第二種電気主任技術者 電磁気学
問1
クーロンの法則
真空中に置かれた2つの点電荷 q1 [C] と q2 [C] の間に働くクーロン力に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 力の大きさは、2つの電荷の積に比例する。
- 力の大きさは、電荷間の距離の2乗に反比例する。
- 2つの電荷が同符号の場合は反発力、異符号の場合は吸引力となる。
- 電荷間の距離を2倍にすると、力の大きさは0.25倍になる。
- 電荷間の距離を0.5倍にすると、力の大きさは2倍になる。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、単なる暗記ではなく、静電気力における「物理的な現象(距離と力の関係)」を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、電荷間の距離の変化であり、ここからクーロン力の変化をイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、距離が0.5倍になると力は4倍になるため、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。
公式をただ覚えるのではなく、クーロンの法則の物理現象に立ち返って考える。
電荷が周囲に及ぼす影響(電界)は、距離が離れるにつれて球面上に広がり薄まっていく。球の表面積は半径の2乗に比例して大きくなるため、力はその「2乗」に反比例して急激に弱くなるという性質がある。
この法則に従えば、距離が半分(0.5倍)になれば、影響が及ぶ面積は0.25倍になるため、単位面積あたりの力(およびクーロン力)は逆数の4倍となる。
したがって、「力が2倍になる」としている選択肢(5)が誤りであると判断できる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「クーロン力は距離に反比例する」とだけ曖昧に記憶し、パターンの丸暗記で解こうとしてしまう。
特に、
・「距離が半分になれば、力は2倍になるだろう」という単純な反比例のイメージを持ってしまう。
・分母の「2乗」という要素の物理的な意味(三次元空間での広がり)を理解していない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、計算に入る前に「距離が変わると影響力は面積の広がりとしてどう変わるか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の条件(距離の倍率など)を整理する。
2. 次に、その条件下で起こる物理現象(空間への広がりと2乗則)を思い浮かべる。
3. その現象を説明できる基本法則(クーロン力の分母は距離の2乗)を引っ張り出す。
4. 選択肢を比較し、距離を0.5倍にしたとき、0.5の2乗=0.25、その逆数で4倍になる、という事実と矛盾しているものを探し出す。
この流れを身につければ、未知のパターンの問題が出ても、論理的に正解へたどり着ける。
問2
点電荷の電界と電位
真空中に置かれた点電荷が周囲に作る電界と電位に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 電界の強さは、点電荷からの距離の2乗に反比例する。
- 電位の大きさは、点電荷からの距離に反比例する。
- 点電荷から距離 r 離れた点の電界の強さを E とすると、無限遠を基準としたその点の電位 V は V = E × r と表される。
- 負の点電荷の周囲では、点電荷に近づくほど電位は高くなる。
- 電界の向きは、正の点電荷を置いたときにその電荷が受ける力の向きと一致する。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、単なる暗記ではなく、電界と電位に関する「物理的な現象(エネルギーの高低)」を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、電荷の正負であり、ここから周囲の空間のポテンシャル(電位)の勾配をイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、負の電荷に近づくほど電位は「低く」なるため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
公式をそのまま当てはめるのではなく、現象に立ち返って考える。
電位とは「+1 C の電荷を無限遠からその場所まで運ぶのに必要な仕事(エネルギー)」と定義される。もし対象が負の点電荷であれば、+1 C の電荷は引力を受けるため、自然に引き寄せられる。つまり、外から仕事をする必要がなく、逆にエネルギーを放出する状態になる。
このとき、物理現象としては「負の電荷に近づくほど、位置エネルギーの谷が深くなる」状態になる。
したがって、点電荷に近づくほど電位は「低くなる」が正しく、「高くなる」としている選択肢(4)が誤りとなる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は公式の文字式だけを覚えており、プラスマイナスの物理的な意味を理解していないまま解こうとしてしまう。
特に、
・「点電荷に近づく=距離が小さくなる=反比例で値が大きくなる=高くなる」と機械的に考えてしまう。
・電位の基準(無限遠を0とする)と、正負の電荷が作る「山」と「谷」のイメージを持てていない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、計算に入る前に「今、空間上にプラスの山ができているのか、マイナスの谷ができているのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、迷いやミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の条件(対象が負の点電荷であること)を整理する。
2. 次に、その条件下で起こる物理現象(プラスのテスト電荷を置いたとき、どちらに引き寄せられるか)を思い浮かべる。
3. 自然に引き寄せられる方向が「エネルギーが低い(=電位が低い)方向」であるという原則を引っ張り出す。
4. 選択肢を比較し、負の電荷に近づくほど電位が高くなるとする説明が、物理法則に矛盾していることを見抜いて絞り込む。
この流れを身につければ、未知のパターンの問題が出ても、論理的に正解へたどり着ける。
問3
電界の重ね合わせ
複数の点電荷が存在する空間の電界に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 複数の点電荷が作る電界は、各点電荷が単独で作る電界のベクトル和となる。
- 正と負の等量の点電荷が距離を置いて配置された電気双極子の中点では、電界の強さはゼロになる。
- 2つの正の等しい点電荷を結ぶ直線の中点では、電界の強さはゼロになる。(正解)
- 重ね合わせの理は、電位についても適用でき、各点電荷が作る電位の代数和となる。
- 誘電率が一定の媒質中であれば、電界の計算において真空の誘電率を媒質の誘電率に置き換えて重ね合わせを計算できる。
解説
【正解】
(2)
【設問の意図】
この問題は、単なる暗記ではなく、複数の電荷による「物理的な現象(ベクトルとしての重ね合わせ)」を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、各電荷が作る電界の「向き」であり、空間上でそれらがどのように合成されるかをイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、電気双極子の中点では電界はゼロにならないため、(2)の選択肢が不適切(正解)となる。
公式や規定をそのまま当てはめるのではなく、現象に立ち返って考える。
電気双極子とは、正(プラス)と負(マイナス)の同じ大きさの電荷が少し離れて置かれたものである。この2つの電荷の中央の点に、観測用の「+1 C」のテスト電荷を置いたと想像する。
プラスの電荷はこのテスト電荷を「押し出し」、マイナスの電荷はこのテスト電荷を「引き寄せる」。つまり、どちらの力も「プラスからマイナスへ向かう方向」に働く。
ベクトルとして同じ向きの力が加わるため、打ち消し合うどころか加算され、電界の強さはゼロにはならない。
したがって、中点で電界がゼロになるとしている選択肢(2)が誤りとなる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「等しい大きさで符号が逆だから、足したらゼロになる」とスカラー量(単なる数字)の計算のようにパターンの丸暗記で解こうとしてしまう。
特に、
・電界が「大きさと向きを持つベクトル」であることを忘れ、プラスとマイナスで相殺されると思い込む。
・同符号の電荷の中点(選択肢3の状況)と、異符号の電荷の中点(選択肢2の状況)の区別がついていない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、計算や判断に入る前に「今、空間の中点でテスト電荷がどちらに力を受けるか」を矢印でイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の条件(電気双極子=正と負のペア)を整理する。
2. 次に、その条件下で起こる物理現象(真ん中に置かれたプラス電荷が受ける力の向き)を思い浮かべる。
3. 正電荷からは反発し、負電荷には引かれるため、矢印が同じ方向を向くという事実を引っ張り出す。
4. 選択肢を比較し、矢印が足し合わされるにもかかわらず「ゼロになる」と主張している矛盾したものを絞り込む。
この流れを身につければ、未知のパターンの問題が出ても、論理的に正解へたどり着ける。
問4
ガウスの定理
ガウスの定理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 任意の閉曲面を貫く電気力線の総数は、その閉曲面内部にある全電荷の量を誘電率で割った値に等しい。
- 閉曲面外にある電荷は、その閉曲面を貫く電気力線の総数に影響を与えない。
- ガウスの定理は、電荷分布が球対称や円筒対称などの対称性を持つ場合、電界の強さを求めるのに非常に有効である。
- 内部に電荷を含まない閉曲面の場合、表面の任意の点における電界の強さは必ずゼロになる。
- 無限に広い平面上に一様に電荷が分布している場合、平面から離れた場所の電界の強さは距離によらず一定となる。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、単なる暗記ではなく、ガウスの定理が表す「物理的な現象(空間への流出入の収支)」を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、「閉曲面内部の電荷の有無」と「表面での電界の強さ」の関係であり、局所的な電界と全体の総和(積分)の違いをイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、内部に電荷がなくても表面の電界がゼロになるとは限らないため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
数式をそのまま当てはめるのではなく、現象に立ち返って考える。
ガウスの定理は「ある風船(閉曲面)を考えたとき、その中から湧き出す電気力線の総和は、中に入っている電荷の量に比例する」というものである。
もし風船の外側に大きな電荷があった場合、その電荷からの電気力線は風船を「貫通」する。つまり、風船の片側から入って、反対側から出ていくことになる。
このとき、入る量(マイナス)と出る量(プラス)が等しいため、風船全体での「総和」はゼロになる。しかし、電気力線が貫通している以上、風船の表面の各点では明らかに電界が存在している。
したがって、「表面の任意の点における電界の強さは必ずゼロになる」と断定している選択肢(4)が誤りであると判断できる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「内部電荷 Q = 0 なら、公式の E × S = 0 だから E = 0 だ」と数式の丸暗記で解こうとしてしまう。
特に、
・積分記号の意味を忘れており、「面の総和がゼロ」と「各点でゼロ」を混同している。
・外部に電荷がある状況を頭の中で描けていない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断に入る前に「今、空間(風船の表面)で何が起きているか、外部からの影響はないのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の条件(内部に電荷を含まない閉曲面)を整理する。
2. 次に、その条件下で起こる物理現象(内部から湧き出す力線はないが、外部から貫通する力線はあり得るか)を思い浮かべる。
3. 全体の収支(総和)がゼロであることと、局所的な電界がゼロであることは全く別であるという原則を引っ張り出す。
4. 選択肢を比較し、物理現象の可能性(外部からの電界)を無視して「必ずゼロになる」と断言しているものを消去法で絞り込む。
この流れを身につければ、論理的に正解へたどり着ける。
問5
導体表面の電荷分布
静電平衡状態にある孤立した導体の性質に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 帯電した導体の電荷は、すべて導体の表面にのみ分布し、内部には存在しない。
- 導体内部の電界の強さは、常にゼロである。
- 導体表面の電界は、表面に対して常に垂直な方向を向く。
- 導体表面における電荷密度は、表面の曲率半径が大きい(平らな)部分ほど高くなる。
- 導体全体は等電位であり、表面のどの点でも電位は等しい。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、単なる暗記ではなく、静電平衡状態における「物理的な現象(電子の反発と安定化)」を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、導体表面の形状(曲率半径)であり、ここから電荷がどのように分布して安定するかをイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、電荷密度は曲率半径が「小さい(尖った)」部分ほど高くなるため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
公式や規定をそのまま当てはめるのではなく、現象に立ち返って考える。
導体に与えられた同種の電荷(例えばすべてマイナスの電子)は、お互いに反発し合うため、できるだけ遠くへ逃げようとする。その結果、すべて表面に押しやられる。
表面が平らな場所(曲率半径が大きい場所)では、電荷は均等に散らばることができる。しかし、針の先のように尖った場所(曲率半径が小さい場所)では、電荷同士が奥へ逃げられず、先端部分に密集せざるを得なくなる。さらに、先端部分の電荷が作り出す電界は外側に向かって放射状に広がりやすく、お互いの反発力を空間に逃がしやすいため、より多くの電荷が集まることができる。
したがって、「平らな部分ほど電荷密度が高くなる」としている選択肢(4)が誤りとなる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「曲率半径」という言葉の定義(大きい=平ら、小さい=尖っている)を混同し、パターンの丸暗記で解こうとしてしまう。
特に、
・「半径が大きい」という言葉の響きから、「広い場所にたくさん集まるだろう」と直感的に誤解してしまう。
・「尖端放電(避雷針の原理)」という身近な現象と、曲率半径の大小を結びつけて考えていない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、計算や判断に入る前に「今、導体の尖った部分と平らな部分で、電荷の反発がどう落ち着くか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、迷いやミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の用語(曲率半径が大きい=平ら、小さい=尖っている)を正しく翻訳して整理する。
2. 次に、その条件下で起こる物理現象(電荷同士の反発と、避雷針などに電荷が集中する現象)を思い浮かべる。
3. 尖った部分に電荷が集中するという自然界の基本法則を引っ張り出す。
4. 選択肢を比較し、平らな部分に電荷が集中すると主張している物理法則に矛盾したものを見抜く。
この流れを身につければ、未知のパターンの問題が出ても、論理的に正解へたどり着ける。
問6
電気力線と等電位面
電気力線と等電位面の性質に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 電気力線は正の電荷から出て、負の電荷に入るか、無限遠まで伸びる。
- 電気力線同士が途中で交差したり、枝分かれしたりすることはない。
- 電気力線の密度が密集している場所ほど、電界の強さは大きい。
- 等電位面と電気力線は、必ず平行に交わる。
- 等電位面上を電荷が移動するとき、電界が電荷に対してする仕事はゼロである。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、単なる暗記ではなく、電界(電気力線)とエネルギーの等高線(等電位面)が織りなす「物理的な現象(力と仕事の関係)」を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、力線と面の「交わる角度」であり、ここから位置エネルギーの変化をイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、等電位面と電気力線は「垂直に(直角に)」交わるため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
公式や定義を字面で覚えるのではなく、現象に立ち返って考える。
「等電位面」とは、地図でいう「等高線(同じ高さの場所を結んだ線)」と同じである。一方「電気力線」は、ボールを置いたときに転がっていく方向、つまり「最も急な下り坂の方向」を表している。
山の等高線を歩くとき、高さを変えずに横移動するなら仕事(エネルギーの消費)はゼロである。そして、その横移動の方向に対して、ボールが転がる最も急な下り坂の方向は、必ず直角(垂直)になる。もし平行であれば、それは斜面を下っていることになり、高さ(電位)が変わってしまうため「等高線(等電位面)」ではなくなってしまう。
したがって、「平行に交わる」と主張している選択肢(4)は物理的にあり得ない誤りとなる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「垂直だったか、平行だったか」を単純な2択の記憶問題として丸暗記で解こうとしてしまう。
特に、
・等電位面を単なる「線や面」として捉え、それがエネルギーが等しい場所であることを実感していない。
・仕事の公式(W = F × d × cosθ)と角度の関係を結びつけて考えていない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断に入る前に「今、空間上で電荷がどう動けばエネルギーを消費しないか」という山の等高線のイメージを描く手順を飛ばしてしまうことが、記憶違いによるミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の条件(電気力線と等電位面)を整理する。
2. 次に、その条件下で起こる物理現象(等高線を歩くときと、坂を下るときの向き)を思い浮かべる。
3. 高さが変わらない方向(等電位)と、最も急に下る方向(電界)は常に直角であるという法則を引っ張り出す。
4. 選択肢を比較し、「平行」という物理現象と全く矛盾する記述を見つけて消去する。
この流れを身につければ、丸暗記に頼らずとも論理的に正解へたどり着ける。
問7
静電容量の計算
コンデンサなどの静電容量に関する記述として、誤っているものはどれか。
- コンデンサの静電容量は、蓄えられている電荷量に比例して大きくなる。
- 真空中の孤立導体球の静電容量は、その球の半径に比例する。(正解)
- 静電容量の単位はファラド [F] であり、1 F は 1 V の電位差で 1 C の電荷を蓄える容量である。
- コンデンサに誘電体を挿入すると、分極によって極板間の電位差が下がり、結果として静電容量は増加する。
- 静電容量は、電極の形状や配置、および電極間の媒質の誘電率によって決まる。
解説
【正解】
(1)
【設問の意図】
この問題は、単なる数式の暗記ではなく、静電容量というパラメータの「物理的な本質(容器としての性質)」を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、静電容量 C と電荷量 Q の関係であり、ここから「容量」という言葉の意味を正しくイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、静電容量は電荷量に依存せず一定であるため、(1)の選択肢が不適切(正解)となる。
公式 Q = C × V をそのまま数学的に捉えるのではなく、物理現象に立ち返って考える。
静電容量 C とは、水を入れる「バケツの底面積(本来の容量)」のようなものである。電荷 Q は「入れた水の量」、電位差 V は「水面の高さ」に相当する。
バケツに水をたくさん入れた(Qを増やした)からといって、バケツ自体の大きさ(C)が勝手に大きくなるわけではない。水面が高く(Vが大きく)なるだけである。バケツの大きさ(静電容量)は、あくまで容器の形状や材質(面積、距離、誘電率)という構造のみで決まる。
したがって、「蓄えられている電荷量に比例して大きくなる」としている選択肢(1)は、物理的性質を誤認しており不正解となる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「C = Q / V だから、分子の Q が大きくなれば C も大きくなるはずだ」と、数学的な比例関係だけで解こうとしてしまう。
特に、
・各パラメータのうち、何が原因で何が結果(従属変数)なのかを理解していない。
・静電容量が、抵抗(R)やインダクタンス(L)と同じく「回路素子固有の定数」であることを忘れている。
といった罠に陥りやすい。
本問では、数式をいじる前に「今、コンデンサという物理的な容器のサイズを変えているのか、単に中身を増やしているだけなのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、迷いやミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の条件(静電容量と電荷量の関係)を整理する。
2. 次に、その条件下で起こる物理現象(バケツに水を入れたとき、バケツのサイズ自体が変わるか)を思い浮かべる。
3. 静電容量は形状と材質のみで決まる定数であるという基本原則を引っ張り出す。
4. 選択肢を比較し、電荷量によって容量自体が変化すると主張している矛盾したものを見抜いて絞り込む。
この流れを身につければ、数式の見た目に騙されず、論理的に正解へたどり着ける。
問8
平行平板コンデンサ
極板面積 S、極板間距離 d、極板間の誘電率 ε の平行平板コンデンサに関する記述として、誤っているものはどれか。
- 平行平板コンデンサの静電容量は、極板の面積に比例し、極板間の距離に反比例する。
- 極板間の距離を半分にすると、静電容量は2倍になる。
- 電源を接続して極板間の電位差を一定に保ったまま距離を2倍にすると、蓄えられる電荷量は0.5倍になる。
- コンデンサを充電した後に電源を切り離し、極板間の距離を2倍にすると、極板間の電位差は0.5倍になる。
- 極板間に比誘電率が真空より大きい誘電体を隙間なく挿入すると、静電容量は大きくなる。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、単なる数式の暗記ではなく、コンデンサの操作において「何が一定に保たれるか」という物理的な制約を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、「電源を切り離した」という操作であり、ここから電荷の逃げ場がどうなったかをイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、距離を2倍にすると電位差は2倍に「大きくなる」ため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
公式をただ当てはめるのではなく、回路の状況に立ち返って考える。
「電源を切り離す」ということは、極板に蓄えられた電荷 Q が移動する道がなくなるため、電荷 Q が「一定(不変)」になる状態を意味する。
この状態で極板の距離 d を2倍に引き離すと、静電容量 C は公式 (C = ε S / d) に従い 0.5倍(半分)になる。バケツの例えで言えば、水の量 (Q) はそのままで、バケツの底面積 (C) が半分になった状態である。
水の量が同じで底面積が半分になれば、水面の高さ (V) は当然2倍に跳ね上がる。数式上でも V = Q / C であるから、分母が半分になれば値は2倍になる。
したがって、「電位差は0.5倍になる」としている選択肢(4)は誤りであると判断できる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「電源をつないだまま」と「電源を切り離した」の違いを意識せず、混同して解こうとしてしまう。
特に、
・「距離が遠くなる=力が弱まる=電圧も下がるだろう」と直感的に誤解してしまう。
・電源切り離し時は「Qが一定」、電源接続時は「Vが一定」という大前提を確認しない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、計算に入る前に「今、回路は閉じていて電圧が固定されているのか、孤立していて電荷が固定されているのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、致命的なミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の条件操作(電源をつないだままか、切り離したか)を整理する。
2. 次に、その条件下で固定されるパラメータ(切り離したならQが一定)を思い浮かべる。
3. 距離の変化が静電容量 C にどう影響するか(距離が2倍ならCは半分)を引っ張り出す。
4. 固定されたパラメータと変化したCから、残りのパラメータ(V)がどう動くかを導き出し、矛盾している選択肢を絞り込む。
この流れを身につければ、コンデンサの操作問題で論理的に正解へたどり着ける。
問9
同軸円筒コンデンサ
内部導体の外半径 a、外部導体の内半径 b、長さ l の同軸円筒コンデンサに関する記述として、誤っているものはどれか。
- 同軸円筒コンデンサの静電容量は、円筒の長さが長いほど大きくなる。
- 内部導体の半径を大きくして外部導体の内半径に近づけると、静電容量は大きくなる。
- 外部導体の内半径のみを大きくすると、静電容量は小さくなる。
- 電極間の電界の強さは、内部導体の表面付近が最も弱く、外部導体の内表面付近が最も強い。
- 電極間に誘電体を挿入すると、電界の分布の形状は変わらないまま静電容量は大きくなる。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、同軸ケーブル等の構造における「物理的な現象(空間の広がりと電界の集中)」を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、円筒の中心軸から外側に向かう「距離」であり、ここから電気力線の密度の変化をイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、電界の強さは内部導体表面付近が「最も強い」ため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
公式を丸暗記するのではなく、電界の物理現象に立ち返って考える。
同軸円筒において、内部導体から外部導体に向かって電気力線が放射状に伸びている状態を想像する。電気力線の総本数は、内側から外側まで一定である。
しかし、円筒の中心に近いほど円周(面積)は小さく、外側に向かうにつれて円周は大きくなる。同じ本数の線が狭い面積を通る内側ほど、線が密集している(密度が高い)状態になる。電界の強さは電気力線の密度そのものであるため、当然、面積が最も狭い「内部導体の表面」で最も密度が高く、電界は最強となる。
したがって、「内部導体の表面付近が最も弱い」としている選択肢(4)は、物理法則と完全に逆であり誤りとなる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「外側の方が面積が大きいから、何か大きな力が働くのではないか」と漠然としたイメージで解こうとしてしまう。
特に、
・電界の強さが「総量」ではなく「密度(単位面積あたり)」で決まることを忘れている。
・同軸ケーブルの絶縁破壊が、常に内部導体側から発生しやすいという実務的な現象と結びついていない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断に入る前に「今、空間の中で電気力線がギュッと密集しているのは中心側か外側か」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、迷いの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の条件(同軸円筒の内側と外側)を整理する。
2. 次に、その条件下で起こる物理現象(中心から外に向かって空間が広がっていく様子)を思い浮かべる。
3. 空間が狭い(半径が小さい)場所ほど線が密集し、電界が強くなるというガウスの定理の趣旨を引っ張り出す。
4. 選択肢を比較し、広い外側のほうが電界が強いと主張している、幾何学的に矛盾した記述を見抜いて消去する。
この流れを身につければ、未知のパターンの問題が出ても、論理的に正解へたどり着ける。
問10
球状コンデンサ
内球の半径 a、外球の内半径 b の同心球状コンデンサに関する記述として、誤っているものはどれか。
- 同心球状コンデンサの静電容量は、内球と外球の間の空間を満たす媒質の誘電率に比例する。
- 外球の半径を無限大に近づけた極限は、孤立した導体球の静電容量と一致する。
- 電極間の電位分布は、中心からの距離に反比例して変化する。
- 中心からの距離を r とすると、電極間の電界の強さは r に反比例する。
- 内球の半径を一定としたまま外球の半径を大きくすると、静電容量は小さくなる。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、単なる暗記ではなく、球状対称の系における「物理的な現象(三次元空間での力の減衰)」を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、電界の強さが「距離に対してどう変化するか」であり、立体の表面積の広がり方を正しくイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、球状コンデンサの電界は距離 r の「2乗」に反比例するため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
公式の文字式をそのまま当てはめるのではなく、空間の広がりに立ち返って考える。
点電荷や球状の電荷から生じる電気力線は、三次元のあらゆる方向へ放射状に広がっていく。ある距離 r における電気力線の密度(=電界の強さ)は、力線の総本数をその距離での「球の表面積」で割ったものになる。
球の表面積は 4πr^2 であり、距離 r の「2乗」に比例して急激に大きくなる。面積が2乗で大きくなるということは、その分だけ密度は急激に薄まるため、電界の強さは r の2乗に反比例する。
「距離 r に反比例する(1乗に反比例)」というのは、円筒形のように二次元的に広がる場合の法則であるため、球状コンデンサに関する記述としては選択肢(4)が誤りとなる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「電位は反比例、電界は2乗に反比例」という知識と、円筒コンデンサなどの他の形状の公式を混同して解こうとしてしまう。
特に、
・「電界 E」と「電位 V」の距離に対する変化率の違いを正確に覚えていない。
・球(三次元の広がり)と円筒(二次元の広がり)の違いがもたらす、分母の次元(r なのか r^2 なのか)の物理的意味を理解していない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、数式を思い出す前に「今、電気力線は球面上に広がっているのか、筒状に広がっているのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、混同によるミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の条件(対象が「球状」コンデンサであること)を整理する。
2. 次に、その条件下で起こる物理現象(球の表面積が距離によってどう広がるか)を思い浮かべる。
3. 面積は距離の2乗で広がるため、密度である電界は2乗で減衰するという幾何学的な事実を引っ張り出す。
4. 選択肢を比較し、電界が単に「r に反比例する」と主張している、次元の合わない説明を消去法で絞り込む。
この流れを身につければ、公式をど忘れしても、空間の広がり方から論理的に正解へたどり着ける。
問11
複合誘電体の電界
平行平板電極間に、誘電率の異なる2種類の誘電体(誘電率 ε1、ε2)が電極に対して平行に層状に配置されている。この複合誘電体に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 各誘電体層を貫く電束密度は、境界において不連続に変化する。
- 各誘電体層内の電界の強さは、その誘電率に反比例する。(正解)
- 境界における電界の法線成分の比は、誘電率の比の逆数に等しい。
- 全電位差が一定の場合、誘電率が小さい層ほど電界の強さが大きくなる。
- この構成は、2つのコンデンサが直列に接続されたものと等価である。
解説
【正解】
(1)
【設問の意図】
この問題は、異なる物質が重なる境界で「何が保存され、何が変化するか」という物理的な連続性を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、電極に対して「平行」に層が重なっている点であり、ここから電束の通り道をイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、電極に平行な境界では電束密度 D は連続(一定)となるため、(1)の選択肢が不適切(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。電界 E はプラスからマイナスへ向かう「勢い」であり、電束 D はその「通り道の密度」である。
電極に対して平行に誘電体が並んでいる場合、電気力線(電束)は一方の電極から出て、全ての層を順番に突き抜けてもう一方の電極へ向かう。途中で枝分かれや漏れがない限り、一つの層を抜けた電束はそのまま次の層へ入るため、境界をまたいでも電束の密度 D は変わらない(連続である)。
一方で、D = εE という関係があるため、D が一定なら E は誘電率 ε に反比例して変化する。したがって、「電束密度が不連続に変化する」としている選択肢(1)は物理法則に反している。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「電界」と「電束密度」のどちらが連続でどちらが変化するのかを、理屈抜きに丸暗記しようとして混乱してしまう。
特に、
・「誘電率が変わるのだから、通りやすさが変わって電束の量も変わるだろう」と直感的に誤解してしまう。
・電極に「垂直」な境界(並列接続)の場合と、「平行」な境界(直列接続)の場合の法則を混同している。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「電束(線)の通り道が一本道(直列)なのか、別れ道(並列)なのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、誘電体の重なり方が電極に対して「平行」か「垂直」かを確認する。
2. 平行(層状)であれば、電束が各層を貫通する「直列モデル」であることを特定する。
3. 直列であれば、全層を貫く「電束の密度 D」はどこでも同じ(連続)であるという原則を思い出す。
4. D = εE より、ε が大きいほど E が小さくなる反比例の関係を導き出し、選択肢の記述と照合する。
この流れを身につければ、複雑な複合誘電体の問題でも、論理的に正解へたどり着ける。
問12
電束密度と誘電率
誘電率 ε [F/m] の誘電体で満たされた空間における、電界 E [V/m] と電束密度 D [C/m^2] の関係に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 電束密度 D は、電界 E に誘電率 ε を乗じた値(D = εE)で定義される。
- 電束密度は、誘電体内の分極の影響を含めた電荷の分布状態を表す。
- 真空の誘電率を ε0、比誘電率を εr とすると、ε = ε0 × εr と表される。
- 同じ電界 E の中に異なる比誘電率の誘電体を置いたとき、比誘電率が大きいほど電束密度は小さくなる。
- ガウスの定理によれば、閉曲面を貫く全電束は、その内部に含まれる自由電荷の総量に等しい。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、誘電体という物質が「電気的な通りやすさ」をどのように変えるのか、その物理的な本質(比誘電率の役割)を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、電界が一定という条件下での電束密度の変化であり、誘電率というパラメータの意味を正しくイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、比誘電率が大きいほど電束密度は「大きく」なるため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
現象に立ち返って考える。誘電率 ε とは「電束(電気の通り道)の作りやすさ」を表す定数である。
電界 E という「電気的な圧力」が同じ強さで加わっている場合、作りやすさの指標である ε が大きい物質ほど、より多くの電束 D を生じさせることができる(D = εE)。
これは、オームの法則(I = V / R)において電圧が一定なら導電率が高いほど電流が流れやすくなるのと似た関係である。したがって、比誘電率が大きいほど電束密度が小さくなるとする選択肢(4)は、定義と矛盾している。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「誘電体を入れると電界が弱まる」という一部分の知識だけを暗記しており、パラメータの従属関係を整理せずに解こうとしてしまう。
特に、
・「誘電率が大きい=分極が強い=元の電界を打ち消す力が強い」という点にばかり意識が向き、電界が一定という前提条件を無視してしまう。
・D と E のどちらが原因でどちらが結果なのか、問題の状況設定を読み飛ばしてしまう。
といった罠に陥りやすい。
本問では、数式を思い出す前に「今の状況では、圧力が固定されているのか、通り道の量が固定されているのか」を確認する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文で「電界 E」と「電束密度 D」のどちらが変化し、どちらが固定されているか(あるいは比較対象か)を確認する。
2. 次に、誘電率 ε が「電束の作りやすさ」であるという物理的定義を思い出す。
3. E が共通であれば、作りやすさ ε が大きいほど、結果としての量 D も大きくなるという単純な比例関係を導く。
4. 選択肢を比較し、物理的な「通りやすさ」と「結果の量」が逆転している記述を見つけ出す。
この流れを身につければ、誘電率の定義問題で論理的に正解へたどり着ける。
問13
コンデンサの接続
静電容量 C1 [F]、C2 [F] の2つのコンデンサを接続した回路に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 2つのコンデンサを並列に接続した場合、合成静電容量は C1 + C2 となる。
- 2つのコンデンサを直列に接続した場合、合成静電容量は (C1 × C2) / (C1 + C2) となる。
- 並列接続では、各コンデンサに加わる電圧は等しく、蓄えられる電荷の比は静電容量の比に等しい。
- 直列接続では、各コンデンサに蓄えられる電荷は等しく、加わる電圧の比は静電容量の比に等しい。
- 直列接続の合成静電容量は、接続された個々のコンデンサのいずれの容量よりも必ず小さくなる。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、コンデンサの接続において「電圧」と「電荷」がどのように配分されるか、その回路理論的な根拠を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、直列接続時における「電圧と容量の関係」であり、ここから電荷の保存則をイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、直列接続では電圧の比は容量の比の「逆数(反比例)」になるため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。直列接続とは、電荷 Q が一本道でつながっている状態であり、各コンデンサには同じ量の電荷 Q が蓄えられる。
Q = C × V という関係において、Q が一定であれば、電圧 V と静電容量 C は反比例する(V = Q / C)。これは、バケツ(コンデンサ)に同じ量の水(電荷)を注いだとき、底面積(容量)が小さいバケツほど、水面の高さ(電圧)が高くなる現象と同じである。
したがって、「電圧の比が容量の比に等しい(比例する)」としている選択肢(4)は、この反比例の法則に反している。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は抵抗の接続(V = I × R で V と R が比例する)のイメージと混同し、パターンの丸暗記で解こうとしてしまう。
特に、
・「直列=比例、並列=反比例」という抵抗回路のルールをそのままコンデンサに当てはめてしまう。
・Q = C × V の式において、何が一定で何が変数なのかを回路図から判断できていない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、公式を使う前に「今、どのコンデンサにも同じ量の『電気の粒』が並んでいる」という直列のイメージを描く手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、接続が「直列」か「並列」かを確認する。
2. 直列であれば「電荷 Q が共通」、並列であれば「電圧 V が共通」であることを特定する。
3. Q = C × V の関係から、Q が一定なら V は C に反比例し、V が一定なら Q は C に比例することを導く。
4. 選択肢を比較し、この比例・反比例の関係が「抵抗」と「コンデンサ」で逆になっていることに注意しながら、矛盾を指摘する。
この流れを身につければ、回路の計算ミスを防ぎ、論理的に正解へたどり着ける。
問14
静電エネルギー
静電容量 C [F] のコンデンサに電圧 V [V] を加え、電荷 Q [C] を蓄えたときに蓄えられる静電エネルギー W [J] に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 静電エネルギー W は、(0.5) × C × V^2 という式で計算できる。
- 電荷 Q を一定に保ったまま静電容量 C を 2倍にすると、静電エネルギーは 2倍になる。
- 電圧 V を一定に保ったまま静電容量 C を 2倍にすると、静電エネルギーは 2倍になる。(正解)
- 静電エネルギーは、極板間の電界が持つエネルギーとして蓄えられる。
- W = (0.5) × Q × V という式も、静電エネルギーを表す正しい表現である。
解説
【正解】
(2)
【設問の意図】
この問題は、コンデンサに蓄えられたエネルギーが「容量」や「電圧」の変化によってどう動くか、そのエネルギー保存の仕組みを根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、「何を一定に保つか」という制約であり、ここからエネルギーの数式を使い分けられるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、電荷 Q が一定のとき、容量 C を 2倍にするとエネルギーは 0.5倍に「減少」するため、(2)の選択肢が不適切(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。静電エネルギーの式には、W = (0.5)CV^2 だけでなく、Q = CV を代入した W = (0.5)Q^2 / C という形もある。
「電荷 Q を一定に保つ」という条件下では、後者の式(Qが固定された式)を見るのが合理的である。この式から、エネルギー W は容量 C に「反比例」することがわかる。容量を増やすということは、同じ量の電荷をよりゆったりと(低い電圧で)蓄えられるようになることを意味し、系の持つエネルギー(緊張状態)は緩和され、減少する。
したがって、「エネルギーが2倍になる」としている選択肢(2)は、この反比例関係を見落としており誤りとなる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は W = (0.5)CV^2 という最も有名な式だけを思い浮かべ、「C が 2倍なら W も 2倍だろう」と短絡的に考えてしまいがちである。
特に、
・式の中に含まれる V が、C の変化に伴って一緒に変わってしまう(V = Q / C)ことに気づいていない。
・問題文の「電荷一定」という重要な制約条件を読み飛ばしている。
といった罠に陥りやすい。
本問では、計算の前に「今、エネルギーを蓄えている『器(容量)』を大きくしたとき、中身の『密度(電圧)』がどう変わるか」をセットでイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文で固定されている値が「電圧 V(電源接続)」か「電荷 Q(電源遮断)」かを確認する。
2. 固定されている値が分子に来るようなエネルギーの式を選択する。(V一定なら CV^2 の形、Q一定なら Q^2 / C の形)
3. その式を用いて、容量 C の変化が W に比例するか反比例するかを正しく判定する。
4. 選択肢の中で、この関係性に矛盾する結論を出しているものを絞り込む。
この流れを身につければ、エネルギーの変化問題で論理的に正解へたどり着ける。
問15
誘電体内の分極
電界中に置かれた誘電体内部で生じる「分極」現象に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 分極とは、電界によって誘電体内部の正負の電荷がわずかに変位し、微小な電気双極子が形成される現象である。
- 分極の結果、誘電体の表面には分極電荷が現れ、外部電界と同じ向きの内部電界を作り出す。
- 比誘電率が大きい物質ほど、同じ電界に対して強い分極が生じる。(正解)
- 分極の強さ P は、単位体積あたりの電気双極子モーメントの総和として定義される。
- 真空中に比べ、誘電体内では分極電荷による逆向きの電界によって、実効的な電界の強さは弱められる。
解説
【正解】
(2)
【設問の意図】
この問題は、誘電体という物質がなぜ電界を弱めるのか、そのミクロな仕組み(分極のメカニズム)を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、分極によって生じる内部電界の「向き」であり、これが全体の電界にどう作用するかをイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、分極による内部電界は外部電界と「逆向き」に生じるため、(2)の選択肢が不適切(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。外部から電界が加わると、誘電体内の正電荷は電界方向へ、負電荷は逆方向へわずかに動く。その結果、電極のプラス側(電界の根元)に近い誘電体表面には「マイナスの電荷」が、マイナス側には「プラスの電荷」が並ぶことになる。
この並んだ分極電荷が作る電界は、当然プラスからマイナスへ向かうため、外部電界(元の電界)を押し戻そうとする「逆向き」の力となる。この反作用があるからこそ、結果として誘電体内の電界は真空時よりも弱められるのである。
したがって、「外部電界と同じ向きの内部電界を作る」としている選択肢(2)は、現象を正反対に説明しており誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「分極=電界が弱まる」という結果は覚えていても、「なぜ弱まるのか」というベクトルの向きの関係を曖昧にしたまま解こうとしてしまう。
特に、
・表面に現れる電荷の符号を、電極の符号と同じだと思い込んでしまう。
・誘電率が大きい(電気を通しやすいイメージ)=電界を助ける、という漠然とした誤解を持っている。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「今、誘電体の表面に並んだプラスとマイナスの粒が、どちら向きに新たな矢印(電界)を描くか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、外部電界によって誘電体内の電荷がどう動くかを想像する。(プラスは追い越され、マイナスは引き戻される)
2. 次に、誘電体の両面に溜まった電荷が作る「新しい電界(分極電界)」の向きを矢印で描く。
3. その新しい矢印が、元の外部電界の矢印を「強める(同向)」のか「弱める(逆向)」のかを確認する。
4. 選択肢を照合し、この「弱め合う」という物理的事実と矛盾する記述(同じ向き、強める等)を消去する。
この流れを身につければ、分極の性質に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。
問16
ビオ・サバールの法則
電流が作る磁界の強さを求める「ビオ・サバールの法則」に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 微小な長さの電流素片が作る磁界の強さは、電流の大きさに比例する。
- 磁界の強さは、電流素片からの距離の2乗に反比例する。
- 磁界の強さは、電流の方向と観測点への方向がなす角の正弦(サイン)に比例する。
- ビオ・サバールの法則を用いると、有限な長さの直線電流や円形電流が作る磁界を計算できる。
- この法則は、磁位(磁気ポテンシャル)の勾配から磁界を求める手法である。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、磁界計算の基本であるビオ・サバールの法則が「何を積み重ねて計算するものか」という計算手法の物理的本質を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、法則の「定義そのもの」であり、ポテンシャルを用いた間接的な計算と、電流から直接磁界を導く計算の違いが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、ビオ・サバールの法則は電流から直接「磁界 H」を積分で求める手法であり、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。ビオ・サバールの法則は、一本の電線を流れる電流を「非常に短いパーツ(電流素片)」の集まりと考え、それぞれのパーツが周囲に作る微小な磁界を足し合わせていく手法である。
これに対し、選択肢(5)で述べられている「磁位の勾配から求める」手法は、まず空間のエネルギー状態(ポテンシャル)を計算し、その変化率から磁界を導き出す「スカラ磁位」や「ベクトルポテンシャル」を用いた別の解法である。ビオ・サバールの法則は、あくまで電流という「原因」から磁界という「結果」を直接結びつける法則である。
したがって、ポテンシャルからの導出としている選択肢(5)は誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は公式の複雑な形(分数やサインが出てくる点)に気を取られ、この法則が「何を積分しているのか」という全体像を理解していないまま解こうとしてしまう。
特に、
・電磁気学に出てくる様々な「ポテンシャル」という言葉と、個別の計算法則を混同してしまう。
・クーロンの法則(静電気)との類似性(距離の2乗に反比例する点など)だけに注目し、磁界特有の性質を忘れている。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「今、電線を細かく切って、それぞれの場所から届く磁力の矢印を足している」という積分のイメージを描く手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、ビオ・サバールの法則の基本要素(電流 I、微小長さ dl、距離 r、角度 theta)を思い出す。
2. 次に、これらが「直接的に磁界 H を作る」という関係にあることを確認する。
3. ポテンシャル(磁位)を経由する解法は、より高度で抽象的な「別の道具」であることを区別する。
4. 選択肢を比較し、微小部分を積み上げるという積分の本質と異なる記述(ポテンシャルからの勾配など)を消去する。
この流れを身につければ、磁界の基礎法則に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。
問17
アンペールの法則
電流と磁界の関係を表す「アンペールの周回積分則」に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 任意の閉曲線に沿って磁界を1周積分した値は、その閉曲線を貫く電流の総和に等しい。
- 磁界の対称性が高い場合(直線電流やソレノイドなど)、容易に磁界の強さを求めることができる。
- 閉曲線を貫く電流がない場合、その閉曲線に沿った磁界の周回積分は必ずゼロになる。
- アンペールの法則は、静電界におけるガウスの定理に相当する重要な法則である。
- 磁界の強さは、電流の流れる方向に右ねじを回したときに進む向きと一致する。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、磁界の「向き」と「大きさの総和」に関する基本法則を混同せずに理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、電流の向きと磁界の向きの「対応関係」であり、右ねじの法則を正しくイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、右ねじを回す「向き」が磁界の向きであり、進む向きは電流の向きであるため、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。「右ねじの法則」とは、電流をネジが「進む方向」に見立てたとき、その周囲にできる磁界はネジを「回す方向」に生じる、というものである。
選択肢(5)の記述では、磁界の向きとネジが進む向きを一致させてしまっており、これでは電流と同じ方向に磁界が発生することになってしまう。磁界は電流の周りを「回る」ように発生するのが本質である。
したがって、向きの説明が逆転している選択肢(5)が誤りとなる。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「アンペールの法則」という数式のイメージと、「右ねじの法則」という向きのイメージを別々のものとして捉え、パターンの丸暗記で解こうとしてしまう。
特に、
・「進む」と「回る」のどちらが電流でどちらが磁界だったか、本番の緊張でど忘れしてしまう。
・周回積分(ぐるりと回る計算)の意味を考えず、単なる足し算として捉えている。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「今、親指を立てて拳を握る(右手の法則)」動作を頭の中で行い、親指(電流)に対して残りの指(磁界)がどう回っているかを確認する手順を飛ばしてしまうことが、ミスの原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、アンペールの法則が「回る積分(周回積分)=突き抜ける電流」という関係であることを思い出す。
2. 次に、電流と磁界は必ず「直交」する関係(回る向き)にあることを確認する。
3. 右ねじをイメージし、「進む=電流」「回る=磁界」の対応を再確認する。
4. 選択肢を比較し、磁界が進む方向(電流と同じ方向)を向いているような、物理的に不自然な記述を指摘する。
この流れを身につければ、磁界の方向と法則に関する問題で確実に正解へたどり着ける。
問18
直線電流の磁界
無限に長い直線導体に一定の電流 I [A] が流れているとき、導体から距離 r [m] 離れた点に生じる磁界に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 磁界の強さ H は、電流 I に比例し、距離 r に反比例する。
- 磁界の向きは、導体を中心とする同心円の接線方向を向く。
- 磁束密度 B は、周囲の媒質の透磁率 μ に比例する。
- 導体からの距離を 2倍にすると、磁界の強さは 0.25倍になる。
- アンペールの法則を用いると、2 × π × r × H = I という関係から磁界を導出できる。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、磁界の減衰の仕方が「形状(次元)」によってどう異なるか、その物理的な本質を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、直線電流という「線」の形状が作る磁界の距離特性であり、広がり方をイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、直線電流の磁界は距離 r に「(1乗に)反比例」するため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。無限長直線から出る磁界は、同心円状に広がっていく。ある距離 r における磁界の強さ H をアンペールの法則で計算すると、磁界が通る円周の長さ(2 × π × r)で電流 I を割ったものになる(H = I / (2πr))。
この式からわかる通り、分母の r は 1乗である。距離が 2倍になれば、磁界が広がる「円周の長さ」が 2倍に伸びるため、密度(磁界の強さ)は 0.5倍(半分)になる。
「0.25倍(2乗に反比例)」になるのは、点電荷や点磁荷のように三次元的に(球面上に)広がる場合であり、二次元的な広がり(円周)を持つ直線電流には当てはまらない。したがって、選択肢(4)が誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「電磁気の力は距離の2乗に反比例する」という静電気(クーロンの法則)のイメージを強く持ちすぎており、何でも 2乗に反比例させてしまう。
特に、
・「距離が遠くなる=急激に弱まる=2乗だろう」という直感に頼ってしまう。
・形状が「点(3D拡散)」なのか「線(2D拡散)」なのか「面(拡散なし)」なのかによる減衰の違いを意識していない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、公式を思い出す前に「今、磁界は『円』として広がっているのか、『球面』として広がっているのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、問題文の条件(無限長「直線」電流であること)を確認する。
2. 次に、その周囲の磁界が描く形(同心円)を思い浮かべる。
3. アンペールの法則を適用し、積分路が円周(2πr)であることを確認して、H が r の 1乗に反比例することを導く。
4. 選択肢を比較し、点電荷のような 2乗反比例(0.25倍)を主張している記述を見抜いて消去する。
この流れを身につければ、距離特性に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。
問19
円形コイルの磁界
半径 a [m] の1巻の円形コイルに、一定の電流 I [A] が流れているとき、その中心点に生じる磁界に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 中心点の磁界の強さ H は、I / (2a) で表される。
- 中心点の磁界の向きは、コイルの面に対して垂直である。
- コイルの巻き数を N 回にすると、中心点の磁界の強さは N 倍になる。
- 中心点からコイルの軸方向に離れるほど、磁界の強さは急激に増加する。
- 磁界の向きは、電流の回転方向に右ねじを回したときに進む向きと一致する。(正解)
解説
【正解】
(4)
【設問の意図】
この問題は、円形電流が作る磁界の「空間的な分布」を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、中心点から「軸方向に離れたとき」の磁界の変化であり、磁力線の広がり(発散)をイメージできるかどうかが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、中心から離れるほど磁界の強さは「減少」するため、(4)の選択肢が不適切(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。円形コイルを流れる電流は、コイルの「輪」の中に磁力線をギュッと集める働きをする。その最も密集する場所が「中心点」である。
中心点からコイルの軸(中心を通る垂直な線)に沿って遠ざかっていくと、密集していた磁力線は周囲の空間へ放射状に広がっていき、密度が低くなる。磁界の強さは磁力線の密度そのものであるため、当然、遠ざかるほど磁界は弱まっていく。
したがって、「中心点から離れるほど磁界が急激に増加する」としている選択肢(4)は、物理的な直感にも数式の結果にも反する誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は「中心点 H = I / 2a」という一点の公式だけを暗記しており、そこから少しでも外れた場所で何が起きるかをイメージできていない。
特に、
・「軸方向」という言葉の意味を、コイルの「縁」に近づくことだと勘違いしてしまう。
・磁界が「ループ(閉曲線)」を描くという性質を忘れ、どこまでも強くなる場所があると思い込んでしまう。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「今、磁力線が最も密に束ねられている場所はどこか、そこから外れたらどう広がるか」を描く手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、円形コイルが作る磁力線の「束」をイメージする。
2. 次に、中心点がその束の「喉元(最も狭い場所)」であり、磁界が最大であることを確認する。
3. そこから軸方向に移動すれば、束が解けて密度が下がる(磁界が弱まる)という自然な流れを導く。
4. 選択肢を比較し、最大点である中心から離れて「強くなる」と主張している矛盾した記述を指摘する。
この流れを身につければ、磁界の分布に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。
問20
無限長ソレノイド
1m あたりの巻き数が n [回/m] の無限に長いソレノイドに、一定の電流 I [A] が流れているとき、その内部に生じる磁界に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ソレノイド内部の磁界の強さ H は、n × I で表される。
- 内部の磁界は、場所によらず一定の強さを持つ一様磁界である。
- 内部の磁界の向きは、ソレノイドの軸に対して平行である。
- ソレノイドの外部では、理想的な条件下では磁界の強さはゼロとみなせる。
- ソレノイドの半径を 2倍にすると、内部の磁界の強さは 0.5倍になる。
解説
【正解】
(5)
【設問の意図】
この問題は、ソレノイド内部にできる「一様磁界」という特殊な空間の性質を根本から理解しているかを問う問題である。
条件の中で注目すべきポイントは、内部磁界 H が「何に依存し、何に依存しないか」というパラメータの取捨選択であり、ここが分かれ目となる。
【正解の理由(なぜこれが正しいか)】
結論から言うと、無限長ソレノイドの内部磁界は半径に依存せず一定であるため、(5)の選択肢が不適切(正解)となる。
物理現象に立ち返って考える。アンペールの法則を無限長ソレノイドに適用すると、内部の磁界の強さ H は「単位長さあたりの電流の総和(nI)」だけで決まることが導かれる(H = nI)。
この式には、ソレノイドの「半径 r」という文字は含まれていない。これは、ソレノイドが無限に長いため、内部のどこであっても磁力線が互いに並行に走り、密度が均一に保たれるからである。太いソレノイドでも細いソレノイドでも、1m あたりに巻かれた電流の量(アンペアターン)が同じであれば、内部の磁力の密度は変わらない。
したがって、「半径を 2倍にすると磁界が半分になる」としている選択肢(5)は、この一様磁界の性質を誤認しており誤りである。
【初心者がここで迷う理由】
学習段階の浅い場合、多くの人は直線電流(H = I / 2πr)や円形コイル(H = I / 2a)の「分母に距離や半径が来る」というパターンの暗記に引っ張られ、ソレノイドでも同じだと考えてしまう。
特に、
・「広い空間に広がれば、密度が薄まるはずだ」という、拡散する系のイメージをそのまま一様磁界に当てはめてしまう。
・無限長という「端っこの影響を無視できる」という特殊な前提条件の重みを理解していない。
といった罠に陥りやすい。
本問では、判断の前に「今、磁力線は四方に広がっているのか、それとも真っ直ぐ平行に揃っているのか」をイメージする手順を飛ばしてしまうことが、ミスの最大の原因である。
【本番での判断フロー】
本番では、次の順序で考えれば確実に正解を導き出せる。
1. まず、対象が「無限長ソレノイド」であることを確認し、その特徴が「一様磁界」であることを思い出す。
2. 次に、一様磁界の公式 H = nI を書き出し、そこに半径を表すパラメータが存在しないことを確認する。
3. 物理的に「並行な磁力線の束」を想像し、筒の太さが変わっても束の密度が変わらない理由を納得する。
4. 選択肢を比較し、幾何学的なサイズ(半径や直径)によって内部の磁界が変わると主張している記述を消去する。
この流れを身につければ、ソレノイドの性質に関する問題で論理的に正解へたどり着ける。