列」になっているような状態だが、スター結線は「中心に向かう1本の道」の組み合わせになる。数学的に整合性をとると、スター結線の抵抗一つ一つは、元のデルタ結線の抵抗の「3分の1」にする必要がある。 したがって、 r = R / 3 = 0.333...・R と結論づけられる。 【初心者がここで迷う理由】 「3倍」なのか「3分の1」なのか、試験のパニックで逆にしてしまうことが非常に多い。 覚え方のコツは「形」である。デルタ(Δ)は三角形で大きく外側を囲んでいるのに対し、スター(Y)は中心にキュッと集まっている。 「広い形から狭い形にするのだから、一つ一つの抵抗値は小さく(1/3)なるはずだ」というイメージを持っていれば、逆転ミスは防げる。 【本番での判断フロー】 1. まず、変換の方向(Δ→Y なのか Y→Δ なのか)を確認する。 2. 次に、「広いΔから狭いYなら小さくなる(1/3)」というイメージを呼び出す。 3. 公式を思い出し、3つの抵抗が等しいという条件から単純に 1/3 する。 4. 逆に Y→Δ なら 3倍 になることを確認し、選択肢を絞り込む。

問67

各辺が 9 オーム の抵抗で構成されたデルタ(三角形)結線の負荷がある。これに 3 オーム の抵抗を直列に接続した回路の合成抵抗を求めるため、まずデルタ結線をスター(星形)結線に変換した。変換後のスター結線の 1相当たりの抵抗 [オーム] として、正しいものを選べ。

  1. 1
  2. 3
  3. 9(正解)
  4. 27
  5. 81

解説

【正解】 (2) 【設問の意図】 この問題は、実際の回路計算において「計算しやすい形に書き換える」という判断のステップを問うものである。注目すべきは、そのままでは解きにくい複雑な網目状の回路も、等価変換という「翻訳」を通せば単純な直列・並列に落とし込めるという点である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、デルタの 9 オームはスターの 3 オームに等しいため、(2)が正解である。 そもそもこの変換は、三相交流回路の計算などで「1相分(1つの道)」だけを取り出して計算するために不可欠な技術である。 前問の理論通り、3つの抵抗が等しい場合の Δ→Y 変換は、値を 3分の1 にすればよい。 計算: 9 / 3 = 3 オーム。 これにより、複雑な三角形の回路が、中心から3方向に伸びる単純な枝に置き換わる。 【初心者がここで迷う理由】 「問題文にある『3 オームを直列に接続した』という情報を、変換の計算に混ぜてしまう」ミスが起きやすい。 まずは「デルタ結線そのもの」をスターに翻訳することに集中し、外部の抵抗はその後で考えるという「手順の分離」ができていないことが原因である。 【本番での判断フロー】 1. まず、変換対象となる「結線の塊」だけを特定する。 2. 次に、その中の抵抗値を確認し、Δ→Y のルール(1/3倍)を適用する。 3. 他の回路部品(直列抵抗など)は、変換が終わった「後」で図に書き加える。 4. 選択肢の中に「3倍」にした 27 や、二乗した 81 などの引っかけがあることを意識し除外する。

問68

ブリッジ回路において、4つの辺の抵抗がすべて 10 オームであり、中央の検流計があるべき枝に 10 オームの抵抗が接続されている。この回路全体の合成抵抗 [オーム] を求めよ。なお、電源はブリッジの上下端子に接続されているものとする。

  1. 5
  2. 10
  3. 15(正解)
  4. 20
  5. 25

解説

【正解】 (2) 【設問の意図】 この問題は、一見すると Y-Δ変換が必要な「不平衡ブリッジ」に見えるが、実は「物理的な平衡」を見抜くことで一瞬で解けるという、本質的な洞察力を問うものである。注目すべきは、計算を始める前に「電流が流れない場所」がないかを確認する習慣である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、中央の抵抗には電流が流れないため、合成抵抗は 10 オームとなる。 そもそもこの回路は、4辺の抵抗がすべて等しいため、ブリッジが平衡している。 左右の電位差がゼロであれば、真ん中の 10 オームの抵抗に電圧がかからず、電流も流れない。つまり、真ん中の抵抗は「あってもなくても同じ」存在(オープン状態)とみなせる。 すると、回路は「10+10=20 オーム」の直列が2組並列になったものとなり、 (20・20) / (20+20) = 400 / 40 = 10 オーム と結論づけられる。 【初心者がここで迷う理由】 「全部の抵抗を使って Y-Δ変換をしなければならない」と思い込み、複雑な計算に突っ込んで時間を浪費してしまう。 電気回路のプロは、計算の前に「対称性」を探す。左右が同じ形なら、真ん中は無視できるという「ショートカット」を知っているかどうかが分かれ目である。 【本番での判断フロー】 1. まず、ブリッジの形を見たら「対角の積」を確認し、平衡しているかチェックする。 2. 次に、平衡していれば「中央の枝を無視(または短絡)」して回路を簡略化する。 3. 簡略化した後の単純な直並列計算を行う。 4. もし不平衡であれば、その時初めて Y-Δ変換を使って解くという優先順位を守る。

問69

100 V の直流電源に、20 オーム の抵抗を接続した。このとき、抵抗で消費される電力 [W] の値として、正しいものを選べ。

  1. 5
  2. 20
  3. 100
  4. 500
  5. 2000(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、電力 P、電圧 V、抵抗 R の関係を問うものである。単に公式を当てはめるだけでなく、「なぜ電圧が2倍になると電力は4倍になるのか」というエネルギーの仕組みを理解しているかが重要である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、計算結果が 500 W となるため、(4)が適切である。 そもそも電力(ワット)とは、「単位時間あたりにどれだけの仕事を電気で行うか」という物理量である。 公式 P = V^2 / R に基づくと、 100・100 / 20 = 10000 / 20 = 500 W となる。 これは、「電圧をかけると電流が流れる(I = V/R)」という仕事と、「流れた電流を押し出す圧力(V)」の掛け算(P = V・I)の結果である。電圧が上がれば「押す力」も「流れる量」も同時に増えるため、2乗の効果が生まれるのである。 【初心者がここで迷う理由】 「P = V・I だから、まず I を出さないといけない」と考え、手順を増やして計算ミスをするパターンが多い。 もちろん I = 100 / 20 = 5 A を出してから 100・5 = 500 W としても正解だが、V と R が分かっているなら V^2 / R を使う方が速くて正確である。 【本番での判断フロー】 1. まず、与えられた数値が「V」と「R」であることを確認する。 2. 次に、それらを直接つなぐ公式 P = V^2 / R を選択する。 3. 100 の 2乗 が 10000 であることを落ち着いて計算する。 4. 電圧計と抵抗器のイメージを持ち、値が現実的な範囲(例えば 2000W はドライヤー以上の大電力)か確認する。

問70

500 W の電気ヒーターを 20 分間使用したときに発生する熱量 [kJ] の値として、正しいものを選べ。

  1. 10
  2. 300
  3. 600
  4. 12000(正解)
  5. 30000

解説

【正解】 (3) 【設問の意図】 この問題は、電力(勢い)と熱量(合計エネルギー)の時間的関係を問うものである。注目すべきは、単位の「秒(s)」への換算という、実務で最もミスが起きやすいポイントの確実な処理能力である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、ワットに秒を掛けて ジュール(J) を出し、キロ(k) に直すと 600 kJ となるため、(3)が正解である。 そもそも熱量 Q と電力 P の関係は Q = P・t (熱量 = 電力 × 時間)という物理現象に基づいている。 ただし、1 W(ワット)は「1 秒間に 1 J(ジュール)」という定義なので、時間は必ず「秒」に直さなければならない。 20 分 = 20 × 60 = 1200 秒 Q = 500 W × 1200 s = 600,000 J これを kJ(1000 J = 1 kJ)に変換すると、 600 kJ と結論づけられる。 【初心者がここで迷う理由】 「500 × 20 = 10000」という計算をして、選択肢(1)の 10 や(5)の 30000 に引っ張られてしまう。 日常会話では「分」を使うが、物理法則の世界(SI単位系)は「秒」が基準である。この「単位の土俵」を合わせることを忘れることが最大の迷いの原因である。 【本番での判断フロー】 1. まず、問題文の「分」に丸をつけ、「秒」に直す必要性を自分に警告する。 2. 次に、P・t の単純な掛け算を行う。 3. 出てきた答え(J)の桁数を見て、k(キロ)にするために 0 を 3つ消す。 4. 1 kWh = 3600 kJ という「電力量の基準」を思い出し、20分(1/3時間)ならそれより小さい値になるはずだと妥当性を確認する。

問71

直流2線式の配電線路において、片道の電線1本あたりの抵抗が 0.1 オーム であるとする。負荷に 20 A の電流が流れているとき、この配電線路全体で発生する電力損失 [W] の値として、正しいものを選べ。

  1. 20
  2. 40
  3. 80
  4. 400(正解)
  5. 800

解説

【正解】 (3) 【設問の意図】 この問題は、単なる公式の適用ではなく、「電力損失(ジュール熱)」が電線の抵抗と電流によってどのように発生するか、また「2線式」という回路構成が全体損失にどう影響するかという実務的な計算の根本を理解しているかを問う問題である。 問題文の条件において注目すべきポイントは「片道1本あたりの抵抗」と「2線式(往復)」である点であり、ここを起点に回路全体の抵抗を論理的に組み立てられるかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、往復2本分の抵抗を考慮して計算するため、(3)が最も適切である。 そもそも電力損失(ジュール熱)とは、「電気の流れにくさ(抵抗)に対して電流を無理やり通そうとしたときに、摩擦のように熱として逃げてしまうエネルギー」という物理現象に基づいている。 本問の条件下では、2線式(プラス側とマイナス側の2本の電線)であることが明示されているため、この往復経路を最優先で判断する必要がある。 線路全体の抵抗 R は、片道 0.1 オーム の2倍、つまり 0.2 オーム となる。電力損失 P は、公式 P = Iの2乗 × R に基づき、20の2乗 × 0.2 = 400 × 0.2 = 80 W と計算できる。 したがって、技術的根拠に照らし合わせて、80 W と結論づけられるこの選択肢が正解となる。 【初心者がここで迷う理由】 学習の初期段階では、多くの人は 「電線の抵抗が 0.1 だから、そのまま 20の2乗 × 0.1 をすればいいだろう」 と短絡的に考えてしまいがちである。 特に、 ・「2線式」=「電線が2本ある」という回路の物理的構造を見落とす ・電圧降下(V = IR)と電力損失(P = Iの2乗R)の公式を混同してしまう といった思考に陥りやすい。 しかし本問では、計算の前に「電流は往路を通って負荷に行き、復路を通って戻ってくる」という一巡の回路をイメージしなければならない。この視点を欠くことが、値を半分(40 W)にしてしまうケアレスミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番の試験では、次の順序で考えればブレずに解答できる。 1. まず、問題文から「2線式」「片道1本あたり」というキーワードを整理し、電線が2本分直列に入っている図を思い浮かべる。 2. 次に、公式の丸暗記ではなく「熱になるのは往復全ての抵抗である」という原理を思い出し、全体抵抗 R = 2r を算出する。 3. 公式 P = Iの2乗R に値を代入して計算を行う。 4. 最後に、もし選択肢に 40(1本分)がある場合は、それが「片道分だけの引っかけ」であることを再確認し、除外する。 この流れでアプローチすれば、単相3線式や三相3線式など、電線の本数が変わる応用問題が出ても、論理的に正解へたどり着くことができる。

問72

電圧 12 V、内部抵抗 4 オーム の直流電源に、可変抵抗である負荷 R [オーム] を接続した。負荷 R で消費される電力が最大となるときの電力値 [W] として、正しいものを選べ。

  1. 2.25
  2. 4.5
  3. 9
  4. 12(正解)
  5. 36

解説

【正解】 (3) 【設問の意図】 この問題は、最大電力伝送定理という電気回路の重要な特性を理解しているかを問う問題である。電源自身が持つ「電気の通りにくさ(内部抵抗)」と、外部の「負荷」とのバランスが、エネルギー効率にどう影響するかを問うている。 注目すべきポイントは「内部抵抗と負荷抵抗が一致するときに、外部へ取り出せる電力が最大になる」という物理的法則を見抜けるかである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、負荷抵抗が内部抵抗と同じ 4 オーム のときに電力が最大となり、その値は 9 W となるため、(3)が最も適切である。 そもそも最大電力伝送定理とは、「電源の内部抵抗で電力が無駄に消費される分と、負荷で有効に使われる分の比率が最適化されるポイント」という物理現象に基づいている。 負荷抵抗 R が内部抵抗 r(4 オーム)と等しいとき、回路全体の抵抗は 8 オーム となり、流れる電流 I は 12 V / 8 オーム = 1.5 A となる。 負荷 R で消費される電力 P は、P = Iの2乗 × R = 1.5の2乗 × 4 = 2.25 × 4 = 9 W と計算できる。 したがって、最大電力の条件 R = r に基づき、9 W と結論づけられるこの選択肢が正解となる。 【初心者がここで迷う理由】 多くの人は 「負荷抵抗 R が 0(短絡)に近いほど、大きな電流が流れて電力も大きくなるのではないか」 または 「R が大きいほど電圧が高くなって電力が大きくなるのではないか」 と短絡的に考えてしまいがちである。 特に、 ・電流を最大にすること(R=0)と、電力を最大にすることを混同してしまう ・内部抵抗 4 オーム を無視して計算してしまう といった思考に陥りやすい。 しかし本問では、R が小さすぎると電圧が下がり、R が大きすぎると電流が減るというトレードオフの関係を理解しなければならない。 【本番での判断フロー】 本番の試験では、次の順序で考えればブレずに解答できる。 1. 問題文から「最大電力」という言葉を見つけ、即座に「負荷抵抗 = 内部抵抗」という条件を頭に浮かべる。 2. 回路全体のインピーダンスを計算し(4 + 4 = 8)、回路に流れる電流 I を求める。 3. 負荷 R のみの消費電力(P = Iの2乗R)を計算する。このとき、電源内部での損失を含めないよう注意する。 4. 導き出した 9 W という値を選択肢から選ぶ。 この流れでアプローチすれば、複雑な微分計算などをせずとも、論理的に正解へたどり着くことができる。

問73

内部抵抗 r を持つ直流電源に負荷抵抗 R を接続し、最大電力を供給するための「インピーダンス整合(マッチング)」に関する記述として、誤っているものを選べ。

  1. 負荷抵抗 R と内部抵抗 r が等しいとき、負荷で消費される電力は最大となる。
  2. 最大電力が供給されているとき、電源の端子電圧は起電力(無負荷電圧)の 0.5 倍となる。
  3. 最大電力が供給されているとき、電源内部で発生する損失と負荷で消費される電力は等しい。
  4. 負荷抵抗 R を内部抵抗 r より大きくすれば、回路を流れる電流は減少するが、負荷電力は必ず増加する。
  5. 最大電力を供給している状態での、電源の効率(出力/入力)は 0.5 (50パーセント)である。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、最大電力伝送定理の「条件」だけでなく、その状態における回路全体のエネルギー配分や電圧の挙動を深く理解しているかを問う問題である。 単なる公式の暗記ではなく、抵抗値を変化させたときの電力の変化(山の形をした特性曲線)をイメージできるかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、R が内部抵抗 r を超えて大きくなると負荷電力は減少に転じるため、(4)が誤り(正解の選択肢)として適切である。 最大電力伝送の特性曲線は、負荷抵抗 R = r を頂点とした山の形をしている。 本問の選択肢(4)では「R を大きくすれば電力は必ず増加する」としているが、すでに最大点(R=r)に達している、あるいはそれを超えている場合、抵抗をさらに大きくすると電流の減少幅が支配的になり、電力 P = Iの2乗R は減少する。 その他の選択肢(1)(2)(3)(5)は、最大電力時の物理的性質(電圧が半分になる、効率が50パーセントになる、内部と外部でエネルギーを等分する)を正しく説明している。 【初心者がここで迷う理由】 多くの人は 「抵抗が大きくなれば、そこで消費されるエネルギーも増えるのが普通だろう」 と短絡的に考えてしまいがちである。 特に、 ・負荷 R を大きくすると、回路全体の電流 I が減るという反作用を忘れてしまう ・「効率が良いこと」と「最大電力を取り出すこと」を同じだと勘違いしてしまう(最大電力時は効率が50パーセントまで落ちる) といった思考に陥りやすい。 【本番での判断フロー】 本番の試験では、次の順序で考えればブレずに解答できる。 1. 「最大電力」の状態を、電源と負荷がエネルギーをちょうど半分ずつ分け合っている「一番無理をしているが、出力は最大」な状態だと定義する。 2. 負荷抵抗を大きくした場合の挙動を考える。電流が減るため、極端に抵抗を大きくすれば(開放)、電力は最終的にゼロになるはずだと推論する。 3. 「増加し続ける」という極端な表現が含まれる選択肢(4)に疑いを持つ。 4. 数式 P = [E / (r+R)]の2乗 × R において、R が無限大に向かうと P がゼロに近づくことを確認し、(4)が誤りであると確定させる。 この思考ルートを持てば、知識が断片的でも、極端なケースを想定することで正解を導き出せる。

問74

同じ材質で作られた2本の電線A、Bがある。電線Aは長さが 10 m、直径が 1 mm である。電線Bは長さが 20 m、直径が 2 mm である。このとき、電線Bの抵抗値は、電線Aの抵抗値の何倍になるか。

  1. 0.25倍
  2. 0.5倍
  3. 1倍(等しい)(正解)
  4. 2倍
  5. 4倍

解説

【正解】 (2) 【設問の意図】 この問題は、抵抗の大きさが「電線の長さ」と「断面積(直径)」にどのように物理的に依存するかを問う問題である。特に直径が2倍になったときに断面積が4倍になるという、幾何学的な関係を電気抵抗の計算に正しく反映できるかがポイントとなる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、長さで2倍、断面積で 0.25 倍の影響を受けるため、かけ合わせて 0.5 倍となり、(2)が最も適切である。 抵抗 R は、「長さ L に比例し、断面積 A に反比例する(R = ρ × L / A)」という法則に基づいている。 本問の条件下では、電線BはAに対して長さが 2 倍(抵抗を 2 倍にする要因)、直径が 2 倍となっている。 ここで注意すべきは断面積 A である。円の面積は「半径(または直径)の2乗」に比例するため、直径が 2 倍になると断面積は 4 倍(2の2乗)になる。断面積が 4 倍になると、電気の通り道が広くなるため、抵抗は 0.25 倍(1/4)に減少する。 全体の変化は、長さによる 2倍 × 断面積による 0.25倍 = 0.5倍 と結論づけられる。 【初心者がここで迷う理由】 多くの人は 「長さも2倍、直径も2倍だから、打ち消し合って1倍だろう」 または 「直径が2倍だから、単純に 2 / 2 = 1倍 だろう」 と短絡的に考えてしまいがちである。 特に、 ・直径(1次元)の変化が断面積(2次元)にどう影響するかを見落とす ・比例と反比例の関係を逆にしてしまう といった思考に陥りやすい。 【本番での判断フロー】 1. 問題文から「長さ」と「直径」の変化を書き出す。 2. 即座に直径を「断面積」に変換する(直径2倍 → 面積4倍)。 3. 抵抗の基本イメージ「長いほど通りにくい(分子)」「広いほど通りやすい(分母)」に当てはめる。 4. 「長さの倍率 2」を「面積の倍率 4」で割り、0.5倍 という結果を得る。 この流れでアプローチすれば、寸法の変化が複雑になっても、論理的に正解へたどり着くことができる。

問75

ある金属線の 20 ℃ における抵抗値が 10 オーム であった。この金属線の温度を 120 ℃ まで上げたとき、抵抗値 [オーム] はいくらになるか。ただし、この金属の 20 ℃ における抵抗温度係数を 0.004 [1/k] とする。

  1. 10.4
  2. 11
  3. 14
  4. 15(正解)
  5. 18

解説

【正解】 (3) 【設問の意図】 この問題は、金属の「温度が上がると抵抗が増える」という熱的な性質を、温度係数を用いて定量的に計算できるかを問う問題である。 注目すべきは、温度係数が「1度上がるごとに、元の抵抗の何倍増えるか」という割合を示している点である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、40パーセント(4オーム)の増加となるため、(3)が最も適切である。 そもそも金属の抵抗が増えるのは、「温度が上がると原子の振動が激しくなり、流れる電子がぶつかりやすくなる」という物理現象に基づいている。 増加分を求める式は「元の抵抗 × 温度係数 × 温度差」である。 本問では、温度差 Δt = 120 - 20 = 100 ℃。 増加する抵抗値 = 10 オーム × 0.004 × 100 = 4 オーム。 よって、加熱後の抵抗値は、元の 10 オーム に増加分の 4 オーム を足して 14 オーム と結論づけられる。 【初心者がここで迷う理由】 多くの人は 「0.004 という数字をどこに掛ければいいかわからない」 あるいは 「温度 120 をそのまま掛けてしまう(20度からの変化であることを無視する)」 といったミスをしがちである。 特に、 ・温度係数の基準温度(20度)を確認せず計算してしまう ・増加分だけを求めて、元の抵抗に足すのを忘れてしまう といった思考に陥りやすい。 【本番での判断フロー】 1. まず「何度上がったか(温度差)」を計算する(120 - 20 = 100)。 2. 次に「1度あたり 0.004 増えるなら、100度なら 0.4 倍増える」と比率を計算する。 3. その比率を元の抵抗 10 に掛け、増加量 4 を出す。 4. 最後に「元の 10 + 増加分 4」を行い、最終的な抵抗値 14 を導く。 この順序を徹底すれば、基準温度が異なる応用問題が出ても、論理的に正解へたどり着ける。

問76

白熱電球の電圧・電流特性(非線形抵抗)に関する記述として、正しいものを選べ。

  1. 印加する電圧を 2 倍にすると、流れる電流も正確に 2 倍になる。
  2. 電球に流れる電流が増加すると、フィラメントの温度が上がり、抵抗値は減少する。
  3. 電球に流れる電流が増加すると、フィラメントの温度が上がり、抵抗値は増加する。
  4. 電圧・電流特性をグラフに表すと、原点を通る直線(オームの法則通り)になる。(正解)
  5. 周囲温度が下がると、電球の点灯直後の突入電流は小さくなる。

解説

【正解】 (3) 【設問の意図】 この問題は、すべての抵抗がオームの法則(V=IR、定数R)に従うわけではないという「非線形抵抗」の実体的な性質を理解しているかを問う問題である。 白熱電球を例に、エネルギーが熱に変わることで素子自体の性質が変化するプロセスを問うている。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、温度上昇に伴い金属(フィラメント)の抵抗は増えるため、(3)が最も適切である。 電球のフィラメントはタングステンなどの金属でできており、電流が流れて発光する際には激しい熱を伴う。 問題 No.075 で学んだ通り、金属は温度が上がると抵抗値が増加する。このため、電圧を上げても電流はそれに比例しては増えず、抵抗が増える分だけ電流の伸びは鈍くなる(非線形特性)。 したがって、物理的特性に照らし合わせて、抵抗が増加すると述べているこの選択肢が正解となる。 【初心者がここで迷う理由】 多くの人は 「オームの法則があるのだから、V と I は常に比例するはずだ」 または 「熱くなると電気が流れやすくなるのではないか(半導体などとの混同)」 と考えてしまいがちである。 特に、 ・理想的な抵抗器と、実際の電球のような素子の違いを意識していない ・「温度上昇 → 抵抗増加」という金属の基本特性を忘れてしまう といった思考に陥りやすい。 【本番での判断フロー】 1. 「白熱電球」というキーワードから、「激しく発熱する金属」をイメージする。 2. 金属の特性「温度が上がれば、原子の振動で電子が通りにくくなる(抵抗増)」を思い出す。 3. 選択肢の中から「電流増 → 温度増 → 抵抗増」という流れに合致するものを探す。 4. グラフが「直線(線形)」であるとする選択肢や、「抵抗減」とする選択肢を物理的矛盾として排除する。 この流れで考えれば、知識が曖昧でも、物理現象の連鎖から論理的に正解へたどり着ける。

問77

直流電源 100 V に、抵抗 10 オーム の固定抵抗器と、図のような電圧・電流特性を持つ非線形抵抗素子を直列に接続した。このとき、非線形抵抗素子に流れる電流 [A] を求めるための「負荷線(動作点)」の考え方として、正しいものを選べ。

  1. 非線形抵抗の特性曲線と、縦軸 100 V、横軸 10 A を結ぶ直線の交点を求める。
  2. 非線形抵抗の特性曲線と、縦軸 10 A、横軸 100 V を結ぶ直線の交点を求める。
  3. 固定抵抗のオームの法則の直線と、非線形抵抗の特性曲線の傾きを比較する。(正解)
  4. 電源電圧 100 V を固定抵抗 10 オーム で割った値 10 A がそのまま答えとなる。
  5. 2つの素子の特性曲線を足し合わせ、100 V との交点を読み取る。

解説

【正解】 (2) 【設問の意図】 この問題は、計算式で解くことが難しい「非線形素子」を含む回路において、グラフを用いて視覚的に解を導く「負荷線」の概念を理解しているかを問う問題である。 回路全体の電圧バランス(電源電圧 = 固定抵抗の電圧 + 非線形素子の電圧)という基本原則をグラフ上にどう表現するかを問うている。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、電圧軸(横軸)と電流軸(縦軸)の最大値を結ぶのが負荷線であるため、(2)が最も適切である。 非線形素子の電圧を V、電流を I とすると、回路の式は 100 = 10 × I + V となる。 これをグラフ(横軸 V、縦軸 I)に描くためには、2つの極端な点を探せばよい。 1. 非線形素子の電圧 V が 0 のとき(短絡状態): 100 = 10 × I なので、I = 10 A。これが縦軸の切片(0, 10)。 2. 電流 I が 0 のとき(開放状態): 100 = V。これが横軸の切片(100, 0)。 この2点を結んだ直線(負荷線)と、素子独自の特性曲線が交わる場所が、実際に回路で成立している「動作点」となる。 【初心者がここで迷う理由】 多くの人は 「100 V と 10 オーム という数字をどうグラフに配置すればいいか」 混乱しがちである。 特に、 ・縦軸と横軸の数値を逆にしてしまう ・なぜ直線を描くのか、その数学的な意味(キルヒホッフの法則)を理解していない といった思考に陥りやすい。 【本番での判断フロー】 1. 回路図から「電源電圧 = 抵抗の電圧 + 未知の素子の電圧」という式を立てる。 2. 「未知の素子の電圧が 0 なら、電流はいくら流れるか?」を計算し、縦軸に点を打つ。 3. 「電流が 0 なら、未知の素子には何 V かかるか?」を確認し、横軸に点を打つ。 4. その 2 点を結ぶ線が答えであると判断する。 この「極端な2点を結ぶ」という手順を覚えれば、どんな数値の組み合わせでも迷わず負荷線を引くことができる。

問78

定格電圧 200 V、絶縁抵抗 0.4 メガオーム の電気機器がある。この機器を使用中に、絶縁体の劣化により漏れ電流が発生した。このとき、発生している漏れ電流 [mA] の値として、正しいものを選べ。

  1. 0.05
  2. 0.5
  3. 5(正解)
  4. 50
  5. 500

解説

【正解】 (2) 【設問の意図】 この問題は、絶縁抵抗という概念が、通常の抵抗と同じくオームの法則で扱えることを理解しているかを問う問題である。また、「メガ(10の6乗)」や「ミリ(10のマイナス3乗)」といった単位の換算を正確に行う実務的な計算能力を問うている。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、計算結果が 0.0005 A つまり 0.5 mA となるため、(2)が最も適切である。 絶縁抵抗とは、「電気が漏れないようにせき止める壁の抵抗」のことである。壁といっても完全ではなく、わずかに電気を通すため、その値を I = V / R で求めることができる。 本問の条件下では、V = 200 V、R = 0.4 × 1,000,000 = 400,000 オーム である。 漏れ電流 I = 200 / 400,000 = 2 / 4,000 = 0.0005 A。 単位を mA(ミリアンペア)に直すために 1,000 倍すると、0.5 mA と結論づけられる。 (※ちなみに、電技解釈では漏れ電流を 1 mA 以下に保つことが基準とされているため、実務的にも妥当な数値である。) 【初心者がここで迷う理由】 多くの人は 「0.4 メガオーム という巨大な数字の桁を数え間違える」 または 「最後の A から mA への単位変換で小数点の位置を間違える」 といったミスをしがちである。 特に、 ・メガを 1,000(キロ)と勘違いしてしまう ・分母と分子を逆にしてしまう といった思考に陥りやすい。 【本番での判断フロー】 1. まず「メガ(10の6乗)」という単位を意識し、0.4 M = 400,000 と書き出す。 2. オームの法則 I = V / R に当てはめ、まずは A(アンペア)単位で計算する。 3. 出た答え(0.0005)の小数点を右に3つずらして mA に変換する。 4. 選択肢の中から 0.5 を選ぶ。 この「一旦基本単位(A)で計算し、最後に変換する」という手順を踏めば、桁数ミスを大幅に減らすことができる。

問79

直流2線式の給電線路において、送り出し端の電圧を 110 V、負荷端の電圧を 104 V としたい。負荷電流が 30 A であるとき、使用すべき電線の往復合計の抵抗値 [オーム] として、正しいものを選べ。

  1. 0.1
  2. 0.2
  3. 0.4(正解)
  4. 0.6
  5. 2.0

解説

【正解】 (2) 【設問の意図】 この問題は、送電における「電圧降下」の概念を理解し、所望の電圧を維持するために許容される抵抗値を逆算できるかを問う問題である。 実務において電線の太さを選定する際の、最も基本的な設計思考を問うている。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、許容される電圧降下が 6 V であるため、抵抗は 0.2 オーム となり、(2)が最も適切である。 電圧降下とは、「電線を電流が通る際に、電線自体の抵抗によって電圧が目減りしてしまう現象」である。 送り出しが 110 V、到着が 104 V なので、電線で失ってよい電圧(電圧降下 Vd)は 110 - 104 = 6 V である。 オームの法則 Vd = I × R より、6 V = 30 A × R。 したがって、R = 6 / 30 = 0.2 オーム と計算できる。 本問で問われているのは「往復合計の抵抗」であるため、この 0.2 オーム がそのまま答えとなる。 【初心者がここで迷う理由】 多くの人は 「往復合計」という言葉を見て、最後に出た答えをさらに 2 倍したり、逆に半分にしてしまったりして迷う。 特に、 ・電圧降下の式で、片道分なのか往復分なのかを整理できていない ・110 と 104 という数字の「差」が重要であることに気づかない といった思考に陥りやすい。 【本番での判断フロー】 1. まず「どれだけ電圧が下がったか(電圧降下)」を計算する(110 - 104 = 6)。 2. 次に、その 6 V の原因は「30 A の電流が電線の抵抗を通ったからだ」と捉える。 3. オームの法則 R = V / I を使い、全体の抵抗を求める(6 / 30 = 0.2)。 4. 最後に、問われているのが「往復合計」か「片道1本分」かを確認する。今回は「合計」なので 0.2 を選択する。 この「降下した電圧の正体(犯人)は電線の抵抗だ」という視点を持てば、計算の目的が明確になり、迷うことはなくなる。

問80

直流回路における各種定理の適用に関する記述として、誤っているものを選べ。

  1. 重ね合わせの理を適用する場合、電圧源は短絡除去、電流源は開放除去として考える。
  2. テブナンの定理を用いると、複雑な回路を一つの電圧源と一つの直列抵抗に置き換えることができる。
  3. ミルマンの定理は、複数の電圧源が並列に接続された回路の端子電圧を求めるのに便利である。
  4. ブリッジ回路が平衡しているとき、中央の検流計に流れる電流は最大となる。
  5. キルヒホッフの第2法則(電圧則)は、任意の閉回路において起電力の和と電圧降下の和が等しいことを示している。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、直流回路を解くための主要な武器(定理)を正しく使いこなせるか、またそれぞれの用語の定義を正確に理解しているかを総括的に問う問題である。 特に「平衡」という状態が物理的に何を意味するかを問うている。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、ブリッジが平衡しているとき電流は「ゼロ」になるため、(4)が誤り(正解の選択肢)として適切である。 ブリッジ回路の「平衡」とは、中央の橋渡しをしている部分の左右で、電位(電気的な高さ)がぴったり同じになった状態を指す。 水が高いところから低いところへ流れるように、電気も電位差がなければ流れない。左右の高さが同じであれば、中央の検流計に流れる電流は 0(最小)になる。これを「最大」としている選択肢(4)は明らかに矛盾している。 他の選択肢(1)(2)(3)(5)は、各定理の正確な運用ルールを述べている。 【初心者がここで迷う理由】 多くの人は 「平衡 = バランスが良い = 最大の能力を発揮している」 といった、言葉のイメージだけで判断してしまいがちである。 特に、 ・「平衡」と「最大電力伝送」などの別の用語を混同してしまう ・重ね合わせの理における「短絡・開放」のルールを逆に覚えてしまう といった思考に陥りやすい。 【本番での判断フロー】 1. 各選択肢を読みながら、頭の中でそれぞれの定理の「操作手順」を再生する(例:電圧源は短絡!など)。 2. 選択肢(4)の「平衡」という言葉に対し、「電位差がなくなる → 電流が流れない」という物理的結論をぶつける。 3. 「流れない」はずの電流が「最大」と書かれている矛盾を突く。 4. 念のため他の選択肢も確認し、教科書通りのルールであることを確認する。 この流れでアプローチすれば、複数の定理が混ざった問題でも、論理的な一貫性を持って正解を特定できる。