第二種電気主任技術者 電磁気学

問21

磁束密度と透磁率 磁界の強さを H [A/m]、磁束密度を B [T]、透磁率を mu [H/m] としたとき、磁気的性質に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 磁束密度 B と磁界の強さ H の間には、B = mu * H という関係がある。
  2. 透磁率 mu は、真空中での透磁率 mu0 と比透磁率 mur の積(mu = mu0 * mur)で表される。
  3. 比透磁率 mur は、物質の磁気的な「通りやすさ」を表す無次元の定数である。
  4. 鉄などの強磁性体では、比透磁率は非常に大きな値を持ち、一定の定数として扱える。
  5. 磁束密度は、単位面積あたりを垂直に貫く磁束の量として定義される。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、磁気的な性質を決める「透磁率」が、特に強磁性体においてどのような挙動を示すかという物理的な本質を理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、「強磁性体の比透磁率が一定かどうか」であり、ここから磁気飽和やヒステリシス現象をイメージできるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、強磁性体の比透磁率は磁界の強さによって変化するため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。鉄などの強磁性体は、外部からの磁界 H を受けると内部の磁区が揃い、磁束 B が急激に増える。しかし、ある程度まで磁界を強めると磁区がすべて揃ってしまい、それ以上磁束が増えにくくなる「磁気飽和」という現象が起きる。 B = mu * H の式において、B が頭打ちになるのに H だけが増えれば、比透磁率 mu は減少していくことになる。つまり、比透磁率は「一定の定数」ではなく、磁界の強さ H に依存して変化する。したがって、定数として扱えると断言している選択肢(4)は誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は計算問題を解く際に「鉄の比透磁率は 2000 とする」といった与えられた数値に慣れすぎており、それが物理的な不変の定数であると思い込んでしまう。 特に、 ・「比」とつく言葉のイメージから、物質ごとに決まった不変の割合だと誤解している。 ・磁気飽和という物理的な限界を考慮せず、数式上の比例関係(B = mu * H)が無限に続くと考えている。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「強磁性体の内部で磁区がどう動くか、限界はないのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、問題の対象が「真空」か「強磁性体」かを確認する。 2. 真空であれば mu0 は定数だが、強磁性体であれば磁気飽和があることを思い出す。 3. B-H 曲線(ヒステリシス曲線)の形状を想像し、傾き(透磁率)が場所によって変わることを確認する。 4. 選択肢を比較し、強磁性体において「常に一定」「比例する」といった、飽和現象を無視した記述を消去する。 この流れを身につければ、磁気特性に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。

問22

電磁力(ローレンツ) 磁界中に置かれた導体に電流が流れるときに働く電磁力、および磁界中を移動する電荷に働く力(ローレンツ力)に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 磁束密度 B [T] の一様な磁界中で、長さ L [m] の導体に電流 I [A] が流れるとき、働く力の最大値は B * I * L である。
  2. 電磁力の向きは、磁界の方向と電流の方向の両方に垂直である。
  3. 一様な磁界中を移動する点電荷 q [C] に働くローレンツ力は、電荷の速度 v [m/s] に比例する。
  4. 磁界の方向と電流の方向が平行であるとき、導体に働く電磁力は最大となる。
  5. ローレンツ力は、電荷の運動方向を曲げる働きをするが、電荷の速さを変える仕事はしない。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、磁界と電流(または移動電荷)が相互作用する際の「方向の依存性」という物理的な仕組みを根本から理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、磁界と電流の「なす角」であり、ここから力の大きさを正しくイメージできるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、磁界と電流が平行なとき、電磁力は「ゼロ」になるため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。電磁力の大きさ F は、F = B * I * L * sin theta という式で表される(theta は磁界と電流のなす角)。sin theta は、2つのベクトルが「垂直(90度)」のときに最大値 1 となり、「平行(0度または180度)」のときには 0 となる。 直感的には、磁力線を横切る(切る)ように動くときに最も大きな反作用が生じ、磁力線に沿って動くときには磁気的な干渉が起きないため力は働かない、と理解できる。したがって、平行なときに最大となるとする選択肢(4)は、物理法則と正反対である。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「電磁力は B, I, L をかければいい」という計算手順だけを暗記しており、角度の要素(外積の性質)を軽視してしまう。 特に、 ・「平行=向きが揃っている=力が強まる」という漠然としたイメージを持ってしまう。 ・フレミングの左手の法則の指がそれぞれ垂直であることを知っていても、指を垂直にできない(平行な)状況でどうなるかを考えていない。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、電流は磁力線をザクザクと切っているのか、それともスルーしているのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、磁界と電流(または速度)の「向き」の関係を確認する。 2. sin theta のグラフを思い出し、90度で最大、0度でゼロになることを再確認する。 3. 「磁力線を横切る量」が力の源泉であるという物理イメージを持つ。 4. 選択肢を比較し、平行な状態で「最大になる」「力が働く」としている記述を、物理的にあり得ないものとして排除する。 この流れを身につければ、電磁力の方向特性に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。

問23

平行導体間の電磁力 真空中において、距離 r [m] を隔てて平行に置かれた2本の無限長直線導体に、それぞれ電流 I1 [A]、I2 [A] が流れているときに働く力に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 2つの電流が同じ向きに流れているとき、導体間には吸引力が働く。
  2. 2つの電流が互いに逆向きに流れているとき、導体間には反発力が働く。
  3. 単位長さあたりに働く力の大きさは、電流 I1 と I2 の積に比例する。
  4. 単位長さあたりに働く力の大きさは、距離 r の2乗に反比例する。
  5. この力は、一方の電流が作る磁界によって、他方の電流が受ける電磁力として説明される。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、2つの電流が磁界を介して及ぼし合う力の「距離特性」を根本から理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、力の大きさが距離に対して「何乗に反比例するか」であり、磁界の広がり方をイメージできるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、平行導体間の力は距離 r に「(1乗に)反比例」するため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。この力は「一方の電流 I1 が距離 r の場所に作る磁界 H」の中に、「もう一方の電流 I2」が置かれていると考えることで導かれる。 無限長直線電流が距離 r に作る磁界 H は、円周の広がり(2 * pi * r)に反比例するため、H = I1 / (2 * pi * r) となる。電磁力 F は F = B * I2 * L であり、B = mu0 * H であるから、F は H に比例し、結果として距離 r の「1乗」に反比例することになる。 クーロンの法則(点電荷)や万有引力のような「2乗に反比例」するケースは、エネルギーが球面上(3D)に広がる場合である。直線電流(2Dの広がり)では 1乗反比例となるため、選択肢(4)は誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「電磁気の問題で反比例といえば 2乗だろう」という先入観を持っており、公式を正確に使い分けられない。 特に、 ・直線電流の磁界 H = I / 2pir の式の分母が 1乗であることを、力の計算に結びつけていない。 ・吸引・反発の向き(同方向=吸引)の丸暗記に気を取られ、大きさの法則を疎かにしている。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、磁界は円として広がっているのか、球として広がっているのか」を確認する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、電流の形状(無限長直線)を確認する。 2. アンペールの法則から、直線電流の作る磁界は円周(2 * pi * r)に反比例することを思い出す。 3. 力はその磁界に比例するため、力も同じく r の 1乗に反比例することを論理的に導く。 4. 選択肢を比較し、点電荷のような 2乗反比例(0.25倍など)を主張している記述を消去する。 この流れを身につければ、距離特性に関するひっかけ問題でも正解へたどり着ける。

問24

磁気回路のオーム法則 磁気回路と電気回路の対応関係に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 磁気回路における「磁束」は、電気回路における「電流」に対応する。
  2. 磁気回路における「起磁力」は、電気回路における「起電力」に対応する。
  3. 磁気回路における「磁気抵抗」は、電気回路における「電気抵抗」に対応する。
  4. 電気回路では電流が流れるとエネルギーが消費されるが、磁気回路で一定の磁束を保持する際にも、常にエネルギーが消費され続ける。
  5. 磁束、起磁力、磁気抵抗の間には、起磁力 = 磁気抵抗 * 磁束 というオームの法則に似た関係が成り立つ。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、磁界という「状態」を維持することと、電流という「移動」を維持することの物理的な違いを根本から理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、エネルギーの消費(損失)の有無であり、ここから「場」の性質をイメージできるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、一定の磁束を保持するだけではエネルギーは消費されないため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。電気回路において電流が流れるということは、電荷が抵抗の中をぶつかりながら移動し続けることを意味し、常にジュール熱としてエネルギーを消費する。 一方、磁束とは「磁気的な状態」であり、例えば永久磁石が磁束を出し続けていても、それだけで磁石のエネルギーが減ることはない。電磁石の場合でも、コイルの抵抗による損失(銅損)はあるが、磁束そのものを「維持」するためにエネルギーを吸い込み続けるわけではない。 したがって、一定の磁束を保持する際に常にエネルギーが消費され続けるとしている選択肢(4)は、物理的な「場」の概念を誤認しており誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は電気回路とのアナロジー(類推)に頼りすぎてしまい、すべての性質が同じであると思い込んでしまう。 特に、 ・「抵抗(磁気抵抗)」という言葉があるからには、そこを通る際に摩擦のような損失があるはずだと直感的に誤解してしまう。 ・「電磁石に電気を流し続けないと磁力が維持できない」という日常の経験を、磁束自体の性質と混同している。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「磁束という『状態』を作るのにエネルギーは要るが、維持するのにエネルギーを垂れ流す必要があるか」を問い直す手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、磁気回路と電気回路の「対応するもの」と「本質的に異なるもの」を整理する。 2. 電流は「流れ(移動)」であり、磁束は「場(状態)」であることを再認識する。 3. 永久磁石がエネルギーを消費せずに磁力を維持できている事実を思い出す。 4. 選択肢を比較し、維持におけるエネルギー消費を主張するような、電気回路との過度な類推による間違いを指摘する。 この流れを身につければ、磁気回路の本質に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。

問25

鉄心の磁気抵抗 断面積 S [m^2]、磁路の長さ l [m]、透磁率 mu [H/m] の鉄心の磁気抵抗 Rm に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 磁気抵抗 Rm は、磁路の長さ l に比例する。
  2. 磁気抵抗 Rm は、断面積 S に反比例する。
  3. 鉄心にわずかな空気隙間(ギャップ)を設けると、磁気回路全体の磁気抵抗は著しく減少する。
  4. 磁気抵抗 Rm は、透磁率 mu に反比例する。(正解)
  5. 磁気抵抗の単位は、[A/Wb] または [H^-1] と表される。

解説

【正解】 (3) 【設問の意図】 この問題は、磁束の通りやすさが「媒質の変化」によって受ける影響の大きさを根本から理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、空気の透磁率と鉄の透磁率の圧倒的な差であり、ここからギャップの影響をイメージできるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、空気隙間を設けると磁気抵抗は「急激に増加する」ため、(3)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。鉄の透磁率は空気の数千倍以上である。磁気抵抗は透磁率に反比例するため、空気は鉄に比べて数千倍「磁束が通りにくい(抵抗が高い)」物質といえる。 磁気回路にわずかでも空気の層が入ると、それは電気回路でいえば導線の一部を非常に高い抵抗器に置き換えるようなものである。たとえ隙間がわずかであっても、そこでの抵抗が支配的になり、回路全体の磁気抵抗は跳ね上がる。 したがって、隙間によって磁気抵抗が「減少する」としている選択肢(3)は、透磁率の大小関係を逆転させて捉えており誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は公式 Rm = l / (mu * S) を覚えていても、mu の具体的な数値のオーダー(桁数)の差を実感できていない。 特に、 ・「隙間=障害物がなくなる」という漠然としたイメージを持ってしまい、磁束にとっては空気こそが最大の障害物であることを忘れている。 ・鉄心の磁気飽和を防ぐためにギャップを設けるという応用知識と、単純な抵抗の増減を混同してしまう。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「磁束にとって、鉄のハイウェイと空気の砂利道のどちらが走りやすいか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、鉄(強磁性体)と空気(非磁性体)の透磁率の圧倒的な差(mu_iron >> mu_air)を確認する。 2. 磁気抵抗 Rm は透磁率 mu に反比例するという基本式を思い出す。 3. 通りやすい鉄の一部を通りにくい空気に変えたら、抵抗はどうなるかを論理的に考える。 4. 選択肢を比較し、隙間(ギャップ)によって「抵抗が減る」「磁束が増える」といった、物理的に矛盾した記述を排除する。 この流れを身につければ、磁気回路の設計思想に関する問題でも論理的に正解へたどり着ける。

問26

ファラデーの法則 電磁誘導に関する「ファラデーの法則」および「レンツの法則」に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. コイルを貫く磁束が変化すると、その変化を妨げる方向に誘導起電力が発生する。
  2. 誘導起電力の大きさは、コイルを貫く磁束の時間変化率に比例する。
  3. コイルの巻き数を増やしても、磁束の変化率が同じであれば誘導起電力の大きさは変わらない。
  4. 磁束の変化が急峻であるほど、発生する誘導起電力は大きくなる。(正解)
  5. 誘導起電力の向きに関する法則(妨げる方向)は、エネルギー保存の法則に基づいている。

解説

【正解】 (3) 【設問の意図】 この問題は、誘導起電力が「何によって決定されるか」という物理的な積み重ね(直列接続の原理)を根本から理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、コイルの「巻き数」が起電力に与える影響であり、ここからエネルギーの加算をイメージできるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、誘導起電力は巻き数 N に「比例して大きくなる」ため、(3)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。コイルの1巻き1巻きは、それぞれが磁束の変化を受けて小さな電圧を生み出す「電池」のようなものである。コイルとして何周も巻かれているということは、これらの小さな電池がすべて直列につなげられている状態と同じである。 したがって、全体の誘導起電力 e は、1巻きあたりの起電力に巻き数 N を掛けたもの(e = -N * dPhi/dt)になる。巻き数を増やせば、同じ磁束の変化でもより大きな電圧を得ることができる。これが変圧器や発電機の基本原理である。 したがって、「巻き数を増やしても大きさは変わらない」としている選択肢(3)は、電磁誘導の基本式および物理的構造を誤認しており誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「磁束の変化(dPhi/dt)」という主役にばかり目を奪われ、それを拾い上げる「受け皿(巻き数)」の重要性を忘れてしまう。 特に、 ・「磁束は共通なのだから、どこで測っても同じではないか」と漠然と考えてしまう。 ・巻き数 N が式の中で単なる係数としてどこにかかっているのかを正確に記憶していない。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、1つの電池を使っているのか、N個の電池を直列につないでいるのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、ファラデーの法則の基本式(e = -N * dPhi/dt)を書き出す。 2. 電圧を大きくするためには「磁束を速く動かす」か「たくさん巻く」の2つの方法があることを再確認する。 3. コイルの各ターン(巻き)で発生した起電力が足し合わされる様子を想像する。 4. 選択肢を比較し、巻き数による増幅効果を否定している記述を、発電機の原理に反するものとして消去する。 この流れを身につければ、電磁誘導の基礎問題で確実に正解へたどり着ける。

問27

フレミングの法則 フレミングの「右手の法則」および「左手の法則」の使い分けと内容に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 左手の法則は、磁界中で電流が受ける「力の向き」を知るために用いられ、電動機の原理に対応する。
  2. 右手の法則は、磁界中を導体が移動したときに発生する「誘導起電力の向き」を知るために用いられ、発電機の原理に対応する。
  3. 両法則において、人差し指は「磁界(磁束密度)」の方向を表す。
  4. 左手の法則において、中指は「電流」の方向、親指は「力」の方向を表す。
  5. 右手の法則において、親指を「磁界」の方向に合わせると、人差し指が「移動方向」を表す。

解説

【正解】 (5) 【設問の意図】 この問題は、2つの法則における「各指の役割」という基本ルールを正確に記憶し、空間的な位置関係を正しくイメージできるかどうかが分かれ目となる。 条件の中で注目すべきポイントは、それぞれの指が表す「物理量」の固定された組み合わせである。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、右手の法則でも親指は「移動方向(力の方向)」を表すため、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。フレミングの法則は、右手(発電機)でも左手(電動機)でも、指と物理量の対応関係は基本的に揃っている。 ・親指:力(移動方向) [Force / Motion] ・人差し指:磁界 [Field] ・中指:電流(誘導起電力) [Current] 覚え方として「電(中指)・磁(人差し指)・力(親指)」という順序が一般的である。 選択肢(5)では、親指を磁界の方向に合わせるとしており、これは標準的な指の割り当てと異なっている。人差し指が磁界を担当するのが基本ルールであるため、この記述は誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「右手と左手のどっちがどっちだったか」に集中しすぎてしまい、指一本一本の役割をあやふやにしたまま試験に臨んでしまう。 特に、 ・中指と人差し指の役割を入れ替えて覚えてしまう。 ・親指を常に「主役(知りたいもの)」だと勘違いし、状況に応じて役割を変えてしまう。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、自分の手で『電・磁・力』の順に指を差して確認する」手順を飛ばしてしまうことが、うっかりミスの最大の原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、右手(発電機=動かして電気を作る)と左手(電動機=電気を流して動かす)の使い分けを再確認する。 2. 次に、中指から順に「電(中)・磁(人)・力(親)」の呪文を指に当てはめる。 3. どの指が何を表すかは左右共通であるという大原則(※向きは変わるが、指の担当は変わらない)を思い出す。 4. 選択肢を比較し、指の担当(例えば親指が磁界など)を入れ替えている不正確な記述を特定する。 この流れを身につければ、法則の定義問題で迷うことなく正解へたどり着ける。

問28

自己インダクタンス コイルの自己インダクタンス L [H] に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 自己インダクタンスは、コイルに流れる電流の変化に対して、自らの中に誘導起電力を発生させる能力の尺度である。
  2. コイルの巻き数を 2倍にすると、他の条件が同じであれば自己インダクタンスは 2倍になる。
  3. 自己インダクタンス L は、コイルの巻き数 N と、電流 1 A あたりの貫通磁束 Phi の積(L = N * Phi / I)で定義される。(正解)
  4. 環状ソレノイドの自己インダクタンスは、鉄心の透磁率 mu に比例する。
  5. 自己インダクタンスに蓄えられるエネルギーは、電流の 2乗に比例する。

解説

【正解】 (2) 【設問の意図】 この問題は、インダクタンスというパラメータが「巻き数」に対してどのような幾何学的依存性を持つか、その物理的な二乗特性を根本から理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、巻き数 N の変化が「磁束の発生」と「その拾い上げ」の両方にどう効くかであり、ここが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、自己インダクタンスは巻き数 N の「2乗」に比例するため、(2)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。巻き数を 2倍にすると、まず「同じ電流を流したときに発生する磁力(磁束)」が 2倍になる。さらに、その増えた磁束を「2倍の巻き数で拾い上げる(リンクする)」ことになる。 つまり、「作る側」で N 倍、「受ける側」で N 倍の相乗効果が働くため、結果として自己インダクタンス L は N の 2乗に比例する(L = mu * N^2 * S / l)。 したがって、巻き数を 2倍にしても 2倍にしかならないとしている選択肢(2)は、この N^2 の物理的背景を見落としており誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「何でも 2乗に比例させるな」というこれまでの注意(直線電流の磁界など)に慎重になりすぎてしまい、逆に 2乗になるべき場所で 1乗だと判断してしまう。 特に、 ・定義式 L = N * Phi / I の形だけを見て、N が 1つしかないから 1乗だと思い込んでしまう(実際は Phi 自体の中に N が含まれている)。 ・「作る」プロセスと「受ける」プロセスが同じコイル内で行われている(自己誘導)という意味を深く考えていない。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、磁石としての強さが 2倍になり、かつ電池としての巻き数も 2倍になったら、合計で何倍のパワーが出るか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、自己インダクタンス L の構造式(mu * N^2 * S / l)を思い出す。 2. 「N^2」の由来が、磁束の発生(N)と鎖交数(N)の掛け算であることを論理的に納得する。 3. 巻き数を 2倍にすれば、インダクタンスは 4倍(2の2乗)になるという計算を常に行う。 4. 選択肢を比較し、巻き数に対して単なる比例(2倍なら2倍)と主張している記述を、物理的な相乗効果を無視したものとして排除する。 この流れを身につければ、インダクタンスの性質に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。

問29

相互インダクタンス 2つのコイル間の相互インダクタンス M [H] に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 相互インダクタンスは、一方のコイルの電流変化が他方のコイルに誘導起電力を発生させる度合いを表す。
  2. 2つのコイルの自己インダクタンスを L1、L2 とすると、相互インダクタンス M は常に M = L1 + L2 となる。
  3. 結合係数を k とすると、相互インダクタンスは M = k * sqrt(L1 * L2) という関係で表される。(正解)
  4. 結合係数 k は、0 から 1 までの値をとり、漏れ磁束がない理想的な状態では k = 1 となる。
  5. 相互インダクタンスの単位は、自己インダクタンスと同じヘンリー [H] である。

解説

【正解】 (2) 【設問の意図】 この問題は、2つのコイルが磁気的に結合する際の「相互作用の強さ」がどのように決定されるか、その数学的・物理的定義を根本から理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、相互インダクタンス M と各々の自己インダクタンスの「関係式」の形である。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、相互インダクタンスは自己インダクタンスの和ではなく「幾何平均(に結合係数をかけたもの)」で決まるため、(2)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。自己インダクタンス L1、L2 はそれぞれのコイルが単独で持つ性質である。一方、相互インダクタンス M は、それらが「どれだけ磁束を共有しているか」という関係性の強さを表す。 もし、2つのコイルが離れていて全く磁束を共有していなければ M は 0 になるが、このとき L1 + L2 は 0 にはならない。つまり、M は L1 や L2 の単純な足し算で決まるものではない。 正しい関係式は、結合係数 k を用いた M = k * sqrt(L1 * L2) である。足し算(和)ではなく掛け算(積の平方根)の関係にあるため、選択肢(2)は決定的な誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「直列接続されたコイルの合成インダクタンス(L = L1 + L2 + 2M)」という別の公式と混同してしまい、M そのものが足し算で求められると勘違いしてしまう。 特に、 ・「相互(M)」という言葉から、単純に 2つを合わせた量だというイメージを持ってしまう。 ・結合係数 k という「漏れ」の概念を数式にどう組み込むかを整理できていない。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、2つのコイルがどれくらい『重なり合って』いるか(相関があるか)」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、相互インダクタンス M が「2つのコイルのペア」で決まる値であることを認識する。 2. 公式 M = k * sqrt(L1 * L2) を思い出し、これが積のルートの形(幾何平均)であることを確認する。 3. 2つのコイルを離せば M は 0 になるという極端な例を考え、足し算(和)ではその現象を説明できないことに気づく。 4. 選択肢を比較し、インダクタンス同士を単に足しているような、結合の概念を無視した記述を消去する。 この流れを身につければ、相互誘導に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。

問30

磁気エネルギー 自己インダクタンス L [H] のコイルに電流 I [A] が流れているとき、蓄えられる磁気エネルギー W [J] に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 磁気エネルギー W は、(0.5) * L * I^2 という式で計算できる。
  2. 電流を 2倍にすると、蓄えられる磁気エネルギーは 4倍になる。
  3. 自己インダクタンス L を 2倍にすると、同じ電流 I に対してエネルギーは 2倍になる。
  4. 磁気エネルギーは、コイルの導体内部の電子の運動エネルギーとして蓄えられる。
  5. W = (0.5) * Phi * N * I という形(Phi は磁束、N は巻き数)でも磁気エネルギーを表せる。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、エネルギーが「どこに、どのような形で」蓄えられているのかという電磁気学的な本質(場のエネルギー)を根本から理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、エネルギーの「所在」であり、物質の中か空間の中かというイメージの峻別が分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、磁気エネルギーは導体内部ではなく、周囲の「磁界(空間)」の中に蓄えられるため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。電流が流れると、コイルの周囲の空間には磁界が生じる。磁気エネルギーとは、この「磁界が形成されている状態」そのものが持つエネルギーである。 これを「電子の運動エネルギー」だとしてしまうと、それは単なる電流の勢い(熱の原因など)を指すことになり、磁気的な性質の説明にはならない。実際、超電導コイルなどで電流を流し続けた場合、エネルギーはコイルが作る強力な磁界という「空間の歪み」として保持される。 したがって、エネルギーの所在を導体内部の電子だとしている選択肢(4)は、場のエネルギーという概念を誤認しており誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は計算式 W = (0.5)LI^2 の数字の扱いにのみ集中しており、エネルギーが目に見えない「空間」に溜まっているという感覚を掴めていない。 特に、 ・「電流(電子の流れ)」がエネルギーを運んでいるのだから、電子そのものがエネルギーを持っているはずだ、と直感的に考えてしまう。 ・コンデンサのエネルギーが「電界(空間)」に蓄えられることと、対比させて理解していない。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、磁石を近づけたときに感じる『引き合う力』の源はどこにあるのか(空間の反発か、中の電子の動きか)」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、磁気エネルギーの公式(0.5 * L * I^2)を思い出す。 2. 次に、コンデンサ(電界)とコイル(磁界)のエネルギーは「空間(場)」に蓄えられるという共通の原則を思い出す。 3. 電磁誘導などで磁界が消えるときにエネルギーが戻ってくる(逆起電力)のは、空間から回収しているからだ、と納得する。 4. 選択肢を比較し、エネルギーの所在を特定の物質(電子や原子)に限定して説明している記述を排除する。 この流れを身につければ、エネルギーの本質に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。

問31

オームの法則と抵抗 直流回路において、抵抗 R [ohm]、電圧 V [V]、電流 I [A] の関係に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 電圧 V を一定に保つと、電流 I は抵抗 R に反比例する。
  2. 抵抗 R を一定に保つと、電流 I は電圧 V に比例する。
  3. 電流 I を一定に保つと、電圧 V は抵抗 R に比例する。
  4. 抵抗 R の逆数をコンダクタンス G と呼び、その単位はジーメンス [S] である。
  5. 電圧 V と電流 I の積は電力量 [W・h] を表す。

解説

【正解】 (5) 【設問の意図】 この問題は、電気回路の最も基本となるオームの法則と、電力・電力量の定義を正しく区別できているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、単位と物理量の対応関係であり、ここを起点に定義を整理できているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、電圧 V と電流 I の積は「電力 [W]」を表し、「電力量 [W・h]」ではないため、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。電力 P [W] とは「単位時間あたりに消費される電気エネルギー」であり、P = V * I で求められる。これに対し、電力量 W [J] または [W・h] は「一定時間内に消費されたエネルギーの総量」であり、電力に時間を乗じたもの(W = P * t)である。 したがって、単なる V と I の積を電力量としている選択肢(5)は定義の誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「電力」と「電力量」という言葉の響きが似ているため、それらを混同してしまいがちである。 特に、 ・[W] と [W・s](または [J])の違いを意識していない。 ・計算問題で「電力を求めよ」と言われているのか「電力量を求めよ」と言われているのかを確認し忘れる。 といった罠に陥りやすい。 本問では、公式を使う前に「今、聞かれているのは瞬間の勢い(電力)なのか、溜まった量(電力量)なのか」を言葉の定義から区別する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、提示された用語(電圧、電流、抵抗、電力、電力量)の定義と単位を整理する。 2. 次に、オームの法則 V = I * R の変形が正しいかを確認する。 3. 電力 P = V * I = I^2 * R = V^2 / R の関係式を確認する。 4. 電力量は「電力 * 時間」であることを思い出し、単位の次元(時間の要素があるか)をチェックして矛盾を指摘する。 この流れを身につければ、基礎的な定義問題で論理的に正解へたどり着ける。

問32

導体の抵抗率と温度 導体の抵抗率と温度変化に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 一般に、金属導体の抵抗値は温度が上昇すると増加する。
  2. 抵抗率の温度係数 alpha は、温度が 1度 [degC] 上昇したときの抵抗の変化率を表す。
  3. 温度 0度 [degC] における抵抗を R0、温度 t [degC] における抵抗を Rt とすると、Rt = R0 * (1 + alpha * t) の関係がある。
  4. 標準軟銅の抵抗率は、温度 20度 [degC] において約 1.724 * 10^-8 [ohm・m] である。
  5. 半導体や絶縁体も、金属と同様に温度が上昇すると抵抗値が増加する。

解説

【正解】 (5) 【設問の意図】 この問題は、物質の種類によって「温度が抵抗に与える影響」が正反対になるという物性的な特徴を理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、物質の分類(金属か、それ以外か)であり、ここを起点に抵抗変化のメカニズムをイメージできるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、半導体や絶縁体は温度が上昇すると抵抗値が「減少」するため、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。金属の場合、温度が上がると原子の熱振動が激しくなり、自由電子の移動を妨げるため抵抗が増える。しかし、半導体や絶縁体では、温度が上がることで熱エネルギーを得た電子が「自由電子」として動けるようになる(価電子帯から伝導帯へ励起される)効果が勝るため、電気が流れやすくなり、抵抗は下がる。 したがって、これらを金属と同じ特性としている選択肢(5)は誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「温度が上がれば抵抗も上がるのが普通だ」という日常的な感覚や、金属での知識をすべての物質に当てはめてしまいがちである。 特に、 ・抵抗の温度係数が「正」のものと「負」のものがあることを知らない。 ・「抵抗率」という言葉の定義と、温度による変化の仕組みを混同している。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、対象としているのは自由電子が豊富な金属なのか、熱によってキャリアが増える半導体なのか」を区別する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、問題文に登場する物質(金属、半導体、カーボン、電解液など)を整理する。 2. 金属は「温度上昇 = 抵抗上昇」であることを確認する。 3. 半導体、絶縁体、電解液などは「温度上昇 = 抵抗減少」という特有の性質を思い出す。 4. 選択肢の中で、これら異なる性質を一括りにして「抵抗が増加する」と述べている矛盾を指摘する。 この流れを身につければ、材料特性に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。

問33

キルヒホッフの法則 回路網解析におけるキルヒホッフの法則に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 第一法則(電流則)は、回路の接続点において流入する電流の総和と流出する電流の総和が等しいことを表す。
  2. 第二法則(電圧則)は、回路の任意の閉路において起電力の総和と電圧降下の総和が等しいことを表す。
  3. 第一法則は、電荷保存の法則に基づいている。
  4. 第二法則は、エネルギー保存の法則に基づいている。
  5. 第二法則を適用する際、閉路を回る向きと電流の向きが反対であっても、電圧降下は常に正の値として加算しなければならない。

解説

【正解】 (5) 【設問の意図】 この問題は、法則を数式として知っているだけでなく、回路計算における「符号(向き)」の扱いという実務的なルールを正しく理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、閉路を回る向きと符号の関係であり、ここを起点に立式の手順を整理できているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、向きが反対の場合は電圧降下を「負」として扱う必要があるため、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。 計算の手順に立ち返って考える。キルヒホッフの第二法則(電圧則)で立式する場合、まず自分で「閉路を回る方向(時計回りなど)」を決める。この進む方向に対して、電流が「同じ向き」に流れていれば電圧降下は正(電位が下がる)とし、電流が「逆向き」に流れていれば電圧降下は負(電位が上がる)として加算しなければ、回路全体の電位の収支が合わなくなる。 したがって、「常に正の値として加算する」としている選択肢(5)は計算ルールとして誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は V = I * R という大きさだけに注目し、回路図上での「矢印の向き」と符号の関係を曖昧にしたまま解こうとしてしまう。 特に、 ・「降下」という言葉に引きずられ、向きに関わらずすべて引き算(または足し算)にしてしまう。 ・自分で設定した「仮の電流の向き」と「閉路の向き」の区別がついていない。 といった罠に陥りやすい。 本問では、立式の前に「自分は今、山を登っているのか(電位上昇)下っているのか(電圧降下)」を進む向きと電流の向きから判断する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. 第一法則が「接点の電流収支(電荷保存)」であることを確認する。 2. 第二法則が「一回りの電位収支(エネルギー保存)」であることを確認する。 3. 自分で閉路の矢印を書き込み、電流の向きと「順方向」ならマイナス(または降下側の辺)、「逆方向」ならプラス(または上昇側の辺)と符号を決める。 4. 選択肢を比較し、向きを無視して「常に正」と断定しているような、論理的な一貫性のない記述を指摘する。 この流れを身につければ、複雑な回路方程式でも符号ミスをせず正解へたどり着ける。

問34

抵抗の直並列接続 抵抗の接続と合成抵抗に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. n 個の等しい抵抗 R を直列に接続すると、合成抵抗は n * R となる。
  2. n 個の等しい抵抗 R を並列に接続すると、合成抵抗は R / n となる。
  3. 2つの抵抗 R1、R2 を並列に接続したときの合成抵抗 R は、R = (R1 * R2) / (R1 + R2) で求められる。
  4. 並列接続において、各抵抗に流れる電流は、それぞれの抵抗値に比例する。
  5. 直列接続において、各抵抗に加わる電圧は、それぞれの抵抗値に比例する。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、並列回路における「電流の分流」の法則を、比例・反比例の物理的な関係から正しく理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、並列接続での電流と抵抗の関係であり、ここから「流れやすさ」をイメージできるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、並列接続での電流は抵抗値に「反比例」するため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。並列接続された抵抗には、すべて同じ電圧 V が加わる。オームの法則 I = V / R より、電圧 V が一定であれば、電流 I と抵抗 R は反比例の関係にある。つまり、抵抗が「大きい(流れにくい)」道ほど電流は「少なく」なり、抵抗が「小さい(流れやすい)」道ほど電流は「多く」なる。 したがって、「抵抗値に比例する」としている選択肢(4)は、物理現象を正反対に記述しており誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は直列回路(V = I * R で V と R が比例する)の関係と混同したり、公式の形をうろ覚えのまま解こうとしてしまう。 特に、 ・「抵抗が大きい=値が大きい=電流も大きい」という単純な言葉の連想をしてしまう。 ・分流の式において、分子に来るのが「自分の抵抗」なのか「相手の抵抗」なのかを混同している。 といった罠に陥りやすい。 本問では、計算の前に「道が分かれているとき、水(電流)は障害物(抵抗)が多い方にたくさん流れるか?」という直感的なチェックをする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. まず、接続が「直列」か「並列」かを確認する。 2. 並列であれば「電圧 V が共通」であることを思い出す。 3. V = I * R より、V が固定なら I と R は反比例(I = V / R)であることを導く。 4. 選択肢を比較し、物理的に「通りにくい場所にたくさん流れる」という矛盾した主張を見抜いて指摘する。 この流れを身につければ、分流計算のミスを防ぎ、論理的に正解へたどり着ける。

問35

電池の内部抵抗 内部抵抗 r [ohm]、起電力 E [V] の電池に負荷抵抗 R [ohm] を接続したとき、端子電圧 V [V] と電流 I [A] に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 回路を流れる電流 I は、I = E / (R + r) で表される。
  2. 電池の端子電圧 V は、V = E - I * r で表される。
  3. 負荷抵抗 R を小さくしていくと、端子電圧 V は上昇する。
  4. 電池を短絡させたとき(R = 0 のとき)、流れる電流は I = E / r となる。(正解)
  5. 負荷に供給される電力は、端子電圧 V と電流 I の積(P = V * I)である。

解説

【正解】 (3) 【設問の意図】 この問題は、理想的な電源とは異なる「実際の電源(電池)」で起こる電圧降下の現象を理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、負荷の変化と端子電圧の関係であり、内部でのロスをイメージできるかどうかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、負荷抵抗 R を小さくすると電流が増え、内部抵抗による電圧降下が大きくなるため、端子電圧 V は「低下」する。したがって、(3)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。電池の内部には目に見えない抵抗 r が存在する。電流 I が流れると、この内部抵抗で I * r という分の電圧が「横取り」されてしまう。負荷抵抗 R を小さくするということは、回路全体の抵抗が減り、流れる電流 I が増えることを意味する。電流が増えれば内部でのロス(I * r)も増えるため、外へ取り出せる電圧 V は起電力 E から大きく削られ、低下する。 したがって、「端子電圧が上昇する」としている選択肢(3)は誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は電源を「常に一定の電圧を出す魔法の箱」だと思い込んでおり、内部抵抗の存在を忘れてしまいがちである。 特に、 ・「負荷が小さい=楽に流せる=電圧も元気に出るだろう」という漠然としたイメージを持ってしまう。 ・V = E - I * r の式のマイナス記号の物理的な意味(引き算=ロス)を意識していない。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、電池の中で熱として逃げてしまうエネルギー(電圧降下)は増えたのか減ったのか」を確認する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. 起電力 E、内部抵抗 r、外部負荷 R の直列回路図を頭の中に描く。 2. 負荷 R が小さくなったとき、回路の総抵抗が減り、電流 I が増えることを導く。 3. 端子電圧の式 V = E - I * r を書き出し、I が増えたときに V がどう動くかを確認する。 4. 選択肢の中で、電流の増加に伴って電圧が上がると述べている矛盾した記述を指摘する。 この流れを身につければ、実用的な電源回路の問題で論理的に正解へたどり着ける。

問36

重ね合わせの理 複数の電源を含む線形回路網における「重ね合わせの理」に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 各電源が単独に存在するときの、電流または電圧の代数和として全体の値を求めることができる。
  2. 特定の電圧源による影響を調べるとき、他の「電圧源」はすべて短絡(電圧を 0 に)する。
  3. 特定の電流源による影響を調べるとき、他の「電流源」はすべて開放(電流を 0 に)する。
  4. 重ね合わせの理は、電力の計算にもそのまま適用できる。すなわち、各電源による電力の和が全体の電力となる。
  5. この法則は、抵抗、電圧源、電流源からなる線形回路において成立する。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、重ね合わせの理が「線形(1次式)」の関係にある物理量にのみ適用できるという本質的な制約を理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、対象となる物理量(電圧・電流か、電力か)であり、ここが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、電力は「電流や電圧の2乗」に比例する非線形な量であるため、重ね合わせの理は適用できない。したがって、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。電力 P は I^2 * R や V^2 / R で表される。例えば、電流 I1 による電力 P1 = I1^2 * R と、電流 I2 による電力 P2 = I2^2 * R の和は、(I1^2 + I2^2) * R である。しかし、実際の電力 P は (I1 + I2)^2 * R であり、これには 2 * I1 * I2 * R という「交差項」が含まれるため、単純な和とは一致しない。 したがって、「電力の計算にもそのまま適用できる」としている選択肢(4)は誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「重ね合わせは便利だから、何でも足せばいい」とルールの適用範囲を広げすぎてしまいがちである。 特に、 ・「電圧と電流が足せるなら、それらを掛け合わせた電力も足せるだろう」と直感的に考えてしまう。 ・「線形」という言葉の意味(足し算が保存される性質)を、電力の式(2乗の式)と結びつけて考えていない。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、足そうとしている量は単純な 1乗の量(電圧・電流)なのか、それとも 2乗が絡む量(電力)なのか」を確認する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. 重ね合わせの理の基本操作(他の電圧源は短絡、電流源は開放)を確認する。 2. この法則が適用できるのは「電圧」と「電流」の代数和であることを思い出す。 3. 電力 P は V * I であり、足し算の結果を 2乗(または積)にすると単純な和にならない数学的事実を確認する。 4. 選択肢を比較し、電力の加算を肯定している記述を消去する。 この流れを身につければ、複雑な回路計算の理論問題で論理的に正解へたどり着ける。

問37

テブナンの定理 複雑な回路網を、一つの電圧源 V0 と一つの抵抗 R0 の直列回路に置き換える「テブナンの定理」に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 置き換え後の電圧 V0 は、出力端子を開放したときの端子間電圧(開放電圧)に等しい。
  2. 置き換え後の抵抗 R0 は、内部の全電源を 0 にしたときの端子側から見た合成抵抗に等しい。
  3. 内部電源を 0 にする際、電圧源は短絡、電流源は開放として扱う。
  4. この定理を用いると、負荷抵抗を変化させたときの電流の変化を容易に計算できる。
  5. 置き換え後の等価回路は、理想的な電圧源と抵抗の「並列」回路である。

解説

【正解】 (5) 【設問の意図】 この問題は、複雑な回路を単純化する際の「等価回路の構造」を正しく理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、電源と抵抗の接続方法(直列か、並列か)であり、ここを起点に定理の定義を整理できているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、テブナンの等価回路は電圧源と抵抗の「直列」回路であるため、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。 回路理論に立ち返って考える。テブナンの定理は、ある端子から見た回路全体を「どれだけの勢い(電圧)で、どれだけの通りにくさ(内部抵抗)を持っているか」というセットに要約するものである。電圧源から電力を取り出す際、その内部抵抗によって電圧が削られる様子をモデル化するため、電圧源と抵抗は必ず一本道の「直列」に並んでいなければならない。 したがって、「並列回路である」としている選択肢(5)は、定理の定義(および物理的な等価性)に反している。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「テブナンの定理(直列)」と、その対になる「ノートンの定理(並列)」を混同してしまいがちである。 特に、 ・どちらが電圧源で、どちらが電流源を使う等価回路だったかを曖昧に記憶している。 ・等価回路の絵(モデル)を頭の中でイメージせず、言葉だけで覚えようとしている。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、単純化しようとしているモデルは『電圧の山と、そこからの坂道(直列抵抗)』なのか」を確認する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. テブナンの定理は「等価電圧源モデル」であることを思い出す。 2. 電圧源モデルにおいて、負荷に流れる電流を調整するのは「直列」に挿入された抵抗であることを確認する。 3. ノートンの定理(電流源モデル)が「並列」であることを思い出し、両者を明確に区別する。 4. 選択肢を比較し、テブナンの定理の説明に「並列」という言葉が混じっている矛盾を指摘する。 この流れを身につければ、回路の等価変換問題で論理的に正解へたどり着ける。

問38

ノートンの定理 複雑な回路網を、一つの電流源 I0 と一つの抵抗 R0 の並列回路に置き換える「ノートンの定理」に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 置き換え後の電流 I0 は、出力端子を短絡したときに流れる電流(短絡電流)に等しい。
  2. 置き換え後の抵抗 R0 は、テブナンの定理で用いられる等価抵抗 R0 と同じ値である。
  3. 理想的な電流源 I0 に負荷を接続しない(開放する)と、等価抵抗 R0 にすべての電流が流れる。
  4. ノートンの等価回路は、テブナンの等価回路と互いに変換可能である。
  5. 置き換え後の等価回路は、電流源と抵抗の「直列」回路である。

解説

【正解】 (5) 【設問の意図】 この問題は、複雑な回路を電流の視点で単純化する際の「等価回路の構成」を正しく理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、電流源と抵抗の接続方法(並列か、直列か)であり、ノートンの定理の本質をイメージできているかが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、ノートンの等価回路は電流源と抵抗の「並列」回路であるため、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。 回路理論に立ち返って考える。ノートンの定理は、回路を「どれだけの電流を供給する能力(電流源)があり、そのうちどれだけが内部に漏れてしまうか(並列抵抗)」というモデルで表す。一定の電流を出す源があり、そこに負荷と並列に抵抗を置くことで、負荷が重ければ(抵抗が大きければ)内部抵抗側へ電流が逃げ、負荷が軽ければ(短絡すれば)負荷側へ電流が流れるという挙動を表現する。このため、電流源と抵抗は「並列」でなければならない。 したがって、「直列回路である」としている選択肢(5)は、定理の定義に反している。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「テブナンの定理(電圧源+直列抵抗)」のイメージに引っ張られ、電流源の場合も直列に繋ぐべきだと勘違いしてしまいがちである。 特に、 ・電流源に抵抗を直列に繋いでも、電流源の性質(常に一定の電流を出す)によって電流値が変わらないため、モデルとして意味をなさないことに気づいていない。 ・テブナンとノートンの「直並列の対応」を逆に覚えてしまっている。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、電流を『負荷』と『内部の逃げ道』に分流させるモデルを作っている」という並列のイメージを描く手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. ノートンの定理は「等価電流源モデル」であることを特定する。 2. 電流源モデルでは、負荷に流れる電流を制限するために「並列」に分流路を作る必要があることを理解する。 3. テブナンの定理(電圧+直列)との対称性(デュアリティ)を思い出す。 4. 選択肢を比較し、電流源に対して「直列」と記述している物理的に機能しないモデルの説明を指摘する。 この流れを身につければ、回路の簡略化理論で論理的に正解へたどり着ける。

問39

ミルマンの定理 複数の起電力と内部抵抗を持つ枝路が並列に接続された回路の端子電圧を求める「ミルマンの定理」に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. この定理は、多くの並列枝路を持つ回路の節点電位を一度の計算で求めるのに便利である。
  2. 端子電圧 V は、各枝路の「電流の総和」を「コンダクタンスの総和」で割ることで求められる。
  3. 起電力 E と抵抗 R の直列枝路における電流成分は E / R として扱う。
  4. 内部抵抗のみで起電力がない枝路がある場合、その枝路は計算から除外してよい。
  5. 分母に来るコンダクタンスの総和には、すべての並列枝路の 1 / R を含める必要がある。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、ミルマンの定理の計算式において「どの要素が結果に寄与するか」という公式の構成を正確に理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、起電力のない枝路(単なる抵抗のみの道)の扱いでり、ここが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、起電力がない枝路であっても「コンダクタンス(1 / R)」の成分は分母の合計に含まれるため、除外してはならない。したがって、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。ミルマンの定理は、各枝路をノートンの等価回路(電流源と並列抵抗)に変換して合成する手法に近い。起電力がない枝路は「電流源は 0(分子への寄与は 0)」だが、「並列抵抗(分母への寄与)」は依然として存在し、全体の電圧を引き下げる要因となる。これを無視すると、電圧が実際よりも高く計算されてしまう。 したがって、「計算から除外してよい」としている選択肢(4)は誤りである。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「電池がない道は電気が湧いてこないから、電圧の計算に関係ないだろう」と直感的に判断してしまいがちである。 特に、 ・分子(起電力の寄与)が 0 になることと、分母(抵抗による電圧抑制)が無視できることを混同している。 ・公式の形(Σ(E/R) / Σ(1/R))において、Σ が何を指しているのか(すべての並列路)を正確に把握していない。 といった罠に陥りやすい。 本問では、計算の前に「今、この起電力のない道が『電圧を地面(0V)に引っ張る重り』として機能している」ことをイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. ミルマンの定理の公式 V = (Σ Ei * Gi) / (Σ Gi) を思い出す。 2. 分子の項では Ei = 0 ならばその枝路の寄与は消えることを確認する。 3. 分母の項(Σ Gi)は、並列に繋がっているすべての道の「通りやすさ」の合計であることを再確認する。 4. 選択肢を比較し、分母のコンダクタンス計算から特定の枝路を勝手に除外しようとする記述を指摘する。 この流れを身につければ、複雑な節点電位の計算で論理的に正解へたどり着ける。

問40

最大電力伝送の定理 内部抵抗 r [ohm]、起電力 E [V] の直流電源に、可変の負荷抵抗 R [ohm] を接続したとき、負荷で消費される電力が最大となる条件に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 負荷抵抗 R が電源の内部抵抗 r と等しいとき(R = r)、負荷電力は最大となる。
  2. 最大電力が供給されているとき、電源から出力される端子電圧は E / 2 となる。
  3. 最大電力の大きさは、E^2 / (4 * r) で表される。
  4. 電力が最大となるとき、回路のエネルギー伝送効率(負荷消費電力 / 電源発生電力)は 100% となる。
  5. 負荷抵抗 R を内部抵抗 r より大きくしていくと、伝送効率は向上するが、供給される電力は減少していく。(正解)

解説

【正解】 (4) 【設問の意図】 この問題は、「最大のパワーを送ること」と「効率よく送ること」が、実はトレードオフの関係にあるという電力工学の重要なジレンマを理解しているかを問う問題である。 条件の中で注目すべきポイントは、最大電力時の効率であり、ここが分かれ目となる。 【正解の理由(なぜこれが正しいか)】 結論から言うと、負荷電力を最大にする条件(R = r)のとき、伝送効率は 50%(0.5)となるため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。 物理現象に立ち返って考える。R = r のとき、電源内で発生した電圧 E は、内部抵抗 r と負荷抵抗 R で半分ずつ(E/2 ずつ)分け合われる。このとき、電源内部で消費(ロス)される電力と、外部負荷で消費される電力が等しくなるため、効率はちょうど 50% になる。 効率を 100% に近づけるには、内部抵抗でのロスを減らすために負荷 R を極めて大きくする必要があるが、そうすると流れる電流が激減し、送れる電力の絶対量(パワー)は小さくなってしまう。 したがって、最大電力時に「効率 100%」とする選択肢(4)は物理的な矛盾である。 【初心者がここで迷う理由】 学習段階の浅い場合、多くの人は「最大=一番良い状態=効率も最高だ」と、言葉のポジティブなイメージに引きずられてしまいがちである。 特に、 ・「電力(ワット)」と「効率(パーセント)」の区別がついていない。 ・効率 100% とは「一滴も漏らさず送る」ことであり、そのためには「ゆっくり(電流を小さく)送る」必要があるという実感を伴っていない。 といった罠に陥りやすい。 本問では、判断の前に「今、全力を出そうとして自分(内部抵抗)も半分汗をかいている(熱損失)」状態をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。 【本番での判断フロー】 本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。 1. 最大電力伝送の条件 R = r を思い出す。 2. そのとき、内部と外部の抵抗が同じなので、電圧も電力損失も「半分こ」になることを導く。 3. 半分がロスになるのだから、効率は必ず 50% になるという論理を確定させる。 4. 選択肢を比較し、「最大電力」と「最高効率」を同一視している、あるいは 100% という非現実的な数値を挙げている記述を指摘する。 この流れを身につければ、電力伝送の理論問題で論理的に正解へたどり着ける。