第二種電気主任技術者 過渡現象
問81
ラプラス変換の基礎
時間関数 f(t) を複素関数 F(s) に変換するラプラス変換に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ラプラス変換を用いると、微分方程式を代数方程式(普通の計算式)として扱うことができる。
- 単位ステップ関数 u(t) = 1 (t >= 0) のラプラス変換は、1/s である。
- 単位インパルス関数 delta(t) のラプラス変換は、1 である。
- 時間関数 exp(-at) のラプラス変換は、1 / (s - a) である。
- ラプラス変換の定義式は、0 から無限大までの積分計算に基づいている。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、過渡現象の計算を劇的に楽にする「ラプラス変換」という道具の、最も基本的なルール(対応関係)を正確に把握しているかを問う問題である。
注目すべきは「指数関数」の変換ルールであり、符号の扱い(プラスかマイナスか)を論理的に整理できているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、exp(-at) のラプラス変換は 1 / (s + a) であり、分母の符号がプラスになるのが正しいため、(4)の選択肢が誤り(正解)となる。
公式を丸暗記するのではなく、変換の「性質」に注目する。
ラプラス変換の変数 s は、実部が「減衰」を表す成分を持っている。時間領域で exp(-at) という「減衰していく関数」を扱う場合、それを打ち消して積分を収束させるためには、s の側に a を足してあげる必要がある。
数学的には、変換表において時間側の符号と s 側の符号は「逆」になる性質がある。
したがって、exp(-at) ならば 1 / (s + a) となるのが正しい。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「exp(at) だったか exp(-at) だったか」と、変換表の符号を暗記のみに頼ってしまい、本番で逆転させてしまうことが多い。
特に、
・公式の 1 / (s - a) と 1 / (s + a) がどちらに対応するか混同する。
・マイナスの指数(減衰)が、現実の物理現象(過渡現象の収束)にどう対応しているかをイメージできていない。
といった罠に陥りやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1. まず、対象が「減衰関数(マイナス指数)」か「発散関数(プラス指数)」かを確認する。
2. 次に、変換後の s は「s = 0 となる場所(極)」がどこにあるかを考える。
3. 減衰関数は安定な現象なので、s + a = 0 すなわち s = -a(マイナス側)に極がくるはずだと論理的に導く。
4. 選択肢を比較し、符号が物理的な安定性と矛盾しているものを特定する。
この流れで考えれば、記憶が曖昧でも、安定性という判断軸で正解へたどり着ける。
問82
微分法則・積分法則
ラプラス変換における微分法則に関する記述として、時間関数 f(t) のラプラス変換を F(s) としたとき、正しいものはどれか。なお、f(0) は t = 0 における初期値とする。
- f(t) の微分 df/dt のラプラス変換は、sF(s) である。
- f(t) の微分 df/dt のラプラス変換は、sF(s) - f(0) である。
- f(t) の微分 df/dt のラプラス変換は、(1/s)F(s) である。(正解)
- f(t) の微分 df/dt のラプラス変換は、s^2 * F(s) である。
- f(t) の積分(0からtまで)のラプラス変換は、sF(s) である。
解説
【正解】
(2)
【設問の意図】
この問題は、微分方程式を代数計算に置き換える際、最も重要となる「初期値の扱い」を正確に理解しているかを問う問題である。
微分法則は単に s をかけるだけではない。t = 0 の瞬間に「何が残っていたか」という初期条件の項を、式の中に正しく組み込めるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、微分法則は sF(s) - f(0) であり、初期値 f(0) を差し引く必要があるため、(2)の選択肢が正しい。
公式の丸暗記ではなく、現象に立ち返って考える。
ラプラス変換は「t = 0 以降の世界」を扱う。微分とは変化率(傾き)のことだが、計算を開始する瞬間(t = 0)にすでに値 f(0) を持っている場合、その後の変化を正しく評価するには、スタート地点の値を考慮しなければならない。
積分計算(部分積分)の結果、自然に -f(0) という項が現れる。
したがって、初期条件を無視した (1) ではなく、(2) が正解となる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「微分 = s をかける」「積分 = s で割る」という単純なルールだけを覚え、初期値という「余計な項」を忘れがちである。
特に、
・初期値が 0 であると勝手に思い込んで計算してしまう。
・電気回路の計算(L や C のエネルギー残存)において、この -f(0) が電池の役割を果たすことを理解していない。
といった罠に陥りやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1. まず、問題文が「微分」か「積分」かを確認する。
2. 微分の場合、s をかけるのとセットで「初期値 f(0)」の引き算が発生することを思い出す。
3. 積分の場合、逆に s で割るだけであり、初期値の項は分母に吸収される(または別項になるが、基本は 1/s 倍)ことを区別する。
4. 選択肢を比較し、初期値の項が正しく、かつ符号がマイナスであるものを選ぶ。
この流れを身につければ、回路方程式の立式ミスをゼロにできる。
問83
初期値・最終値定理
ラプラス変換 F(s) を用いて、時間関数 f(t) の初期値(t -> 0)や最終値(t -> 無限大)を求める定理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 初期値定理によれば、f(0) は s * F(s) において s を無限大に飛ばした値に等しい。
- 最終値定理によれば、f(無限大) は s * F(s) において s を 0 に飛ばした値に等しい。
- 最終値定理は、s * F(s) のすべての極が s 平面の左半面に存在する場合にのみ適用できる。
- 正弦波のように振動を続ける関数の場合でも、最終値定理を用いて収束値を求めることができる。
- 初期値定理は、系の高周波応答(瞬時の変化)を見ることに相当する。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、定理を便利に使いこなすだけでなく、その「適用限界(使ってはいけない場面)」を正しく判断できるかを問う問題である。
注目すべきポイントは最終値定理の前提条件であり、現象が「収束するかどうか」という判断の順序を飛ばしていないかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、振動を続ける関数には最終値定理を適用できないため、(4)の選択肢が誤り(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。
最終値定理とは「最終的に一つの値に落ち着く」ことがわかっている場合に、その落ち着き先を計算する道具である。正弦波(sin、cos)のように、いつまでも上下に揺れ動いている現象には、そもそも「最終的な一つの値(極限値)」が存在しない。
数学的には、s * F(s) の極が虚軸上にある(s = +/- j*omega)と定理が成立しない。
したがって、振動関数でも使えるとしている選択肢(4)は、定理の定義に反している。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「最終値は s を 0 にすればいい」という操作手順だけを暗記しており、対象が収束するかどうかというチェックを怠ってしまう。
特に、
・公式に代入して「たまたま出た数値」を答えだと思い込む。
・初期値定理(s -> 無限大)と最終値定理(s -> 0)の極限の飛ばし方を逆にしてしまう。
といった罠に陥りやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1. まず、求めるのが「瞬時の値(初期値)」か「落ち着いた値(最終値)」かを確認する。
2. 最終値の場合、系が安定(減衰)して収束するかどうかを関数の形や極の配置から判断する。
3. 振動や発散がある場合は「定理の適用外(最終値なし)」と即断する。
4. 定理が使えるなら、s をかけてから s -> 0 または s -> 無限大に飛ばす。
この判断の順序を守ることで、不適切な計算によるミスを防ぐことができる。
問84
部分分数分解
逆ラプラス変換を行う際の前処理である「部分分数分解」に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 複雑な F(s) を、変換表にあるような基本的な形の和に分解することが目的である。
- 分母が (s + a)(s + b) の形であれば、A / (s + a) + B / (s + b) という形に分解できる。
- 分母に (s + a)^2 のような重解がある場合、定数 / (s + a)^2 の項だけで分解が可能である。
- 分解後の各定数(係数)を求めるには、ヘビサイドの展開公式などが利用される。(正解)
- 分解前の F(s) において、分子の次数は分母の次数よりも低くなければならない。
解説
【正解】
(3)
【設問の意図】
この問題は、数式をバラバラにする際の「パズルのルール」を正確に理解しているかを問う問題である。
特に重解(2乗など)がある場合の分解の仕方は、過渡現象の「ランプ応答」や「臨界制動」を解くための鍵となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、2乗の重解がある場合は、2乗の項と「1乗の項」の両方が必要であるため、(3)の選択肢が誤り(正解)となる。
数学的・物理的根拠に基づいて考える。
分母に (s + a)^2 を持つ関数を分解する場合、A / (s + a)^2 + B / (s + a) という2つの項に分けるのが基本である。
もし 1乗の項 (s + a) を含めないと、分子の自由度が足りなくなり、元の式を完全に再現することができなくなる。物理的には、(s + a)^2 の項は「時間に比例して増える(t*exp)」現象を、(s + a) の項は「純粋な指数減衰(exp)」現象を表しており、この両方が合わさって過渡応答が形作られる。
したがって、1乗の項が不要とする選択肢(3)は誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
実務や演習経験が浅い場合、多くの人は単純な分解(1乗のみ)には慣れていても、重解が出てくると「とりあえず2乗のまま置けばいいだろう」と安易に考えてしまいがちである。
特に、
・係数が A しか出てこないと錯覚する。
・分解後の形が、逆変換の公式(変換表)のどの項目に対応するかを意識していない。
といった思考に陥りやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1. まず、分母の因数分解を行い、重解があるかないかを確認する。
2. 重解(n乗)があれば、n次から 1次までのすべての項を書き出す。(例:3乗なら 3次、2次、1次の 3つの項を作る)
3. 分子の次数が分母より低いことを確認し、各定数を計算する。
4. 最終的にそれらが逆変換表の「exp(-at)」や「t * exp(-at)」にどう繋がるかをイメージする。
この流れで立式すれば、計算の抜け漏れを防ぐことができる。
問85
逆ラプラス変換
s 領域の関数 F(s) から時間関数 f(t) を導く「逆ラプラス変換」に関する記述として、誤っているものはどれか。
- F(s) = 1 / (s + a) の逆変換は、f(t) = exp(-at) である。
- F(s) = omega / (s^2 + omega^2) の逆変換は、f(t) = sin(omega * t) である。
- F(s) = s / (s^2 + omega^2) の逆変換は、f(t) = cos(omega * t) である。
- 逆ラプラス変換は線形性を持ち、複数の関数の和の逆変換は、それぞれの逆変換の和に等しい。
- F(s) = 1 / (s^2) の逆変換は、f(t) = 1 である。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、計算結果が「どのような時間変化(波形)」になるかを、基本形から正しくイメージできるかを問う問題である。
注目すべきは s の次数と時間関数の関係であり、ここを混同していないかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、1 / s^2 の逆変換は f(t) = t (ランプ関数)であるため、(5)の選択肢が誤り(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。
s で割るという操作は、時間領域での「積分」に相当する。
単位ステップ関数 u(t) = 1 の変換が 1 / s であるから、それをさらにもう一度 s で割った 1 / s^2 は、1 を時間 t で積分した結果である「t」にならなければならない。
1 / s が「ずっと一定(1)」なら、1 / s^2 は「時間とともに増え続ける(t)」というイメージである。
したがって、1 になるとする選択肢(5)は誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は 1 / s と 1 / s^2 の区別が曖昧になり、どちらも「定数のようなものだろう」と混同してしまう。
特に、
・積分(1/s 倍)の物理的な意味を理解していない。
・逆変換表の 1/s^n の項目(t^(n-1) / (n-1)!)を正確に覚えていない。
といった罠に陥りやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1. まず、s の分母の次数を確認する。
2. 次数が 1 次(1/s)なら定数、2 次(1/s^2)なら時間 t に比例する関数、3 次なら t の 2 乗...という積分の連鎖を思い出す。
3. s + a のような形があれば、それは指数減衰 exp(-at) とセットであることを確認する。
4. 選択肢を比較し、s の次数と時間変化の勢いが矛盾しているものを選ぶ。
この流れで考えれば、記憶だけに頼らず論理的に答えを導き出せる。
問86
インピーダンス関数
回路素子をラプラス変換を用いて扱う「インピーダンス関数 Z(s)」に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 抵抗 R のインピーダンス関数は、そのまま R である。
- インダクタンス L のインピーダンス関数は、sL である。
- 静電容量 C のインピーダンス関数は、sC である。
- s は複素角周波数であり、交流回路の j*omega を s に置き換えたものと考えることができる。(正解)
- 回路全体の合成インピーダンスも、s の関数として代数的に合成(直列なら和、並列なら和分の積)できる。
解説
【正解】
(3)
【設問の意図】
この問題は、電気回路の微分方程式を解くための「武器」である s 領域の素子特性を、正確に準備できるかを問う問題である。
注目すべきは L と C の「s」の付き方(分子か分母か)であり、ここを間違えると回路方程式そのものが崩壊する。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、静電容量 C のインピーダンス関数は 1 / (sC) であるため、(3)の選択肢が誤り(正解)となる。
物理的・電気的な根拠に基づいて考える。
交流回路におけるコンデンサのリアクタンスは 1 / (j*omega*C) である。ラプラス変換の s は j*omega を拡張したものであるため、s を用いた表現でも C は必ず分母に来なければならない。
物理的には、インダクタ L は「変化を妨げる(sに比例)」性質を持ち、コンデンサ C は「電荷を溜めて電圧を上げる(積分の性質=1/sに比例)」性質を持つ。
したがって、単なる sC としている選択肢(3)は、コンデンサの性質を正反対に扱っており誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「L には s が付く、C にも s が付く」とだけ覚えてしまい、どちらが分母だったかをど忘れしてしまう。
特に、
・アドミタンス Y(s) とインピーダンス Z(s) を混同する。
・微分(s 倍)と積分(1/s 倍)という素子の本質的動作を理解していない。
といった罠に陥りやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1. まず、交流回路の知識(jL * omega と 1 / jC * omega)を思い出す。
2. j * omega を s に置き換える作業を頭の中で行う。
3. L は sL、C は 1 / sC になることを再確認する。
4. 単位が [ohm] になっているか、物理的な次元(時間との関係)が矛盾していないかをチェックする。
この順序で素子を置き換えれば、計算のスタート地点で躓くことはなくなる。
問87
RL回路のラプラス
抵抗 R [ohm] とインダクタンス L [H] の直列回路に、時刻 t = 0 で直流電圧 E [V] を印加したときの電流 I(s) を求める過程として、誤っているものはどれか。なお、初期電流は 0 とする。
- 回路の電圧方程式(s 領域)は、E/s = R * I(s) + sL * I(s) と表される。
- 電流 I(s) について解くと、I(s) = (E/s) / (R + sL) となる。
- I(s) を部分分数分解すると、A/s + B/(s + L/R) の形に変形できる。
- 時定数 T は L/R [s] となり、s 領域の極(分母が 0 になる点)に関係する。(正解)
- 逆ラプラス変換の結果、電流 i(t) は (E/R) * (1 - exp(-Rt/L)) となり、最終値は E/R に収束する。
解説
【正解】
(3)
【設問の意図】
この問題は、具体的な回路をラプラス変換で解く際の「数式変形の正確さ」と「極の場所」を理解しているかを問う問題である。
注目すべきは分母の形(s + alpha)であり、ここから時定数を正しく導き出せるかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、部分分数分解の項は s + R/L になるべきであり、(3)の選択肢が不適切(正解)となる。
計算プロセスを論理的に追う。
I(s) = (E/s) / (R + sL) = (E/L) / [ s * (s + R/L) ] と変形できる。
ここで、分母の括弧の中は s + R/L でなければならない。時定数 T = L/R なので、s + 1/T という形、つまり s + R/L が現れるのが数学的に正しい。
選択肢(3)にある s + L/R では、時定数の逆数になっておらず、次元が矛盾している。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「時定数は L/R か R/L か」という暗記に頼り、数式変形を丁寧に行わずに答えを選んでしまう。
特に、
・式の整理において L でくくり出す作業をミスする。
・s 領域の「極」の値が、そのまま指数関数の「減衰の速さ」になることを理解していない。
といった罠に陥りやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1. まず、電圧方程式を立てる(E/s = (R + sL)I(s))。
2. I(s) = ... の形にし、分母の s の係数を 1 にするために全体を L で割る。
3. 分母の形が s(s + R/L) になることを確認し、これが変換表の 1/s(s+a) に対応することを見抜く。
4. a = R/L = 1/T であることを確認し、指数関数の肩に乗る値と一致するかを照合する。
この流れで計算を進めれば、符号や逆数のミスを確実に防げる。
問88
RC回路のラプラス
抵抗 R [ohm] と静電容量 C [F] の直列回路に、時刻 t = 0 で直流電圧 E [V] を印加したときのコンデンサ電圧 Vc(s) に関する記述として、誤っているものはどれか。なお、初期電荷は 0 とする。
- 回路の全電流 I(s) は、(E/s) / (R + 1/sC) と表される。
- コンデンサ電圧 Vc(s) は、I(s) / sC で求められる。
- Vc(s) を整理すると、E / [ s * (sRC + 1) ] の形になる。
- 最終値定理(s -> 0)を適用すると、Vc(無限大) = E となり、電源電圧まで充電されることがわかる。
- 逆ラプラス変換の結果、vc(t) は E * exp(-t/RC) となり、時間とともに電圧が減少する。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、計算結果として得られた数式が表す「物理的な挙動」を正しくイメージできているかを問う問題である。
充電過程において電圧が「増えるのか減るのか」という、電気主任技術者としての基本的な直感が試される。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、充電過程の電圧 vc(t) は E * (1 - exp(-t/RC)) であり、0 から E へ「増加」するため、(5)の選択肢が誤り(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。
空のコンデンサ(初期電荷 0)に電圧 E をかければ、時間はかかるが最終的には電源と同じ電圧まで充電されるはずである。
選択肢(5)の式 E * exp(-t/RC) は、t = 0 で E であり、時間が経つと 0 になる「放電」の式である。充電現象であるならば、1 から減衰分を引いた (1 - exp) の形になり、徐々に目標値へ近づく動きをしなければならない。
したがって、式の形が物理現象と逆転している選択肢(5)が誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「exp(-t/RC)」という項が出てくることだけを覚えており、それが 1 から引かれるのか、そのままなのかという細部を読み飛ばしてしまう。
特に、
・t = 0 や t = 無限大 を代入して検算する習慣がない。
・「充電」と「放電」のグラフの形を頭の中で描けていない。
といった罠に陥りやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1. まず、問題が「充電(電圧印加)」か「放電(短絡)」かを確認する。
2. 充電であれば、スタートが 0 でゴールが E であるという「増加」の形(1 - exp)を想定する。
3. 数式を逆変換する際、部分分数分解の結果が「1/s - 1/(s + a)」の形になっているかを確認する(これが 1 - exp を生む)。
4. 最終的な式に t = 0 を入れてみて、初期条件(0 V)と矛盾しないかダブルチェックする。
この「初期と最終の状態確認」を行うことで、誤った数式を選ぶリスクを回避できる。
問89
RLC回路のラプラス
抵抗 R、インダクタ L、静電容量 C の直列回路に電圧 E を印加したときの応答に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 回路の特性方程式(分母 = 0)は、s^2 + (R/L)s + 1/(LC) = 0 の形になる。
- R^2 > 4L/C のとき、回路の応答は「過制動(振動しない)」となる。
- R^2 = 4L/C のとき、回路の応答は「臨界制動」と呼ばれ、最も速く収束する。
- R^2 < 4L/C のとき、回路の応答は「不足制動」となり、減衰しながら振動する。
- 不足制動の場合、s 領域の極は実軸上に 2 つ並んで存在する。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、2 次系の過渡現象における「数式の解(極)」と「実際の波形」の対応関係を深く理解しているかを問う問題である。
振動が発生するための数学的な条件を正確に捉えているかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、不足制動(振動)の場合、極は「共役複素数」として存在するため、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。
数学的・物理的根拠に基づいて考える。
時間領域で「振動(sin や cos)」が現れるためには、ラプラス変換後の分母に omega^2 + (s + alpha)^2 のような形、つまり複素数の解が必要である。
特性方程式を解いたときの解(極)が実数であれば、それは単なる指数の和(exp(-at) + exp(-bt))にしかならず、振動は起きない。極が複素数(alpha +/- j*beta)になって初めて、オイラーの公式により sin や cos の成分が現れ、波形が揺れるのである。
したがって、「振動するのに実軸上に極がある」とする記述は数学的に矛盾している。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「R^2 と 4L/C の比較」という公式の丸暗記に終始し、その判別式が 2 次方程式の解の種類(実数か虚数か)を決めているという本質を見落としがちである。
特に、
・判別式 D = 0 が臨界制動、D > 0 が過制動、D < 0 が不足制動という対応が整理できていない。
・s 平面の極の配置図をイメージできていない。
といった罠に陥りやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1. まず、R、L、C の値から判別式(R^2 と 4L/C)を計算または想定する。
2. 「振動がある = 複素数の解 = 極が実軸から離れている」という繋がりを確認する。
3. 「振動がない = 実数の解 = 極が実軸上にある」という繋がりを確認する。
4. 選択肢を比較し、波形の名称(不足制動など)と極の性質(実数・複素数)が食い違っているものを探す。
この思考ルートを持てば、難解な RLC 回路の過渡現象も論理的に整理できる。
問90
相互誘導回路の過渡
相互インダクタンス M [H] で結合された 2 つの回路の過渡現象をラプラス変換で扱う際の記述として、誤っているものはどれか。
- 1 次側の電流 I1(s) の変化は、2 次側に sM * I1(s) という電圧を誘導する。
- 相互誘導の電圧の符号は、コイルの巻き方向(ドットの記号)によって決まる。
- 回路方程式を立てる際、自己インダクタンスの項(sL)と相互インダクタンスの項(sM)は代数的に加減算できる。
- 変圧器の理想モデル(漏れなし)では、結合係数 k = 1 となり、M = sqrt(L1 * L2) となる。
- 初期電流が 1 次側に存在する場合、2 次側の電圧方程式に初期値の項は一切現れない。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、複雑な結合回路において「エネルギーの初期状態」がどのように回路全体へ波及するかを正確に理解しているかを問う問題である。
相互誘導は単に sM をかけるだけではなく、微分法則の初期値項が結合先にも影響することを見抜けるかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、1 次側に初期電流 i1(0) があれば、2 次側の電圧方程式にも -M * i1(0) という初期値の項が現れるため、(5)の選択肢が誤り(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。
ラプラス変換の微分法則 L * di/dt -> sL * I(s) - L * i(0) を、相互誘導の項 M * di1/dt にも適用しなければならない。
つまり、M * di1/dt は sM * I1(s) - M * i1(0) となる。これは物理的には「1 次側の磁束が最初から 2 次側を貫いている場合、それが変化(または消滅)する際に 2 次側にも電圧を発生させる」という現象を表している。
したがって、「初期値の項は一切現れない」とする選択肢(5)は、ラプラス変換の数学的ルールと電磁誘導の物理現象の両方に反している。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は自分の回路(1 次側)の初期値は考慮しても、それが「他人の回路(2 次側)」にまで飛び火して項を作るという感覚が希薄になりがちである。
特に、
・ラプラス変換の公式を単一の素子にしか適用できない。
・磁束の共有という物理的イメージを持たず、数式だけで処理しようとする。
といった罠に陥りやすい。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば迷わない。
1. まず、回路に「相互誘導 M」があることを確認する。
2. 次に、どこかのコイルに「初期電流」があるかどうかを確認する。
3. 微分法則(s 倍して初期値を引く)を、自己インダクタンスだけでなく相互インダクタンスの項にも漏れなく適用する。
4. 立式された方程式の中に、初期電流に比例する電圧源(定数項)が 1 次・2 次の両方にあるかをチェックする。
この流れで立式すれば、結合回路の難解な過渡現象計算でも正確なスタートを切ることができる。
問91
状態方程式の立式
線形回路の解析に用いられる状態方程式 dx/dt = Ax + Bu に関する記述として、誤っているものはどれか。
- x は状態変数ベクトル、u は入力ベクトルと呼ばれる。
- 行列 A はシステム行列と呼ばれ、回路の接続状態や素子値によって決まる。
- 行列 B は制御行列と呼ばれ、入力が各状態変数に与える影響を表す。
- 回路に含まれる独立なエネルギー蓄積素子(L、C)の個数が、状態方程式の次数となる。
- 回路内に電圧源が存在する場合、その電圧値は必ず状態変数ベクトル x の要素に含まれる。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、複雑な回路を数学的に整理する「状態方程式」の定義と、何が「変数」で何が「外部入力」なのかという役割分担を正しく理解しているかを問う問題である。
注目すべきポイントは、変数の「能動性」であり、自ら変化する内部の状態と、外から与えられる条件を区別できるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、電圧源の電圧は「入力(外部から与えられる既知の量)」であり、状態変数(内部で変化する未知の量)には含まれないため、(5)の選択肢が誤り(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。状態変数とは、その瞬間の「回路のエネルギー状態」を決定する変数のことである。具体的には、コイルの電流(磁気エネルギー)やコンデンサの電圧(静電エネルギー)がこれに当たる。これらは回路の動作によって時間とともに変化していく「中身」のデータである。
一方、電圧源や電流源は、回路の外側からエネルギーを供給する「入力信号」であり、通常はあらかじめ値が決まっているものである。したがって、これらはベクトル u(入力)に分類されるべきものであり、ベクトル x(状態)に含める必要はない。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「回路に出てくる主要な変数はすべて x に入れる」という漠然としたイメージで捉えてしまいがちである。
特に、
・「未知数」と「変数」の区別がついていない。
・状態方程式の標準形(dx/dt = Ax + Bu)における x と u の物理的な意味を混同している。
といった罠に陥りやすい。
本問では、立式の前に「どれが内部の蓄積エネルギー(L, C)で、どれが外部からの供給源(電源)か」を峻別する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、状態方程式の基本形を思い浮かべ、左辺が「状態の微分(変化)」であることを確認する。
2. 次に、状態変数 x になれるのは「微分方程式として解くべき、エネルギーを蓄える素子の量(iL や vC)」であることを思い出す。
3. 電源(電圧源・電流源)は、外からシステムを動かす「力」であり、入力ベクトル u に配置されることを再確認する。
4. 選択肢を比較し、電源を状態変数に含めているような、システム論的に不自然な記述を指摘する。
この流れを身につければ、制御理論が絡む複雑な回路問題でも、論理的に正解へたどり着ける。
問92
状態変数の選択
電気回路の状態方程式を立てる際、状態変数として選択するのが最も適切な組み合わせはどれか。
- 抵抗の電圧と、コンデンサの電流
- コイルの磁束と、抵抗の電流
- コイルの電流と、コンデンサの電圧
- 電源の電圧と、回路の全電流(正解)
- コンデンサの電荷量と、抵抗の電圧
解説
【正解】
(3)
【設問の意図】
この問題は、回路の挙動を決定づける「本質的な変数」が何であるかを、エネルギー蓄積の観点から理解しているかを問う問題である。
注目すべきポイントは、時間に対して「連続的にしか変化できない量」はどれかという点であり、ここから状態変数の本質を見抜けるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、コイルの電流 iL とコンデンサの電圧 vC は、それぞれ磁気エネルギーと静電エネルギーに直結しており、連続的な変化を伴うため、(3)が最も適切となる。
物理現象に立ち返って考える。状態変数とは「その値が決まれば、回路の全エネルギー状態が確定する最小限の変数セット」のことである。
コイルは 1/2 * L * i^2、コンデンサは 1/2 * C * v^2 という形でエネルギーを蓄える。このため、コイルの電流 i とコンデンサの電圧 v さえ分かれば、回路内のどこにどれだけエネルギーがあるかが完全に特定できる。また、これらは微分方程式(v = L*di/dt や i = C*dv/dt)において微分される対象であり、瞬時に入れ替わることができない「慣性」を持った量であるため、状態変数として最適である。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「電流や電圧なら何でも変数になる」と考え、抵抗の電圧や電流を選んでしまいがちである。
特に、
・抵抗にはエネルギー蓄積機能がなく、電圧と電流が瞬時に(代数的に)決まる「静的な素子」であることを忘れている。
・状態方程式を「ただの数式」として捉え、物理的なエネルギーの保持という側面を無視している。
といった罠に陥りやすい。
本問では、選択の前に「スイッチを切った直後でも値が残っている(連続している)ものはどれか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、迷いの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、エネルギー蓄積素子(L と C)を探す。
2. 次に、それらの素子の状態を表す物理量(コイルなら電流、コンデンサなら電圧)を特定する。
3. 抵抗などのエネルギーを消費するだけの素子の量は、L や C の量から計算で導ける(従属する)ため、主役の変数からは外す。
4. 選択肢を比較し、L の電流と C の電圧のペアが含まれているものを探す。
この流れを身につければ、どのような回路網であっても、迷わず正しい状態変数を選択できる。
問93
ステップ応答
ある回路に時刻 t = 0 で単位ステップ電圧 u(t) を入力したときの応答に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 入力 u(t) は、t < 0 で 0、t >= 0 で 1 となる関数である。
- ステップ応答の定常値は、入力の大きさに回路の直流利得を乗じたものになる。
- ステップ応答を時間で微分すると、その回路のインパルス応答が得られる。
- 一次遅れ系のステップ応答では、出力が最終値の 0.632倍に達するまでの時間が時定数となる。
- 回路にコンデンサが含まれる場合、ステップ電圧入力の瞬間(t = 0)、コンデンサの電圧は必ず入力電圧と等しくなる。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、急激な入力変化に対して回路がどのように反応を始めるかという「初期状態」の物理的制約を理解しているかを問う問題である。
注目すべきポイントは、コンデンサの電圧の「連続性」であり、瞬時の変化が許されるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、コンデンサの電圧は瞬時には変化できない(初期電圧を保持する)ため、(5)の記述が誤り(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。コンデンサの電圧 vC と電流 iC の間には、iC = C * dvC/dt という関係がある。もし電圧 vC を 0 から V まで瞬時(時間 dt = 0)に変化させようとすると、電流 iC は無限大になってしまう。現実の回路では無限大の電流は流れないため、コンデンサの電圧は必ず「連続的」に、つまり時間をかけて変化する。
したがって、t = 0 の瞬間に、電圧が 0 だったコンデンサが入力電圧と同じ値まで一気に跳ね上がることは物理的にあり得ない。コンデンサは短絡(ショート)状態で始まり、徐々に充電されていくのが正しい挙動である。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「電圧をかけたのだから、電圧はそこにあるはずだ」と直感的に考えてしまいがちである。
特に、
・「電圧が加わる」ことと「その素子の端子電圧がその値になる」ことの区別がついていない。
・過渡現象における L や C の「初期状態の等価回路(C は短絡、L は開放)」という定石を忘れている。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「コンデンサの中に電気を詰め込むには時間がかかる」という物理的な実感を伴うイメージを飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、「ステップ入力」が「瞬時な変化」であることを認識する。
2. 次に、コンデンサは「電圧の変化を妨げる」、コイルは「電流の変化を妨げる」という基本性質を思い出す。
3. t = 0 直後(t = 0+)では、コンデンサは前の状態(通常は 0V)を維持しようとする(=短絡として振る舞う)ことを特定する。
4. 選択肢を比較し、コンデンサが瞬時に入力と同じ電圧になると主張している、物理的な「慣性」を無視した記述を指摘する。
この流れを身につければ、ステップ応答の初期値問題で論理的に正解へたどり着ける。
問94
インパルス応答
単位インパルス関数 delta(t) を入力したときの回路の応答(インパルス応答)に関する記述として、誤っているものはどれか。
- インパルス関数 delta(t) は、t = 0 で無限大の大きさを持ち、全区間での積分値が 1 となる関数である。
- 回路の伝達関数 H(s) の逆ラプラス変換は、その回路のインパルス応答 h(t) に一致する。
- インパルス応答を時間積分すると、その回路のステップ応答が得られる。
- インパルス入力が入った瞬間、回路内のコンデンサやコイルに蓄えられるエネルギーは必ずゼロになる。
- インパルス応答が時間の経過とともに 0 に収束する回路は、安定であると言える。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、インパルスという「極短時間に巨大な衝撃を与える入力」が、回路のエネルギー状態をどう変えるかを理解しているかを問う問題である。
注目すべきポイントは、インパルスが持つ「エネルギー注入」の機能であり、入力直後の状態をイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、インパルス入力によって素子にエネルギーが瞬時に注入されるため、(4)の記述が誤り(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。単位インパルス関数とは、高さ無限大、幅無限小のパルスであり、その「面積」が 1 である。電気回路においては、例えば「電荷 1C を瞬時にコンデンサに流し込む」ような操作に相当する。
コンデンサに電荷が瞬時に溜まれば、q = Cv より電圧が瞬時に発生し、1/2 * C * v^2 のエネルギーが蓄えられる。同様に、コイルにインパルス電圧を加えれば、磁束が瞬時に発生して電流が流れ始め、エネルギーが蓄えられる。
したがって、入力直後にエネルギーが「ゼロ」であるとする選択肢(4)は、インパルスの「衝撃(エネルギー付与)」という性質を否定しており誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「瞬時すぎて何も起きないのではないか」という直感や、ステップ応答の初期値(0から始まることが多い)と混同してしまいがちである。
特に、
・インパルス関数の積分値(面積)が 1 であることの物理的意味(物理量を 1 だけ変化させる力)を理解していない。
・数学的な定義としての delta(t) と、物理的なエネルギーのやり取りが結びついていない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「一瞬の衝撃で、止まっていた物体(電荷)が動き出す(エネルギーを持つ)」というイメージを飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、インパルス入力が「状態を 0 から一気にジャンプさせるもの」であることを理解する。
2. 次に、インパルス応答 h(t) は、システムの「素性」を丸裸にする応答であることを思い出す。
3. t = 0 の瞬間にエネルギーが注入され、その後の「余韻(自然応答)」が h(t) として現れる様子を描く。
4. 選択肢を比較し、エネルギーの注入を無視して「ゼロ」と主張している記述を指摘する。
この流れを身につければ、インパルス応答の本質的な理解に基づき、正解を導き出せる。
問95
短絡回路の過渡電流
直流電圧 V を加えている抵抗 R とコイル L の直列回路において、定常状態で時刻 t = 0 に L の両端を短絡(ショート)したときに流れる電流 i(t) の記述として、適切なものはどれか。なお、e は自然対数の底とする。
- 電流は瞬時に 0 となる。
- 電流は V/R のまま一定で変化しない。
- 電流は (V/R) * e^(-Rt/L) の形で指数関数的に減衰する。
- 電流は (V/R) * (1 - e^(-Rt/L)) の形で増加する。(正解)
- 電流は L のエネルギーが消費されるまで一定値を保ち、その後 0 になる。
解説
【正解】
(3)
【設問の意図】
この問題は、エネルギーを蓄えたコイルが、電源を失った後にどのようにエネルギーを放出するかという「自然放電」のプロセスを理解しているかを問う問題である。
注目すべきポイントは、コイルの「電流を維持しようとする性質」であり、ここから減衰のカーブをイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、蓄えられた磁気エネルギーが抵抗で熱として消費されながら減衰するため、(3)の指数関数的減衰が正解となる。
物理現象に立ち返って考える。短絡する前の定常状態では、コイルには i(0) = V/R の電流が流れている。ここでコイルを短絡すると、電源 V は切り離され、コイル L と抵抗 R だけの閉回路ができる。
コイルは「電流の変化を妨げる」性質があるため、スイッチを切った瞬間にいきなり 0 になることはできず、V/R という電流を流し続けようとする。しかし、この電流が抵抗 R を通るたびにエネルギーが消費(R*i^2)されるため、電流は徐々に弱まっていく。この「弱まり方」は、現在の電流の大きさに比例して減衰率が決まるため、数学的には指数関数 e^(-Rt/L) の形をとる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「短絡=電圧 0 =電流 0」と短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・コイルが「電流の源」として一時的に振る舞うという過渡現象の性質を忘れている。
・充電時の式(1 - e^-t)と放電時の式(e^-t)を混同している。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「コイルが自力で電流を押し回そうとしているが、抵抗に邪魔されて疲れていく」というイメージを飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、t = 0 の直前の電流値を求める(定常値 V/R)。
2. 次に、短絡後の回路に電源があるかどうかを確認する(電源なし)。
3. 電源がない場合、電流は必ず「減衰」の方向に向かうことを特定する。
4. 指数関数的な減衰を表す形 e^(-t/tau) を探し、時定数 tau = L/R であることを確認して選択肢を絞る。
この流れを身につければ、回路の切り替えに伴う過渡電流の問題で、論理的に正解へたどり着ける。
問96
コンデンサの充放電
抵抗 R とコンデンサ C の直列回路を直流電圧 V で充電する際の、時定数 tau = RC に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 時定数 tau は、コンデンサの電圧が最終値の約 63.2% に達するまでの時間である。
- 抵抗 R の値を 2倍にすると、充電が完了するまでの時間は長くなる。
- 静電容量 C の値を 2倍にすると、コンデンサに蓄えられる最終的な電荷量は 2倍になる。
- 時定数の単位は「秒 [s]」であり、オーム [ohm] とファラド [F] の積は時間に等しい。
- 時定数が経過した瞬間の充電電流は、初期電流の約 63.2% になる。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、時定数という指標が「増加するもの(電圧)」と「減少するもの(電流)」に対してどのように作用するかを正確に理解しているかを問う問題である。
注目すべきポイントは、指数関数の「e^-1」の計算値であり、上昇と下降のどちらを指しているかを確認できるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、減少していく電流は時定数経過時に初期値の約 36.8% まで下がるため、(5)の記述が誤り(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。充電が進むにつれてコンデンサの電圧が高まると、電源との電位差が小さくなるため、押し込まれる電流 i(t) は減っていく。この減衰式は i(t) = (V/R) * e^(-t/RC) となる。
t = tau(= RC)のとき、電流は初期値の e^-1 倍になる。e は約 2.718 なので、1 / 2.718 は約 0.368(36.8%)となる。
一方、電圧は 1 - e^-1 倍(約 0.632倍)に上昇する。選択肢(5)は、減少するはずの電流に対して、上昇率である 63.2% という数値を当てはめており、数学的な変化の向きが逆転している。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「時定数=0.632」という数字だけを丸暗記しており、それが「どこからの変化量か」を意識していない。
特に、
・「100% から 63.2% 引いた残りが 36.8% である」という関係を整理できていない。
・グラフの上昇曲線と下降曲線を混同している。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「今、この物理量は増えているのか減っているのか」というグラフの向きを確認する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、対象の物理量(電圧か電流か)が時間とともに増えるか減るかを確認する。
2. 次に、減少する量(電流)なら「e^-t」、増加する量(電圧)なら「1 - e^-t」の型を思い出す。
3. t = RC を代入し、e^-1 = 0.368 か、1 - 0.368 = 0.632 かを判定する。
4. 選択肢の記述が、増加・減少のトレンドと数値的に合致しているかを厳密に照合する。
この流れを身につければ、時定数にまつわる引っかけ問題で、冷静に正解を選び取ることができる。
問97
誘導性負荷の遮断
電流 I が流れている大きなインダクタンス L を持つコイル(誘導性負荷)を、スイッチで瞬時に切り離した(遮断した)際に起こる現象に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 遮断の瞬間、スイッチの両端には非常に大きな高い電圧(サージ電圧)が発生する。
- 発生する電圧の大きさは、電流の変化率 di/dt に比例する。
- サージ電圧が発生するのは、コイルが電流を維持しようとして自らの磁気エネルギーを放出しようとするからである。
- 遮断時に発生するアーク(火花)は、回路の遮断を助け、サージ電圧を抑制する働きがある。
- スイッチの接点間にコンデンサを並列に接続すると、電圧の上昇速度が緩和され、サージを抑制できる。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、遮断時に発生するアークという物理現象の正体と、それが回路に与える影響を正しく理解しているかを問う問題である。
注目すべきポイントは、アークの「導電性」であり、それが電流の停止を「急激にするのか、緩やかにするのか」という点が分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、アークは「電流を流し続けようとする現象」であり、電流の遮断を遅らせる働きをするため、(4)の「遮断を助ける」という記述が誤り(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。コイルの回路を切ろうとすると、コイルは v = L * di/dt の法則に従い、電流を無理やり流し続けるために高い電圧を発生させる。この電圧によって空気の絶縁が破壊されて光るのがアークである。
アークは電気を通す「道」であるため、これが消えない限り電流は流れ続け、完全な遮断にはならない。一方で、アークによって電流が「ダラダラと」流れ続けることで、di/dt(電流の変化の急峻さ)が抑えられるため、皮肉にもサージ電圧の最大値はアークがない場合より低くなる(抑制される)という側面はある。しかし、遮断そのものを考えればアークは「邪魔者」である。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「火花が出る=激しい現象=遮断が進んでいる」とイメージで判断してしまいがちである。
特に、
・アークがプラズマ状態の導電体であるという物理的認識が欠けている。
・遮断器(ブレーカー)の設計において、いかにアークを「消す(消弧)」かに苦労している実務的背景を知らない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「アークという『光る電線』がスイッチの間に架かっている」というイメージを飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、遮断時にコイルが発生させる高電圧の根拠(L*di/dt)を確認する。
2. 次に、アークが発生している間は、回路がまだ「繋がっている」状態であることを認識する。
3. 遮断を完了させるにはアークを消さなければならない、という消弧の重要性を思い出す。
4. 選択肢を比較し、アークが遮断を「促進する」という、スイッチの目的と矛盾する記述を指摘する。
この流れを身につければ、電力システムの保護や遮断に関する問題で、論理的に正解へたどり着ける。
問98
サージ電圧の発生
特性インピーダンスが Z1 [ohm] の送電線から、特性インピーダンスが Z2 [ohm] の別の線路へ進行波電圧 e が到達したときの反射と透過に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 接続点での電圧反射係数 beta は、(Z2 - Z1) / (Z2 + Z1) で表される。
- Z2 が Z1 より非常に大きい(終端開放に近い)場合、接続点での電圧は入射波の約 2倍になる。
- Z2 が Z1 と等しい場合、反射波は発生せず、すべてのエネルギーが透過する。
- 線路の終端が接地(Z2 = 0)されている場合、接続点での電圧反射係数は 1 となる。
- 反射波と透過波が発生するのは、接続点において電圧と電流の連続性を維持するためである。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、分布定数回路における波動の振る舞い(反射の法則)を、境界条件の数式に基づいて正確に理解しているかを問う問題である。
注目すべきポイントは、接地(短絡)という極端な条件下での「反射係数の符号」であり、ここが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、接地(Z2 = 0)の場合、電圧反射係数は -1 となるため、(4)の記述が誤り(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。接地されているということは、その点の電位は必ず 0V でなければならない(境界条件)。
入射波の電圧 e が到達したとき、その点での合計電圧(入射 + 反射)を 0 にするためには、反射波は -e という「逆相」の波でなければならない。
公式 beta = (Z2 - Z1) / (Z2 + Z1) に Z2 = 0 を代入すると、beta = -Z1 / Z1 = -1 となり、数学的にも整合する。選択肢(4)は符号を間違えて「1(正相反射)」としており、これでは接地点の電圧が 2倍になってしまい、接地の定義に矛盾する。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「開放(係数 1)」と「短絡(係数 -1)」の数値を逆に覚えたり、符号を無視したりしてしまいがちである。
特に、
・反射係数の公式の分子が「行先(Z2) - 元(Z1)」なのか逆なのかを曖昧にしている。
・「電圧が 0 になるためには逆向きの波が必要だ」という物理的な打ち消しのイメージを持っていない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、公式に頼る前に「接地点(0V)に波がぶつかったら、どう跳ね返れば 0 を維持できるか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、接続先のインピーダンス Z2 の状態(開放、短絡、整合)を確認する。
2. 次に、境界点での「電圧」がどうあるべきかを考える(短絡なら 0V、開放なら電流 0)。
3. 電圧が 0 になるためには反射係数は -1、電流が 0 になるためには(電圧)反射係数は +1 であるという原則を思い出す。
4. 公式 (Z2-Z1)/(Z2+Z1) に極端な値(0 または 無限大)を代入して、自分のイメージと計算が一致するか確認する。
この流れを身につければ、送電線のサージ解析問題で、自信を持って正解を選べるようになる。
問99
過渡エネルギー損失
静電容量 C [F] のコンデンサを、抵抗 R [ohm] を介して直流電圧 V [V] の電源で充電する際、充電開始から完了までに「抵抗 R で消費されるエネルギー」に関する記述として、適切なものはどれか。
- 抵抗 R の値が大きくなるほど、消費エネルギーは増大する。
- 充電が速く完了する(R が小さい)ほど、消費エネルギーは増大する。
- 抵抗値 R にかかわらず、常に 0.5 * C * V^2 のエネルギーが消費される。
- 電源が供給する全エネルギーの 1/3 が抵抗で消費される。(正解)
- コンデンサに蓄えられるエネルギーよりも、抵抗で消費されるエネルギーの方が必ず大きくなる。
解説
【正解】
(3)
【設問の意図】
この問題は、コンデンサの充電におけるエネルギー収支の「普遍的な法則」を理解しているかを問う問題である。
注目すべきポイントは、抵抗 R が計算結果に「残るのか、消えるのか」という点であり、ここからエネルギー保存の本質を見抜けるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、抵抗で消費されるエネルギーは、抵抗値 R の大きさによらず、コンデンサに蓄えられるエネルギーと等しくなるため、(3)が正解となる。
物理現象に立ち返って考える。電源がコンデンサを充電するために送り出した全エネルギーは W = Q * V = (CV) * V = CV^2 である。
一方、最終的にコンデンサに蓄えられるエネルギーは WC = 0.5 * C * V^2 である。
この「差分(全エネルギー - 蓄積エネルギー)」である 0.5 * C * V^2 が、途中の経路にある抵抗 R で熱として消費された分である。
驚くべきことに、計算を積分で行うと R の項は途中で相殺されて消えてしまう。つまり、ゆっくり充電(大きな R)しても、素早く充電(小さな R)しても、最終的に「入れたエネルギーの半分は途中で捨てる」という宿命は変わらないのである。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「抵抗が大きいほど熱が出るはずだ」という直感に頼ってしまいがちである。
特に、
・エネルギー消費(R*i^2)の「R」だけに注目し、同時に「電流 i」が小さくなる影響を考慮できていない。
・過渡現象を積分計算の結果としてではなく、断片的な公式の組み合わせで捉えている。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「コンデンサに電気を詰め込む際、どれだけ丁寧に(ゆっくり)行っても、摩擦(抵抗)による損失の総量は変わらない」という物理的なパラドックスを理解しておくことが重要である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、電源が供給した全エネルギー(QV)を求める。
2. 次に、コンデンサに最終的に貯まったエネルギー(0.5*CV^2)を求める。
3. その差額が「どこで消費されたか(抵抗)」を確認する。
4. その結果が抵抗値 R に依存しない定数(0.5*CV^2)であることを思い出し、選択肢を選ぶ。
この流れを身につければ、一見複雑なエネルギー計算問題でも、本質的な収支から一瞬で正解を導き出せる。
問100
複雑な回路の過渡
2つのループを持つ回路(二次の回路)において、スイッチの切り替え後に発生する過渡現象の挙動を決定する「特徴的な性質」に関する記述として、適切なものはどれか。
- 回路の応答は、必ず単一の指数関数 e^(-t/tau) で表される。
- 回路内に L が 2つある場合、時定数は常にそれらの和 L1 + L2 で決まる。
- 回路の特性方程式(行列 A の固有値)が複素数解を持つ場合、応答は振動的になる。
- 抵抗の配置を変えても、回路の「減衰の速さ」は変化しない。(正解)
- エネルギー蓄積素子が 2つある回路では、過渡現象は必ず 1秒以内に終了する。
解説
【正解】
(3)
【設問の意図】
この問題は、高次の回路(素子が複数ある回路)が、単なる減衰だけでなく「振動」という新しい振る舞いを見せる条件を理解しているかを問う問題である。
注目すべきポイントは、数学的な「解(固有値)」の形と物理的な挙動の対応関係であり、ここが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、特性方程式の解が複素数(実部 + 虚部)になると、虚部がサイン・コサインの「振動」を生み出すため、(3)が正解となる。
物理現象に立ち返って考える。エネルギー蓄積素子が 2つ以上ある回路(例:RLC回路)では、エネルギーが L(磁気)と C(静電)の間を行ったり来たりする「キャッチボール」が起こる可能性がある。
この現象を数学的に表したのが特性方程式であり、その解が複素数になるということは、系が「振動成分」を持っていることを意味する。実部がマイナスであれば、その振動は徐々に小さくなりながら(減衰振動)定常状態へ向かう。一方、一次の回路(L 1つ、または C 1つ)では、エネルギーのやり取り相手がいないため、ただひたすら減衰するだけであり、振動は起こり得ない。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「過渡現象=指数関数の減衰」という一次回路のイメージをすべてに当てはめてしまいがちである。
特に、
・「複素数」という数学的用語が、物理的な「振動」とどう結びついているのかをイメージできていない。
・高次回路における「干渉」や「共振」の可能性を考慮していない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「エネルギーの蓄え場所が 2箇所あるとき、それらが互いにエネルギーを押し付け合う状況」を想像する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、回路の「次数(L と C の合計個数)」を確認する。
2. 次に、二次以上の回路であれば、単純な減衰だけでなく「振動」や「二重の減衰」が起こり得ることを思い出す。
3. 数学的な裏付けとして、特性方程式(s^2 + as + b = 0 など)の判別式 D < 0 (複素数解)が振動の条件であることを特定する。
4. 選択肢を比較し、数学的な解の性質(複素数)と物理的な挙動(振動)を正しく結びつけている記述を選ぶ。
この流れを身につければ、難易度の高い高次回路の解析問題でも、その挙動の本質を論理的に見抜くことができる。